７/２１ の ドラフト候補

選抜大会以後調子を落としていた　奥川　恭伸（星稜３年）右腕だったが、この夏はじめて登場。僅か２イニングのリリーフ登板だったが、スタミナ配分を気にせず力でねじ伏せに行く姿は圧巻だった。球場ガンでは１５８キロを記録したとも言われ、確かにボールの勢い・凄みが春以上に増してきた感じがする。この球場は５キロ近く速く出るとも言われるが、それでも１５０キロ以上のボールを連発していたのも間違いないだろう。さらに曲がりながら沈む独特の軌道のスライダーは切れ味を増し、力を入れた真っ直ぐは真ん中～低目のゾーンに集まっていたのも高く評価できる。現時点での完成度では、佐々木　朗希（大船渡）以上であることを、改めて強く実感させられた。今年のドラフトは、この２人を中心に推移することは間違いないだろう。

一方の　佐々木　朗希（大船渡３年）右腕は、延長戦にもつれ込むなど春の県大会準優勝校相手に最後まで苦しめられた。それでも１９０球を越える球数を要しながらも、自らホームランを放つなどまさに持っている男を印象づけた。二回目の登板となった前回よりも、微妙なコントロールもつくようになり内容は良化。終盤には１６０キロも記録するなど、奥川と違う意味での凄みを見せつけてくれた。こういう苦しい試合をものにできるあたりに、単なる素材型の域を脱しているところを印象づけた。

その佐々木や奥川らと並んで、春までは高校ビッグ４とも言われていた　及川　雅貴（横浜４年）左腕も、試合終盤にリリーフで登場。腕の振り・ボールの勢い・制球力ともに、今年一番のデキだったのではないかといった内容だった。選抜での敗戦以後評価は下げていたが、今後のアピール次第では再び評価を取り戻す予感すら感じさせる内容。素材としては、高校球界屈指の左腕　という評価は揺るがない。東海大相模や桐光学園などの、全国レベルの強豪校での熱投や甲子園などでのアピールが待たれる。

神奈川の右投手ではNO.1の素材ではないかと期待された　渡邉　倫太朗（三浦学苑３年）右腕は、春季大会の時点では伸び悩んでいた。しかし夏までにうまく調子を取り戻し、この横浜高校戦では持ち得る能力を出し切るだけの好投をして魅せた。高校からの指名となると微妙な位置にはいるが、素材の良さは確か。育成あたりでもというプロ志向の持ち主ならば、何処かから指名があるかもといった土台の良さはある。

沖縄では決勝戦が行われ、春季大会で及川に匹敵する左腕として評価された　宮城　大弥（興南３年）が、準決勝に引き続き先発。本人曰く、この夏はあまり調子が良くないというとおり、準決勝の内容は春ほどの勢いがなかったのは気になっていた。しかしこの決勝戦では、要所では１４０キロ台中盤を連発するなど、渾身の投球を続けて行く。延長にもつれ込み、球数も２００球を越えた。投げるたびにバランスを崩すほどフラフラだったが、最後の最後で力尽きた。この日は速球で押すスタイルで、むしろもっとスライダーをうまく使っていたらと思える場面も少なくなかった。本人なりに、悔いは残したくなかったということだろうか。最後の最後で、この投手の精神力の強さを垣間見られたことは収穫だった。春・夏連覇した　先輩の　島袋洋奨　の高校時代ほど絶対的なものはなかったが、志望届けを提出すれば３位以内での指名は期待できるのではないのだろうか。

奥川　恭伸（星稜高校３年）投手　１８３／８２　右／右
佐々木朗希（大船渡高３年）投手　１８９／８１　右／右
及川　雅貴（横浜高校３年）投手　１８３／７４　左／左
渡邉倫太朗（三浦学苑３年）投手　１８２／８０　右／右
宮城　大弥（興南高校３年）投手　１７３／７０　左／左

この日は投球こそ確認できなかったが、かつてのビッグ４の一人・西　純矢（創志学園）右腕が、投打に健在ぶりをアピールしたという。果たして当初のビッグ４が、揃って甲子園に集結することはあるのだろうか？