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プロ野球ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人・蔵建て男が、日本中を駆け巡り本音でトーク!

2013年 甲子園3日目レポート

第一試合 星稜 VS 鳴門

星稜の2年生エース・岩下 大輝 は、力みのなりフォームから、コンスタントに140キロ前後のストレートを投げ込んでくる。7回まで一失点と試合を作るが、ボールの威力が鈍ってきたところから、一気に大量失点してしまった。試合を見ていて思ったのは、変化球に特徴がないのと、投球に抑揚がなく単調だということ。それだけに、相手に合わされ出すと止まらない。それでも、秋以降は北信越を代表する投手として、同地区を引っ張って行く存在になるのではないのだろうか。

鳴門は、経験豊富なチームで、大学でも野球を続けて行けそうな選手が複数いる。そんななか目立っていたのが、3番の 河野 祐斗(3年)遊撃手。攻守に型がしっかりしていて、軸がブレないのでプレーが安定。逆にその型がしっかりし過ぎているので、柔軟性や融通の効いたプレーまで広げられるのかが課題のような気がする。深いところから刺せる遊撃守備と広角に打てる強打は、強豪校で今後も野球を続けて行ける素材だろう。

星稜の野手では、早くからその才能が評判だった 北村 拓己(3年)遊撃手が、右中間に叩きこむなど存在感を示した。攻守にプレーが限定される傾向にはあるが、しっかり捉えた時の打球とスケールの大きなプレーは、ポテンシャルの高さを感じずにはいられない。大学でプレーの幅を広げられれば、面白い存在になるのではないのだろうか。

第二試合 作新学院 VS 桜井

作新学院の 山下 勇斗(3年)捕手は、下級生の頃から甲子園で活躍してきたお馴染みの選手。この日は、丁寧なプレーが目立ち、打撃もヒットを何本か放ちましたが、それほどインパクトはありませんでした。スローイングも、捕ってからの動きが遅く、2.1秒前後でこんなに遅かったけ?と思うほど。捕手らしいきめ細かいプレーには好感が持てましたが、プロ云々という内容ではありません。中央の有力大学に、進むことになりそうです。

むしろ打撃で目立ったのは、強烈なスイングが目を惹いた1番の 小林 勇介(3年)右翼手と 自分のツボを持っている 中村 幸一郎(2年)一塁手の二人。二人とも脆さは感じたものの、捉えた時の打球には目を見張るものがあった。

桜井では、1年生・4番の 岡田 駿(1年)一塁手のパワフルな打撃が目立った。同校は、プレーそのもの以上に、人間教育を重視したチーム。野球そのものは、オールドスタイルのチームといった印象をうけた。岡田がこの環境の中、どのような成長をとげて行くのか、個人的には興味深い。

投手では、作新の2番手として登板した 朝山 広憲(1年)右腕の力投が光った。常時135~後半のストレートには勢いと威力があり、一冬超えればコンスタントに140キロ台を超えてきそう。更にブレーキの良いカーブを投げるなど、筋の良さも感じられる。

グラブが抱えられずフォームが暴れたり、ボール全体が高いなどの課題があり、これらの荒っぽさを今後の2年間でいかに改善して行けるか。上手く育てば最終学年では、北関東を代表する素材として注目されることになりそうだ。

第三試合 帯広大谷 VS 福井商

下級生の頃から期待されてきた 中村 文英(福井商3年)右腕は、ガッチリした体格から130キロ台後半~MAX147キロぐらいと馬力のあるところを魅せた。ただ 古川 侑利(有田工3年)投手と同じく、狙ったところへの収まりが悪く、良い球が中々決まらない。球質も、球速ほど良くないのも気になった。むしろ縦・横二種類のスライダーが方が現状は優れた球種であり、この球を軸に投球を組み立ててゆきたい。まだまだ高校からプロに行くほどの絶対的なものはなく、総合力を高めてからプロ入りを狙いたいところ。けして、「旬」であるとは言えないだろう。

むしろ将来性では、2番手で登板した 長谷川 凌汰(3年)右腕の方が面白いのでは。こちらはまだ中村程の馬力はないが、腕の振りがしなやかで、空振りの取れる球質が魅力。球速も130キロ台後半~140キロ台前半が投げられるだけに、188/84 の体格も考えると将来性大。体がビシッとしてきた時に、どのぐらいのボールを投げられているのか? また変化球も武器になるほどのものがないので、その点で磨きがかけられるのか注目したい。更に上のレベルの指導者・環境次第では、将来プロ入りの可能性も秘めている。自分を信じて、志しを高く持って取り組んで欲しい。

帯広大谷には、突出した選手はおらず。結果はでなかったが、4番の 小川 敬太(3年)中堅手のガッチリした体格から振り出される、力強いスイングは気になった。攻守に粗い印象は残ったが、素材としての可能性は感じられる。できれば、予選の模様も見てレポートを作成してみたい。

第四試合 浦和学院 VS 仙台育英

選抜優勝・更にこの夏の埼玉予選でも圧倒的な安定感を示してきた 小島 和哉(浦和学院・2年)左腕。その小島のリズムを完全に狂わしたのが、仙台育英の核弾頭・熊谷 敬宥(仙台育英・3年)遊撃手。神宮大会では、ドラフト候補としてすでに注目されていた 上林 誠知 に次ぐ存在として、非凡な打撃センスを示していた。しかし一冬超えた成長が期待された選抜では、良いところを魅せられないまま甲子園をあとにする。この夏の県大会も.192厘だった絶不調男が、浦和学院戦で爆発。勝負に絡む4安打で、小島を最後までリズムに乗せなかった。元々スピード感のある遊撃守備も魅力であったが、スローイングなどに課題がある。しかしこの日は、その辺の粗も見えず。ドラフト候補ではないにしろ、有力大学で野球を続けて行く素材だろう。特に注目されるほど能力を発揮するタイプだけに、観客の多い六大学などで野球を続けられるのが望ましい。

ドラフト上位候補と注目された 上林 誠和(仙台育英・3年)中堅手は、小島の気迫の投球に対し、自ら力んで冷静さを欠いた。また定評のある中堅守備でも精彩を欠き、この日は完全に気負い過ぎた感は否めない。元々この選手、左投手の肩口から入ってくるカーブやスライダーには強いが、インハイに食い込んで来る球は苦手。バッテリーは、高めのストレートを上手く意識させ、上林の打撃を崩した。上林は天才肌のミートセンスが逆にアダになり、今年に入りなんでも手を出してしまうようになって雑になった。元々は、甘い球を逃さない「鋭さ」が持ち味だったのに、今はボールの見極めが全く出来ていない。走攻守三拍子揃っている上に、意識の高さも高校生離れ。ただその気持ちが、選抜から空回りしている。幸いにして試合をものにしたので、まだアピールの機会は残されている。個人的には、以前から上位候補?というのには疑問を呈していた。この試合の内容で、評価を下げた球団も少なくなかったのではないのだろうか。最終的には、3,4位ぐらいの中位で収まる可能性が高いのでは?

浦和学院では、選抜で3本塁打を放った・高田 涼太(3年)三塁手が、上林同様にブレーキ。こちらも、先輩たち同様・東都リーグあたりで野球を続けることになりそうだ。小島 和哉(浦和学院・2年)左腕は、個人的にはピンと来たことがない投手。そのため、周りがいうほど高くは評価していない。それでも、上林との対戦では意地を魅せ、悪いながらもなんとか試合を作ろうという気迫の投球には、この選手の意識の高さを感じずにはいられない。この悔しい経験を糧に、来夏までにどのぐらい成長するのか、見届けてみたいと思わせる男だった。

また打の熊谷と共に、チームに勝利をもたらせたのgは、リリーフで登場した 馬場 皐輔(仙台育英・3年)右腕の気迫こもった投球。この選手、神宮大会以来見続けているが、大体代わりっぱなは不安定で、周りをやきもきさせる。しかしここぞとまで追い込まれると、開き直るのか最後はなんとか抑えてしまう。この試合でも代わった直後は失点したものの、徐々に自分のペースに相手を引き込んで行く。球速もMAXで145キロを記録するなど、ウエートの乗った厚みのあるボールには目を見張るものがあった。ただ変化球レベルや制球力などの総合力で考えると、大学経由なのかなと思えるが、今後の試合での登板にも期待を満たせる内容だった。

序盤戦から、両チームのミスも目立ちグダグダの試合展開だったが、最後は名門校同士らしい、底力を感じさせるナイスゲームだったのは間違いない。ただ野球の粗い仙台育英が、次戦の常総学院戦に勝てるのかというのは、全く別の問題ではないのだろうか。
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