2014年神宮大会初日・大学の部
2014/11/11|Category:観戦記
大会初日大学の部・第一試合 富士大 VS 創価大
富士大の先発で、来年の上位候補でもある 多和田 真三郎(中部商出身)は、圧巻の立ち上がりだった。初回から常時140キロ台後半~MAX151キロの球の伸び・勢いも素晴らしく、11月の第一試合とは思えないスピード能力を示す。更にブレーキの効いたカーブ・スライダー・高速で小さく沈むスピリット気味の球もあり、筋の良さを見せつけた。中部商時代は、ボールの威力よりもゲームメイクできるセンスの良さが光った選手。しかし富士大に進んでから、見違えるほどに球速が増してきた。
気になる材料は、重心を非常に深く沈めて投げる負担の大きなフォーム。それ故に,疲労が蓄積しやすく、プロの長いシーズンを戦う上で好調期間をいかに持続できるのか。また抜群の伸びを魅せる快速球も、コントロールという意味では結構高めに浮いたり、バラついたりと甘く入って来るところはどうだろうか? またツーアウトランナーなしの状況から、一気に逆転を許しその後も失点を続けたように、ガタガタとゆくと歯止めが聞かなかった部分も、今後に向けてのチェックポイント。いずれにしても順調に最終学年を過ごせば、上位で消える選手なのは間違いない。
富士大の2番手で登板した 小野 泰已(折尾愛心出身・2年)右腕は、145キロを記録。神宮大会代表決戦戦では、150キロを記録するなど、今話題の投手。福岡の折尾愛心時代から、知る人ぞ知る存在で、私も彼の名前を訊いた時にあの小野なのかと思ったほど。投げ終わったあとに、大きく一塁側に流れるフォームと、腕が突っ張ってしならない腕の振りは球質の面で気になる材料。それでもボールを低めに決めたりと、その素材としての可能性を感じさせた。来年以降、チームで重要なところを任されてゆくか注目したい。名前は、頭の片隅に入れておいて損はないだろう。
西武ドラフト3位の 外崎 修汰(富士大)内野手は、秋は首位打者を獲得。セカンドゴロの一塁到達タイムが、右打席から4.0秒強ぐらいと改めて足の速さを示して魅せた。また遊撃手としての動きもよく、走力・守備力に関しては、一年目から一軍を意識できるレベル。しかしながら打撃では、まだまだレベルの高い相手だと苦しく、こちらは一軍でモノになるのには数年はかかるだろうし、将来的に打撃がネックになるかもしれません。
同じくロッテに4位指名された 寺嶋 寛大(創価大)捕手は、今年何度もレポートしてきた選手。やはりプレー全体が雑で大雑把なのと、スローイング・打撃共にプロに混ぜると中の上レベルで、際立つ特徴が見出だせません。キャンプ・オープン戦では一軍に帯同し、現有戦力の刺激剤にはなると思いますが、まずは1,2年ファームで基礎を改めて見直す期間になるのではないのでしょうか。
大会初日大学の部・第二試合 九州産業大 VS 中部学院大
この試合の注目は、カープドラフト1位の 野間 峻祥(中部学院)中堅手と、中日2位の 浜田 智博(九州産業大)左腕の、上位指名対決にありました。浜田 智博(宮崎工業出身)左腕は、変則の割にそれほどタイミングが合わせ難くなく、かつ繊細なコントロールがないので、正直あまり今まで良さがわからかった投手。今年もすでに4,5回見ているのですが、今ままで一番良く見えました。低めにボールを集めて、ストライクゾーン~ボールゾーンに逃げてゆくスライダーが、この選手の持ち味。このピッチングができれば、ある程度のレベルの相手ならば、ゲームメイクできるのは頷けます。しかし課題は、それしかないということ。そのため相手レベルが上がると、このパターンだけでは通用しない。そこで違うことやろうとすると、甘く入って痛打を食らうそのパターンではないかと。ようは、一定のレベル相手には強さを発揮するものの、全国レベルでも上位校レベルやプロレベルの打線相手になると、正直抑えきれない、そういったピッチングを繰り返します。しっかりコントロールできないと、140キロ前後ぐらいで、球威・球速・キレも際立つことのない彼のピッチングは、打ち頃になってしまいます。春先のソフトバンク三軍に、面白いように打ち込まれたのは、必然だったのではないのでしょうか。現状、もう少しピッチングの幅を広げて行かないと一軍では厳しいかなという印象は変わりません。
野間 峻祥(村野工業出身)中堅手も、気になる部分が少なくありませんでした。野間は、下級生の時から何度も見てきましたし、今年も春・夏のオープン戦でも観戦。東海地区の関係者や仲間などからも絶賛の声が尽きないのですが、申し訳ないですがそこまで絶対的なものは感じません。
一つは、確かに肩も結構強いですし、落下点まで入る守備範囲の広さなど守備・そして抜群の脚力はプロでも即通用するものがあると評価します。しかしこの選手毎回気になるのですが、返球の時に狙ったところにしっかりコントロールできず、逸れたり、オーバーしたりするわけです。肩も強いですが、物凄い強肩というほどでもない。そう考えると守備の総合力は、そこまでA級ではないようなぁと現時点では思うわけです。
もう一つ打撃なのですが、甘い球を打ち損じることが多い。ドラフトで上位指名レベルならば、甘い球を確実に仕留める隙無しの打撃が求められるのですが、どうも思ったほどバットが内から出てこないでミスショットが多い。逆に瞬時にボールになるような球を拾ってしまうような、天才的なバットコントロールでヒットする場面は目立ちます。この夏のオープン戦で、ことごとく低めのボール球に手を出して仕留められるシーンを見たのですが、いくら天才肌でもボールの見極めがある程度できないと、正直プロレベルの変化球に翻弄されるのでは。またプロのレベルの球威・球速のある球でも、甘い球を叩けないようだと、打撃でも数年は苦労するかなぁと思うわけです。天才的な一面を魅せる一方で、プロレベルならば出来て当たり前のことが出来ていない、この部分に引っかかるわけです。秘めたるポテンシャルは相当なものがあるかもしれませんが、それを引き出し活かせるようになるには、数年はかかるのでは? という気はいたします。
二人に言えるのは、今ある能力だけでは一軍で即通用するのは厳しいのではないかということ。更にプロの世界で、新たなものを見出して行かないと、期待には応えられないだろうなという気が致しました。やはり濱田は下位指名レベルですし、野間も中位ぐらいの選手じゃないかなというのが個人的な感想であり、執拗に評価が跳ね上がってしまった感は否めません。
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