本当に凄いやつ33! 高野 圭佑(四国学院大3年)投手
高野 圭佑(四国学院大3年)投手 177/72 右/右 (呉工出身)
「ボールの勢いは本物」
いままで、四国学院大から直にプロ入りした選手はいないのではないのだろうか? しかし同校始まって以来の逸材といえるのが、この 高野 圭佑 。順調に2013年度を過ごせば、同校から直にプロ入りする選手が誕生する可能性は極めて高い。今回は、そんな 地方リーグの逸材を考察してみた。
(投球内容)
ゆったりとした投球モーションから投げ込んで来るのが印象的。
ストレート 常時140キロ台~MAX151キロ
ストレートは、手元でグ~ンと伸びるとか、ピュッと切れるといった感じは受けないが、非常に勢いを感じさせるボール。それだけ、圧倒的なスピード能力を感じさせる投手なのだ。そう感じさせるのは、ゆったりとしたモーションからのギャップを感じさせるからで、その効果は計り知れない。
その速球を両サイドに投げ分けられる能力はあるものの、全体的に球が高い印象は否めない。それでもボールに勢いがあるので、たまに痛打を浴びることはあるが連打はそれほど許さない。
変化球 スライダー・カーブ
投球の殆どは、スライダーとのコンビネーション。この球を、両サイドに投げ分ける能力がある。また空振りの多くは、この球で奪っている。ただこの球も速球同様に高めに集まるので、読まれていると怖いなぁという印象は否めない。
コンビネーションとしては、この球を内・外で使い分けるだけの単調なものであり、もう少し球種を増やすなどして、投球の幅を広げて行きたいのだが・・・。
その他
クィックは、1.2秒前後と平均的。フィールディングもまずまずで、特に大きな破綻はない。
(投球のまとめ)
単調なコンビネーションながら、昨年の大学選手権・広島経済大戦では1失点完投。それだけボール自体に威力があり、高めに集まりやすくもコースはキッチリ投げ分ける制球力があるからだろう。
またマウンド捌きも、落ち着いて自分のゆったりしたフォームで試合を作ることができる選手。それでいて、テンポはポンポンと間をおかず投げ込んで来る心地良いリズムも作れている。
特にピッチングが上手い印象はないが、投手として大くずれしないタイプの投手だと言えよう。
(成績から考える)
本格的に頭角を現したのは、2年秋。このシーズンに、リーグ2位の防御率 0.40 を記録。ただ以後は、その絶対的なスピード能力の割に、リーグでは図抜けた成績は残していない。今回はよくわからない部分もあったので、彼のベストシーズンである2年秋の成績を元に考えてみた。
6試合 5勝1敗 45回 21安打 8四死球 34奪三振 防御率 0.40(2位)
1,被安打は、イニングの60%以下 ◎
被安打がハッキリわかるシーズンがあったので、この一番良いシーズンの成績を参考に。このシーズンの被安打率は、46.7%と極めて低く、ボールの威力で圧倒したことが伺われる。別のシーズンでも60%を割っているかはわからないが、彼のベストの能力を発揮すれば、それが十分可能なことを証明している。ちなみに、昨年の大学選手権・広島経済大戦でも、破れはしたものの9回を5安打(被安打率55.6%)と、基準を満たしていた。
2,四死球は、イニングの1/3以下で △
このシーズンの四死球率は、17.8%。基準である33.3%以下を、完全にクリアできている。ただ3年春・秋のシーズンでは、いずれに四死球率が50%を超えており、制球を大きく乱していたことがわかっている。広経大戦でも6四死球を出したように、制球力の回復がひとつ今年の大きなチェックポイントであるようだ。
3,奪三振は、イニングの0.8個以上 △
奪三振率は、1イニングあたり 0.76 と基準を満たすほどではない。ただ3年春のシーズンでは、イニングを上回るほどの奪三振は奪えている。しかしこの秋には、0.65に低下しており、シーズンによってのバラつきが大きい。確かにストレートとスライダーの威力は確かなのだが、縦への変化もなく単調な配球を考えると、上のレベルでは何処まで三振が奪えるのかは微妙だろう。
4,防御率は1点台以内 ◯
通算の防御率は、1.41。特に2年秋の 0.40 という数字は光っている。ただこの秋は、3.23 と大きくその数字を下げており、絶対能力の片鱗は伺えるものの安定感という意味ではどうだろうか?年間を通して、好調を維持するだけの気力・体力がどの程度あるのかも、今年のチェックポイントとなりそう。
(成績からわかること)
各項目、シーズンによっての波があり、その平均値は掴みにくい。ただ一つ言えることは、その絶対能力は確かであり、素材としての魅力があることは間違いないということ。
制球力の悪化の傾向と安定した成績、これがひとつ、今後の大きな目安となりそうだ。
(投球フォームかから考える)
ワインドアップから、ゆったりとしながらも、しっかり足を高い位置まで引き上げて投げ込んできます。
<広がる可能性> ☆☆☆☆
速球とスライダーしか投げ込んでない投手なのですが、実は引き上げた足を高い位置でピンと伸ばせており、お尻は一塁側に落とせるフォーム。そのため無理なく、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種を投げられる下地はあります。
それでいて、「着地」までの粘りも悪くはないので、捻り出す時間も確保。投球フォームという観点でいえば、もっと球種を増やし多彩なコンビネーションに広げて行ける可能性があります。しいていえば、あまり身体が大きくないので、手が大きくない可能性があり、その辺でフォークのような球種はどうなのかな?という不安は残ります。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは内に抱えられており、両サイドへの投げ分けは安定。足の甲で地面を押し付けられているように見えますが、実際にはボール全体が高い傾向にあります。この理由で考えられるのは、あまり「球持ち」がよくなく、ボールを押し込めていない点。振り下ろした腕が絡むぐらいに、前でボールを離せるようになると、指先の感覚も研ぎ澄まされて、ボールを低めに集められる可能性は高まります。
<故障のリスク> ☆☆☆☆
お尻は一塁側に落とせるので、カーブやフォークといった球種を投げても負担は少ないはず。それでも実際に投げても来ないので、肘への負担は少ないはず。
更に振り下ろす腕の角度があるわりに、無理なく投げ下ろすことが出来ており、肩への負担も少ないようです。そういった意味では、アソコが痛い、ここが痛い ということで悩まされる可能性は低いのではないのでしょうか。
<実戦的な術> ☆☆☆☆
「着地」までの粘りも悪くないので、合わせやすいフォームではありません。更にグラブを斜め前に出すことで、打者に正対するのを遅らせ、身体の「開き」も見難くなっています。この単調なコンビネーションでも、試合を作ることができるのは、この投球モーションが大きいといえるのではないのでしょうか。
唯一残念なのは、もう少し振り下ろした腕が身体に絡むような強さ・鋭さがあると、速球と変化球の見極めも困難になり、より効果的なピッチングが期待できそう。それでも上手くボールに体重を乗せることができ、ボールは打者の手元まで、グッと来る感じが致します。
(フォームのまとめ)
投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」が見難い良さがあり、より速球を効果的に。更にボールに体重を乗せることができ、本物のストレートを投げ込める点で素晴らしいと思います。
「着地」の粘りも程よいので、体重移動をスムーズに行うことが出来ています。唯一の弱点では、「球持ち」の甘さ。ここを改善できれば、もっと投球に粘っこさも出てきますし、制球の問題も改善できるのではないのでしょうか。
(最後に)
投球フォームにゆったり感があり、素材としての奥行きを感じさせます。投球フォームも想像以上に実戦的で理に適っているので、「球持ち」の問題を解決して最大の課題である制球力の改善に取り組んで欲しいものです。
投球の幅がないところは、フォーム的には改善が十分可能であり、あとは本人の取り組みに期待。まだまだ素材型の域を脱していませんが、これから伸びることが期待できる素材だと評価します。最終学年で、どんなパフォーマンスを魅せてくれるのか、期待して見守ってみたいですね。
(2012年 大学選手権)
「ボールの勢いは本物」
いままで、四国学院大から直にプロ入りした選手はいないのではないのだろうか? しかし同校始まって以来の逸材といえるのが、この 高野 圭佑 。順調に2013年度を過ごせば、同校から直にプロ入りする選手が誕生する可能性は極めて高い。今回は、そんな 地方リーグの逸材を考察してみた。
(投球内容)
ゆったりとした投球モーションから投げ込んで来るのが印象的。
ストレート 常時140キロ台~MAX151キロ
ストレートは、手元でグ~ンと伸びるとか、ピュッと切れるといった感じは受けないが、非常に勢いを感じさせるボール。それだけ、圧倒的なスピード能力を感じさせる投手なのだ。そう感じさせるのは、ゆったりとしたモーションからのギャップを感じさせるからで、その効果は計り知れない。
その速球を両サイドに投げ分けられる能力はあるものの、全体的に球が高い印象は否めない。それでもボールに勢いがあるので、たまに痛打を浴びることはあるが連打はそれほど許さない。
変化球 スライダー・カーブ
投球の殆どは、スライダーとのコンビネーション。この球を、両サイドに投げ分ける能力がある。また空振りの多くは、この球で奪っている。ただこの球も速球同様に高めに集まるので、読まれていると怖いなぁという印象は否めない。
コンビネーションとしては、この球を内・外で使い分けるだけの単調なものであり、もう少し球種を増やすなどして、投球の幅を広げて行きたいのだが・・・。
その他
クィックは、1.2秒前後と平均的。フィールディングもまずまずで、特に大きな破綻はない。
(投球のまとめ)
単調なコンビネーションながら、昨年の大学選手権・広島経済大戦では1失点完投。それだけボール自体に威力があり、高めに集まりやすくもコースはキッチリ投げ分ける制球力があるからだろう。
またマウンド捌きも、落ち着いて自分のゆったりしたフォームで試合を作ることができる選手。それでいて、テンポはポンポンと間をおかず投げ込んで来る心地良いリズムも作れている。
特にピッチングが上手い印象はないが、投手として大くずれしないタイプの投手だと言えよう。
(成績から考える)
本格的に頭角を現したのは、2年秋。このシーズンに、リーグ2位の防御率 0.40 を記録。ただ以後は、その絶対的なスピード能力の割に、リーグでは図抜けた成績は残していない。今回はよくわからない部分もあったので、彼のベストシーズンである2年秋の成績を元に考えてみた。
6試合 5勝1敗 45回 21安打 8四死球 34奪三振 防御率 0.40(2位)
1,被安打は、イニングの60%以下 ◎
被安打がハッキリわかるシーズンがあったので、この一番良いシーズンの成績を参考に。このシーズンの被安打率は、46.7%と極めて低く、ボールの威力で圧倒したことが伺われる。別のシーズンでも60%を割っているかはわからないが、彼のベストの能力を発揮すれば、それが十分可能なことを証明している。ちなみに、昨年の大学選手権・広島経済大戦でも、破れはしたものの9回を5安打(被安打率55.6%)と、基準を満たしていた。
2,四死球は、イニングの1/3以下で △
このシーズンの四死球率は、17.8%。基準である33.3%以下を、完全にクリアできている。ただ3年春・秋のシーズンでは、いずれに四死球率が50%を超えており、制球を大きく乱していたことがわかっている。広経大戦でも6四死球を出したように、制球力の回復がひとつ今年の大きなチェックポイントであるようだ。
3,奪三振は、イニングの0.8個以上 △
奪三振率は、1イニングあたり 0.76 と基準を満たすほどではない。ただ3年春のシーズンでは、イニングを上回るほどの奪三振は奪えている。しかしこの秋には、0.65に低下しており、シーズンによってのバラつきが大きい。確かにストレートとスライダーの威力は確かなのだが、縦への変化もなく単調な配球を考えると、上のレベルでは何処まで三振が奪えるのかは微妙だろう。
4,防御率は1点台以内 ◯
通算の防御率は、1.41。特に2年秋の 0.40 という数字は光っている。ただこの秋は、3.23 と大きくその数字を下げており、絶対能力の片鱗は伺えるものの安定感という意味ではどうだろうか?年間を通して、好調を維持するだけの気力・体力がどの程度あるのかも、今年のチェックポイントとなりそう。
(成績からわかること)
各項目、シーズンによっての波があり、その平均値は掴みにくい。ただ一つ言えることは、その絶対能力は確かであり、素材としての魅力があることは間違いないということ。
制球力の悪化の傾向と安定した成績、これがひとつ、今後の大きな目安となりそうだ。
(投球フォームかから考える)
ワインドアップから、ゆったりとしながらも、しっかり足を高い位置まで引き上げて投げ込んできます。
<広がる可能性> ☆☆☆☆
速球とスライダーしか投げ込んでない投手なのですが、実は引き上げた足を高い位置でピンと伸ばせており、お尻は一塁側に落とせるフォーム。そのため無理なく、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種を投げられる下地はあります。
それでいて、「着地」までの粘りも悪くはないので、捻り出す時間も確保。投球フォームという観点でいえば、もっと球種を増やし多彩なコンビネーションに広げて行ける可能性があります。しいていえば、あまり身体が大きくないので、手が大きくない可能性があり、その辺でフォークのような球種はどうなのかな?という不安は残ります。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは内に抱えられており、両サイドへの投げ分けは安定。足の甲で地面を押し付けられているように見えますが、実際にはボール全体が高い傾向にあります。この理由で考えられるのは、あまり「球持ち」がよくなく、ボールを押し込めていない点。振り下ろした腕が絡むぐらいに、前でボールを離せるようになると、指先の感覚も研ぎ澄まされて、ボールを低めに集められる可能性は高まります。
<故障のリスク> ☆☆☆☆
お尻は一塁側に落とせるので、カーブやフォークといった球種を投げても負担は少ないはず。それでも実際に投げても来ないので、肘への負担は少ないはず。
更に振り下ろす腕の角度があるわりに、無理なく投げ下ろすことが出来ており、肩への負担も少ないようです。そういった意味では、アソコが痛い、ここが痛い ということで悩まされる可能性は低いのではないのでしょうか。
<実戦的な術> ☆☆☆☆
「着地」までの粘りも悪くないので、合わせやすいフォームではありません。更にグラブを斜め前に出すことで、打者に正対するのを遅らせ、身体の「開き」も見難くなっています。この単調なコンビネーションでも、試合を作ることができるのは、この投球モーションが大きいといえるのではないのでしょうか。
唯一残念なのは、もう少し振り下ろした腕が身体に絡むような強さ・鋭さがあると、速球と変化球の見極めも困難になり、より効果的なピッチングが期待できそう。それでも上手くボールに体重を乗せることができ、ボールは打者の手元まで、グッと来る感じが致します。
(フォームのまとめ)
投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」が見難い良さがあり、より速球を効果的に。更にボールに体重を乗せることができ、本物のストレートを投げ込める点で素晴らしいと思います。
「着地」の粘りも程よいので、体重移動をスムーズに行うことが出来ています。唯一の弱点では、「球持ち」の甘さ。ここを改善できれば、もっと投球に粘っこさも出てきますし、制球の問題も改善できるのではないのでしょうか。
(最後に)
投球フォームにゆったり感があり、素材としての奥行きを感じさせます。投球フォームも想像以上に実戦的で理に適っているので、「球持ち」の問題を解決して最大の課題である制球力の改善に取り組んで欲しいものです。
投球の幅がないところは、フォーム的には改善が十分可能であり、あとは本人の取り組みに期待。まだまだ素材型の域を脱していませんが、これから伸びることが期待できる素材だと評価します。最終学年で、どんなパフォーマンスを魅せてくれるのか、期待して見守ってみたいですね。
(2012年 大学選手権)
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