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鍵谷 陽平(中央大)投手

鍵谷 陽平(中央大)投手 177/80 右/右 (北海出身)





         「欠点は改善されていなかった」





開幕週のスーパーピッチングで、あの 澤村拓一(巨人)を超えたとスカウトに言わしめた 鍵谷 陽平 。私自身、北海高校時代は北海道まで見に行ってをつけた思い入れ深い投手。そんな鍵谷が、一皮むけたと訊いたので、その成長ぶりを確認するのが楽しみだった。

(投球内容)

ストレート 常時140キロ台~MAX91(145.6キロ)マイル

この日の鍵谷は、常時140キロ台を刻んできましたが、MAXは91マイル(145.6キロ)。スーパーと言われた開幕週ほどの勢いはありませんでした。元々リリーフで登場すれば、145キロ~150キロ級の素晴らしいストレートを連発してきていた。ボールに勢いがあるし、球威も兼ね備えていて、球速表示に負けない馬力を感じさせる。ボールの球筋にバラつきがあり、低めに伸びて来ることもあれば、高めの球で空振りも誘える。ただ甘い球で痛打を浴びることも少ないのだが、四死球が少ないのは興味深い。

ただこの試合では、以前から悪癖である高めにボールが浮いていた。そのため、よほどボールが走っていないと、痛打される場面が少なくない。ただこの試合では、右打者のインハイを厳しく突く場面が目立ち、投球の幅を広げた印象は受けた。

変化球 縦・横のスライダー

昨秋までは、横滑りスライダーに、たまにカーブを織り交ぜる単調なピッチングだった。しかしその欠点を補うために、今春リーグ戦では縦のスライダーも投げ込んで来る。更に内角を生かし両サイドへのピッチングだけでなく、高低で相手の目線を撹乱させようという意思が感じられた。ただ今シーズン、50イニングを投げて35奪三振のように、まだまだボール球を振らせるまでには至っていない。この縦の変化の精度向上が、一つ大きな課題としてあげられる。

その他

元々牽制やフィールディングの動きなども素早く、ただ投げるだけの投手ではなかった。更にクィックも、1.0秒を切るような高速クィックを身につけており、その辺も昨秋よりも大きく成長。

微妙な出し入れや、上手く「間」を生かして投げる投球センスは感じないが、内角を生かすことを意識しピッチングの幅を広げようという意欲は感じられる。

(投球のまとめ)

開幕週こそスーパーなピッチングを魅せたようだが、結局それをシーズン通して持続させるだけの体力・気力がなかったようだ。最上級生になる前からエースとして実績を積んでいた澤村と違い、そういったペース配分などは、まだまだ 鍵谷 には不足しているようだ。現状は、先発よりもエネルギーを爆発させるリリーフの方が向いているかもしれない。プロでもストレートで押せるだけの、馬力は持っているだけに。

(成績から考える)

今春のリーグ戦残した実績から、今後の可能性について考えてみたい。今シーズンは

9試合 1勝4敗 50回1/3 41安打 5四死球 35奪三振 防御率 1.43

となり、これを各ファクターに当てはめて考えてみた。

1、被安打は、イニングの80%以下 △

昨年までは、イニングの70%以下を一つ基準としていたが、統一球の使用や、このファクターが厳しすぎるとのご意見もあり、少し基準を甘くすることにした。

鍵谷の場合は、それでも被安打率は 81.5% にのぼり基準を満たすまでには至っていない。単調なコンビネーションや高めに集まりやすい球筋などが、やはり基準を満たすほどの投球ができない大きな要因ではないのだろうか。

2,四死球は、イニングの1/3以下 ◎

秋の寸評でも書いたように、この選手は四死球が少ないのが大きな特徴。四死球率は10%を割っており、これだけ四死球率が少ない本格派は、なかなか見ることができない。

3,奪三振は、イニングの1.0前後 ☓

リリーフならば、1イニングあたり0.9個以上、先発ならば0.8個以上ぐらいの割合で三振を奪えていないと、三振が奪えているとはいえないだろう。鍵谷の場合は、0.7個。やや多めではあるが、けして決め手があるとは言えず、特に圧倒的なボールの威力がある投手にしては、変化球のレベルが低いことを示している。

4,防御率は1点台が望ましい ◯

なんやかんやいって、最終的に防御率は 1.43 。この部分は、素直に評価して良いのではないのだろうか。ただ上位指名を狙う選手ならば、防御率0点台ぐらいで圧倒するぐらいの数字は臨みたい。

(データからわかること)

こうやってみると、やはり単調なコンビネーション・高めに浮く球筋・決め手となる変化球がないという、これまでの欠点を完全に払拭はできていないことがデータの上からも伺える。

(最後に)

そういつも、スーパーの投球を持続できるわけではないことを、今シーズン証明してしまった。むしろプロの長いシーズン、多くの試合数を想定すれば、ボールの勢いが落ちた時に、いかにピッチングを作れるのかの方が重視されるべきポイント。そういった意味では、来年即戦力を期待するとすれば、リリーフでの方が適正は高いのではないのか?

ただリリーフをするにしても、ここでという時に狙って三振が奪えない現状では、苦労することが予想される。素晴らしいポテンシャルを秘めていることは認めるが、そういった意味では極めて高い評価は現状できない。恐らく3位ぐらいまでには指名されると思うが、更に上位となると、秋までにいかにこれらの課題を改善するかにかかっているのではないのだろうか。

蔵の評価:☆☆

(2012年 春季リーグ戦)
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