2013年夏 甲子園7日目レポート
2013/07/30|Category:観戦記
今回のレポートで出場全校が出揃うため、この日の第三試合までで最終回になります。
第一試合 富山第一 VS 秋田商
プロ注目の 宮本 幸治(富山第一3年)右腕は、オーソドックスな右上手投げ投手。球速は、130キロ台後半~140キロ台中盤ぐらいで、ボールの勢い・球質などはドラフトボーダーレベルといった感じ。しかしそれ以上に素晴らしいのが、縦に鋭く落ちる縦スラという武器を持っている点。縦のスラキレとしては、山岡 泰輔(瀬戸内)投手の方が鋭い気がするが、自在に操れるといった点では宮本の方が精度は高い。その他にも、横のスライダー・カーブ・チェンジアップなど、球種も多彩。
ただこの投手、それほど細かいコントロールはない模様。そんななか関心したのは、相手打者に内角の球で当てそうになった次の球でも、内角を使い続けるハートの持ち主。ボール球を振らせる技術、強い精神力などを見ると、現在の力量以上に将来伸びるかもという期待を抱かせる。緒戦を見た印象では、下位指名~育成ぐらいかなと思えたのだが、木更津総合戦では145キロ前後を連発する馬力のあるところも魅せつけてくれた。実際のドラフトでは、4,5位ぐらいで、指名して来る球団が出てくるのではないのだろうか。高校からドラフトを、意識できるところまで来ている。
秋田商の 佐々木 泰裕(2年)右腕は、アンダースローから幅の広い投球で的を絞らせない投球に心がけた。球速こそ120キロ弱ぐらいで、下手だということを考えてもかなり遅い球速。それでもスライダーやカーブ・シンカーなどをおりまぜながら、両サイドだけでなく、高低も投げ分けて、ストライクゾーンをめい一杯活かしたピッチング。最近はサブマリンといっても、力でねじ伏せるタイプが目立つのだが、コース・高低をいかした下手投げらしい下手投げだと言えよう。更に来年までに、その投球を何処まで深めて行けるのか気にしてみたい。
第二試合 済美 VS 三重
今大会で最も注目だった 安楽 智大(済美・2年)右腕が、大会7日目にようやく登場。愛媛予選で見た時は、連投でもバテない体力の成長とスピード能力が更に春よりも伸びて確かな手応えを実感。それだけに甲子園では、彼がどんなピッチングを魅せてくれるのか大いに楽しみにしていた。
この三重高校戦では、レギュラー右翼手の負傷で中々投球に入れず、味方の返球ミスにも苛立ち、試合開始からうまく試合に入って行けなかった。しかしその後のイニングや別の試合でも、球速こそ甲子園記録となる155キロタイのボールを投げ込む割に、打者を圧倒できないその様は、物足りなさを感じた人も少なくなかったはず。
そう安楽のフォーム自体が、打者に合わされやすく、球速・ボールの勢いほど打者が苦にならないことを証明。緩いカーブなどの緩急で翻弄しようとするも、全国レベルの打者達をそれだけでは抑え込めないことを露呈した。春~夏に向け、自己の体力やスピードUPを着実に図れたのは確か。しかし今後彼に求められるのは、自分以外の他者を意識したプレーが出来るのかということ。それは仲間への配慮だけでなく、相手打者がどう感じるのか、どうすれば嫌がったり、打ちづらいのか、そこまで広い視野で野球を取り組めるかだろう。来夏までに、そのテーマを持って取り組むことができれば、誰もが唸るだけのピッチングを魅せつけられるようになっているはず。
三重高校では、2番手で登板した 政木 拓真(3年)右腕の投球が光った。政木は、春までエースナンバーを背負うも肘痛で、夏は10番に。県大会の途中で、ようやく復活登板した投手。甲子園でも、常時130キロ台後半~MAX145キロのズバーンと球威のある球には目を見張るものがある。変化球は、スライダーやスピリットなど球速豊かな小さな変化球中心。そのため三振の多くは、ストレートで奪っている。細かいコントロールはないにしろ、ボールもそれほど上吊らないし、素材としては中々楽しみ。今後も肘痛などに泣かされなければ、大学・社会人でも注目され3,4年後にはドラフト指名も意識できる素材ではないのだろうか。
第三試合 常葉菊川 古川工業
49代表最後の登場となった 常葉菊川。選抜も出場した同校の注目株は、遠藤 康平(3年)遊撃手。選抜では、個人的に選抜最大の収穫と絶賛した選手。ただ夏の静岡予選では、打率.158厘と低迷。この試合でも、それほどイイ当たりとは言えない三遊間のヒットのみ。更に続く鳴門戦でも、4打数0安打で終わった。実際に試合を見ていても、フォームが崩れていて本調子ではないのは見ていてすぐわかった。
それでも再三転がって来るゴロに関しては、動きの良さをアピール。守備面では、春より安定感を増したことを印象づける。ただここに来ての不調は、ドラフト戦線から大幅に後退した印象は否めない。最終的には、進学する可能性が高まったのではないのだろうか? 個人的には独特の試合勘を持っている選手なので、こういった選手を下位指名で加えてみたいとは思うのだが・・・。
甲子園二戦目となった 古川 侑利(有田工・3年)右腕は、緒戦よりもチェンジアップがキレるなど、内容は良かった気がする。緒戦の最後に圧巻のストレートを投げたように、時々おっと思える球を投げ込むのだが、平均するとまだそういった球が少ないのは残念。全国トップクラスの常葉菊川の打線を抑え込めなかったように、まだまだ総合力では物足りない。
野手としては、あわやホームランという長打を放ったように、体幹の強さを活かした長打力は魅力。ただ根本的にタイミングの取り方に課題があり、ミートセンスに欠けるところが将来的にはどうだろうか?個人的にはもう少し、投手として大学・社会人に進んで様子を見たい気がする。
(最後に)
一応、これで甲子園レポートは最終回。この以後の試合の模様もチェックはするので、気になった選手がいたら、個別にレポートを作成したい。また明日あたりには、ドラフト候補の総括を行うので、楽しみにお待ち頂きたい。選抜・大学選手権・都市対抗・そしてこの夏の予選と大会レポートを書いてきたが、これが大会レポートは今年最後の予定。これからドラフト会議までは、個別寸評の作成と生観戦レポートで邁進してゆきたいと思います。
第一試合 富山第一 VS 秋田商
プロ注目の 宮本 幸治(富山第一3年)右腕は、オーソドックスな右上手投げ投手。球速は、130キロ台後半~140キロ台中盤ぐらいで、ボールの勢い・球質などはドラフトボーダーレベルといった感じ。しかしそれ以上に素晴らしいのが、縦に鋭く落ちる縦スラという武器を持っている点。縦のスラキレとしては、山岡 泰輔(瀬戸内)投手の方が鋭い気がするが、自在に操れるといった点では宮本の方が精度は高い。その他にも、横のスライダー・カーブ・チェンジアップなど、球種も多彩。
ただこの投手、それほど細かいコントロールはない模様。そんななか関心したのは、相手打者に内角の球で当てそうになった次の球でも、内角を使い続けるハートの持ち主。ボール球を振らせる技術、強い精神力などを見ると、現在の力量以上に将来伸びるかもという期待を抱かせる。緒戦を見た印象では、下位指名~育成ぐらいかなと思えたのだが、木更津総合戦では145キロ前後を連発する馬力のあるところも魅せつけてくれた。実際のドラフトでは、4,5位ぐらいで、指名して来る球団が出てくるのではないのだろうか。高校からドラフトを、意識できるところまで来ている。
秋田商の 佐々木 泰裕(2年)右腕は、アンダースローから幅の広い投球で的を絞らせない投球に心がけた。球速こそ120キロ弱ぐらいで、下手だということを考えてもかなり遅い球速。それでもスライダーやカーブ・シンカーなどをおりまぜながら、両サイドだけでなく、高低も投げ分けて、ストライクゾーンをめい一杯活かしたピッチング。最近はサブマリンといっても、力でねじ伏せるタイプが目立つのだが、コース・高低をいかした下手投げらしい下手投げだと言えよう。更に来年までに、その投球を何処まで深めて行けるのか気にしてみたい。
第二試合 済美 VS 三重
今大会で最も注目だった 安楽 智大(済美・2年)右腕が、大会7日目にようやく登場。愛媛予選で見た時は、連投でもバテない体力の成長とスピード能力が更に春よりも伸びて確かな手応えを実感。それだけに甲子園では、彼がどんなピッチングを魅せてくれるのか大いに楽しみにしていた。
この三重高校戦では、レギュラー右翼手の負傷で中々投球に入れず、味方の返球ミスにも苛立ち、試合開始からうまく試合に入って行けなかった。しかしその後のイニングや別の試合でも、球速こそ甲子園記録となる155キロタイのボールを投げ込む割に、打者を圧倒できないその様は、物足りなさを感じた人も少なくなかったはず。
そう安楽のフォーム自体が、打者に合わされやすく、球速・ボールの勢いほど打者が苦にならないことを証明。緩いカーブなどの緩急で翻弄しようとするも、全国レベルの打者達をそれだけでは抑え込めないことを露呈した。春~夏に向け、自己の体力やスピードUPを着実に図れたのは確か。しかし今後彼に求められるのは、自分以外の他者を意識したプレーが出来るのかということ。それは仲間への配慮だけでなく、相手打者がどう感じるのか、どうすれば嫌がったり、打ちづらいのか、そこまで広い視野で野球を取り組めるかだろう。来夏までに、そのテーマを持って取り組むことができれば、誰もが唸るだけのピッチングを魅せつけられるようになっているはず。
三重高校では、2番手で登板した 政木 拓真(3年)右腕の投球が光った。政木は、春までエースナンバーを背負うも肘痛で、夏は10番に。県大会の途中で、ようやく復活登板した投手。甲子園でも、常時130キロ台後半~MAX145キロのズバーンと球威のある球には目を見張るものがある。変化球は、スライダーやスピリットなど球速豊かな小さな変化球中心。そのため三振の多くは、ストレートで奪っている。細かいコントロールはないにしろ、ボールもそれほど上吊らないし、素材としては中々楽しみ。今後も肘痛などに泣かされなければ、大学・社会人でも注目され3,4年後にはドラフト指名も意識できる素材ではないのだろうか。
第三試合 常葉菊川 古川工業
49代表最後の登場となった 常葉菊川。選抜も出場した同校の注目株は、遠藤 康平(3年)遊撃手。選抜では、個人的に選抜最大の収穫と絶賛した選手。ただ夏の静岡予選では、打率.158厘と低迷。この試合でも、それほどイイ当たりとは言えない三遊間のヒットのみ。更に続く鳴門戦でも、4打数0安打で終わった。実際に試合を見ていても、フォームが崩れていて本調子ではないのは見ていてすぐわかった。
それでも再三転がって来るゴロに関しては、動きの良さをアピール。守備面では、春より安定感を増したことを印象づける。ただここに来ての不調は、ドラフト戦線から大幅に後退した印象は否めない。最終的には、進学する可能性が高まったのではないのだろうか? 個人的には独特の試合勘を持っている選手なので、こういった選手を下位指名で加えてみたいとは思うのだが・・・。
甲子園二戦目となった 古川 侑利(有田工・3年)右腕は、緒戦よりもチェンジアップがキレるなど、内容は良かった気がする。緒戦の最後に圧巻のストレートを投げたように、時々おっと思える球を投げ込むのだが、平均するとまだそういった球が少ないのは残念。全国トップクラスの常葉菊川の打線を抑え込めなかったように、まだまだ総合力では物足りない。
野手としては、あわやホームランという長打を放ったように、体幹の強さを活かした長打力は魅力。ただ根本的にタイミングの取り方に課題があり、ミートセンスに欠けるところが将来的にはどうだろうか?個人的にはもう少し、投手として大学・社会人に進んで様子を見たい気がする。
(最後に)
一応、これで甲子園レポートは最終回。この以後の試合の模様もチェックはするので、気になった選手がいたら、個別にレポートを作成したい。また明日あたりには、ドラフト候補の総括を行うので、楽しみにお待ち頂きたい。選抜・大学選手権・都市対抗・そしてこの夏の予選と大会レポートを書いてきたが、これが大会レポートは今年最後の予定。これからドラフト会議までは、個別寸評の作成と生観戦レポートで邁進してゆきたいと思います。
スポンサーサイト