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東浜 巨(亜細亜大)投手

東浜 巨(亜細亜大)投手 181/73 右/右 (沖縄尚学出身)




           「東浜巨は変わったのか?」





高校時代、大学下級生時代の投球を知るものかすると、東浜は本当に進化しているのかどうかは、正直不安になる。そこで今回は、幾つかの角度から、昨年からの変化について考えてみた。

(成績から考える)

この春の東浜のリーグ戦成績は

7試合 5勝1敗 59回 34安打 38奪三振 16四死球 防御率 0.92 

昨年一年間で、僅か勝ち星と負け星の差が+1程度しかなかった彼が、春のリーグ戦だけで4つの貯金をした。このことからも、彼自身が勝てる投手へ進化したことは、数字の上からは伺われる。そこでいつものように、成績に基づき、ファクター別に考えてみたい。

1,被安打はイニングの80%以下に ◎

今春は、59イニングで被安打は僅か34安打。被安打率は、57.6%と基準を大きく下回り、安定した投球をしていたことがわかる。実際の投球を観ていても、甘い球を痛打される場面はあるが、要所を締め連打を喰らうことは少ない。

2,四死球はイニングの1/3以下に ◎

四死球率は、27.1%と基準である33.3%を満たしており、安定した制球力の持ち主であることがわかる。実際の投球でも、コースにシッカリボールを投げ分けることができ、余計な四死球を与えるケースは少ない。ただ危険を察知した時は、あえて無理な勝負をしないで四球を出すことも、この選手ができる特殊芸当だ。

3,奪三振は、イニング数前後 ☓

59イニングで、奪三振は38。1イニングあたり0.64個という数字は平均的で、必要なとき以外は狙って三振を奪うことは少ない。その辺は、実際の投球を見ていても、何か物足りないものを感じさせる大きな要因になっている。ただ狙って奪おうとすれば、遥かに多くの三振を奪えるだけの余力を残しているのも確かだ。

4、防御率は、1点台以内で ◎

プロを意識するのならば、リーグ戦の成績は1点台以内で。更に上位指名を狙おうという選手ならば、0点台への数字を期待したかった。その点では、1年春以来の0点台である 0.92 を記録し、この春の最優秀防御率に輝いた。

(成績から考える)

この春のリーグ戦で残した数字は、勢いのあった大学下級生時代の数字に匹敵する内容、むしろそれ以上だったのかもしれない。ただ実際の投球を見てもわかるように、奪三振に現れる球の威力の物足りなさは、下級生時代の輝きを取り戻せてはいない。ボールが行かなくても、勝てる術を身につけた。そんな感じではないのだろうか。

(投球内容)

今春の観戦の中で、ベストピッチではなかったかと思われる、大学選手権・八戸大戦の内容を参考に、今シーズンの投球を考えてみたい。

ストレート 135~140ぐらい

この日は、他球場に比べると3~5キロ程度厳しく表示される東京ドームでの登板。実際には、常時130キロ台後半~140キロ台中盤は出ていたような、ボールのキレ・勢いは感じられた。ここまでボールが来ていたのは、今年はじめて見た気がする。むしろ昨秋に神宮で観戦した東洋大戦の、常時140~後半を記録した試合よりも、ボールの勢い・質は、この日の方が良かった。

ただ東浜のストレートは、打者手元でビシッと切れるキレ型。そのためコースを誤ると長打を喰らいやすい。八戸大戦でも、外角高めのストレートを簡単に外野手の頭を越えられたように、けして球威・球速は図抜けていない。またストレートに関しては、真ん中~高めに集まる傾向があり、痛打を浴びることも少なくない。

変化球 スライダー・ツーシーム

この試合では、殆どカットボールやチェンジアップらしいボールは観られず、スライダー・ツーシーム・そしてフォーシームの真っ直ぐで投球が組立られていたようだ。横滑りする小さなスライダーと、ショート回転して沈む独特のツーシームが中心であり、追い込んで三振を奪うのは、フォーシームのストレートであることが多い。

追い込んでから空振りを誘えるほどの変化球には乏しく、あくまでもバットの芯をズラしてゴロを打たせるための変化球といった感じだろうか。

その他

ランナーを出せば、素早い牽制や目で威嚇したりして進塁を許さない。フィールディングなども安定おり、クィックも1.05秒前後と鋭く投げ込める。投球以外の部分も安定している。

(投球のまとめ)

パッと危険を察知すると、マウンドを外したり、じっくり「間」をつかって投球をする天性の危険回避能力は素晴らしい。

ただ意外に投球を観ていると、時々甘く入る球も少なくない。そういった球が痛打につながり、被安打の多さ、勝負どころで勝ちきれない要因になっていたのだが、その辺は今シーズン改善されていた。痛打を食らっても、その後の打者をキッチリ抑えることで、要所を締めることができている。

ただ肘の状態はかなり思わしくはないのだろう。中々下級生の時のような、140キロ台中盤~後半のボールは、今は見ることができない。それでもマウンドに上がり続け、結果を残すための術を磨いてきた。それが現状の、彼のピッチングなのだろう。

(投球フォーム)

オフに作成した寸評でフォーム分析を行なっているので、今回は変化が感じられた部分にだけ触れたいと思う。

変化1

投げるときに膝小僧に土が着くぐらい深い重心を沈みことであったフォームを、幾分高くしたのではないかと考えられる。今まで足の甲でシッカリ地面を押し付けることができていたのだが、今は地面から浮きそうなぐらいになっている。そのため低めに丹念に集めていた印象だった投球が、高めに甘く入る球が目立つようになった。

変化2

幾分「着地」までの粘りを緩和させた弊害か、体の「開き」自体は早くなっているように思える。そのためコースを突いた球でも、高めの球などの球筋が早く見極められ、痛打を浴びる可能性が高くなった気がする。

変化3

では何故、これらの弊害を背負ってまで、フォームを少し腰高にしたのか? 考えられるのは、元々深く重心が落とし過ぎだったフォームを正常に戻し、体重移動をスムーズに行うことを目的としたのではないか。すなわちストレートが、打者の手元まで来るようにして、質の向上を狙ったものと考えられる。

その効果は出ており、球速以上にキレのあるボールが、捕手のミットに収まっていた。その効果が投球全体にも波及し、春の好成績につながったものと考えられる。

(投球フォームのまとめ)

ストレートを生かすためのフォーム改造を行った効果は出たが、その反面「開き」が早くなったり、高めに浮く頻度が増えたという弊害が出たのは確か。しかしこの変化が、彼の伸び悩んでいたここ数年のピッチングに光をもたらせた。肘の状態が悪い中でも、ストレートをなんとか活かそうという、彼の苦心が伺われる。

(最後に)

成績が示す通り、より勝てる投球ができるようになってきたのは確かだろう。ストレートの球速の物足りなさは相変わらずだが、質の向上によって投球のパフォーマンスを取り戻した。

実際のところ、プロで開幕からローテーションでやって行けるだけの能力はあると評価する。恐らく彼が不安を覚えるのは、プロの長く厳しいシーズンを前提にすると、自分の体が持たないのではないかという不安。

ただ社会人に入れば、ある意味プロ以上に勝つことが要求される。プロでなら1年ぐらい棒に振っても、手術をしたりして、回復を待ってくれる環境があるはずだ。しかし社会人ならば、また今のように、肘の状態を誤魔化し誤魔化し、投げ続けなければならないのではないのだろうか? いずれは野球を続けてゆけば、肘の問題は避けては通れないだろう。プロでやれる資質があるのならば、リハビリ・バックアップの環境もより充実している、プロの世界に早く飛び込むべきではないのだろうか? またそういったことを理解してくれる球団に、ぜひ入ってもらいたい。だから一年目から二桁とか、そういった具体的な予想は、あえてこの選手の場合はしない。ただ上位指名にふさわしい能力があるとだけ、ここでは言っておきたい。

蔵の評価:☆☆☆☆

(2012年 大学選手権)
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