野村 亮介(21歳・MHP横浜)投手
野村 亮介(21歳・MHP横浜)投手 187/80 右/右 (静清出身)
「柿田(DeNA)と同じようなパターン」
高卒3年目である程度社会人の一線で投げられる位置にいるが、プロを想定するとまだまだ物足りない。そんな状況が、ちょうど一年前の 柿田 裕太(日本生命-DeNA1位)投手の状況と良く似ている 野村 亮介。野村も高卒3年目の若さがあり、まだ今以上に伸びるのではないかという期待値込みで、今非常に高い評価になりつつある。二人のドラフト前は、極めて酷似していると言えよう。
(投球内容)
187/80 という恵まれた体格ではありますが、フォームに癖がなく怖さがない。
ストレート 常時140キロ台~MAX149キロ
先発で大人しいイメージがある野村でしたが、都市対抗では力で押す投球を披露。今まで野村を何度となく観てきましたが、だいたい130キロ台後半~140キロ台前半の球速帯であり、都市対抗の常時140キロ台~後半を刻む球速は、イメージをかなり変えました。
しかし よ~く、ボール一つ一つを見ると、両コーナーにはコントロールされるものの、球全体が高い。特にフォームが合わされやすい・球筋も素直なので、その点はプロの打者ならば見逃さないだろうという感じは受けます。
しかし日本新薬戦のリリーフで登場した試合では、別人のような力投で140キロ台後半を連発。そういった力でグイグイ押すような投球ができることがわかったことは、新たな収穫でもありました。
変化球 スライダー・フォーク・チェンジアップ
今までは、右打者外角に小さく切れ込むスライダーとチェンジアップで打ち取るタイプでした。しかしここに来て、130キロ台のフォークが落ちるようになり、実戦でも多く使ってきます。むしろフォークに頼りすぎて、今後ピッチングが汲々になるのではないかと心配に。コントロール・マウンド捌きは悪くないのですが、意外に引き出しが少ないのが特徴としてあげられます。
その他
牽制はそれほど鋭いものはありませんが、適度に織り交ぜてきます。クィックも1.0~1.1秒ぐらいでまとめられており、投球以外の技術も悪くありません。大型ですが、野球センスは高く、動作が緩慢ということはありません。
(投球のまとめ)
春先に見た時は、あまり変わっていないなぁという印象でした。しかし都市対抗本戦では、球速を大幅にアップ。力で押せるまでの投球を魅せてくれたことは、驚きでもありました。
しかし高めに集まりやすい球筋、怖さ・苦にならないフォーム、それに精神的に弱いのか、ピンチになると、顔つきがとても弱々しくなるのも気になります。それだけに素材としての魅力は感じても、プロで一年目から何処までやれるのには疑問が残ります。
(投球フォーム)
今度はフォームの観点から、今後の可能性について考えてみたい。
<広がる可能性> ☆☆
引き上げた足を地面に向けてピンと伸ばすので、お尻は一塁側に落とせません。すなわち体を捻り出すスペースを確保できないので、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種には適しません。それでも彼の場合、かなりフォーク多く使って来るのは気になります。
「着地」までの粘りもイマイチで、体を捻り出す時間も充分ではありません。変化球のキレ・曲がりの大きさにも影響しますが、その点でも気になります。小さく体の近くで曲がるスライダーは実戦的ですが、フォークが武器になるまで精度を高められるかは疑問。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは最後まで体の近くで抱えられ、両サイドへの投げ分けは安定。しかし足の甲での地面への押し付けができず、浮いてしまっています。そのため力を入れて投げると、どうしてもボールが上吊るようになってしまいます。「球持ち」も並で、ボールを低めに押し込めるまでには至っていません。
<故障のリスク> ☆☆☆
お尻が落とせない割に、フォークを多く使うようになってきており、将来的に肘を痛める可能性は高いのではないのでしょうか。
振り下ろす腕の送り出しには無理を感じないので、肩への負担は少なそう。それほど頑強なタイプではないので、リリーフで重宝されて、フォークを多投するようだと故障の可能性が非常に心配です。できれば先発で、感覚を開けて投げて欲しい投手ではあります。
<実戦的な術> ☆☆
「着地」までの粘りに欠け、打者からは苦にならないフォーム。さらに「開き」も早く、コースを突いたような球でも打ち返されてしまいます。
振り下ろした腕は身体に絡むように、腕の振りは悪くありません。しかしボールへの体重乗せは発展途上で、足の甲で地面を押し付けて、しっかり下半身のエネルギーを伝達できるようにしたい。そうしないと打者の手元までに、球威のある球が投げられません。
(フォームのまとめ)
投球フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」こそ並ですが後の部分に課題を残していることがわかります。ある程度完成された投手とのイメージもありますが、実際にはそうとは言えません。プロの一軍で活躍しようと思うならば、もっと技術的な向上が必要でしょう。
コントロールを司る動作も足の甲の押し付けが効かず、お尻が落とせない割にフォークを多投することでの肘への不安がもあり、この点で推せません。
(最後に)
物足りなかった球速の問題は改善しつつあり、指名自体は確実だと言えるでしょう。しかしプロで即戦力になれるのかと言われると疑問で、改善しないといけない課題も少なくありません。
更に精神的にも、思ったほど飄々としているタイプでもなく、その点でも心配かと。出来れば間隔を開けて先発で起用したいタイプなのですが、現状はそこまでの力があるのかは微妙。リリーフでやるにしても、故障への不安や精神面の問題もあり、長期の活躍は厳しいのではないかと思います。
あまり昨年の柿谷のような多大な期待は抱かないで、中位~下指名でじっくりと成長を促したいところ。間違って1位指名とかになってしまうと、非常に心配な選手ではあります。プロも、同じ轍は二度踏まないで頂きたい。
蔵の評価:☆☆
(2014年 都市対抗)
「柿田(DeNA)と同じようなパターン」
高卒3年目である程度社会人の一線で投げられる位置にいるが、プロを想定するとまだまだ物足りない。そんな状況が、ちょうど一年前の 柿田 裕太(日本生命-DeNA1位)投手の状況と良く似ている 野村 亮介。野村も高卒3年目の若さがあり、まだ今以上に伸びるのではないかという期待値込みで、今非常に高い評価になりつつある。二人のドラフト前は、極めて酷似していると言えよう。
(投球内容)
187/80 という恵まれた体格ではありますが、フォームに癖がなく怖さがない。
ストレート 常時140キロ台~MAX149キロ
先発で大人しいイメージがある野村でしたが、都市対抗では力で押す投球を披露。今まで野村を何度となく観てきましたが、だいたい130キロ台後半~140キロ台前半の球速帯であり、都市対抗の常時140キロ台~後半を刻む球速は、イメージをかなり変えました。
しかし よ~く、ボール一つ一つを見ると、両コーナーにはコントロールされるものの、球全体が高い。特にフォームが合わされやすい・球筋も素直なので、その点はプロの打者ならば見逃さないだろうという感じは受けます。
しかし日本新薬戦のリリーフで登場した試合では、別人のような力投で140キロ台後半を連発。そういった力でグイグイ押すような投球ができることがわかったことは、新たな収穫でもありました。
変化球 スライダー・フォーク・チェンジアップ
今までは、右打者外角に小さく切れ込むスライダーとチェンジアップで打ち取るタイプでした。しかしここに来て、130キロ台のフォークが落ちるようになり、実戦でも多く使ってきます。むしろフォークに頼りすぎて、今後ピッチングが汲々になるのではないかと心配に。コントロール・マウンド捌きは悪くないのですが、意外に引き出しが少ないのが特徴としてあげられます。
その他
牽制はそれほど鋭いものはありませんが、適度に織り交ぜてきます。クィックも1.0~1.1秒ぐらいでまとめられており、投球以外の技術も悪くありません。大型ですが、野球センスは高く、動作が緩慢ということはありません。
(投球のまとめ)
春先に見た時は、あまり変わっていないなぁという印象でした。しかし都市対抗本戦では、球速を大幅にアップ。力で押せるまでの投球を魅せてくれたことは、驚きでもありました。
しかし高めに集まりやすい球筋、怖さ・苦にならないフォーム、それに精神的に弱いのか、ピンチになると、顔つきがとても弱々しくなるのも気になります。それだけに素材としての魅力は感じても、プロで一年目から何処までやれるのには疑問が残ります。
(投球フォーム)
今度はフォームの観点から、今後の可能性について考えてみたい。
<広がる可能性> ☆☆
引き上げた足を地面に向けてピンと伸ばすので、お尻は一塁側に落とせません。すなわち体を捻り出すスペースを確保できないので、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種には適しません。それでも彼の場合、かなりフォーク多く使って来るのは気になります。
「着地」までの粘りもイマイチで、体を捻り出す時間も充分ではありません。変化球のキレ・曲がりの大きさにも影響しますが、その点でも気になります。小さく体の近くで曲がるスライダーは実戦的ですが、フォークが武器になるまで精度を高められるかは疑問。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは最後まで体の近くで抱えられ、両サイドへの投げ分けは安定。しかし足の甲での地面への押し付けができず、浮いてしまっています。そのため力を入れて投げると、どうしてもボールが上吊るようになってしまいます。「球持ち」も並で、ボールを低めに押し込めるまでには至っていません。
<故障のリスク> ☆☆☆
お尻が落とせない割に、フォークを多く使うようになってきており、将来的に肘を痛める可能性は高いのではないのでしょうか。
振り下ろす腕の送り出しには無理を感じないので、肩への負担は少なそう。それほど頑強なタイプではないので、リリーフで重宝されて、フォークを多投するようだと故障の可能性が非常に心配です。できれば先発で、感覚を開けて投げて欲しい投手ではあります。
<実戦的な術> ☆☆
「着地」までの粘りに欠け、打者からは苦にならないフォーム。さらに「開き」も早く、コースを突いたような球でも打ち返されてしまいます。
振り下ろした腕は身体に絡むように、腕の振りは悪くありません。しかしボールへの体重乗せは発展途上で、足の甲で地面を押し付けて、しっかり下半身のエネルギーを伝達できるようにしたい。そうしないと打者の手元までに、球威のある球が投げられません。
(フォームのまとめ)
投球フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」こそ並ですが後の部分に課題を残していることがわかります。ある程度完成された投手とのイメージもありますが、実際にはそうとは言えません。プロの一軍で活躍しようと思うならば、もっと技術的な向上が必要でしょう。
コントロールを司る動作も足の甲の押し付けが効かず、お尻が落とせない割にフォークを多投することでの肘への不安がもあり、この点で推せません。
(最後に)
物足りなかった球速の問題は改善しつつあり、指名自体は確実だと言えるでしょう。しかしプロで即戦力になれるのかと言われると疑問で、改善しないといけない課題も少なくありません。
更に精神的にも、思ったほど飄々としているタイプでもなく、その点でも心配かと。出来れば間隔を開けて先発で起用したいタイプなのですが、現状はそこまでの力があるのかは微妙。リリーフでやるにしても、故障への不安や精神面の問題もあり、長期の活躍は厳しいのではないかと思います。
あまり昨年の柿谷のような多大な期待は抱かないで、中位~下指名でじっくりと成長を促したいところ。間違って1位指名とかになってしまうと、非常に心配な選手ではあります。プロも、同じ轍は二度踏まないで頂きたい。
蔵の評価:☆☆
(2014年 都市対抗)
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