石崎 剛(24歳・新日鉄住金鹿島)投手
2014/10/15|Category:未分類
石崎 剛(24歳・新日鉄住金鹿島)投手 182/85 右/右 (三和出身)
「俺のイチオシ」
2014年度のドラフト候補の中でも、この 石崎 剛 は、イチオシの選手である。この 石崎 剛が、ここまでになるとは感慨深い。元々石崎は、茨城の三和時代に、関東屈指の投手だと評判でした。私自身最後の夏に、群馬でみたい選手と試合が重なってしまい、この群馬の投手を確認していたら、その日に敗れてしまったという苦い経験があります。次の試合では確実に見に行く予定だっただけに非常に残念だったのですが、社会人に進むとの情報も入っていたので無理しなかったと記憶しています。
しかし、そこからが長かった。毎年のように住金鹿島の試合を何試合みても、この 石崎 を確認できません。ようやく確認できたのは、入社4年目の千葉市長杯だったかと記憶します。すでにその頃の石崎は、上手投げではなくサイドに近いスリークオーターに変わっていました。球速も135~140キロぐらいの球速で、試合をまとめるセンス・コントロールなど実戦力はあったものの、プロ云々のボールの力のある投手ではなく、ドラフト候補からは完全に外れる存在になっていました。そんな石崎をその後も何度か確認出来たのですが、今年の都市対抗で見て一変していました。球速は、コンスタントに145~150キロの球速を連発し、それもストレートだけでグイグイと押しまくっているではないですか。まるで別人のようになった石崎に、目を奪われることになります。
(投球内容)
腕はかなり下がり、サイドに近いスリークオーター。ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。
ストレート 常時145~MAX151キロ
今年の都市対抗では、リリーフとして起用され、殆どストレートのみで押しまくります。相手がわかっていても、それでも空振りをしたり、捉えられないストレートは、今年の候補でも最も実戦的だと言えるでしょう。さすがにリリーフになると、細かいコントロールに欠け、ボールが高めに抜けたりとアバウトになります。今年の都市対抗でも3試合・6回2/3イニングで、四死球は3個とイニングの半分近くに。元来は、両サイドにキッチリ投げ分ける、しっかりしたコントロールの持ち主のはずなのですが。しかし少々甘いところに入っても、捉えることができないボールの勢いと球の伸びがあります。
変化球 スライダー、カーブ・シンカーなど
腕を下げてからの変化球は、圧倒的に横滑りするスライダーとのコンビネーション。たまにカーブなり、シンカー系のボールも投げていましたが、殆どはスライダーです。しかも今年の都市対抗では、殆どがストレートのため、変化球は殆ど見られませんでした。それでも6回2/3イニングを、3安打無失点に抑えてしまったところは脅威的。変化球では、カウントや目先を変えることは出来ても、仕留めきるほどの絶対的なボールはなかったと記憶します。
(投球のまとめ)
元々ゲームメイクできる能力がある選手で、四死球で自滅するような荒っぽい選手ではありません。そういった意味では、都市対抗の力で押す力投は今までのイメージを一変させてくれました。しかしそういった確かな土台があるうえに、こういった力技もできるという両方の側面があるからこそ、この選手を高く評価できるのです。
その一方で、使える変化球がスライダーのみ。それ以外の変化球レベルが低く、投球が単調になりがち。プロでもいつもこのレベルの球が投げられれば抑えられますが、そうじゃない時にいかに切り抜けられるだけのものがあるのかは、若干の不安は残ります。しかし現状は、リリーフならば充分プロでも通用するだろうということ。今年の 又吉 克樹(香川OG-中日2位)級の活躍は期待できると評価しています。
(投球フォーム)
かなり腕の下がったフォームなので、ボールが見やすいのではないかという不安が残ります。そこで、フォーム分析をして考えてみましょう。
<広がる可能性> ☆☆
引き上げた足を地面に向けて伸ばすために、お尻は一塁側に落とせません。ましてサイドに近いフォームなのもあり、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる変化球の習得は厳しいでしょう。
「着地」までの粘りも平均的で、体を捻りだす時間も並。そういった意味では、変化球にあんまり特徴がないのも頷けます。サイド特有の大きな曲がりをするスライダーというほどでもないですし、将来的にはカットボール・ツーシームなどに球速のある変化球で投球の幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。
<故障のリスク> ☆☆☆☆
お尻は落とせませんが、肘に負担の大きな球種は投げていないので悲観することはないでしょう。腕の角度や送り出しにも無理はないので、肩への負担も少なそう。それほど頑強そうではないので、その辺がリリーフで登板過多になった時に、反動が大きいのではと心配にはなります。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは最後まで体の近くにあるので、両サイドの投げ分けは安定。しかし足の甲の地面への押し付けが浅いので、力を入れて投げるとボールが抜けてしまうことも少なくありません。「球持ち」も悪くありませんし、指先の感覚にも優れた投手なので、力を入れて投げなければボールはある程度コントロールできる選手かと。その辺の使い分けが、今後の課題ではないのでしょうか。
<実戦的な術> ☆☆☆
「着地」までの粘りは並なのですが、体の「開き」は抑えられ、ボールの出処は隠せています。それゆえにこれだけストレートだけを投げても、相手を抑えることができるのでしょう。
振り下ろした腕は身体に絡むほど振れていますし、ボールにも適度に体重を乗せることは出来ています。
(フォームのまとめ)
投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」にこそあまり粘りは感じませんが、あとの部分に大きな問題はありません。
足の甲の押し付けが浅くボールが上吊る点には気になるところですが、今のボールの勢いを維持できるのであれば、かえって打ち難いはず。身体への負担も大きなフォームでもないのは、推せる材料ではないのでしょうか。
(最後に)
元来先発でもゲームメイクできるセンスとコントロールもありますが、プロで先発するのには変化球の威力・バリエーションに欠けるため、入団一年目はリリーフでの活躍を期待します。特にこの選手を推す最大のポイントは、気持ちの強さがあります。ピンチでも動じない、強いハートはプロの修羅場でも力を発揮してくれるに違いありません。
リリーフならば、1年目からセットアッパー級の活躍も期待できるほどの逸材で、50試合・2点台前半~1点台の防御率も夢ではありません。信頼できるリリーフを欲している球団には、これ以上の人材は今年いないのではないかと評価しています。ドラフトでも2巡目~遅くても3巡目までには消えると思います。もう一度言いますが、今年のイチオシです。
蔵の評価:☆☆☆
(2014年 都市対抗)
「俺のイチオシ」
2014年度のドラフト候補の中でも、この 石崎 剛 は、イチオシの選手である。この 石崎 剛が、ここまでになるとは感慨深い。元々石崎は、茨城の三和時代に、関東屈指の投手だと評判でした。私自身最後の夏に、群馬でみたい選手と試合が重なってしまい、この群馬の投手を確認していたら、その日に敗れてしまったという苦い経験があります。次の試合では確実に見に行く予定だっただけに非常に残念だったのですが、社会人に進むとの情報も入っていたので無理しなかったと記憶しています。
しかし、そこからが長かった。毎年のように住金鹿島の試合を何試合みても、この 石崎 を確認できません。ようやく確認できたのは、入社4年目の千葉市長杯だったかと記憶します。すでにその頃の石崎は、上手投げではなくサイドに近いスリークオーターに変わっていました。球速も135~140キロぐらいの球速で、試合をまとめるセンス・コントロールなど実戦力はあったものの、プロ云々のボールの力のある投手ではなく、ドラフト候補からは完全に外れる存在になっていました。そんな石崎をその後も何度か確認出来たのですが、今年の都市対抗で見て一変していました。球速は、コンスタントに145~150キロの球速を連発し、それもストレートだけでグイグイと押しまくっているではないですか。まるで別人のようになった石崎に、目を奪われることになります。
(投球内容)
腕はかなり下がり、サイドに近いスリークオーター。ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。
ストレート 常時145~MAX151キロ
今年の都市対抗では、リリーフとして起用され、殆どストレートのみで押しまくります。相手がわかっていても、それでも空振りをしたり、捉えられないストレートは、今年の候補でも最も実戦的だと言えるでしょう。さすがにリリーフになると、細かいコントロールに欠け、ボールが高めに抜けたりとアバウトになります。今年の都市対抗でも3試合・6回2/3イニングで、四死球は3個とイニングの半分近くに。元来は、両サイドにキッチリ投げ分ける、しっかりしたコントロールの持ち主のはずなのですが。しかし少々甘いところに入っても、捉えることができないボールの勢いと球の伸びがあります。
変化球 スライダー、カーブ・シンカーなど
腕を下げてからの変化球は、圧倒的に横滑りするスライダーとのコンビネーション。たまにカーブなり、シンカー系のボールも投げていましたが、殆どはスライダーです。しかも今年の都市対抗では、殆どがストレートのため、変化球は殆ど見られませんでした。それでも6回2/3イニングを、3安打無失点に抑えてしまったところは脅威的。変化球では、カウントや目先を変えることは出来ても、仕留めきるほどの絶対的なボールはなかったと記憶します。
(投球のまとめ)
元々ゲームメイクできる能力がある選手で、四死球で自滅するような荒っぽい選手ではありません。そういった意味では、都市対抗の力で押す力投は今までのイメージを一変させてくれました。しかしそういった確かな土台があるうえに、こういった力技もできるという両方の側面があるからこそ、この選手を高く評価できるのです。
その一方で、使える変化球がスライダーのみ。それ以外の変化球レベルが低く、投球が単調になりがち。プロでもいつもこのレベルの球が投げられれば抑えられますが、そうじゃない時にいかに切り抜けられるだけのものがあるのかは、若干の不安は残ります。しかし現状は、リリーフならば充分プロでも通用するだろうということ。今年の 又吉 克樹(香川OG-中日2位)級の活躍は期待できると評価しています。
(投球フォーム)
かなり腕の下がったフォームなので、ボールが見やすいのではないかという不安が残ります。そこで、フォーム分析をして考えてみましょう。
<広がる可能性> ☆☆
引き上げた足を地面に向けて伸ばすために、お尻は一塁側に落とせません。ましてサイドに近いフォームなのもあり、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる変化球の習得は厳しいでしょう。
「着地」までの粘りも平均的で、体を捻りだす時間も並。そういった意味では、変化球にあんまり特徴がないのも頷けます。サイド特有の大きな曲がりをするスライダーというほどでもないですし、将来的にはカットボール・ツーシームなどに球速のある変化球で投球の幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。
<故障のリスク> ☆☆☆☆
お尻は落とせませんが、肘に負担の大きな球種は投げていないので悲観することはないでしょう。腕の角度や送り出しにも無理はないので、肩への負担も少なそう。それほど頑強そうではないので、その辺がリリーフで登板過多になった時に、反動が大きいのではと心配にはなります。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは最後まで体の近くにあるので、両サイドの投げ分けは安定。しかし足の甲の地面への押し付けが浅いので、力を入れて投げるとボールが抜けてしまうことも少なくありません。「球持ち」も悪くありませんし、指先の感覚にも優れた投手なので、力を入れて投げなければボールはある程度コントロールできる選手かと。その辺の使い分けが、今後の課題ではないのでしょうか。
<実戦的な術> ☆☆☆
「着地」までの粘りは並なのですが、体の「開き」は抑えられ、ボールの出処は隠せています。それゆえにこれだけストレートだけを投げても、相手を抑えることができるのでしょう。
振り下ろした腕は身体に絡むほど振れていますし、ボールにも適度に体重を乗せることは出来ています。
(フォームのまとめ)
投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」にこそあまり粘りは感じませんが、あとの部分に大きな問題はありません。
足の甲の押し付けが浅くボールが上吊る点には気になるところですが、今のボールの勢いを維持できるのであれば、かえって打ち難いはず。身体への負担も大きなフォームでもないのは、推せる材料ではないのでしょうか。
(最後に)
元来先発でもゲームメイクできるセンスとコントロールもありますが、プロで先発するのには変化球の威力・バリエーションに欠けるため、入団一年目はリリーフでの活躍を期待します。特にこの選手を推す最大のポイントは、気持ちの強さがあります。ピンチでも動じない、強いハートはプロの修羅場でも力を発揮してくれるに違いありません。
リリーフならば、1年目からセットアッパー級の活躍も期待できるほどの逸材で、50試合・2点台前半~1点台の防御率も夢ではありません。信頼できるリリーフを欲している球団には、これ以上の人材は今年いないのではないかと評価しています。ドラフトでも2巡目~遅くても3巡目までには消えると思います。もう一度言いますが、今年のイチオシです。
蔵の評価:☆☆☆
(2014年 都市対抗)
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