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東南西北

プロ野球ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人・蔵建て男が、日本中を駆け巡り本音でトーク!

今後の東南西北の運営について


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2023年夏 甲子園レポート12


大会7日目第一試合 八戸学院光星 VS 明桜

八戸学院光星の先発は、洗平竜也(東北福祉大-元中日)左腕の息子である 洗平 比呂(2年)左腕。父親と同じサウスポーだが、父親は腕の振りを生かしたキレ味身上の投手だった。しかし息子は、130キロ台中盤ぐらいも、球持ちの良さを生かした球速以上に粘っこいボールを投げ込んでくる。むしろイメージ的には、父親の福祉大時代のチームメイト・吉見祐治(元ベイスターズ)に似た感じの球を投げ込んでくる。変化球は、左腕らしいカーブやスライダー・ツーシーム気味な球とのコンビネーション。今後、何処までスケールを増して行けるかはわからないが、来年が楽しみな投手の一人であるのは間違いない。上手くゆけば、高校からのプロ入りも実現するかも。

野手では、3番を打つ 中沢 恒貴(3年)遊撃手。プロでショートを続けて行けるかは微妙なものの、フットワーク、キャッチング、スローイング共に基準を満たすものはある。また、一塁までは右打席から4.35秒前後(左打者換算で4.1秒前後に相当)のタイムを出しており、これも多少緩めて走った時のものだった。そのため、実際はもう少し走力があると考えられる。そして何より、フォロースルーを生かしたスケールの大きな打撃が魅力。まだまだ攻守に未完成な印象だが、モノになった時には楽しみな素材である。そういった意味では、高校時代の 坂本勇人(巨人)を彷彿とさせる素材ではある。指名は中位(3位~5位)以降になると思われるが、将来性の高く面白い。

明桜では、4番の 吉川 新汰(3年)捕手の、強烈なサードゴロが印象的。ワンバウンド処理などの足回りも想像以上で、肩こそよくわからなかったが、けしてディフェンス力が低いわけでは無さそう。大学などで、再び出会えることを楽しみにしている。また、2番手登板した 難波 佑聖(3年)右腕は、秋田大会で147キロを記録したという速球派。この試合では130キロ台後半がほとんどで、スライダーやフォークだか沈む球を織り交ぜたが、変化球が抜け気味で制球に苦しんだ形。好い時の内容を、ぜひ確認してみたい選手だった。

洗平竜也(八戸学院光星2年)投手 174/71 左/左
中沢 恒貴(八戸学院光星3年)遊撃 178/80 右/右

吉川 新汰(明桜3年)捕手 174/73 右/右
難波 佑聖(明桜3年)投手 171/77 右/右


大会7日目第二試合 東海大甲府 VS 専大松戸

東海大甲府の先発・長崎 義仁(3年)右腕は、真っ直ぐよりも縦への変化が大きいスライダーを多く混ぜてくる。それでも時々投げ込まれる速球も140キロ前後でるので、けして直球に自信がないわけではない。その球筋も独特で、スライダー共々あまりいないタイプの投手といった感じがした。ただし、制球が不安定で思い通りのピッチングができなかったのではないのだろうか? 大学などに進んで、どんな投手に成長して行くのか少し気になる選手だった。

また野手では、兼松 実杜(3年)中堅手の振りが気になった。ヒットはセンター前への一本に留まったが、少しアッパー気味に角度を付けて飛ばしてくるタイプ。スイング自体にも力があり、打撃には面白いものがあるなと。調べてみたら、山梨大会でも3本塁打放っており、この選手も今後どうなって行くのか気になる選手だった。ちなみに走力も、右打席から4.3秒(左打者換算で4.05秒前後に相当)で一塁を駆け抜けるなど基準レベルの脚力を有していた。

専大松戸では、中山 凱(2年)遊撃手。第一打席にはツーベース、第二打席には犠牲フライと活躍。チーム屈指の打撃能力に加え、深いところから球筋乱れない送球にも目を見張るものが。この選手は、来年のドラフト候補として話題になって行ける選手。来年世代のショートの中でも、トップクラスの素材ではないのだろうか。

長崎 義仁(東海大甲府3年)投手 178/78 右/左
兼松 実杜(東海大甲府3年)中堅 176/76 右/右

中山 凱(専大松戸2年)遊撃 180/70 右/右


大会7日目第三試合 土浦日大 VS 九州国際大付属

出場校最後の登場となった九州国際大付属では、一年秋から注目されてきた 佐倉 侠史朗(3年)一塁手が登場。結果的には、センター前へのヒット一本に留まったものの、第一打席のレフトフライや第二打席の一塁ライナーなど、しっかり捉えていた打球だったので、打撃の評価は下がらなかったのではないのだろうか。問題は、やはり守備が一塁手だということと走力の無さ。個人的には、鍛えれば三塁もイケるかもとは思っているものの、現時点では未知数だと言わざるえない。確かに好い打者ではあるが、圧倒的に長打力があるといったほどでもなく、技術の高い中距離・ポイントゲッターの一塁手。一時のような力んで凡退ということは無くなっていたが、現状は下位~育成あたりで指名があるかどうかといった感じではないのだろうか? ただし、プロ志望届を提出すれば、何かしらの形では指名されるのではないかとみている。

また、先発した 田端 竜也(2年)左腕は、大きく一塁側にステップしてきて、左打者にとっては恐怖感のある球筋。それでいて、右打者からも結構見難い実戦派。球速こそ130キロ台中盤ぐらいまでだったが、カーブ・スライダー・チェンジアップを織り交ぜ、厄介な存在といった感じだった。マウンドさばき、制球力なども良く、来年も福岡を引っ張って行く存在になりそう。

また、ショートの 隠塚 悠(3年)遊撃手は、深いところからでも踏ん張ってアウトにできる守備は見事。動きも良く、上のレベルでも守備を売りにできる選手ではないのだろうか。打席でもしぶとく、出塁すれば盗塁を決めていた。大学などでも、個性全開にアピールして欲しい。

一方の土浦日大では、初戦では登板がなかった 小森 勇凜(3年)右腕。春は、この選手がエースとしてチームを関東大会に導いた原動力。やや調整遅れが心配されており、立ち上がりは丁寧に投げていた印象。それでも試合中盤には145キロを記録するなど、真っ直ぐの強さも出てきていた。スライダーよりもチェンジアップを多くする配球で、左打者には厄介な存在。ドラフト候補といった匂いはしてこないが、制球力・投球術・変化球・要所での踏ん張りなど含めると、4年間で何処までの選手に育って行くのか注視して行きたい存在だった。

佐倉侠史朗(九州国際大付3年)一塁 184/110 右/左
田端 竜也 (九州国際大付2年)投手 177/68 左/左
隠塚 悠  (九州国際大付3年)遊撃 172/72 右/右

小森 勇凜(土浦日大3年)投手 183/82 右/右

2023年夏 甲子園レポート11


大会6日目第三試合 北陸 VS 慶応義塾

北陸の先発・竹田 海士(2年)右腕は、初回から140キロ台を連発するなど、ボールに力があった。普段は切れ味のあるスライダーとのコンビネーションだが、フォークにも落差があり空振りも奪えていた。特に制球力が粗いとか、変化球の曲がりがイマイチだということはなかったものの、慶応打線に捕まって序盤で降板。秋以降も北信越では注目の好投手の一人となると思うが、相手から嫌がられる、そういった投球も追求することが求められそうだ。下級生ながらかなりのレベルまで達しているが、今のところ高校からプロ入りという匂いはしてこない。一冬超えて、体が大きく変わってくると、その印象も違ってくるかもしれない。

野手では、 平田 海智(3年)捕手もなかなかの好選手。体を小さく屈めて的を大きく見せるキャッチングで、実に一つ一つの動作がキビキビしている。スローイングも1.9秒台前半ぐらいだったが、捕ってなら投げるまでもシッカリ型を作ってから送球できているので、球筋も安定していた。スイングも三番打者で、キッチリした打撃をしてくる。大学や社会人に進んでも、活躍して行ける可能性を秘めていた。

慶応の先発・小宅 雅己(2年)右腕は、両コーナーを投げ分ける丁寧なピッチングが光った。球速も130キロ台後半~140キロ台中盤を叩き出せる能力があり、球質も悪くない。スライダーやチェンジアップを織り交ぜたレベルで、下級生ながら高い水準に達している。ただしこの選手も、高校からプロといった匂いは今のところして来ない。それでも秋以降は、神奈川を牽引して行く存在になって行きそうだ。

一方野手では、1番の 丸田 湊斗(3年)中堅手は粘れたりする技術が高く嫌らしさを感じさせる好打者。さらに、守備・走塁とのバランスも取れており、ハイレベルに三拍子揃っている。その能力を買われ、U-18 の日本代表にも選出された。大学での4年間で、どのぐらい実績を残せるのか興味深い。また、2番の 八木 陽(3年)遊撃手の、守備も光った。上体の強さだけに頼らず、丁寧さも兼ね備える。捕ってからも素早く、送球が乱れない。この試合では打撃でアピールできなかったが、守備に関しては即大学レベルでも通用するのではないのだろうか。

竹田 海士(北陸2年)投手 176/73 右/右
平田 海智(北陸3年)捕手 170/69 右/右

小宅 雅己(慶応義塾2年)投手 178/76 右/左
丸田 湊斗(慶応義塾3年)中堅 174/73 右/左
八木 陽 (慶応義塾3年)遊撃 182/77 右/右


大会6日目第四試合 文星芸大付 VS 宮崎学園

宮崎学園の先発・河野 伸一朗(2年)左腕は、球速こそ135キロ前後だが189センチの長身で打ち難い。またチェンジアップの威力は確かで、経験の浅い高校生が初見で対応するのには苦労するタイプ。今後スケールを増してドラフト候補にというよりも、この体格を生かした打ち難さを武器に、上のレベルでも野球を続けて行きそうなタイプだった。

また一番打者の 斉藤 聖覇(2年)中堅手は、バットコントロールが巧みなだけでなく、打球も鋭く楽しみな素材。試合でも盗塁を決めるなど、一番打者として俊足ぶりもアピールできた。外野からの返球でも、肩も悪く無さそう。同じ宮崎の 武藤 敦貴(都城東-楽天)外野手のような選手に育って行くのか注視したい。

また、文星芸大付では、アクションが話題になった 黒崎 翔太(3年)捕手が注目。しっかり投手にミット示し、いろいろジェスチャーを交えながら投手を鼓舞するタイプ。テンポの好いリードは悪くないが、ちょっと上から被せたがるキャッチングには不安を残した。肩の強さはプロ級だと思うが、打力含めて高校からのプロとなると厳しそう。ワンクッション置いて、攻守の精度を増して行きたい。

また三番打者の 曽我 雄斗(3年)二塁手も、キッチリと広角に打ち分けるスイングに、キビキビしたセカンド守備が魅力の好選手。大学などで、そのセンスを磨いて実績を残して行って欲しい。

河野 伸一朗(宮崎学園2年)投手 189/68 左/左
斉藤 聖覇 (宮崎学園2年)中堅 175/68 右/左

黒崎 翔太(文星芸大付3年)捕手 175/68 右/右
曽我 雄斗(文星芸大付3年)二塁 168/63 右/右

2023年夏 甲子園レポート10


大会6日目第一試合 いなべ総合 VS 沖縄尚学

沖縄尚学の絶対的エース・東恩納 蒼(3年)右腕は、普段の球速は140キロ前後と驚くほどのものはない。しかし、走者が得点圏にいると、140キロ台中盤までギアを上げたり、高い確率で落ちるフォークで三振を狙いにくる。ランナーがいないときは、スライダーとのコンビネーションで、試合を作ってくるメリハリのある投球が売り。そんなに凄みのある素材ではないが、投球センス抜群で、大学などで総合力が引き上がってくると実戦派としてドラフト候補になってきそう。こういったハイセンスの選手が、大学でどのぐらいの実績を残して行けるのか興味深い。

また、一番の 知花 慎之助(3年)中堅手は、相変わらずミートセンスと独特の感性が光る好選手。イメージ的には、広陵高校時代の、上本博紀(元阪神)を彷彿とさせるタイプ。一塁までの塁間を 4.35秒前後(左打者換算で4.1秒前後に相当)と、走力はそこまで突き抜けていない体格や身体能力をどうみるか? また選抜で左中間スタンドに叩き込み注目された 仲田 侑仁(3年)一塁手は、足を怪我をして大会を通じて精彩を欠いた。しかし、後日の試合では一発を放って面目躍如。夏の大会のスタート時には凄みを増してきていただけに、各球団どのような評価を下すのか悩ましい。プロ側の注目度は高い選手なので、プロ志望届を提出すれば、何かしらの形では指名されるのではないのだろうか。

一方の いなべ総合 では、伊藤 竜聖(2年)左翼手は、素直にバットが出てくるスイング軌道に筋の良さを感じさせる。試合では盗塁を試みるも刺されてしまった。新チーム以降、守備的負担の高いポジションでアピールして行けるか気にしてみたい。また4番を打つ 石垣 諒馬(3年)遊撃手は、独特の感性を打撃に感じさせる選手で、ボールの呼び込み方に面白いものを持っている。走力が無いのは気になったが、天才肌の打撃に磨きをかけ、堅実な守備を魅せられるようになれば、上のレベルでも異彩を放つ存在になって行けるかもしれない。

東恩納 蒼(沖縄尚学3年)投手 172/70 右/左
知花慎之助(沖縄尚学3年)中堅 172/70 右/右
仲田 侑仁(沖縄尚学3年)一塁 186/94 右/右

伊藤 竜聖(いなべ総合2年)左翼 177/68 右/右
石垣 諒馬(いなべ総合3年)遊撃 171/70 右/左

大会6日目第二試合 立正大淞南 VS 広陵

広陵の先発・高尾 響(2年)右腕は、普段は130キロ台と力を入れて投げて来ないものの、縦横二種類のスライダーやカーブを織り交ぜて丁寧なピッチングを心がける。特に、低めボールゾーンに切れ込むスライダーを振らせるのが上手い。投げようと思えば、いつでも140キロ台中盤ぐらいのボールは投げられる能力はある。また体は大きくはないが、イニングが進むにつれて調子をあげてくる、エンジンのかかりが遅い本格派タイプ。イメージ的には、広陵の先輩でもある 河野 圭(広島)を彷彿とさせる。来年までに何処まで凄みを増せるかはわからないが、高校からプロというよりも、大学や社会人に進んでからといった進路をたどる気がする。いずれにしても秋以降は、世代を引っ張って行く存在となりそうだ。

プロ注目の 真鍋 慧(3年)一塁手は、第一打席からうまくレフト前にはじき返す。途中の打席では、あわやホームランかと思わせる大きなレフトフライや、むしろ逆転のツーベースになった当たりは外野手の捕球ミス。レフト方向にも角度が付けて飛ばせるようになってきたことは大きいが、神宮大会の時から言ってきたように、本質的にスラッガーなのか? という疑問は最後まで拭うことはできなかった。ミート能力と高いレベルの相手に対応してきた実績は買うものの、中距離タイプで守備・走塁のアピールに乏しい選手に、プロ側が何処までの評価を用意できるか? 個人的には、球団によってはハズレ1位ぐらいがあるかもしれないものの、2位前後ぐらいが基本線ではないかとみている。それほど本塁打にこだわらないけれど、将来の中軸候補が欲しいといった球団が、指名してくることになりそうだ。

その他広陵では、塁間3.9秒台の俊足・巧打の 田上 夏衣(3年)中堅手や、来年のドラフト候補に入ってきそうな 只石 貫太(2年)捕手など、力のある選手が揃っていた。

一方の立正大淞南では、背番号3を付けながら先発した 山下 羅馬(3年)一塁手は、広角に打ち返すパワフルな振りが目立つ。また二番手マウンドに上ったエースの 日野 勇吹(3年)右腕は、指にかかった140キロ台の真っ直ぐが、打者の手元までしっかり来ていた。チェンジアップとのコンビネーションを武器にするが、カーブ・スライダーなどを磨いて、上のレベルでは引き出しを増やして行って欲しい。

高尾 響 (広陵2年)投手 172/73 右/右
真鍋 慧 (広陵3年)一塁 189/92 右/左
田上 夏衣(広陵3年)中堅 173/72 右/左
只石 貫太(広陵2年)捕手 178/78 右/右

山下 羅馬(立正大淞南3年)一塁 170/80 右/右
日野 勇吹(立正大淞南3年)投手 169/68 右/右

2023年夏 甲子園レポート9

大会5日目第二試合 明豊 VS 北海

北海の先発は、背番号を3を付けた 熊谷 陽輝(3年)投手。南北海道大会で5本塁打を放った強打で注目されていたが、秋までは道内屈指の剛腕とされていた。投げては、140キロ前後(MAXで143キロぐらいか?)と驚くほどの球速ではなかったものの、低めやコーナーに丁寧に投げ分けようという姿勢が感じられ、コントロールも悪くなかった。球速以上に感じさせる球威もあり、スピードよりも実戦的な部分を追求してきたことが伺われる。

将来性では、野手としての才能の方がさらに魅力。圧倒的なパワーを誇りながらも、バットを短く持ってヒット狙いを重視する。それでもこの選手、パワーだけでなく右方向にはじき返したり、食らいつくしぶとさがある。しいて言えば、投手でも野手でも体のキレに欠けるところが気になる。バッティングも金属打ちのスイング喜働で、木製バットへの順応を高めてからでもプロ入りは遅くはないさそうだ。圧倒的な体幹の強さを持ちながら、確実性も兼備しているのが最大の魅力。3,4年後には、どのぐらいの打者に育って行くのか見守って行きたい。

またエースの 岡田 彗斗(3年)右腕は、球速こそ出ていながコントロールが甘く、この試合では痛打を浴びピリッとしなかった。後日の試合では、元来の投球ができてたものの、高校からプロというよりはワンクッション置いて総合力を高めてからの方が良さそう。みていると、20~30年前の剛腕投手を彷彿とさせる、伝統的な剛腕タイプだった。

明豊では、腕をコンパクトにたたんで投げ込む 中山 敬斗(3年)右腕。球速は140キロ前後ぐらいだが、打者の手元まで伸びは悪くなかった。スケールで圧倒するタイプではないが、実戦派として大成して欲しい。また、低くて鋭い打球が目立つ明豊打線の中でも、西村 元希(3年)中堅手の打球が頭ひとつ抜けていた印象。右に左センターへと鋭い打球を連発し、そのパワーにも目を見張るものがあった。上のレベルでも三拍子揃ったプレーヤーとして、異彩を放つ可能性を秘めている。高校からのプロ入りはないと思うが、今後のことも考えると、名前を記憶に留めておいて損はないだろう。

熊谷 陽輝(北海3年)投手 183/94 右/右
岡田 彗斗(北海3年)投手 178/78 右/右

中山 敬斗(明豊3年)投手 176/77 右/右
西村 元希(明豊3年)中堅 177/77 右/右


大会5日目第三試合 星稜 VS 創成館

下級生から注目されてきた 武内 涼太(星稜3年)右腕。県大会でも不安定なところを魅せていて心配されたが、この甲子園でも制球が定まらず早々降板することに。それでも140キロ前後の球速ながら、ボールの力強さには目をみはるものがあった。チェンジアップのブレーキも悪くなかったが、スライダーが甘く入ったり、真っ直ぐが制御できずに苦しんだ。現状、高校からプロ入りは大きく後退したとみるのが妥当ではないのだろうか。

その一方で、5番打者としては4打席全てで芯でボールを捉えるなど内容があった。最終打席には、左中間スタンドに叩き込む。単に体幹の強さに頼ったパワーがあるだけでなく、ミート能力にも光るものがある。ひょっとして彼が大成するのは、野手としての方なのかもしれない。

同じく下級生の頃から活躍してきた 斉賀 壱成(3年)遊撃手も、右に左へと鋭い打球を飛ばしていた。最終打席でのレフトフライも、あわやホームランかと思わせる大きな飛球だった。県大会無失策だった守備では、一塁への送球が乱れるなど、あまり見せ場がなく終わってしまった。実力の割にドラフト戦線で騒がれることがないのは、プロ志望ではないからなのかと疑いたくなるがどうなのだろうか? こと打つことに関しては、今年のショートのドラフト候補でもトップクラスの技量の持ち主。プロ志望届を提出するのか、個人的には興味深い一人だ。

また、4番打者の 近藤 真亜久(3年)捕手は、最終打席にライト線を破るスリーベースを放ち面目躍如。大型の割には、ワンバウンド処理などは素早く対応していた。捕ってから投げるまでが遅い気はするが、地肩自体はかなり強い。「強打・強肩の捕手」として面白いと思うが、もう少し捕手としては俊敏性が欲しい。

一方の創成館では、福盛 大和(3年)右腕は、130キロ台中盤の球速と、驚くほどの球威はなかったものの、カーブが大きなアクセントになり、星稜打線を苦しめた。180/65 と、まだまだ体重が増えてくるようだと、球威・球速の上積みも望めそう。また2番手で登板した 村田 昊徽(2年)右腕は140キロ台の球速も記録。体格はさほど恵まれてないが、ボール自体には球威を感じさせるものがあり、来夏までに何処まで真っ直ぐに磨きが懸けられるか?

武内 涼太(星稜3年)投手 183/77 右/右
斉賀 壱成(星稜3年)遊撃 172/70 右/右
近藤真亜久(星稜3年)捕手 183/80 右/右

福盛 大和(創成館3年)投手 180/65 右/右
村田 昊徽(創成館2年)投手 173/69 右/右

2023年夏 甲子園レポート8


大会4日目第四試合 神村学園 VS 立命館宇治

立命館宇治の先発・十川 奨己(2年)右腕は、球速こそ130キロ台中盤と驚くほどのものはなかったが、筋の良さを感じさせる素材で今後が楽しみ。結構真っ直ぐが膝下に、スライダーも外角一杯に決まったりとコントロールも悪くない。他にもカーブやフォーク系などの球を織り交ぜてくる。問題は、まだゾーン内での球威が弱いので、それほど甘くなくても打ち返されてしまうことが大きい。学校が学校だけに進学が基本線となるが、195センチの上背からこれだけ滑らかに体が使える才能は素晴らしい。

神村学園も、正林 輝大(2年)右翼手が、右に左にセンターへと打ちまくった。バットを振れる選手であり、守備・走塁などの能力も引き上がってくると、来年の候補としてマークできるぐらい振りには目をみはるものがあった。鹿児島の左の強打者というと、先日亡くられた・横田慎太郎(鹿児島実業-阪神)のような存在になって行けるかもしれない。

また最後には、注目の 黒木 陽琉(3年)左腕が登場。左投手の球速が出にくい甲子園のガンでも140キロ台を記録しており、先発だと物足りなくみえたが真っ直ぐの球威・勢いも良かった。進学が噂されるが、将来性の高い素材として今後も注視して行きたい。

十川 奨己(立命館宇治2年)投手 195/87 右/右

正林 輝大(神村学園2年)右翼 178/82 右/左
黒木 陽琉(神村学園3年)投手 183/78 左/右


大会5日目第一試合 東海大熊本星翔 VS 浜松開誠館

浜松開誠館の先発・近藤 愛斗(3年)右腕は、サイドに近いスリクォーター系の球からコンスタントに140キロ台のボールを投げ込んでくる。ボール自体もビシッとミットに収まる感じで、最速147キロを記録し力強かった。変化球もシンカー系の球とのコンビネーションだが、時々カーブやスライダーなども織り交ぜてくる。そんなにコントロールも荒れ荒れではないし、本人もプロ志望だという。評価的には下位~育成ぐらいではと思うが、高校からのプロ入りも意識できるのではないのだろうか。

野手では、打席で粘り鋭い打球を飛ばす 広崎 漣(3年)左翼手は、時にはマウンドにも上がるサウスポー。高校からプロとなるとパンチ不足の印象は否めないが、仕留めるときは一振りで決めるなど高い技術を持っていた。ただし、左打席からの一塁到達タイムが、4.2秒前後と走力が平凡だったので、高校からのプロ入りとなるとどうだろうか?。また、4番の 新妻 恭介(3年)捕手は、強肩・強打の捕手。実に力強い打球でスタンドに叩き込んだり、ライトまえにきっちり打ち返していた、塁間1.8秒台後半ぐらいの送球は、型がしっかりしていて球筋も悪くなかった。捕手としての技能も一通り兼ね備えており、育成枠あたりで指名して来る球団があっても不思議ではない。

東海大熊本星翔の 百崎 蒼生(3年)遊撃手は、高校球界を代表する強打の遊撃手。ショートとしての動き、球際でのボールさばきなども基準レベルtがあり肩も強い。プロでショートを担って行けるほどかは微妙だが、他のポジションでの融通性も考えれば評価できる。パワフルな打撃も、第一打席にきっちりライト方向に食らいついたり、三遊間を抜けたあたりもヘッドを残していたからこそ野手の間を抜けていったと感じ。単なるパワフルな打者というだけでなく、しぶとさもあるところを示した。ドラフトでも中位(3位~5位ゾーン)ぐらいでの、本会議での指名が意識できる素材ではないのだろうか。

近藤 愛斗(浜松開誠館3年)投手 177/85 右/右
広崎 漣 (浜松開誠館3年)左翼 177/77 左/左
新妻 恭介(浜松開誠館3年)捕手 178/83 右/右

百崎 蒼生(東海大熊本星翔3年)遊撃 178/74 右/右

2023年夏 甲子園レポート7


甲子園大会4日目第二試合 社 VS 日大三

日大三の先発・安田 虎汰郎(3年)右腕は、135キロ前後の真っ直ぐを投げ込むオーソドックスタイプ。球速こそ平凡だが、指にかかったボールを投げ込み球速以上に感じさせる。特に100キロ台のチェンジアップが大きなアクセントになっており、初見だと中々対応が難しい。おそらくチェンジアップだと表現されているが、ナックルとチェンジアップとの中間球である パームボール 的な球だと思われる。制球力も安定しており、最後まで付け入る隙を与えなかった。他の変化球もカーブなど緩い変化が中心なので、大学などで球速のある中間球となる変化球を磨いて投球の幅を広げて行きたい。

社の先発・高橋 大和(3年)右腕は、時には140キロを超える球速を誇る。ただし、ボールの威力自体は安田の方が力強く見えた。むしろ、打者の内角を突いたり、左の外角のボールゾーン~ストライクゾーンに入れてバックドアのスライダーを織り交ぜた実戦的なスタイル。縦に落差のある変化球もあるので、この球に磨きがかかれば、全然違った投手になって行けるかもしれない。こちらも大学などに行って、投球の引き出しを増やして総合力を高めて行きたい。

西東京大会でも話題だった 針金 侑良(3年)左翼手は、192センチの体格を生かしたバッティングが魅力。通常の選手が届かないようなゾーンの外角球を逆らわず打ったり、大型の割に内からバットが出てくるので内角もさばける。それでいて当たれば飛んで行くなど、巨人の 秋広 優斗 タイプの強打者だ。高校からプロといった総合力はまだないが、打撃の将来性には見るべきものがあった。

安田虎汰郎(日大三3年)投手 176/76 右/左
針金 侑良(日大三3年)左翼 192/89 左/左

高橋 大和(社3年)投手 180/78 右/左


甲子園4日目第三試合  市立和歌山 VS 東京学館新潟

市立和歌山で目立ったのは、麴家 桜介(2年)捕手。右に左にセンターへとパワフルな打球を飛ばす4番打者で、先輩の 松川 虎生(ロッテ)の高校時代を彷彿とさせるものがある。いろいろとゼスチャーを交えながら、先輩投手相手に臆することなく引っ張るリードも印象的。来年のドラフト候補になりうるかはまだわからないが、今後楽しみな選手であるのは間違い無さそうだ。

また東京学館新潟の方では、2番打者の 渋川 優希(3年)中堅手が、鋭い当たりを右に左へと飛ばしていた。中堅手としての動きもよく好捕したり、センターからの返球も悪くなかった。新潟大会でも.526厘 で、チーム最多の10打点をマーク。あえて、最強打者を二番に置いていたのではないかと感じられた。一塁までの塁間も、4.3秒強(左打者換算で4.05秒強に相当)など、三拍子バランスのとれた好選手だった。上のレベルでも、ぜひ野球を続けて欲しいアスリート系タイプ。

麴家 桜介(市立和歌山2年)捕手 173/77 右/右

渋川 優希(東京学館新潟3年)中堅 178/82 右/右

2023年夏 甲子園レポート6


大会3日目第四試合 大垣日大 VS 近江

大垣日大の先発・山田 渓太(3年)右腕は、球速こそ135キロ前後ながら、打者の手元までしっかり生きた球が投げられる。そして、その球を両サイドに自在に投げ分けることができ、自分の意図した配球ができるのが魅力。それに、スライダー・チェンジアップなどを織り交ぜ相手に的を絞らせない。けして凄みのある素材ではないが、投球の土台ができているので、あとは出力が上がってくると楽しみな好投手。また、5番を担う野手としてのセンス・打力に優れていた点も見逃せない。

パンチのある打撃が光る3番・米津 煌太(3年)二塁手は、攻守に確かな実力の持ち主。ちなみに一塁までの駆け抜けは、右打席から 4.45秒前後(左打者換算で4.2秒前後に相当)と平均的だったので、何か突出した武器が欲しい。阪口監督の孫でもある 高橋 慎(3年)捕手は、一塁からコンバートされた強打の捕手。キャリアこそ浅さを感じさせない選手で、投手としっかり対話しながら、キャッチングなどの動きにも違和感は感じさせなかった。「打てる捕手」として、今後もキャリアを積んで行って欲しい。

近江では、昨年の甲子園ベスト4の中心メンバーであった 横田 悟(3年)遊撃手が、攻守の中心。昨年はセカンドだったが、ショートでも軽快な動きを魅せていた。打撃ではレフトへの大飛球こそあったものの結果は出ず。右打席から 4.45秒前後(左打者換算で4.2秒前後に相当)と走力が並だったのは残念。「好守・強打の遊撃手」として、大学などでも活躍して欲しいところだ。

また3番の 中村 駿介(2年)三塁手は、柔らかさを生かしたセンス抜群の巧打者。走っても、塁間3.9秒台で駆け抜ける脚力があり、三塁の動きも良かった。新チーム以後は、センターラインを任される存在になるかもしれない。三拍子揃った選手として、秋以降も気にかけてみたいハイセンスな持ち主。

また5番の 山田 修斗(3年)一塁手は、184センチの大型打者で、レフトへの特大の一発を放つなど飛距離は光っていた。チームの5番を担い、滋賀大会では打率5割を記録。大学あたりで、どのぐらいやれるのか見てみたい。

山田 渓太(大垣日大3年)投手 173/68 右/右
米津 煌太(大垣日大3年)二塁 174/78 右/右
高橋 慎 (大垣日大3年)捕手 180/74 右/左

横田 悟 (近江3年)遊撃 169/73 右/右
中村 駿介(近江2年)三塁 171/71 右/左
山田 修斗(近江3年)一塁 184/81 右/右


大会4日目第一試合 富山商 VS 鳥栖工

鳥栖工業は、試合途中からリリーフした 松延 響(1年)右腕の投球が光った。ゆったりとしたフォームから、リリースの時だけ力を入れて投げるような脱力したフォーム。コンスタントに140キロ前後(MAXで144キロぐらいか?)の、伸びのある球を投げ込んでくる。ボールゾーンに切れ込むスライダーを振らせたり、ブレーキの効いたカーブを投げるなど、ある程度のレベルまで来ている。まだそれほど凄みを感じさせる投手ではないが、あと2年間で何処までスケールを増して行けるか? 

富山商では、下級生4番の 福田 敦士(2年)三塁手が楽しみな存在。速球に力負けしない確かなスイングと、三塁手としても一定水準を誇る。下級生ながら、同校では頭ひとつ抜けた打力の持ち主ということで、187センチの体格も相まって来夏までにどのぐらいの打者に育って行くだろうか?

松延 響(鳥栖工1年)投手 177/73 右/右

福田 敦士(富山商2年)三塁 187/81 右/左

2023年夏 甲子園レポート5


大会3日目第二試合 クラーク国際 VS 前橋商

前橋商では、2番手に登板した 清水 大暉(2年)右腕が来年のドラフト候補になりうる素材。190/82 の雄大な体格の持ち主で、角度に加え勢いのある140キロ前後の真っ直ぐを投げ込んでくる。変化球のキレも悪くないが、まだ細かい制球力、巧みな投球術はなく、ただ威力のある球を投げ込んでくるだけといった感じ。経験を重ねるうちに、何処まで実戦力を高めて行けるか? 

前橋商で巧みなバットコントロールが光った 小池 絆(3年)二塁手。元来は動きの好いセカンドで、ミスを連発してしまったのは残念。この経験を糧に、来年、さらなる成長した姿を甲子園で魅せて欲しい。4番ながらショートを任せられていた 真藤 允宗(3年)遊撃手などは、3安打を放つなど実力の片鱗を魅せてくれた。大学などで、さらに攻守に精度高めたい。

一方のクラーク国際では、C(3年)捕手の1.7秒台のスローイングが光った。捕ってから素早く、地肩の強さも相まって凄い送球を魅せた。投手とコニュニケーションを図りつつ、ディフェンス全般の総合力は高い。打っても5番打者として、最終打席にきっちりライト前にはじき返して魅せた。大学などで、攻守に磨きをかけられると面白い。

北北海道大会で3本塁打を放った 新岡 歩輝(3年)投手は、この日は無安打に終わった。投手としては、前橋商打線に10安打打たれながらも1失点の粘りの投球。しかし将来的には、野手の素材だとみている。チームが勝ち上がっただけに、次戦での打棒爆発を楽しみにしたい。

清水 大暉(前橋商2年)投手 190/82 右/右
小池 絆 (前橋商2年)二塁 171/60 右/左
真藤 允宗(前橋商3年)遊撃 175/74 右/右

麻原 草太(クラーク国際3年)捕手 180/82 右/右
新岡 歩輝(クラーク国際3年)投手 173/72 右/右


大会3日目第三試合 日大山形 VS おかやま山陽

日大山形の先発・菅井 颯(3年)右腕は、佐々木朗希(ロッテ)を彷彿させるような、大きく足を引き上げて投げるダイナミックなフォーム。球速こそ140キロ前後ではあったが、真っ直ぐの威力には確かなものがあった。変化球は、カーブ・スライダー、それにフォークだか沈む球もありそうだったが、その精度がまだ低く甘い球を痛打されていた。素材としては確かに魅力的だが、本人も高卒プロは考えていないらしく、現状はワンクッション置いた方がと思わせる未完成な投手だった。将来性の高い大器なので、うまく環境が合えば大化けしても不思議ではない。

また日大山形では、2年生ながら4番を担う 遠藤 海星 右翼手が、右に左へと鋭い当たりを連発。8回には特大のファールを打ったり、飛距離も出せそう。一塁までの塁間は、右打席から4.4秒前後(左打者換算で4.15秒前後に相当)と平均的だった。いずれにしても来夏までに、どのぐらいの打者に育って行くのか興味深い。

一方のおかやま山陽では、2番手で登板した 三宅 一誠(2年)右腕。球速こそ130キロ台中盤ぐらいだが、複数のスライダーを使い分け、そのキレには見るべきものがあった。ガッチリした体格で馬力もありそうなので、来夏までに140キロ台を投げられるようになると、より自慢のスライダーが生きるようになりそう。

また、最後に投げた 三浦 尊神(2年)右腕は、少々ツッコミがちなフォームは気になったものの、MAX142キロの真っ直ぐには力があり、独特の縦割れの変化球も面白い。来夏までに、どのぐらいのスケールを身につけられるのか気になるところ。うまくゆけば、来年のドラフト候補にも入って来られるかもしれない。

菅井 颯 (日大山形3年)投手 184/79 右/左
遠藤 海星(日大山形2年)右翼 176/76 右/右

三宅 一誠(おかやま山陽2年)投手 183/85 右/右
三浦 尊神(おかやま山陽2年)投手 185/77 右/右

2023年夏 甲子園レポート4


甲子園二日目第四試合 徳島商業 VS 愛工大名電

四国NO.1の呼び声高かった 森 煌誠(徳島商3年)投手が素晴らしい投球を魅せて評価を上げた試合となった。コンスタントに140キロ台(MAX147キロ)の真っすぐで押しつつ、120キロ台の縦割れのパワーカーブを交えつつ、追い込むとスプリットを有効に使い、初回の1失点のみで名電打線に付け入る隙を与えなかった。腕はやや外旋しながら周りつつ、着地は早めにという上半身と下半身の動きにギャップがあり、打者としてはタイミングがとりづらい。今大会登板した中でも、内容的には屈指であり、ドラフトでも3位前後クラスの評価を得られるのではないかというほどだった。ただし、本人は卒業後社会人を希望しているという話もあり、プロ志望届を提出するかは懐疑的。日によってボールの走りに波がある選手だけに、今後の試合でもどんなパフォーマンスを魅せるのか気になるところだ。

一方の愛工大名電は、リリーフで 大泉 塁翔(2年)左腕が登板。愛知大会では140キロ台中盤を連発していたが、甲子園の左投手に厳しいスピードガンでは135キロ前後と平凡だった。むしろこの日は、切れ味鋭いスライダーやブレーキのあるカーブなどが印象的で、動きの好いフィールディング含めて、ただの速いだけの投手ではないことを印象付けた。もう少し体全体が大きくなって欲しい印象だが、秋以降大いに話題になる可能性を秘めた存在だろう。

森 煌誠(徳島商3年)投手 183/89 右/右

大泉 塁翔 (愛工大名電2年)投手 171/68 左/左


大会3日目第一試合 宇部鴻城 VS 花巻東

花巻東の先発・小松 龍一(2年)右腕は、140キロ前後と驚くようなボールは投げていなかったものの、2種類のスライダーを織り交ぜながらフォークが沈む確率も高く、相手に的を絞らせない投球が光った。そんなにスケールを感じさせる素材ではないので、来年のドラフト候補になれるかは微妙だが、すでにMAXでは147キロを出したこともあるという。それだけに来年に向けて、名前を覚えておいても損は無さそうだ。

その他、打撃の能力が高そうな4番・北條 慎治(3年)左翼手や、下級生から活躍してきた 千葉 柚樹(3年)二塁手など、麟太郎以外にもタレントが揃う。ドラフトの目玉になりうる存在である 佐々木 麟太郎(3年)一塁手は、徹底的な内角攻めに対し、レフト方向への打撃を徹底し3安打。背中を痛めているのもあり強振ができないのもあるのかもしれないが、今できうることを実戦する、技術・精神力、チームへの貢献を強く意識したプレーで、改めてただの飛ばすだけの選手ではないことを印象づけた。今後の試合でも、どんなプレーを魅せてくれるのか興味は付きない。

宇部鴻城では、2番手で登板した 松成 乃馳(2年)右腕が印象的。腕をコンパクトにたたんで、重心を深く沈めて投げ込んでくる。球速こそ140キロ前後ながら、打者の手元で下から浮き上がるような勢いが素晴らしかった。内角を厳しく突けるなど、来年のドラフト候補として名前を連ねることになりそうだ。

小松 龍一  (花巻東2年)投手 177/71 右/左
北條 慎治  (花巻東3年)左翼 185/82 右/右
千葉 柚樹  (花巻東3年)二塁 181/75 右/右
佐々木麟太郎(花巻東3年)一塁 184/113 右/左

松成 乃馳(宇部鴻城2年)投手 180/78 右/右

2023年夏 甲子園レポート3


大会二日目第二試合 履正社 VS 鳥取商

履正社の先発・増田 壮(3年)左腕は、球速こそ135キロ前後と驚くほどのものはなかったものの、安定した制球力と洗練されたマウンドさばきで、試合をしっかり作って魅せた。変化球は、カーブ・スライダーを交えてカウントを整えるつつ、追い込むと腕の振りの良さを生かしたチェンジアップが非常に有効。イメージ的には、飯塚時代の 辛島 航(楽天)を彷彿とさせるような投手で、球威・球速の物足りなさをどう評価するか? 左腕だけに、制球力やマウンドさばきを重視する向きもあるかもしれない。今後の進路はよくわからないが、評価的には本会議の指名はボーダーレベルぐらいではないのだろうか? 大学や社会人に行って、数年後でもう少し高い順位での指名を狙うというのが、常識的な判断にはなりそうだが。またタレント揃いのチームの中でも、打撃能力の高さも光っていた。

2番手では、注目の 福田 幸之介(3年)左腕が登場。しかし、制球が定まらず悪いところが顔を覗かせた登板となった。変化球も抜け気味で苦しかったが、球威やボールの勢いは目をひくものがある。ボールの力という意味では、今年の高校球界でもトップクラスの左腕であるが、今日の内容だと好い印象は持てない。それだけに、今後の登板で何処まで評価を取り返すことができるか? できれば次回は、もう少し長いイニングをみて評価を定めて行きたい。プロ志望届を提出するようならば、何かしらの形では指名される存在ではあるように思える。

最後に登板した 高木 大希(2年)右腕は、上背こそないものの指にかかった145キロ前後の真っ直ぐの質は素晴らしかった。変化球レベルや総合力といった部分ではわからない部分もあったが、来年に向けて楽しみな存在ではあるように思える。広陵時代の 河野 佳(大阪ガス-広島)を彷彿とさせる投手だった。

野手では、森田 大翔(3年)三塁手が第一打席からインハイの真っ直ぐを見事にレフトスタンドに叩き込み強烈なアピール。また三塁手としても、動きの良さを魅せていた。その一方で、その他の打席を観ていると、タイミングをとるのに苦労するなど、その点は気になった材料。もう少し他の試合もみて、評価を固めて行きたい。

その他では、一番の 西 稜太(3年)中堅手は、三拍子揃った好選手。ただし、少し膝に固いところがあり、低めに沈む球を引っ掛けるところが気になった。選抜でも注目された 坂根 葉矢斗(3年)捕手は、県大会同様に怪我の影響で代打での出場に留まり残念だった。何処かの機会に、マスクをかぶる機会は出てくるのだろうか? 元来の力を示せれば、高校からのプロ入りをも狙える力の持ち主だけに。

一方の鳥取商は、際立つタレントがいるチームではなかった。そんな中、2番手で登板した 山下 佳佑(3年)右腕の、サイドから繰り出す腕の振りの柔らかさが目をひいた。球速こそ際立つものはないものの、キレのある球は球速以上。スライダー・シンカーなどを織り交ぜ、潮崎哲也(元西武)を彷彿とさせる投手だった。球速が伴ってくると、なかなか厄介な存在になるのではないのだろうか。

増田 壮  (履正社3年)投手 170/71 左/左
福田幸之介(履正社3年)投手 180/77 左/左
高木 大希(履正社2年)投手  172/70 右/左
森田 大翔(履正社3年)三塁  179/70 右/右
西 稜太 (履正社3年)中堅 173/74 左/左
坂根葉矢斗(履正社3年)捕手 171/90 右/右

山下 佳佑(鳥取商3年)投手 171/68 右/右

大会二日目第三試合 英明 VS 智弁学園

奈良大会で4本塁打を放って注目された 松本 大輝 (智弁学園3年)右翼手は、好い形で2打席外野フライを放ったものの、風の影響もあり結果に結びつかなかった。打席での雰囲気・ボールを捉えるセンスは悪くなく、ライトからの返球も強くて、ドラフト候補としての片鱗は感じられる。走力含めてわからない部分もあったので、2回戦以降に評価は持ち越しとなった。

また英明の方では、寿賀 弘都(3年)中堅&投手が注目。堂々とした体格から、内角の厳しい球をさばくなど強打者の片鱗が垣間見られた。また投手としても再三マウンドに上がるなど、左投手の球速の出にくい甲子園のガンでも140キロ前後を記録し、スライダーとのコンビネーションを魅せていた。イメージ的には、岩瀬 仁紀(元中日)タイプのサウスポーだろうか。本人は投手としてプロ志望を希望しているが、実際指名があるのかはボーダー的な位置づけとみている。将来性では野手のほうがあるように見えたが、強打者タイプで走力は左打席から 4.3~4.4秒ぐらいとあまり期待できそうに無かったのは気になる。投手に専念してトレーニングを積めば、まだまだ良くなるのかもしれない。

また県大会では背番号6を付けながらマウンドに上っていた 中山 優月(智弁学園3年)右腕は、甲子園ではエースナンバーを付けて登場。オーソドックなフォームから繰り出す140キロ前後の真っ直ぐを低めやコースに決まることが多く、スライダーとのコンビネーションで存在感を示した。打撃でも流し打ちでヒットを連発したが、将来的には投手に専念したら、どのぐらいのレベルにまで行くのか観てみたいところ。どちらの適正を見極めるといった意味では、大学などでの4年間で見えてくるのかもしれない。

松本 大輝(智弁学園3年)右翼 181/90 右/左
中山 優月(智弁学園3年)投手 176/73 右/左

寿賀 弘都(英明3年)中堅&投手 180/80 左/左

大会二日目の感想と三日目の注目選手

 

大会二日目の感想と三日目の注目選手 の動画をUPしました。

2023年夏 甲子園レポート2


大会初日第三試合 浦和学院 VS 仙台育英

仙台育英の先発・湯田 統真(3年)右腕は、仙台育英が誇る150キロトリオの中でも、この夏に最も伸びた投手。立ち上がりから140キロ台中盤の重い球を投げ込み、明らかに選抜の時とはボールの強さが変わってきた。最速では150キロを記録し、140キロ台後半の球速が何度も見られるなど、スピードという意味ではここまで登場した投手では図抜けている。またスライダーの切れ・チェンジアップの落差もあり、序盤戦は浦和学院の選手達が面白いように低めの変化球を空振りしてくれた。しかし、中盤になると見極められるようになり、ゾーンを上げてきた打線に捕まり4回で降板することに。浦和学院の打線を褒めるべきなのか? 合わされやすさがあるのか? 今のところ進学が基本線の選手のようだが、この夏の仙台育英の命運を握っている投手だと言えよう。

2番手では、エースナンバーを付けた 高橋 煌稀(3年)右腕が登場。代わりっぱなから、低め膝下に集められる制球力は確か。球速も140キロ台中盤を記録し、変化球も一通り持っており安定感は健在。しかし、合わされやすいフォームなのか? 好いところに投げても浦和学院の打線に捕まり失点を重ねた。この辺が以前から高卒プロとは感じられない部分で、素材としての浅さを感じる。彼自身は進学を志望だということで、有力大学へ進んで4年後の上位指名を目指して欲しい。

また最終回には、仁田 陽翔(3年)左腕が登場。こちらはキレのある140キロ台中盤の真っ直ぐを投げたりとボールの走りは悪くなかったが、浦和学院の打者達に苦になく合わせていたところは気になった。僅か1イニングの登板ということでわからないところもあったが、実戦力という意味ではまだまだ課題は多そう。三羽烏の中でも唯一のプロ志望だと言われており、左腕だけに順位にこだわらなければ本会議中には指名されるのではないかとみている。もう少し他の試合でもアピールして、プロ入りを手繰り寄せたい。

野手では、同じくプロ志望の 山田 脩也(3年)遊撃手。春は主将という立場や二番打者という役割からも、フォア・ザ・チームのため自己犠牲を優先しすぎた感じだった。しかしこの夏は、打てるところは狙ってゆくという欲が感じられるようになってきた。独特のハンドリングを生かしたバッティングでの能力の高さも感じられ、打席ではあっさりとは仕留められないしぶとさもある。ショートとしても洗練された動きを魅せており、絶対的なものはないものの高いレベルでまとまっている。肩や走力などの身体能力も高く、主将という重責が無くなり伸び伸びプレーに集中できるようになれば、こんなにも高い能力が高かったのか?とプロ入り後に驚かされるタイプかもしれない。右打ちのショートということで、本会議中には指名されるのではないかとみている。

他にも、逆らわない打撃と三拍子揃った1番打者の 橋本 航河(3年)中堅手や、攻守に高いレベルで完成されている 尾形 樹人(3年)捕手などは、大学での活躍が期待される好選手だった。

浦和学院では、1年生ながら4番に座っていた 西田 瞬(1年)一塁手の打撃が光った。湯田・高橋の3年生相手でもボールが見えていて、腰の座った構えから鋭い打球を連発。最終学年には、どのぐらいの打者に育っているのか楽しみな大器。あとは、もう少し体が大きくなって、三塁あたりを担えるようになると面白い。また喜屋武 夢咲(3年)右翼手などの、大学のレベルでも比較的早く順応できそうな、高いレベルを誇っていた。

湯田 統真(仙台育英3年)投手 181/83 右/左
高橋 煌稀(仙台育英3年)投手 183/85 右/右
仁田 陽翔(仙台育英3年)投手 175/74 左/左
山田 脩也(仙台育英3年)遊撃 177/71 右/右
橋本 航河(仙台育英3年)中堅 172/69 左/左
尾形 樹人(仙台育英3年)捕手 181/83 右/左

西田 瞬  (浦和学院1年)一塁 173/77 右/右
喜屋武夢咲(浦和学院3年)右翼 175/74 左/左

大会二日目第一試合 川之江 VS 高知中央

高知中央の核弾頭・謝 喬恩(2年)左翼手は、台湾からの留学生。右に左へと打ち返す対応力の高さが魅力。打撃能力は、同校の中でも下級生ながら頭ひとつ抜けた存在。またリリーフで登板した 藤田 一秀(3年)投手は、オーソドックスフォームのサウスポー。左投手の球速の出にくい甲子園のスピードガンでも139キロを記録するなど、真っ直ぐの勢いには見るべきものがあった。次戦以降に、もっと長いイニングを観てみたい。

川之江では、一番を打つ 奥村 大翔(3年)三塁手の打撃が光った。合わせるのが上手い謝選手に比べると、こちらは、右に左へと強くはじき返すタイプ。三塁の守備は、テイクバックが小さめで送球の精度という意味では不安を残したが、動き自体は悪くなかった。

謝  喬恩(高知中央2年)左翼 172/70 右/右
藤田 一秀(高知中央3年)投手 178/72 左/左

奥村 大翔(川之江3年)三塁 172/74 右/右

大会初日の感想と二日目の注目選手



大会初日の感想と二日目の注目選手 の動画をUPしました。

2023年夏 甲子園レポート1


大会初日第一試合・土浦日大 VS 上田西

高校NO.1ショートの呼び声高かった 横山 聖哉(上田西3年)遊撃手は、5打数1安打の結果に終わり、期待ほどのアピールはできずに甲子園を去った。甲子園の雰囲気になれなかったのか? 甘い球を打ち損じるなど元来の力を発揮できず。それでも4打席目には、鋭くセンター前にはじき返して魅せた。確かに、一度上げた足をベース側につま先立ちしてから小さくステップする打ち方で、「間」がと作り難かったりするので、けして確実性の高い打ち方ではない。それでも、スイングの孤の大きさからくるスケールの大きな打撃に、打球の鋭さには大物感が漂っていた。

むしろショートの守備では、捕ってから素早い送球に目を惹くものががあり、180センチ台の大型選手でも動きに緩慢さがないところは好いところ。動き自体はプロでもショートを担って行けそうなものを感じさせたが、時々送球が横から出てくるなどするので、プロでショートを任されるか? 任されるにしても修正を徹底されるのではないかと考えられる。

そのへんで、プロでショートが担えると評価する球団ならば3位前後、身体能力を生かしたサードや外野手あたりの人材と捉えるのであれば、そこまで打撃が突出しているわけではないので、4位前後ぐらいの評価になるのではないかと。そういった意味では、球団によって評価は別れるのではないかと考えられる。いずれにしても、今年のショートの人材としては、最上位クラスの評価で指名されそうだ。

上田西では、先発の 権田 成也(3年)右腕が、MAXで143キロを記録。ほとんどの球は130キロ台だったものの、強力なチェンジアップの沈みがあり、この球を活かせるような投球に勢いが出てくることを面白そう。

一方の土浦日大では、注目の 小森 勇凜(3年)投手の登板がないまま終了。タイブレークに絡む展開でも登板して来なかったところをみると、かなり状態が良くないことが察しられる。次戦以降の登板があるのか、気にしてみたいところだ。

春季大会では140キロ台も記録していた 藤本 士生(3年)左腕が、夏はエースナンバーを付けて先発のマウンドに。球速は130キロ台中盤ぐらいだったが、春の勢いのあるリリーフとは違い、安定した制球力とマウンドさばきで試合を作って魅せた。大学などでも、重宝されそうなサウスポー。

野手では、4番・香取 蒼太(3年)中堅手が、試合中盤で交代。チーム屈指の好打者だけに、次戦以降の活躍に期待したい。

横山 聖哉(上田西3年)遊撃 181/82 右/左
権田 成也(上田西3年)投手 178/67 右/左

小森 勇凜(土浦日大3年)投手 183/82 右/右
藤本 士生(土浦日大3年)投手 180/83 左/左
香取 蒼太(土浦日大3年)中堅 176/77 右/右

大会初日第二試合・共栄学園 VS 聖光学院

福島大会で打率.615厘と目立っていた 高中 一樹(聖光学院3年)遊撃手が躍動した試合だった。ショートの守備では抜群の動きの良さを魅せ再三の好守を魅せただけでなくはなく、出塁すれば盗塁を決めたり、セーフティバントで揺さぶったりと足でもアピール。一番を目をひいたのは、ボールを芯で捉える能力に長けている点。大学志望という話だが、U-18の代表にでも選出され周りに刺激されたら、その考えも変わってくるかもしれない。ただし、滅法肩が強いとか、そんなにスイングに凄みのあるタイプではないので、大学の4年間で実績を残してからでもという考えもありではないかとは思えてくる。前出の横山のような凄みのある素材というよりも、野球センスに優れた上手いタイプ・良く知っているタイプといった気がする。仮にプロ志望届けを出した場合でも、本会議中で指名されるぐらいの存在感は示していたとは思うのだが。個人的には、守備や走力よりも、ミート力のある打撃の才能を一番推したい。

また 杉山 由朗(聖光学院3年)捕手も好選手だった。左投手のワンバウンドするような変化球を再三ブロックする、ワンバウンド処理の動きの良さはぴかいちだった。信念を持って内角を攻め続けられる強気のリードに、グランドをコントロールできる捕手としてのスキルは非常に高い。3安打放った打撃に特別なものは感じられなかったのと、捕ってから素早く投げようという意識が強すぎて、しっかり型を作ってから送球できないので、球筋が不安定なのは気になった。テンポの良いリードは良かったものの、少しプレーが雑に見えてしまったのは残念。それでも、大学で基礎を大事に磨ければ、将来可能性を持った捕手であるようにみえた。そういったセンスは、今年の高校生でも全国でトップラスではないのだろうか。

他には、4番の 三好 元気(3年)中堅&右翼手は、一塁までの到達タイムが右打席から 4.2秒前後(左打者換算で3.95秒前後に相当)するなど、強打者ながら身体能力を兼ね備えている。右の強打の外野手ということで、今後の試合でもどんな活躍を魅せてくれるのか注視したい。

一方の共栄学園では、1番を打つ 笹本 裕樹(3年)遊撃手の打撃が光っていた。また、下級生ながら130キロ台後半のボールを投げていた 田嶋 勇斗(2年)右腕も、まだ恵まれた体を活かしきれていないところはあるものの、来夏には140キロ台を連発するような存在になっていても不思議ではない可能性を感じさせる素材でした。

高中 一樹(聖光学院3年)遊撃 177/76 右/右
杉山 由朗(聖光学院3年)捕手 177/83 右/左
三好 元気(聖光学院3年)中堅 175/75 右/右

笹本 裕樹(共栄学園3年)遊撃 179/79 右/右
田嶋 勇斗(共栄学園2年)投手 184/82 右/右

23年夏 甲子園初日のドラフト的注目選手



23年夏 甲子園初日のドラフト的注目選手 の動画をUPしました。今回取り上げた選手は、

第一試合 土浦日大 VS 上田西

小森 勇凜(土浦日大)投手 184/84 右/右

横山 聖哉(上田西)遊撃 180/81 右/左

第二試合 共栄学園 VS 聖光学院

高中 一樹(聖光学院)遊撃 177/76 右/右

第三試合 浦和学院 VS 仙台育英

仙台育英の投手陣

山田 脩也(仙台育英)遊撃 177/71 右/右

などです。

23年夏 甲子園で注目したい野手たち



今回取り上げた選手は、こちらの

熊谷 陽輝(北海)一塁兼投手

佐々木 麟太郎(花巻東)一塁

真鍋 慧(広陵)一塁

仲田 侑仁(沖縄尚学)一塁

横山 聖哉(上田西)遊撃

百崎 蒼生(東海大熊本星翔)遊撃

森田 大翔(履正社)三塁

松本 大輝(智弁学園)右翼

です。

23年 甲子園で注目したい投手たち



23年 甲子園で注目したい投手たち の動画を、UPしました。今回取り上げた選手たちは、

仙台育英の3人衆

菅井 颯(日大山形)投手

平野 大地(専大松戸)投手

武内 涼太(星稜)投手

近藤 愛斗(浜松開誠館)投手

福田 幸之介(履正社)投手

森 煌誠(徳島商)投手

黒木 陽琉(神村学園)投手

となっております。


惜しくも甲子園を逃してしまった野手達



惜しくも甲子園を逃してしまった野手達 の動画をUPしました。

今回とりあげた選手は、

小笠原 蒼(京都翔英)一塁&投手

河野 優輝(広島新庄)三塁

辻崎 大成(文徳)中堅手

久保 尊(木本)捕手

金子 晄也(昌平)遊撃

こちらの5人です。

惜しくも甲子園を逃してしまった投手達



惜しくも甲子園を逃してしまった投手達 の動画をUPしました。

前田 悠伍(大阪桐蔭)投手
183/80 左/左

杉原 望来(京都国際)投手
175/70 左/左

坂井 陽翔(滝川第二)投手
186/80 右/右

河内 康介(聖カタリナ学園)投手
180/72 右/右

こちらの4人について、触れてみました。

惜しくも甲子園を逃してしまった逸材達1



惜しくも甲子園を逃してしまった逸材達1 の動画をUPしました。

武田 陸玖(山形中央)投手

174/77 左/左

ハッブス 大起(東北)投手

188/85 右/右

村田 次朗(中央学院)投手

181/80 右/右

明瀬 諒介(鹿児島城西)一塁&投手

について、取り上げてみました。

すでに最後の夏を終えてしまった候補達2 (狭山清陵はまだ敗戦していませんでした、大変失礼しました)



すでに最後の夏を終えてしまった候補達2 (狭山清陵はまだ敗戦していませんでした、大変失礼しました) の動画をUPしました。

すでに最後の夏を終えてしまった候補達



すでに最後の夏を終えてしまった候補達 の動画をUPしました。

7/9(日) この夏に気になった球児達 2



7/9(日) この夏に気になった球児達 2 の動画をUPしました。

7/2までの夏の予選で気になった高校生球児達



7/2までの夏の予選で気になった高校生球児達 についての動画をUPしました。

2023年 平塚合宿(外野手編)

外野手編も内野手編同様に、ドラフト目線で気になった4年生選手をドラフト目線で取り上げてゆきます。そんななか、この合宿の野手で最も目立っていたのは、西川 史健(青学大3年)外野&三塁手の活躍の圧倒的な打力でした。右打ちの強打者で、レフトからの返球も見事。来年の上位候補として、多くの関係者にその存在を知らしめた内容だったのではないのでしょうか。

宮崎 一樹(山梨学院大4年)外野 184/84 右/右 (山梨学院出身)

大型でも、大学ジャパンの中でも屈指の脚力と強肩を誇るフィジカルモンスターです。昨年の秋は、リーグ戦で 5本塁打・打率.600厘の驚異的な成績を残します。今春も、ホームランこそ出ませんでしたが、打率.419厘・9盗塁の記録を残しました。昨秋の松山合宿の時もそうですが、一線級の投手のスピード・コンビネーション対応しきれない部分があり、この辺が技術の未熟さからなのか? 本質的にスピードボールへの反応が劣っているのか? の見極めは難しいです。逆に140キロ前後ぐらいの球であれば、けして脆い選手でもなく畳み掛けてきます。強肩ではあるのですが、打球勘がさほど良くないこと。50メートル走は速いものの、そこまで盗塁技術が高いかは微妙で、技術的には発展途上の素材です。ちなみに、まともに捉えた時の飛距離も圧巻で、そういった選手が不足する今年の外野手戦線を考えると、希少価値の高いです。プロで大成するかは微妙ですが、ドラフトでも3位以内では消えるのではないかとみています。

福島 圭音(白鴎大4年)外野 172/72 右/左 (聖望学園出身)

今春のリーグ戦では、脅威の20盗塁・打率.526厘 と大活躍の春のシーズンでした。しかし、続く大学選手権では、11打数1安打にとどまり、全国レベルの投手に対する対応に課題を残した形です。また合宿を観ていて気になったのは、50メートル走のタイムが平凡だったのと、一塁までの到達タイムも4.05秒前後(左打席から)と、そこまで圧倒的な脚力ではなかったこと。実際のところ、リーグ戦での成績や実戦でのスピード感からすれば、こんなものではないだろうという思いは残ります。打撃も結果は出ずに物足りなさも残したのですが、根本的な当て勘は悪く有りません。このへんは、経験を積むうちに改善もできるのかなと。あとは、中堅手としての、守備・足がこの手のタイプにしては平凡なのかな?といった部分。走塁という一芸はあるので、育成あたりで指名してくる球団があっても不思議ではないのですが。

天井 一輝(亜細亜大4年)外野 177/79 右/左 (広島商出身)

今春のリーグ戦では、打率.280厘・3盗塁と平凡な成績に終わります。また、過去には3割5分を超えるようなハイアベレージはなく、7盗塁というのがキャリアハイで爆発的な成績を残したことはありません。しかし、スイングの鋭さ・打球の速さなど、下級生の時から何か惹かれるものがありました。この合宿でも、鋭い当たりを連発し代表メンバーに選出されました。守備でも、常に次のプレーを想定した形で守れているので、送球なども実に正確で強いです。そういった実戦的なプレーができるのがこの選手の魅力で、意識の高さを感じます。そういった意味では、高いレベルの野球への順応も速そうで、プロに混ぜたらアマでの実績以上に活躍して行ける、そういった選手ではないかと。高校時代から良い選手だなとみていましたが、プロでもイケるという確信的なものを今回の合宿で実感しました。そういった意味では、この合宿での一番の収穫だったと言えるでしょう。ドラフト的には下位指名ぐらいだと思いますが、そのぐらいで獲得できたら美味しいタイプなのではないかと。

中島 大輔(青山学院大4年)外野 180/78 右/左 (龍谷大平安出身)

今春のリーグ戦では、.打率.333厘・5盗塁を記録し、日本一に貢献した好打者です。これまでドラフト目線で見たことはなかったのですが、合宿でも巧打者ぶりと積極的な走塁が光りました。何よりこの選手の魅力は、しぶとさにあるように思えます。守備力・走力含めて絶対的なものがあるのかと言われるとよくわからない部分もあるのですが、打席では何かしらの粘りなり爪痕を残すという意味では、好きなスカウトは好きなタイプかもしれません。イメージ的には社会人といった感じで見ていたのですが、ジャパンでの活躍・秋のリーグ戦の内容に注視して見極めて行きたいところです。

2023年 平塚合宿(内野手編)

内野手編に関しては、気になった4年生から何人かピックアップして取り上げたいと思います。

廣瀬 隆太(慶應義塾大4年)二塁 182/91 右/右 (慶應義塾高出身)

この春は、15試合に出場し5本塁打を放ちながらも、打率.192厘と粗さは解消できず。今回の平塚合宿でもその辺は変わっていないといった感じ。昨秋の松山合宿で、冨士隼斗(平成国際大)の150キロ級の速球をスタンドにぶち込んでいたように、やはり真っ直ぐには滅法強そうだということ。この腕っぷしの強さとパワーは、日本人離れしています。イメージ的には、鵜飼航丞(駒大-中日2位)に近い感じ。今春の一番の変化は、セカンドの守備が上手くなってきている点。特に身体能力は高いので、逆シングルの当たりでもアウトにできるプレーが目立ちます。プロでもセカンドでイケると判断する球団があれば、ハズレ1位から2位の間では消えるのではないかといった気がします。50メートル走では平凡タイムでしたが、広瀬の走力は右打席から4.05秒前後(3.8秒前後に相当)で走り抜ける走力があります。

上田 希由翔(明治大4年)三塁 183/93 右/左 (愛産大三河出身)

この春のリーグ戦では、12試合 3本 12点 打率.372厘 と、相変わらずの安定感を魅せました。広瀬のような長距離砲というよりは、確実性と勝負強さを兼ね備え、中距離・ポイントゲッタータイプといった感じです。そのためプロでは、15本~20本タイプかなといった感じで、そのかわり失敗はイメージし難いところをどうみるか? 今回の合宿でも、上手く流してヒットを放つ場面がありました。その一方で今回気になったのは、三塁の守備が思ったよりも上手くなく、左翼の守備は危なっかしい感じでした。プロのサードでも厳しいとなってくると、一塁&左翼候補としては、どうなのか? 中途半端な位置づけにチームでなってしまう恐れもあります。個人的には、3位前後のゾーンでみたいなといった感じで、あまり入れ込んで上位で指名するのにはパンチ不足の印象もあります。そのへんは、需要面や球団によっても評価が別れるかもしれません。

辻本 倫太郎(仙台大4年)遊撃 168/73 右/右 (北海出身)

この春の充実ぶりで、大学・社会人ではNO.1遊撃手という位置づけであるように思えます。大学選手権でも打率.333厘をマークしているように、高いレベルの相手でも結果を残せるのも魅力。小柄ですが、パンチの効いた打撃で合宿でも目立っていました。守備の動きの良さも健在で、それ以上に周りに細かく指示を出せたり、ポジションニング含めて独特の動きのショートを魅せます。昨年の 友杉 篤輝(天理大ーロッテ2位)あたりと比べると、走力と守備力では友杉の方が分があるように思えますが、こと打撃に関しては 友杉 よりも、早く上のレベルに順応できそうといった感じがしました。その友杉でも、28試合ながら、ここまで.266厘 と一軍でやれていることを考えると、一年目から一軍に混ざってやって行けるかもしれません。ただし、体格・身体能力含めてそこまでのスケールがないだけに、元来は3位前後ぐらいが基本線なのかなと。それを、需要面で何処まで引き上げられるか? むしろ高卒組でスケールの備わった選手が浮上してくると、そちらの方が優先されて指名されそうです。

熊田 任洋(早稲田大4年)内野 174/76 右/左 (東邦出身)

高校時代から全国区の選手で、大学でも1年秋からレギュラーとして実績を重ねてきた選手です。今春のリーグ戦でも、打率.341厘 2本 13点 2盗 といった安定した内容。プロのショートとしては微妙な守備力ですが、このメンバーに混ざっても、さすがに洗練されているなといった感じがし動きは目立っていました。内野のユーティリティプレーヤーとして、チームの層を厚くしたいといった球団には、中位~下位で混ぜるならば面白い存在だと思います。ただし、本人が上位でないとプロにゆかないとなると、指名が流れる可能性があります。独特の感性を持った選手で、プロに混ぜれば中途半端になるというよりも、思いのほか異彩を放つかもしれません。現状は5位前後ぐらいが基本線とみていますが、それでもプロ入りの意志があるかどうかでしょうか? 下の順位で獲れるならばお得感がある選手で、打撃は早くからプロのレベルに順応できそうな技術・能力がありそうです。

2023年 平塚合宿(捕手編)


進藤 勇也(上武大4年)捕手 182/90 右/右 (筑陽学園出身)

ライト前に一本ヒットがありましたが、代表経験も豊富で最初から内定しているような感じでした。今春のリーグ戦は、後半戦の3試合の出場にとどまり、大学選手権出場を逃しました。攻守に高いレベルでまとまっているのが特徴ですが、何かプロということを想定すると、突出した特徴があるといった感じはしません。それでもここ5年ぐらいの大学生捕手では、一番の大物ではあるように思えます。そういった意味では、どうしても捕手補強を最重要課題とかかげる球団があれば1位指名もありうるとは思うものの、なかなか大学生捕手が1位になることは稀。人材な豊富な今年の場合、2位などにまわる可能性は十分あるのではないかと考えます。すでに、かなりレベルまで来ている選手なので、一年目から一軍に混ざって行ける、そういった力はありそうです。

萩原 義輝(流通経済大4年)捕手 180/85 右/左 (東海大相模出身)

ドラフト目線では、大学生捕手で進藤に次ぐのは、この萩原だとみていました。この春は、11試合に出場し、打率.333厘 と悪くはありません。しかし昨年の春は、.410厘で大学選手権でもホームランを放っていたのに比べると、やや地味なシーズンだったと言えます。今回観ていて気になったのは、攻守にトップレベルに混ぜると物足りなく映った点。捕殺する場面もありましたが、イニング間送球などをみると、肩は並ぐらいに見えました。打撃は、次から次へと出てくるトップクラスの投手に対応しきれない印象で、中位ぐらいで行けるかなとシーズン前は思っていたものの、社会人などに進むことになるかもしれません。現場は、下位~育成ぐらいとみています。

宮崎 恭輔(慶應義塾大4年)捕手 182/90 右/右 (国学院久我山出身)

高校時代から強打の捕手として注目されていた選手、この春にオープン戦で見た時にも気になる存在でした。春のリーグ戦では、15試合に出場し、打率.327厘 。特に送球やディフェンスに特別ものは感じられないものの、打力を活かして代打を想定しての代表選出だったのではないのでしょうか。大学からプロというよりは、有力な社会人チームに進みそうです。

友田 佑卓(日本大4年)捕手 173/76 右/左 (九州学院出身)

宮崎が打撃型の代表格ならば、ディフェンス型の代表格が彼だと思います。ハマった時の送球は、この選手が一番であるように思います。ディフェンスセンスは光るのですが、この春のリーグ戦では 打率.194厘 と、打撃ではアピールできず。進藤・有馬と攻守にバランスのとれた捕手を選出したので、三人目は代打での起用も想定できる宮崎が優先された形です。個人的にはインテリジェンスも感じられ好みの捕手なのですが、プロというよりも社会人などに進むことになるのではないのでしょうか。

有馬 諒(関西大4年)捕手 181/83 右/右 (近江出身)

近江時代は、世代屈指の捕手として注目されましたが進学を選択。1年春からリーグ戦でレギュラーを守るものの、やや伸び悩んでいるのかなといった印象を受けてました。今春は、4番・捕手として出場し、打率.273厘と彼にしては地味な成績に終わります。しかし秋に調子の悪かった送球は復調気味で、強肩ぶりも回復。打撃でも、討ち取られている打席でも、バットの芯で捉えていることが多く、内容には観るべきものがありました。やはり、進藤に次ぐ捕手はこの選手だと改めて実感。本人の意向はわかりませんが、経験・実績十分で、2年目ぐらいには一軍でのプレーも意識できるかもしれません。打撃の潜在能力に関しては、この有馬の方が上かもしれません。プロ志望であるならば、中位ゾーン(3位~5位)ぐらいでの指名も意識できるようにも思います。個人的には、この合宿で萩原との位置づけが逆転致しました。

2023年 平塚合宿投手編レポート4

今回は、下級生の投手は取り上げないことをご了承くださいませ。

武内 夏暉(国学院大4年)投手 185/90 左/左 (八幡南出身)

今までは軟投派のイメージが強いサウスポーでしたが、最終学年になり真っ直ぐで押せる力強さが身についてきました。この春のリーグ戦では、4勝0敗 防 0.68(3位)の好成績。この日もコンスタントに140キロ台を超える真っ直ぐを投げ込んできており、マイガンでは90マイル・145キロを記録。カーブ・スライダー、それに右打者外角低めに切れ込むツーシームが非常に有効でした。このツーシームで引っ掛けさせるのが持ち味だと思いますが、そこで仕留めきれないとやや苦しくなります。またリーグ戦でも良い日と悪い日のムラが結構あり、投球のまとまりと違いデキに差があるのは気になります。それでもドラフト的には、ハズレ1位~2位以内では消えそうな感じで、現状は 細野(東洋大)投手に次ぐ大学生左腕だと評価している球団も多いのではないのでしょうか。

北畑 玲央(東北福祉大4年)投手 173/73 右/右 (佐久長聖出身)

人材揃う東北福祉大から招集されたのは、この投手でした。今春は、4勝1敗 防 0.89 と安定した内容。右のスリークォーターから、マイガンで最速91マイル・146キロを記録。カット・スライダー・カーブ・チェンジアップなどを織り交ぜていました。緊張からかボールが上吊り、甘く入ってきた球を狙い打たれた形で、持ち味を発揮できなかったのではないかと考えられます。元来は、馬力のある投球で、プロなら中継ぎ向きの投手のように思います。現状は、大卒プロというよりも、有力な社会人に進む選手ではないかとみています。

西舘 昂汰(専修大4年)投手 188/92 右/右 (筑陽学園出身)

筑陽学園時代は、進藤勇也(上武大)捕手とバッテリーを組んでおり、春季九州大会などで見た記憶がありました。この日の最速は、マイガンで93マイル・150キロをマークするなど、厚みのあるボールの威力はさすがです。大きな曲がりをするスライダーに、ツーシームだかチェンジアップ系の球を織り交ぜてきます。特に四死球が多いとかそういった危うさはないのですが、ボールの威力の割に失点してしまうケースをよく目にします。高校時代から、投球の強弱を付けるとか、間を活かしてとか、そういった投球術に欠けるところがあります。そのため現状は、東都二部でも勝ち味が遅い印象。一時は、チームが3部との入れ替え戦の可能性まで残していました。現状は即戦力というよりも、数年ファームに漬け込んで才能の開花を促すといった形になりそうです。ドラフトとしては、4位前後ぐらいが目安になるのではないかとみています。ちょっと直せば良くなるという目処が立っている球団ならば、さらに上のゾーンでの獲得を狙ってくる球団も出てくるかもしれませんが。

蒔田 稔(明治大4年)投手 178/83 右/右 (九州学院出身)

リーグ戦では、チームメイトの村田賢一よりもスピードのある印象で、140キロ台中盤の速球を投げ込んできます。この日も、マイガンで92マイル・148キロを記録。カーブ・スライダー・チェンジアップなどを織り交ぜ、使い勝手の良いタイプといった気がします。この春は村田の陰に隠れがちでしたが、防 1.08 と安定。スケールで魅了するタイプではないのですが、試合を壊さないまとまりもあり、大学ジャパンのメンバーに選出されました。これまでの村田同様に、リーグ戦を見ているとプロという匂いはして来ないのですが、混ぜてみたら意外にやれる、そういったお得感があるタイプなのかもしれません。

岩井 俊介(名城大4年)投手 182/90 右/右 (京都翔英出身)

この春は、チームメイトの 松本 凌人 が不調の中、チームを支える存在でした。球速的には、篠木検太郎(法政大)に次ぐぐらいで、マイガンでも93マイル・150キロ台を連発。この真っ直ぐに横滑りする大きなスライダー・フォーク・チェンジアップ系の沈む球も投げ、一つ一つのボールの威力は目立っていました。かなりボールにバラツキがあったり、合わされやすそうなフォームである部分は気になったものの、ボールの勢いで代表入りを決定づけたように思えます。上位指名となるとまだ怖いなといった印象ですが、3位前後ゾーンぐらいで、国際試合や秋のリーグ戦の内容をみて判断して行きたいと思います。この選手も、今後のアピール次第では、さらに上のゾーンの評価になって行ける可能性を秘めています。

2023年 平塚合宿投手編レポート3


下村 海翔(青山学院大4年)投手 174/73 右/右 (九州国際大付出身)

春のリーグ戦では、3勝0敗 防 0.85(2位) と、チームメイトの  常廣 羽也斗 よりも充実した内容を魅せていました。大学選手権では、常廣が状態を上げてきた一方で、下村はやや一辺倒なところと合わされやすさを露呈した部分がありました。大学選手権を終えた直後でしたが、力投派の下村にとっては得意な舞台。平塚のガンでは150キロを記録し、マイガンでも91マイル・146キロに到達し、ボールの威力はさすがでした。下村の良さは、これだけの力投派でありながら、ボールを両サイドや低めに決められるところ。大きく横滑りするスライダーに、カーブで緩急を利かせつつ、チェンジアップだかフォーク系の球を織り交ぜてきます。素材としての奥行きはあまり感じられませんが、ハートの強い選手でガンガン押してくるタイプ。その勢いで、追加招集ながら代表メンバーに選出されました。ドラフトでは、2位前後あたりのゾーンでの指名が期待されます。また、比較的完成されている部分もあり、ある程度即戦力として一年目から期待できそうなタイプです。

西舘 勇陽(中央大4年)投手 185/79 右/右 (花巻東出身)

有力な1位候補として迎えた今春でしたが、序盤戦はなかなか勝てずに苦しみました。シーズン終盤になって、調子を上げての終了となりました。そのため今シーズンは、2勝4敗 防 3.43(9位) と、平凡な成績でした。ボールにバラツキは感じられたものの、平塚での登板では92マイル・148キロを記録。真っすぐの勢い・威力はさすがといった感じで、ゆるいカーブやスライダー系の球を織り交ぜます。制球の粗さトさや一辺倒なところがあり、プロとなると先発よりリリーフタイプといった感じがします。好調時には150キロ台中盤を叩き出せるポテンシャルは、今年の候補の中でも冨士(平成国際大)と、この西館ということになります。1位指名となると微妙ですが、数年後にはクローザークラスへの成長を期待もできる選手で、上位指名される公算は高いです。けして、何処か痛かったというよりは、変則フォーム故に狂いを修正しきれなかったといった春でした。

古謝 樹(桐蔭横浜大4年)投手 181/75 左/左 (湘南学院出身)

リーグ戦で生で見たときは、足場も悪く140キロ台前半ぐらいでした。しかし、大学選手権、あるいは今回の平塚ガンでも150キロを超える球速を魅せていました。マイガンでも90マイル・145キロを記録し、確かに真っ直ぐで押せるボールの威力は、左腕でも目立つものがあります。変化球は、スライダー・カーブ・チェンジアップなど、特にスライダーでの三振が目立ちます。本当の制球力がないので、時々甘く入った球を打たれるケースがみられます。まとまっていそうで、結構アバウトなところがあり、その辺をボールの勢いで見落としがちになりますが注意したいところです。現状の充実ぶりから、上位指名も期待される存在ですが、もう少し今後もどうなのか見極めたいところです。個人的には、3位前後ぐらいの選手だとみています。しかし、左腕で150キロ投げるということで、2位以内での指名があっても不思議ではない状況になってきました。日本代表メンバーにも選ばれて、国際大会でどのような投球を魅せるのか注目されます。

常廣 羽也斗(青山学院大4年)投手 180/73 右/右 (大分舞鶴出身)

開幕前から有力な1位候補と目されていたものの、春のリーグ戦では途中で離脱したりして、3勝0敗 防 1.44(5位)と絶対的な内容ではありませんでした。しかし、続く大学選手権で調子をピークに持ってくることに成功。そこでの好投で、1位指名を大きく引き寄せた形です。大学選手権の決勝登板から日が間もないということで、92マイル・148キロぐらいは出ていたものの、やや状態は下がり気味。それでも、カーブ・チェンジアップ・フォークなどを織り交ぜ、バランスのとれたところを魅せていました。唯一、今回の選出メンバーの中で、1イニングのみの登板で終えそのまま代表入りを決めました。昨年まではリリーフでしたが、元来投球センスのある先発タイプ。恐らく国際試合でも、チームの先発を託されることになるのではないのでしょうか。イメージ的には、森下暢仁(明大-広島)のときを彷彿とさせます。本当の意味での体の強さ・体力という意味で不安があるので、投球の完成度・総合力は二桁を意識できるものがあると評価しますが、それが実現できるのかは秋をみて判断したいところです。それでも、有力な1位候補であるのは疑いようがありませんが。

滝田 一希(星槎道都大4年)投手 183/77 左/左 (寿都出身)

地方リーグ屈指のサウスポーといった位置づけで、3勝0敗 防 1.40 という好成績で全国大会に駒を進めてきました。上下動の激しいフォームで、制球にバラツキが激しいところは気になります。この日は91マイル・146キロぐらいでしたが、真っすぐの強さという意味では目立っていました。変化球もスライダー・チェンジアップの曲がりも鋭く、特に大きな変化をするチェンジアップに特徴があります。ただし、この球が110キロ台と極めて球速が遅く、真っ直ぐと見分けがつかないというわけではないので、長い目でみると慣れられてしまう恐れはあるのかなといった気がします。そういった部分と制球の危うさを考えると、1位で指名するのにはちょっと怖いかなと思える部分はあります。それでも左腕であることを考えると、ハズレ1位~2位の間ぐらいでは指名されるのではないかと感じました。イメージ的には、濱口遥大(神奈川大-DeNA1位)と、重なるものがあります。

2023年 平塚合宿投手編レポート2


村田 賢一(明治大4年)投手 181/90 右/右 (春日部共栄出身)

普段のリーグ戦だと、140キロ前後ぐらいで制球力や投球術で抑えている好投手といったイメージのする選手です。そのため、実績の割にドラフト候補の匂いがしてこない選手で、有力社会人チームに進むのかなといった感じでした。しかし、この日はボールの勢いや球威が全然違い、平塚のガンでは150キロを記録し、マイガンでも91マイル(146キロ)のボールは実に見栄えがしました。それでいて両サイドに投げ分けるコントロールや、スライダーやツーシームの精度も損なわれないといった内容。特にツーシームが有効で、この球でひっかけさせるのが最大の持ち味。この投球が安定して出せるようならば、2位の間には消える、あるいは一年目から即戦力としての期待を抱きたくなるような内容でした。あらためて、今後の国際試合や秋のリーグ戦でも注視したいところです。今合宿での最大の収穫は、この村田投手の印象が全然変わったことにあったといえるでしょう。

冨士 隼斗(平成国際大4年)投手 181/85 右/右 (大宮東出身)

逆に昨秋の松山合宿では、常時150キロ台~中盤を投げ込んでいたアマ屈指剛腕だったはずの富士投手。しかし、この合宿では140キロ前後・マイガンでは89マイル・143キロにとどまりました。両サイドに散らしながら、スライダーやフォーク系の球を織り交ぜるなど、丁寧に投げているなといった印象です。この春のリーグ戦では力と技の融合が素晴らしかったのですが、この合宿ではそれほど細かいことができるわけではないわりに、大人しくなってしまったなとマイナスな印象に。ただし、持っているスピード能力は、今年のアマチュア球界でも屈指のものがあるはずですし、リーグ戦ではただの速いだけの投手でもないところも見せてくれていました。そういった意味では、即戦力とは言えないまでも、数年後が楽しみな大器であるのは間違いありません。課題は、自分のペースで見下ろして投げるときには素晴らしいものの、相手レベルが上がって思い通りに投げられないときにでも、いかに試合を形作られるかではないのでしょうか。そこができるようになれば、上位候補の器だと思います。

上田 大河(大阪商業大4年)投手 182/86 右/右 (大商大高出身)

特に何が悪いということはないのですが、プロを想定したり大学トップレベルの選手と並べると、あまり突出したものがないなというのが、以前から感じていた部分でした。この日も最速90マイル(145キロ)の真っすぐに、カット・スライダー・スライダー・フォークなどを織り交ぜ、打者の外角中心に集めていました。大学選手権の時に良いなと思ったのが、真っすぐと見分けの難しいカットボールの存在。この球は、プロでも通用しそう。総合力は高いものの、何か勝ち味に遅そうなタイプにみえ、より高いものが求められる国際試合で、どんなピッチングを見せてくれるのか気になります。ドラフト的には、2位ぐらいまでには消えるとは思うのですが、1位指名に選ばれるような、何かあか抜けたところを見てみたい気がします。

木村 仁(九州共立大4年)投手 181/88 右/右 (北九州出身)

この春がどんなものだったのか確認できていなかったので、ここで見られたのは良かったです。球速は、平塚のガンで150キロ・マイガンでも91マイル・146キロを記録するなど、ボールの威力はまずまず。変化球もスライダー・チェンジアップだかフォーク系の球も有効で、打者の内角なども厳しく突けていました。プロでは、まずはボールの威力を生かして、リリーフから入ってゆくタイプかなと思っています。現状3位前後ぐらいの評価だとみていますが、国際試合などでの活躍次第では上位候補に位置づけられるかもしれません。個人的には、もう少し別の試合もみて判断してゆきたいところです。

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