福地 元春(24歳・三菱日立パワーシステムズ横浜)投手 最終寸評
2014/10/13|Category:個別寸評
福地 元春(24歳・三菱日立パワーシステムズ横浜)投手 182/88 左/左 (自由ヶ丘-九州共立大出身)
「ほとんど田辺学」
東京ガスから大洋に入った豪腕・田辺 学 という投手を覚えているだろうか? 150キロ近い荒れ球を武器にした投手で、鉛球のような手元での伸びやキレなど無縁な、硬いボールを投げこんでいた投手。この福地の投球は、この田辺学によく似ている。特にコントロールが定まらずボールが荒れたり、変化球が流れるところなどがソックリ。今年の都市対抗では、2/3回を2安打・2三振・2四球・1失点で降板した試合などは、まさに彼を象徴する試合だった。
(投球内容)
ストレート 常時140キロ前後~MAX144キロ
物凄くゴツイ身体をしているで、150キロ連発のイメージがあるが、球速は思ったほど出ていないことが多い。それでも球威溢れる厚みのあるボールは、その球速表示より遥かに速く感じさせる迫力がある。打席に立っている打者には、プラス5キロ以上の迫力は感じられるだろうし、荒れ球で恐怖すら感じるはず。また見ている人間には、凄い球を投げるので目を奪われてしまうものがある。特に観戦機会が少ない人が、この選手のボールを見ると騙されてしまう。
ボール自体は、両サイドに散っているものの、高めに抜けることが多い。投球回数と同じぐらいの四死球は、覚悟しないといけないだろう。またボールの威力で、それ以上の数の三振も期待できる。
変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップなど
彼の球種の中でも、一番コントロールができ有効なのが、チェンジアップ。しかし見た目は、チェンジアップというよりはシュートに近い感覚。球速も130キロ台を記録し、右打者外角低めにコントロールできている。この球は、プロでも通用する球種ではないのだろうか。しかし三振を奪うというよりは、ゴロを打たせるための球で、三振はストレートで奪うケースが多い。
問題は、カーブが曲がりきらなかったり、スライダーが決まらずに引っかかってしまうことも多いので、左打者にはストレートしか決まらないことが多いということ。腕の角度はオーソドックスなので、それほど左対左のメリットは薄い。左腕でも、あまり左打者を得意にしているようには見えない。
その他
牽制・フィールディングは平均的で、クィックも1.1秒台~1.3秒ぐらいと開きは大きい。けして投球以外の部分に優れた野球センスや運動神経に優れた選手ではないので、こういった部分もプロではもう少し鍛えないといけないのでは?
特にクィックや牽制など走者に気を取られてしまうと、投球が疎かになってしまったりと、ランナーを背負ってからの投球に課題を残す。
(投球フォーム)
この制球を乱す要因は何なのか? フォームを分析して考えて行きたい。
<広がる可能性> ☆☆☆
以前よりは足をしっかりピンとは伸ばせており、多少地面に向けて足先が伸びているものの、お尻が全く三塁側(左投手の場合は)に落ちていないわけではない。しかし腕の振りが強すぎるので、体を捻り出して投げるカーブやフォークのような球種には適さないのではないのだろうか。
「着地」までの粘りも平均的で、けして身体を捻り出す時間がないわけではないだろう。むしろ不器用な選手なので、ストレートに近い変化球であるカットボールやスピリットなどで、投球の幅を広げた方が良さそう。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは最後まで体の近くにあるので、両サイドには散りやすい。しかし足の甲の押し付けが短いので、重心の沈みが深い割に、ボールが上吊る傾向が強い。「球持ち」も悪くは見えないのだが、指先の感覚が悪く、ボールを上手く操ることができない。むしろフォームの構造上の問題よりも、力加減、抜き加減などの感覚が非常に悪い気がするのだ。
<故障のリスク> ☆☆☆☆
お尻の落としに甘さはあるが、けして落とせないフォームではない。まして負担のかかるような球種を多投するわけでもないので、現時点では肘への負担は少なそう。
振り下ろす腕の角度にも無理はないので、肩への負担も少なそう。大学時代も登板が少なかっただけに、肩の消耗も少なくきたはず。力投派なのでそのへんは多少気になるが、頑強そうなのでタフなリリーフという期待には応えてくれそう。
<実戦的な術> ☆☆☆
「着地」までの粘りは平均的で、体の「開き」も極端に早い感じはせず、特に合わせやすいということはないだろう。だからこそ、ストレートであれだけの三振が奪えるとも言える。
腕を強く振れるのが最大の魅力だが、それが強すぎるために緩い球は向かないし、変化球が上手くコントロールできない。ボールにはグッと体重を乗せられるために、日本人離れした厚みのあるボールを投げられる。
(最後に)
ストレートの迫力は、今年のドラフト候補の中でも屈指ではないのだろうか。しかしその半面、変化球の精度・コントロールのレベルが低く、実戦では安定した投球が期待できない。この傾向は、どの試合を見ても言えることで、将来的にも改善が期待できるかは疑問。
何かここを直せばという確信的なものがない限りは、この手のタイプは手を出してはいけない素材だろう。左右の違いはあれど、タイプ的には今年解雇された 北方 悠誠(唐津商-DeNA1位)と同じような欠点がある。
個人的には、プロでも今の欠点を改善できるとは思えず、ボールの魅力は認めるののの、指名リストには載せないことにする。逆に、彼が大成した時の姿を、見てみたいという興味はあるのだが・・・。
(2014年 都市対抗)
「ほとんど田辺学」
東京ガスから大洋に入った豪腕・田辺 学 という投手を覚えているだろうか? 150キロ近い荒れ球を武器にした投手で、鉛球のような手元での伸びやキレなど無縁な、硬いボールを投げこんでいた投手。この福地の投球は、この田辺学によく似ている。特にコントロールが定まらずボールが荒れたり、変化球が流れるところなどがソックリ。今年の都市対抗では、2/3回を2安打・2三振・2四球・1失点で降板した試合などは、まさに彼を象徴する試合だった。
(投球内容)
ストレート 常時140キロ前後~MAX144キロ
物凄くゴツイ身体をしているで、150キロ連発のイメージがあるが、球速は思ったほど出ていないことが多い。それでも球威溢れる厚みのあるボールは、その球速表示より遥かに速く感じさせる迫力がある。打席に立っている打者には、プラス5キロ以上の迫力は感じられるだろうし、荒れ球で恐怖すら感じるはず。また見ている人間には、凄い球を投げるので目を奪われてしまうものがある。特に観戦機会が少ない人が、この選手のボールを見ると騙されてしまう。
ボール自体は、両サイドに散っているものの、高めに抜けることが多い。投球回数と同じぐらいの四死球は、覚悟しないといけないだろう。またボールの威力で、それ以上の数の三振も期待できる。
変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップなど
彼の球種の中でも、一番コントロールができ有効なのが、チェンジアップ。しかし見た目は、チェンジアップというよりはシュートに近い感覚。球速も130キロ台を記録し、右打者外角低めにコントロールできている。この球は、プロでも通用する球種ではないのだろうか。しかし三振を奪うというよりは、ゴロを打たせるための球で、三振はストレートで奪うケースが多い。
問題は、カーブが曲がりきらなかったり、スライダーが決まらずに引っかかってしまうことも多いので、左打者にはストレートしか決まらないことが多いということ。腕の角度はオーソドックスなので、それほど左対左のメリットは薄い。左腕でも、あまり左打者を得意にしているようには見えない。
その他
牽制・フィールディングは平均的で、クィックも1.1秒台~1.3秒ぐらいと開きは大きい。けして投球以外の部分に優れた野球センスや運動神経に優れた選手ではないので、こういった部分もプロではもう少し鍛えないといけないのでは?
特にクィックや牽制など走者に気を取られてしまうと、投球が疎かになってしまったりと、ランナーを背負ってからの投球に課題を残す。
(投球フォーム)
この制球を乱す要因は何なのか? フォームを分析して考えて行きたい。
<広がる可能性> ☆☆☆
以前よりは足をしっかりピンとは伸ばせており、多少地面に向けて足先が伸びているものの、お尻が全く三塁側(左投手の場合は)に落ちていないわけではない。しかし腕の振りが強すぎるので、体を捻り出して投げるカーブやフォークのような球種には適さないのではないのだろうか。
「着地」までの粘りも平均的で、けして身体を捻り出す時間がないわけではないだろう。むしろ不器用な選手なので、ストレートに近い変化球であるカットボールやスピリットなどで、投球の幅を広げた方が良さそう。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは最後まで体の近くにあるので、両サイドには散りやすい。しかし足の甲の押し付けが短いので、重心の沈みが深い割に、ボールが上吊る傾向が強い。「球持ち」も悪くは見えないのだが、指先の感覚が悪く、ボールを上手く操ることができない。むしろフォームの構造上の問題よりも、力加減、抜き加減などの感覚が非常に悪い気がするのだ。
<故障のリスク> ☆☆☆☆
お尻の落としに甘さはあるが、けして落とせないフォームではない。まして負担のかかるような球種を多投するわけでもないので、現時点では肘への負担は少なそう。
振り下ろす腕の角度にも無理はないので、肩への負担も少なそう。大学時代も登板が少なかっただけに、肩の消耗も少なくきたはず。力投派なのでそのへんは多少気になるが、頑強そうなのでタフなリリーフという期待には応えてくれそう。
<実戦的な術> ☆☆☆
「着地」までの粘りは平均的で、体の「開き」も極端に早い感じはせず、特に合わせやすいということはないだろう。だからこそ、ストレートであれだけの三振が奪えるとも言える。
腕を強く振れるのが最大の魅力だが、それが強すぎるために緩い球は向かないし、変化球が上手くコントロールできない。ボールにはグッと体重を乗せられるために、日本人離れした厚みのあるボールを投げられる。
(最後に)
ストレートの迫力は、今年のドラフト候補の中でも屈指ではないのだろうか。しかしその半面、変化球の精度・コントロールのレベルが低く、実戦では安定した投球が期待できない。この傾向は、どの試合を見ても言えることで、将来的にも改善が期待できるかは疑問。
何かここを直せばという確信的なものがない限りは、この手のタイプは手を出してはいけない素材だろう。左右の違いはあれど、タイプ的には今年解雇された 北方 悠誠(唐津商-DeNA1位)と同じような欠点がある。
個人的には、プロでも今の欠点を改善できるとは思えず、ボールの魅力は認めるののの、指名リストには載せないことにする。逆に、彼が大成した時の姿を、見てみたいという興味はあるのだが・・・。
(2014年 都市対抗)
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