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プロ野球ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人・蔵建て男が、日本中を駆け巡り本音でトーク!

高橋 光成(前橋育英3年)投手

高橋 光成(前橋育英・3年)投手 188/88 右/右





               「よくぞここまで」





昨夏の甲子園優勝投手であり、早くから翌年のドラフト1位候補として注目されてきた 高橋 光成 。しかし最終学年では、順調さを欠いて心配された。春先に怪我をして、注目された春季群馬大会緒戦の樹徳戦では登板がないまま敗れる。私自身、群馬まで足を運んだだけに残念だった。高橋が実戦復帰して間もなく行われた 5月の宮崎県招待試合。そこで見た高橋は、MAX141キロながら8分ぐらいの出来を印象づけるもの。これならば、夏には充分間に合うと実感させてくれた。しかしその後の試合で、高橋の評判は芳しくなく夏の大会に入ってゆく。そして前橋育英最大の強敵、健大高崎を迎えることになる。まさに高橋の能力を計るのに、これ以上の相手はいない。

(投球内容)

昨夏に比べると、明らかに体つきが一回り、二回り逞しくなっています。188センチの長身は、見ていても迫力を感じずにはいられません。昨夏は好投手タイプのイメージが先行していたのですが、今は威圧感が出てきました。

ストレート 常時140キロ台~MAX147キロ

夏の予選までは、ストレートが物足りなく回復していないと言われてきました。しかしこの試合では、ストレートに関しては昨夏のレベルまで回復したと言えるでしょう。というより昨夏は、要所でズバッと速い球は投げられても、平均するといつも140キロ台を連発していたわけではありません。そういった意味では、平均して速い球は投げられますし、角度のある球をバシバシ決められる迫力も出てきた点では、この一年の成長を感じます。それもウエートの乗った球が、コーナーにビシッと決まった時は唸るものがあります。ボールの力で、相手を圧倒できるようになった、この点では昨夏以上でしょう。

変化球 カーブ・スライダー・フォークなど

曲がりながら落ちるスライダーを外角低めに決め、たまにカーブで緩急を効かせつつも、勝負どころではフォークで空振りを誘えます。昨夏は外角低めに切れ込むスライダーで相手を仕留めるケースが目立ったのですが、今はフォークで空振りを誘う方が増えているのではないのでしょうか。フォークの精度は、この一年で更に高まりました。

その他

あまり鋭い牽制を魅せない選手でしたが、足で揺さぶる健大高崎相手に鋭い牽制を魅せていました。クィックも1.0秒台で投げ込める素早さがありますし、フィールディングもベースカバーなどの入りは早くしっかり鍛えられています。物凄く運動神経に優れたタイプには見えませんが、野球センスの高さ、投球以外の部分まで高めて行ける意識の高さを感じます。

またランナーを背負うような場面でも、パッとマウンドを外したりと相手の打ち気を逸したり、自分自身の気持ちを落ち着かせることが自然とできます。こういったところに、この選手の投手らしさを垣間見ることができます。

(投球のまとめ)

気になったのは、調整不足なのか?大きくなった体とのバランスが保てないのかわかりませんが、投げ終わったあと体が一塁側に流れるなど、フォームを崩していたこと。元々細かいコントロールを売りにしていたわけではありませんが、結構意図しないところへのボールが多く、コントロール・全体のまとまりという点では、昨夏のレベルまでは最後まで至らなかったのではないのでしょうか。8回まで健大高崎を抑えましたが、終盤疲れてきたところでコントロールミスをし、こういった部分の悪さが負けにつながったものと考えられます。

ボールの威力を増したことはアピールできましたが、全体のまとまりという部分では昨夏ほどのものは示せなかった。そんな印象を持ったスカウトも少なくなかったのでは。しかしこういったバランス的なものは、プロに入って幾らでも修正できますので、評価に大きな影響を及ぼすとは思えません。ボールの力強さを増した、そのことの方が高く評価できるポイントになります。

(投球フォーム)

それでは昨夏と比べ、フォームがどの程度変わっているのか考察してみます。

<広がる可能性> ☆☆☆

お尻の落としは、一塁側に充分落ちているわけではありません。しかしこれは、昨夏からもこんなものであり、体を捻り出すスペースとしては、それなりに確保出来ています。カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球を武器にするのも、けして無理はないでしょう。

むしろ問題なのは、着地までの時間が平均的で、体を捻り出す時間も平凡だということ。こうなると変化球のキレ・曲がりも中途半端になりがちですが、この選手はスライダーを外角低めにうまくコントロールしたり、フォークもスピリット気味に落差はそれほどでもなくても、うまく低めで落とすことで活かすことが出来ています。この選手は、ボールの活かし方に非凡なものがあり、そこに投手としてのセンスを感じます。

<ボールの支配> ☆☆☆☆

グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定。足の甲でも地面を押し付けられており、ボールもそれほど上吊りません。しかし思ったほど細かいコントロールはなく、大まかにコーナーに、あるいは変化球が低めにといったタイプ。「球持ち」は平均的で、指先の感覚にはそれほど優れていません。もう少し「球持ち」など指先の感覚を磨き、球持ちに粘りが出てくると嫌らしい投球ができるのですが。

<故障のリスク> ☆☆☆☆

お尻をある程度落とせるフォームなので、カーブやフォークといった体を捻り出して投げるボールでも、肘への負担は少ないはず。

腕の送り出しを見ていても、無理な感じはしないので、肩への負担も少なそう。故障も外部的な要因で、肩・肘を痛めたわけではないので、悲観することはないでしょう。

<実戦的な術> ☆☆☆

「着地」までの粘りがそれほどないので、体の「開き」も早くなって、ボール自体は見やすいフォーム。そのため球筋がいち早く見極められてしまい、コースを突いた球でも打ち込まれてしまいます。

振り下ろした腕は身体に絡み、速球と変化球の見極めは困難。実際に、スライダーやフォークでの空振りも目立ちます。ステップ幅など下半身の使い方には課題を残しますが、ボールには適度にウエートが乗せられており、球威のある球を投げ下ろすことが出来ています。この辺は、ウエート増加によって球威が増したことが大きいと考えられます。

(意識づけ)

宮崎の招待試合で生で見ていて思ったのは、高校生としては優等生タイプかと感じました。何かプロで飯を食ってやろうというギラギラしたものは感じませんでしたが、言われたことは素直に訊いて、指導者のいうことを短期間で理解し実行できるセンスがあるタイプではないのでしょうか。

その一方で、何か自分から創意工夫して見出して行けるセンス・発想力があるのかはちょっと疑問が残ります。最後は、自分の感性でピッチングの幅を広げたり、生き残る術を模索することが求められます。そういった部分での、物足りなさは多少感じます。

それでも所作を見ていても、投手らしいきめ細やかさも感じますし、野球センスの高さも感じます。凄みを感じる選手ではありませんでしたが、素直に技量を伸ばして来るだろうなという期待は抱かせます。高校生に、これ以上ものを求めるのはナンセンスではないのでしょうか。

(投球のまとめ)

投球フォームを見るかぎり、昨夏から殆どいじっていないことがわかります。今のフォームの土台を大切にし、肉体のパワーアップを図ってきたのでしょう。逆にそれが、大きくなった身体とのバランスを崩し、狂ったフォームの修正が充分行えなかった要因かもしれません。

そのため昨夏から課題は、殆ど改善されていません。投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」という部分では、意外に課題が多く素材型の選手だということがわかります。それでもコントロールを司る動作や故障し難いフォームをしている点は評価でき、天性の野球センスで技術の未熟さを補ってきたとも言えるでしょう。

(最後に)

それこそが、彼の今後の伸びしろとも評価できますし、プロで伸び悩む要素にもなりかねません。適度なまとりと高い野球センスがあり、素直に肉付けして導けば2,3年目にはローテーション投手になるかなと見ていました。

しかしフォームを分析すると、結構危うい要素があり伸び悩む可能性も否定できません。また自分で自分の欠点を改善し、伸ばしてゆくということを、技術的な観点でやって来なかっただけに、入る球団によって将来は大きく変わって来るかもという不安が芽生えてきました。彼が大成するのには、一つしっかり技術的に指導できる環境が揃っていることが条件になると考えます。

それでも順調に行けば、毎年二桁級を意識できる素材。凄みを増したことで、昨夏何か綺麗にまとまり過ぎているなぁという物足りなさも払拭してくれました。バランスを崩したフォームも、プロならば充分立て直しが可能でしょう。個人的には、外れ1位~2位までの間に指名されると評価しますし、実際にそうなるのではないのでしょうか。けして素材としての魅力を、この一年で損なったわけではありません。むしろ凄みを増したことで、私自身の好感度は増しました。

蔵の評価:☆☆☆

(2014年 群馬大会)
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