森 友哉(大阪桐蔭 2年)捕手
2012/09/20|Category:個別寸評
森 友哉(大阪桐蔭 2年)捕手 170/78 右/左
「大阪桐蔭でも図抜けている」
全国屈指の選手層を誇る大阪桐蔭においても、その打撃能力は図抜けている。私が見てきた大阪桐蔭の捕手の中でも、打撃に関しては間違いなくNO.1。それどころか、来年のドラフトでも1位候補として期待したいぐらいの逸材。
(ディフェンス面)
U-18の世界選手権のアメリカ戦で、ことごとくタックルされて吹っ飛んだように、プロの捕手としては、小柄すぎる体格は、ネックと言えばネック。しかし日本球界でやるのならば、あそこまでのラフプレーは連発しない。元々身体付きはガッチリしていて頑強だし、日本チームで唯一相手に詰め寄ろうとした気持ちの強さを買いたい。
先輩に物怖じすることなく、ポンポンとテンポの好いリードを心がけます。小さな身体をより小さく屈め、投手からは的をつけやすく、審判からは低めの球筋が少しでも見やすい体勢で構えます。ミットをズバッと構えて動かさず、そのグラブを下げません。何より素晴らしいのが、高校球界最高峰の球威・球速を誇る 藤浪晋太郎のストレートに対し、全くミットが負けないところです。
打球への反応も素早く、次のプレーを想定してカバーリングにも素早く入ります。御山の大将やムラッ気の多い歴代の大阪桐蔭の捕手に比べると、リードもオーソドックスですし、プレーに雑なところがみられません。何より、投手への配慮を忘れないところがいいですね。二塁までのスローイングも、1.8秒台後半と、捕ってからの動きもすでに基準以上。
ここまではベタ褒めだったのですが、課題がないわけではありません。腕が短いのもあるのですが、少し腕だけでボールを取りに行ってしまう傾向が見られます。低めに落ちる球に対してのミットの出し方、身体でボールを止めに行くキャッチングなどに課題があり、パスボールが多いところが、U-18の世界選手権では目立ちました。課題は、予期できない場所にボールが来た時の対処にあります。ここさえこの一年で突き詰めて行ければ、ディフェンス面でもプロにアピールできる捕手になることでしょう。
(打撃内容)
ボー対応する能力という意味では、U-18の日本代表メンバーでも、田村 龍弘(光星学院)と共に抜けていたように思います。小柄ですが、身体に力があるので、甘く入ればスタンドインのパンチ力も秘めます。チームの一番を任されるように、走れる脚力も兼ね備えています。
<構え> ☆☆☆☆
前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えます。懐を深く保ち、腰の据わり具合、両目で前を見据える姿勢、全体のバランスに優れた良い構えです。力み過ぎないにように心がければ、高い集中力が感じられます。
<仕掛け> 早めの仕掛け
投手の重心が下るときに始動する「早めの仕掛け」を採用。典型的なアベレージヒッターのタイミングです。
<足の運び> ☆☆☆☆
始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも緩急に対応しやすい打ち方です。軽くアウトステップして踏み込みますが、左のアベレージヒッターとしてはオーソドックスな踏み出し。春までは、強烈にベース側にインステップしていたのですが、その辺は随分変えてきました。ひょっとすると、コースでステップを使い分けているのかもしれません。
懐も開け、内角の球も綺麗に振り抜けます。踏み込んだ足元もブレませんので、ライト側に引っ張るだけでなく、レフト方向にも綺麗にはじきかえします。こうやって見てみると、スピードへの対応・コースへの対応もできる万能型。
<リストワーク> ☆☆☆☆
打撃の準備である「トップ」を作るのも平均的、無理なくボールを呼び込むことができています。バットの振り出しも、上から綺麗に振りぬくので、ボールを捉えるまでロスがありません。外の球に対しても、バットの先端であるヘッドを立てているので、上手くフェアゾーンに落とすようにボールが拾えます。
リストワークの上手さも光りますが、スイングにひ弱さも感じません。その辺は、U-18の世界の投手に対し、木製バットを握っても曇ることはありませんでした。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げも静かで、目線が大きく動きません。そのため、目の錯覚が起こり難く的確に球筋を追えます。身体の「開き」も我慢でき、軸足にも粘りと強さを感じます。打撃の核となる軸が、非常に安定しています。
(打撃のまとめ)
打撃に関しては、教科書にしたいぐらいのお手本のようなスイングです。これからは、人から教わるのではなく、自分で感性を磨き、何かを感じ取りながら膨らませて行く段階に入ってきていると思います。アベレージヒッターとしての技術は、殆どいじるところはないでしょう。
(最後に)
今年のドラフトにかけても、すでに上位で指名されるのは間違いない実力の持ち主。むしろ高校生としては完成されつつあるので、今すぐにでもプロに混ぜたいです。
しいて言えば、キャッチングの技術を高めて欲しいところ。捕手で一番大事なのは、ボールを逸らさない、投手との信頼にあると思います。この辺も、方向性を間違えない限りは、彼なら大丈夫だと信じています。
最上級生になれば、責任も重くのしかかかるので、相当な重圧の中で試合をしなければなりません。それでも結果を残すことが求められます。今までのようにはプレーはできなくなるかもしれませんが、彼ならばそれをハネノケて、更なる成長した姿を魅せてくれると期待します。高校生捕手としては、久々に胸高鳴りを感じます。
(2012年 夏)
「大阪桐蔭でも図抜けている」
全国屈指の選手層を誇る大阪桐蔭においても、その打撃能力は図抜けている。私が見てきた大阪桐蔭の捕手の中でも、打撃に関しては間違いなくNO.1。それどころか、来年のドラフトでも1位候補として期待したいぐらいの逸材。
(ディフェンス面)
U-18の世界選手権のアメリカ戦で、ことごとくタックルされて吹っ飛んだように、プロの捕手としては、小柄すぎる体格は、ネックと言えばネック。しかし日本球界でやるのならば、あそこまでのラフプレーは連発しない。元々身体付きはガッチリしていて頑強だし、日本チームで唯一相手に詰め寄ろうとした気持ちの強さを買いたい。
先輩に物怖じすることなく、ポンポンとテンポの好いリードを心がけます。小さな身体をより小さく屈め、投手からは的をつけやすく、審判からは低めの球筋が少しでも見やすい体勢で構えます。ミットをズバッと構えて動かさず、そのグラブを下げません。何より素晴らしいのが、高校球界最高峰の球威・球速を誇る 藤浪晋太郎のストレートに対し、全くミットが負けないところです。
打球への反応も素早く、次のプレーを想定してカバーリングにも素早く入ります。御山の大将やムラッ気の多い歴代の大阪桐蔭の捕手に比べると、リードもオーソドックスですし、プレーに雑なところがみられません。何より、投手への配慮を忘れないところがいいですね。二塁までのスローイングも、1.8秒台後半と、捕ってからの動きもすでに基準以上。
ここまではベタ褒めだったのですが、課題がないわけではありません。腕が短いのもあるのですが、少し腕だけでボールを取りに行ってしまう傾向が見られます。低めに落ちる球に対してのミットの出し方、身体でボールを止めに行くキャッチングなどに課題があり、パスボールが多いところが、U-18の世界選手権では目立ちました。課題は、予期できない場所にボールが来た時の対処にあります。ここさえこの一年で突き詰めて行ければ、ディフェンス面でもプロにアピールできる捕手になることでしょう。
(打撃内容)
ボー対応する能力という意味では、U-18の日本代表メンバーでも、田村 龍弘(光星学院)と共に抜けていたように思います。小柄ですが、身体に力があるので、甘く入ればスタンドインのパンチ力も秘めます。チームの一番を任されるように、走れる脚力も兼ね備えています。
<構え> ☆☆☆☆
前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えます。懐を深く保ち、腰の据わり具合、両目で前を見据える姿勢、全体のバランスに優れた良い構えです。力み過ぎないにように心がければ、高い集中力が感じられます。
<仕掛け> 早めの仕掛け
投手の重心が下るときに始動する「早めの仕掛け」を採用。典型的なアベレージヒッターのタイミングです。
<足の運び> ☆☆☆☆
始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも緩急に対応しやすい打ち方です。軽くアウトステップして踏み込みますが、左のアベレージヒッターとしてはオーソドックスな踏み出し。春までは、強烈にベース側にインステップしていたのですが、その辺は随分変えてきました。ひょっとすると、コースでステップを使い分けているのかもしれません。
懐も開け、内角の球も綺麗に振り抜けます。踏み込んだ足元もブレませんので、ライト側に引っ張るだけでなく、レフト方向にも綺麗にはじきかえします。こうやって見てみると、スピードへの対応・コースへの対応もできる万能型。
<リストワーク> ☆☆☆☆
打撃の準備である「トップ」を作るのも平均的、無理なくボールを呼び込むことができています。バットの振り出しも、上から綺麗に振りぬくので、ボールを捉えるまでロスがありません。外の球に対しても、バットの先端であるヘッドを立てているので、上手くフェアゾーンに落とすようにボールが拾えます。
リストワークの上手さも光りますが、スイングにひ弱さも感じません。その辺は、U-18の世界の投手に対し、木製バットを握っても曇ることはありませんでした。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げも静かで、目線が大きく動きません。そのため、目の錯覚が起こり難く的確に球筋を追えます。身体の「開き」も我慢でき、軸足にも粘りと強さを感じます。打撃の核となる軸が、非常に安定しています。
(打撃のまとめ)
打撃に関しては、教科書にしたいぐらいのお手本のようなスイングです。これからは、人から教わるのではなく、自分で感性を磨き、何かを感じ取りながら膨らませて行く段階に入ってきていると思います。アベレージヒッターとしての技術は、殆どいじるところはないでしょう。
(最後に)
今年のドラフトにかけても、すでに上位で指名されるのは間違いない実力の持ち主。むしろ高校生としては完成されつつあるので、今すぐにでもプロに混ぜたいです。
しいて言えば、キャッチングの技術を高めて欲しいところ。捕手で一番大事なのは、ボールを逸らさない、投手との信頼にあると思います。この辺も、方向性を間違えない限りは、彼なら大丈夫だと信じています。
最上級生になれば、責任も重くのしかかかるので、相当な重圧の中で試合をしなければなりません。それでも結果を残すことが求められます。今までのようにはプレーはできなくなるかもしれませんが、彼ならばそれをハネノケて、更なる成長した姿を魅せてくれると期待します。高校生捕手としては、久々に胸高鳴りを感じます。
(2012年 夏)
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