三好 匠(福岡・九州国際大附)投手
2011/09/02|Category:観戦記
三好 匠(福岡・九州国際大附)投手 173/75 右/右
「内野手として育ててみたい!」
1年夏に初めてみた時は、左翼手としてだった。その後、チームを支えるために投手に専念。しかし彼のプレーを見る限り、やはり野手なのだろうなと思ってみてきた。そこで今回は、三好 匠 の、野手としての可能性について考えてみたい。
(守備・走塁面)
投手の時に魅せる抜群の野球センスは、野手としても活きるはず。フィールディングの身のこなし、牽制のキレあるターンなどをみていると、外野手としてではなく二遊間を任したくなるセンスの持ち主。
この夏は、投手としてマウンドに上がらないときは、三塁手として出場。身のこなしも軽快で、打球への反応も好かった。特にボールに食らいついて行こうとする執念は、守備でも感じ取ることができる。勿論投手として140キロ台を叩き込める強肩は、一級品だ。二遊間が務めるほどのスピード感、柔らかさを感じるかは微妙だが、打球への反応、身体能力の観点から見ると、本格的に鍛えれば面白いのではないかと評価する。
一塁までの塁間は、4.4秒前後。左打者に換算すれば、4.1秒前後に相当する。通常塁間の目安となるのは、
3.9秒弱 プロで足を売りに出来るレベル
4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類
4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム
4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える
となる。上記の数字は、左打者の目安であり、通常右打者の場合、タイムから、0.3秒を引くと、同等の走力が計測することが出来る。ただし、セーフティバントや左打者が一二塁間に引っ張ったような、最初から一歩目のスタートをきっているような場合は、参考資料とはならない。
彼の場合、走塁に関して投手を務めることが多かったので、それほど目立つものはなかった。それでもこの夏の福岡大会では、6試合で2盗塁と動けることを証明。上のレベルで足を売りにするほどではないと思うが、野手に専念した時に、どんなプレーを魅せてくれるのか興味深い。
(打撃内容)
三好をみていて一番魅力を感じるのは、技術がとか、素材型とか、センスがとか言う部分ではない。打席での集中力の高さと物凄く絶対打ってやるんだと言う執念みたいな気迫が伝わって来るところにある。そこには、投手だからと言う甘えは一切存在しない。
<構え> ☆☆☆
スクエアスタンスで足を揃え、グリップは高めに添える強打者スタイル。腰の据わり具合には安定感があり、全体のバランスにも優れた構えとなっている。ただ残念なのは、少し両目で前を見据える姿勢がよくないこと。あえて肩口からボールを覗くことを意識しているのか、それとも体が元々硬いからなのか?
<仕掛け> 平均的な仕掛け 投手の重心が下がってきて底に到達したときに始動
これが、最も平均的なタイミングでの始動となる。このスタイルは、ある程度の対応力と長打力をバランス良く兼ね備える万能型。主に中距離打者や打点を多く稼ぎたいポイントゲッターが多く採用するスタイルだ。ただ一見完璧そうに見えるこのスタイルも、実はアベレージ打者なのか、長距離打者なのか、どっちともつかずの特徴の見えにくいスタイルに陥りやすい。個性のない打者の多くが、このスタイルを採用しているケースが多い。
<足の運び> ☆☆☆
足をしっかり引き上げて、踏み込んできます。ですから足を降ろすタイミングを計って対応するよりも、強く踏み込むことに主眼が置かれています。それでも足を上げて降ろすまでの「間が取れているので、速球だけでなくカーブでも、よ~く引きつけてから叩くことができています。
この選手は小柄ですが、強打者です。それを裏付けるのが、ベース側にしっかりインステップして踏み込んできます。踏み込んだ足下も、インパクトの際にもブレません。体の開きが我慢できますから、外角の球でもしっかり引きつけて叩くことができるのです。
<リストワーク> ☆☆☆
打撃の準備の形である「トップ」を早めに作れます。そのため速いボールにも、差し込まれることなく対応できます。それだけでなく「トップ」を深く取ることができます。トップを深く取るとは、弓矢の弓を強く引く感覚に近く、強い反発力を生み出します。
彼は上から最短距離で射貫くというよりは、少しバットを寝かせながら出すレベルスイングを心がけます。それでもバットの先端が下がることなく素早く振り切れていますので、スイングが遠回りになる印象は与えません。無駄を削るのではなく、しっかり叩く!このことに、彼のスイングは集約されています。
<軸> ☆☆☆☆
足を上げ下げする大きな動作の割に、非常に頭が動かず目線が安定していることに驚かされます。そのため、的確にボールの軌道を捉えることができるのでしょう。
体開きも我慢できていますし、軸足にも安定感を感じます。大きな波の少ない、安定した打撃が期待できます。
(打撃のまとめ)
彼の場合、打撃スタイルも中距離なのもあるのですが、物凄く身のこなしが柔らかいとか、ボールを飛ばす能力に秀でるとか、そういった部分での非凡さは感じられません。
しかし素材としては、天性の動体視力の良さがあり、ボールを的確に捉えられる能力を備えています。そしてそれ以上に魅力を感じるのは、冒頭にも述べた通り、打席での集中力やなんとかするんだと言う執念みたいなものが、打席でから伝わって来るところにあります。今年も、いろいろな選手をみてきましたが、こういった内なる闘志を感じさせてくれたのは、彼が一番ではないのでしょうか。
(最後に)
私が担当ならば、ぜひ高校から指名して、内野手として育成してみたいと説得したい素材です。恐らく進学されることになると思いますが、最初から投手などはやらず、野手一本で専念して欲しいですね。そうすれば、3,4年後には、日本を代表する存在になっているのではないのでしょうか。個人的には、その進路に関わらず、指名リストにぜひ名前を載せてみたい選手でした。
蔵の評価:☆☆
(2011年 夏)
「内野手として育ててみたい!」
1年夏に初めてみた時は、左翼手としてだった。その後、チームを支えるために投手に専念。しかし彼のプレーを見る限り、やはり野手なのだろうなと思ってみてきた。そこで今回は、三好 匠 の、野手としての可能性について考えてみたい。
(守備・走塁面)
投手の時に魅せる抜群の野球センスは、野手としても活きるはず。フィールディングの身のこなし、牽制のキレあるターンなどをみていると、外野手としてではなく二遊間を任したくなるセンスの持ち主。
この夏は、投手としてマウンドに上がらないときは、三塁手として出場。身のこなしも軽快で、打球への反応も好かった。特にボールに食らいついて行こうとする執念は、守備でも感じ取ることができる。勿論投手として140キロ台を叩き込める強肩は、一級品だ。二遊間が務めるほどのスピード感、柔らかさを感じるかは微妙だが、打球への反応、身体能力の観点から見ると、本格的に鍛えれば面白いのではないかと評価する。
一塁までの塁間は、4.4秒前後。左打者に換算すれば、4.1秒前後に相当する。通常塁間の目安となるのは、
3.9秒弱 プロで足を売りに出来るレベル
4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類
4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム
4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える
となる。上記の数字は、左打者の目安であり、通常右打者の場合、タイムから、0.3秒を引くと、同等の走力が計測することが出来る。ただし、セーフティバントや左打者が一二塁間に引っ張ったような、最初から一歩目のスタートをきっているような場合は、参考資料とはならない。
彼の場合、走塁に関して投手を務めることが多かったので、それほど目立つものはなかった。それでもこの夏の福岡大会では、6試合で2盗塁と動けることを証明。上のレベルで足を売りにするほどではないと思うが、野手に専念した時に、どんなプレーを魅せてくれるのか興味深い。
(打撃内容)
三好をみていて一番魅力を感じるのは、技術がとか、素材型とか、センスがとか言う部分ではない。打席での集中力の高さと物凄く絶対打ってやるんだと言う執念みたいな気迫が伝わって来るところにある。そこには、投手だからと言う甘えは一切存在しない。
<構え> ☆☆☆
スクエアスタンスで足を揃え、グリップは高めに添える強打者スタイル。腰の据わり具合には安定感があり、全体のバランスにも優れた構えとなっている。ただ残念なのは、少し両目で前を見据える姿勢がよくないこと。あえて肩口からボールを覗くことを意識しているのか、それとも体が元々硬いからなのか?
<仕掛け> 平均的な仕掛け 投手の重心が下がってきて底に到達したときに始動
これが、最も平均的なタイミングでの始動となる。このスタイルは、ある程度の対応力と長打力をバランス良く兼ね備える万能型。主に中距離打者や打点を多く稼ぎたいポイントゲッターが多く採用するスタイルだ。ただ一見完璧そうに見えるこのスタイルも、実はアベレージ打者なのか、長距離打者なのか、どっちともつかずの特徴の見えにくいスタイルに陥りやすい。個性のない打者の多くが、このスタイルを採用しているケースが多い。
<足の運び> ☆☆☆
足をしっかり引き上げて、踏み込んできます。ですから足を降ろすタイミングを計って対応するよりも、強く踏み込むことに主眼が置かれています。それでも足を上げて降ろすまでの「間が取れているので、速球だけでなくカーブでも、よ~く引きつけてから叩くことができています。
この選手は小柄ですが、強打者です。それを裏付けるのが、ベース側にしっかりインステップして踏み込んできます。踏み込んだ足下も、インパクトの際にもブレません。体の開きが我慢できますから、外角の球でもしっかり引きつけて叩くことができるのです。
<リストワーク> ☆☆☆
打撃の準備の形である「トップ」を早めに作れます。そのため速いボールにも、差し込まれることなく対応できます。それだけでなく「トップ」を深く取ることができます。トップを深く取るとは、弓矢の弓を強く引く感覚に近く、強い反発力を生み出します。
彼は上から最短距離で射貫くというよりは、少しバットを寝かせながら出すレベルスイングを心がけます。それでもバットの先端が下がることなく素早く振り切れていますので、スイングが遠回りになる印象は与えません。無駄を削るのではなく、しっかり叩く!このことに、彼のスイングは集約されています。
<軸> ☆☆☆☆
足を上げ下げする大きな動作の割に、非常に頭が動かず目線が安定していることに驚かされます。そのため、的確にボールの軌道を捉えることができるのでしょう。
体開きも我慢できていますし、軸足にも安定感を感じます。大きな波の少ない、安定した打撃が期待できます。
(打撃のまとめ)
彼の場合、打撃スタイルも中距離なのもあるのですが、物凄く身のこなしが柔らかいとか、ボールを飛ばす能力に秀でるとか、そういった部分での非凡さは感じられません。
しかし素材としては、天性の動体視力の良さがあり、ボールを的確に捉えられる能力を備えています。そしてそれ以上に魅力を感じるのは、冒頭にも述べた通り、打席での集中力やなんとかするんだと言う執念みたいなものが、打席でから伝わって来るところにあります。今年も、いろいろな選手をみてきましたが、こういった内なる闘志を感じさせてくれたのは、彼が一番ではないのでしょうか。
(最後に)
私が担当ならば、ぜひ高校から指名して、内野手として育成してみたいと説得したい素材です。恐らく進学されることになると思いますが、最初から投手などはやらず、野手一本で専念して欲しいですね。そうすれば、3,4年後には、日本を代表する存在になっているのではないのでしょうか。個人的には、その進路に関わらず、指名リストにぜひ名前を載せてみたい選手でした。
蔵の評価:☆☆
(2011年 夏)
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