2013年夏 甲子園6日目レポート(1)
2013/07/28|Category:観戦記
第一試合 横浜高校 VS 丸亀
2年生中心の横浜高校にあって、早くから来年の1位候補と評判なのが、4番の 高濱 裕仁(2年)遊撃手。兄は言わずと知れた 高濱 卓也(ロッテ)内野手。この試合でも、内角低めの難しい球を、見事捌いてレフトスタンドへ。兄は特徴の見え難い左の中距離ヒッター(1位競合)だったのに対し、弟は右の長距離砲という特徴を持っていることが大きい。まだ甘い球を打ち損じないというほどの絶対的な凄みはないが、野球人としての器は兄より明らかに上(兄はあまり評価していなかった)。ただひとつ気になるポイントをあげるとすれば顔。これはルックスが好い悪いということではなく、何か表情に締まりがないところが、筒香嘉智(ベイスターズ)似ていて、意識が何処にあるのか不安がよぎる。最終学年に向けて、表情に変化が出てくるのかどうか、これからも注目してみたい。
またこの試合5安打を放った3番の 浅間 大基(2年)中堅手も、高濱と共に入団当時から騒がれてきた天才肌。この試合では5安打を放ち、これは出来すぎの感は否めないが、大舞台こそこの選手の潜在能力が引き出される舞台。持っている野球人としての資質は、同じ左打ちの外野手・乙坂 智(ベイスターズ)よりもスケールでは上を行き、来年ドラフト指名される可能性は高い。攻守にソツがなく肩も悪くないので、打撃以外も抜かりないだろう。特にこの選手、夏の大会直前に長浜グランドで見ていたのだが、打球が上がっても中々落ちて来ない。それだけでもこの選手、やはり持ちえる潜在能力は只者ではないなと強く感じる。ただ横浜高校に多く見られる、独特のちょっと抜けたところがあるので、そのへんが最終学年で何処まで引き締められるのか注目したい。
逆に今ある能力を遺憾なく発揮出来ているのは、1番を打つ 川口 凌(2年)三塁手。今年のドラフトの目玉・松井 裕樹(桐光学園)投手のスライダーにも、全く崩されることなく対応してたように、ボールを捉える感覚の良さには素晴らしい。167/67 と体格には恵まれないだけに、来年のドラフト候補とはならないのだろうが、トップアマで長く活躍できるぐらいのハイセンス。個人的には、高濱・三塁・川口・遊撃の三遊間を見てみたい。
また全国レベルの好投手・伊藤 将司(2年)左腕を巧みにリードする 高井 大地(2年)捕手も、守りの曲者。すでに社会人みたいな大人びたプレーをする選手で、ハイレベルな横浜高校の野球を支える司令塔。ただ横浜高校の捕手が以外に卒業後伸びないのは、監督の求めるものに答えられるハイレベルな技術を有するも、その上のレベルで必要な自分でそれを広げて行ける教育を受けていないせいなのだろうか?彼はそういった傾向を、今後打ち破って行けるのか注目したい。
丸亀では、4番の 池内 健人(3年)中堅手の内角の捌きの良さが目立ちました。ただパワフルで豪快なバッティングの一方、県大会打率.294厘とそれほどでもないのは、外角の捌きなどに課題があるのか?県大会の模様も含めてレポートを作成してみたい。打撃でのインパクトでは、このチームでは抜けています。
また打撃では結果が残せませんでしたが、再三のゴロを処理していた 一番の 車谷 康太(3年)遊撃手の守備も光ります。以前もレポートした選手ですが、その時と比較して、また個別のレポートを作成したいと思います。
第二試合 日大山形 VS 日大三
この試合では、東北地区を代表する遊撃手・奥村 展征(日大山形3年)遊撃手が、真ん中低めのストレートをバックスクリーンに叩きこみ強烈なインパクトを残します。奥村は旧チームから目立つ存在でしたが、この夏の山形予選でも打率.667厘を残し本格化した模様。遊撃手としても捕ってからも素早く、深い所からも刺せる肩があり、攻守でアピールできたことは大きかったと思います。山形大会と今後の甲子園での内容とを加味して最終的な評価はしたいのですが、ドラフト候補としてスカウト達に存在感を示したことは間違いないでしょう。
日大三の先発・大場 遼太郎(3年)右腕は、167/72 と小柄ですが、130キロ台後半~MAX144キロのストレートの勢いは良かったです。初回はエラーなどで不運なに失点を与えるも、以後は持ち味を発揮し試合を作ります。ただ速球以外の球種が、スライダーぐらいでコンビネーションが単調。上背のない選手にありがちな奥行きの無さから、イニングに進むにつれ馴れられて攻略されてしまう傾向にあります。今後は、もう少しピッチングの幅を広げて行くことが求められます。投手としての完成度は高いので、大学でも比較的早い段階から、頭角を現すのではないのでしょうか。
対照的に、日大山形の先発・庄司 瑞(3年)右腕は、185/75 の恵まれた体格を生かし、135~MAX143キロぐらいの力強いボールを投げ込みます。独特のちょっと体を捻り球の出どころが見難いフォームであり、かつボールが結構散らばっていて、アバウトながら的が絞り難かったことが、強打日大三打線の焦りを誘ったのも確かでしょう。ランナーを背負いながらも、連打を食らわずに9回を1失点完投。全国屈指の強力打線を、最後まで勢いづかせませんでした。
日大三では、135キロ前後ながら勢いのあるボールを投げる 荻野 佑真(3年)左腕や、馬力のあるボールが投げられる 釘宮 光希(2年)右腕など、力のある投手が揃います。最後に投げた 三輪 昂平(2年)右腕などは、常時145~後半を投げ込める圧倒的なポテンシャルを秘めます。ボールは力んで上吊りますが、スライダーのキレもよく力の匙加減を覚えるとストレートの球威も素晴らしいので楽しみ。釘宮が試合を作り、三輪が試合を締める、そんな新チーム以後の青写真が想像できる投手陣でした。三輪はどう転ぶかわかりませんが、持っている資質は、ドラフト候補と呼ぶに相応しい選手ではないのでしょうか。
日大三の打線は、好い意味でも悪い意味でもスケールダウンした 横尾 俊建(慶応大)みたいな打者が揃い、レベルの低い投手相手ならば、容赦たく破壊する力があります。横尾自身が脆かったように、更にスケールダウンした彼らも、その例外ではありませんでした。優勝した三高打線には、高山のような稀な技術を兼ね備える選手もいましたし、もう少しバラエティに飛んでいた印象があります。それに比べ今年の打線は、同型が多く同じように討ち取られていたのが気になりました。その点では、森 龍馬(3年)左翼手や 佐々木 優(3年)一塁手などは、大学でも野球を続けて行く素材でしょうから、脆さをいかに今後改善して行けるかでしょう。
三高がこうもあっさり大差で負けたのは、この夏圧倒的に大差で西東京大会を勝ち上がってきたことにも大きな原因がありそうです。劣勢を経験できず、自分たちのペースを掴めない展開での試合を、殆ど経験して来ませんでした。このへんが、甲子園での緒戦で狂った歯車を戻すことなく終わった。またそれを取り戻せるほどの、絶対的な底力が、このチームになかったということなのだと思います。西東京予選の間に、苦しい試合を1試合でも経験していれば、ここまで一方的な試合にはならなかったのだと思います。大型チームによくありがちな、脆さを感じた試合でした。ただ日大山形も、けして上手く運んだだけのチームではなく、攻守にバランスが取れたチームだったからこその、番狂わせを演出することができたのでしょう。
2年生中心の横浜高校にあって、早くから来年の1位候補と評判なのが、4番の 高濱 裕仁(2年)遊撃手。兄は言わずと知れた 高濱 卓也(ロッテ)内野手。この試合でも、内角低めの難しい球を、見事捌いてレフトスタンドへ。兄は特徴の見え難い左の中距離ヒッター(1位競合)だったのに対し、弟は右の長距離砲という特徴を持っていることが大きい。まだ甘い球を打ち損じないというほどの絶対的な凄みはないが、野球人としての器は兄より明らかに上(兄はあまり評価していなかった)。ただひとつ気になるポイントをあげるとすれば顔。これはルックスが好い悪いということではなく、何か表情に締まりがないところが、筒香嘉智(ベイスターズ)似ていて、意識が何処にあるのか不安がよぎる。最終学年に向けて、表情に変化が出てくるのかどうか、これからも注目してみたい。
またこの試合5安打を放った3番の 浅間 大基(2年)中堅手も、高濱と共に入団当時から騒がれてきた天才肌。この試合では5安打を放ち、これは出来すぎの感は否めないが、大舞台こそこの選手の潜在能力が引き出される舞台。持っている野球人としての資質は、同じ左打ちの外野手・乙坂 智(ベイスターズ)よりもスケールでは上を行き、来年ドラフト指名される可能性は高い。攻守にソツがなく肩も悪くないので、打撃以外も抜かりないだろう。特にこの選手、夏の大会直前に長浜グランドで見ていたのだが、打球が上がっても中々落ちて来ない。それだけでもこの選手、やはり持ちえる潜在能力は只者ではないなと強く感じる。ただ横浜高校に多く見られる、独特のちょっと抜けたところがあるので、そのへんが最終学年で何処まで引き締められるのか注目したい。
逆に今ある能力を遺憾なく発揮出来ているのは、1番を打つ 川口 凌(2年)三塁手。今年のドラフトの目玉・松井 裕樹(桐光学園)投手のスライダーにも、全く崩されることなく対応してたように、ボールを捉える感覚の良さには素晴らしい。167/67 と体格には恵まれないだけに、来年のドラフト候補とはならないのだろうが、トップアマで長く活躍できるぐらいのハイセンス。個人的には、高濱・三塁・川口・遊撃の三遊間を見てみたい。
また全国レベルの好投手・伊藤 将司(2年)左腕を巧みにリードする 高井 大地(2年)捕手も、守りの曲者。すでに社会人みたいな大人びたプレーをする選手で、ハイレベルな横浜高校の野球を支える司令塔。ただ横浜高校の捕手が以外に卒業後伸びないのは、監督の求めるものに答えられるハイレベルな技術を有するも、その上のレベルで必要な自分でそれを広げて行ける教育を受けていないせいなのだろうか?彼はそういった傾向を、今後打ち破って行けるのか注目したい。
丸亀では、4番の 池内 健人(3年)中堅手の内角の捌きの良さが目立ちました。ただパワフルで豪快なバッティングの一方、県大会打率.294厘とそれほどでもないのは、外角の捌きなどに課題があるのか?県大会の模様も含めてレポートを作成してみたい。打撃でのインパクトでは、このチームでは抜けています。
また打撃では結果が残せませんでしたが、再三のゴロを処理していた 一番の 車谷 康太(3年)遊撃手の守備も光ります。以前もレポートした選手ですが、その時と比較して、また個別のレポートを作成したいと思います。
第二試合 日大山形 VS 日大三
この試合では、東北地区を代表する遊撃手・奥村 展征(日大山形3年)遊撃手が、真ん中低めのストレートをバックスクリーンに叩きこみ強烈なインパクトを残します。奥村は旧チームから目立つ存在でしたが、この夏の山形予選でも打率.667厘を残し本格化した模様。遊撃手としても捕ってからも素早く、深い所からも刺せる肩があり、攻守でアピールできたことは大きかったと思います。山形大会と今後の甲子園での内容とを加味して最終的な評価はしたいのですが、ドラフト候補としてスカウト達に存在感を示したことは間違いないでしょう。
日大三の先発・大場 遼太郎(3年)右腕は、167/72 と小柄ですが、130キロ台後半~MAX144キロのストレートの勢いは良かったです。初回はエラーなどで不運なに失点を与えるも、以後は持ち味を発揮し試合を作ります。ただ速球以外の球種が、スライダーぐらいでコンビネーションが単調。上背のない選手にありがちな奥行きの無さから、イニングに進むにつれ馴れられて攻略されてしまう傾向にあります。今後は、もう少しピッチングの幅を広げて行くことが求められます。投手としての完成度は高いので、大学でも比較的早い段階から、頭角を現すのではないのでしょうか。
対照的に、日大山形の先発・庄司 瑞(3年)右腕は、185/75 の恵まれた体格を生かし、135~MAX143キロぐらいの力強いボールを投げ込みます。独特のちょっと体を捻り球の出どころが見難いフォームであり、かつボールが結構散らばっていて、アバウトながら的が絞り難かったことが、強打日大三打線の焦りを誘ったのも確かでしょう。ランナーを背負いながらも、連打を食らわずに9回を1失点完投。全国屈指の強力打線を、最後まで勢いづかせませんでした。
日大三では、135キロ前後ながら勢いのあるボールを投げる 荻野 佑真(3年)左腕や、馬力のあるボールが投げられる 釘宮 光希(2年)右腕など、力のある投手が揃います。最後に投げた 三輪 昂平(2年)右腕などは、常時145~後半を投げ込める圧倒的なポテンシャルを秘めます。ボールは力んで上吊りますが、スライダーのキレもよく力の匙加減を覚えるとストレートの球威も素晴らしいので楽しみ。釘宮が試合を作り、三輪が試合を締める、そんな新チーム以後の青写真が想像できる投手陣でした。三輪はどう転ぶかわかりませんが、持っている資質は、ドラフト候補と呼ぶに相応しい選手ではないのでしょうか。
日大三の打線は、好い意味でも悪い意味でもスケールダウンした 横尾 俊建(慶応大)みたいな打者が揃い、レベルの低い投手相手ならば、容赦たく破壊する力があります。横尾自身が脆かったように、更にスケールダウンした彼らも、その例外ではありませんでした。優勝した三高打線には、高山のような稀な技術を兼ね備える選手もいましたし、もう少しバラエティに飛んでいた印象があります。それに比べ今年の打線は、同型が多く同じように討ち取られていたのが気になりました。その点では、森 龍馬(3年)左翼手や 佐々木 優(3年)一塁手などは、大学でも野球を続けて行く素材でしょうから、脆さをいかに今後改善して行けるかでしょう。
三高がこうもあっさり大差で負けたのは、この夏圧倒的に大差で西東京大会を勝ち上がってきたことにも大きな原因がありそうです。劣勢を経験できず、自分たちのペースを掴めない展開での試合を、殆ど経験して来ませんでした。このへんが、甲子園での緒戦で狂った歯車を戻すことなく終わった。またそれを取り戻せるほどの、絶対的な底力が、このチームになかったということなのだと思います。西東京予選の間に、苦しい試合を1試合でも経験していれば、ここまで一方的な試合にはならなかったのだと思います。大型チームによくありがちな、脆さを感じた試合でした。ただ日大山形も、けして上手く運んだだけのチームではなく、攻守にバランスが取れたチームだったからこその、番狂わせを演出することができたのでしょう。
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