高野 圭佑(四国学院大4年)投手
2013/07/19|Category:個別寸評
高野 圭佑(四国学院大)投手 177/72 右/右 (呉工出身)
「あんまり変わってなかったが・・・」
昨年の大学選手権では、MAX151キロを記録。打者の手元まで勢いが落ちないストレートは本物で、その成長が楽しみな速球派だった。あれから一年、どのぐらい変わっているのか期待せずにはいられなかった。
(投球内容)
ワインドアップで振りかぶり、足を勢いよく高い位置まで引き上げます。昨年は、フォーム全体がゆったりしながら、ボールはグッと来るギャップみたいのがありました。しかしそういった、フォームのギャップが薄れてしまって、打者としては合わせやすくなった気がします。
ストレート 常時140キロ~MAX144キロ
球速表示が厳しい東京ドームだけに、そのスピードは表示は悲観しなくて良いでしょう。実際そのボールを見てても、コンスタントに3,4キロは速く感じれます。特に低めや両サイドに、グッと打者に迫って来るストレートは迫力満点。ただ創価大戦では、高めに浮いたストレートを、狙い打たれました。
変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップか?
投球の殆どは、スライダーとのコンビネーション。たまに緩いカーブやチェンジアップだかフォークのような沈む球もあるように思います。しかし投球の大部分は、打者の近くで鋭く曲がるスライダーとで組み立てられています。
その他
牽制はそれなりに鋭く、走者の足を牽制だけの効果はあります。クィックは、1.15秒前後で、昨年よりも若干早くなっていると思います。またフィールディングなども悪くない選手で、投球以外のプレーにも破綻はありません。
また走者を背負ってからも、間合いを充分取ったりと工夫が見られ、そういったピッチングの視野は狭くありません。特別投球術に優れているようには思えませんが、適度にコースに散らせながら打ち損じを誘います。
(投球のまとめ)
昨年から目に見えて成長部分は感じられませんが、低めでしっかり伸びるストレートには、素材としての可能性を感じます。これだけの球速・勢いがありながら圧倒的な投球ができないのは、単調なコンビネーションで的を絞られやすいからではないのでしょうか。また、投球フォームに原因があるかもしれません。
(投球フォーム)
ではこの単調な投球を、将来的に改善できそうなのか、フォームを分析して考えてみたいと思います。
<広がる可能性> ☆☆
足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側に落とせません。そのため見分けのつきにくいカーブを投げたり、フォークのような縦に鋭く落ちるような球種の修得は厳しそう。
また「着地」までの粘りはもうひとつで、体を捻り出す時間も確保出来ていません。そういった意味では、打者の空振りを誘うような変化球の修得は厳しく、カットボール・ツーシーム・スピリットなど球速豊な小さな変化を中心に、投球の幅を広げるべきではないのでしょうか。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定。ただ足の甲の押し付けがずっと着けているいられるというよりは、最後に着く感じなので時々ボールが甘く浮くことも少なくありません。全体的に低めに行くことが多いものの、指先の感覚に優れていないので、コントロールミスも結構あるように見える。その球を、大学選手権では狙い打たれました。
<故障のリスク> ☆☆☆
お尻は落とせないが、カーブやフォークなど肘に負担のかかるボールは多く投げないので気にすることはなさそう。腕の角度にも無理がないので、肩への負担も少ないタイプだと考えられる。
<実戦的な術> ☆☆
「着地」までの粘りがないので、打者として合わせやすい。また「開き」も少し早く、球筋がいち早く読まれてしまう。すなわちコースにある程度投げても、打ち返される可能性が高いのだ。
腕の振りも思ったほど体に絡んで来ないように、上体や腕をそれほど鋭くは振れていない。ボールへの体重の乗せも発展途上であり、ボールの伸びは素晴らしくても、ウエートの乗った球威溢れる球かと言われると疑問が残る。
(フォームのまとめ)
投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」はともかく、他の部分では課題を残す。すなわち、けして実戦的なフォームとは言えない。そのため、例え今のまま150キロの球を投げ込んでも、その恩恵は少ないと考えられる。
課題である投球の幅を広げられるのかという問題も、フォームのメカニズム的には今のままでは厳しいだろう。「着地」までの時間を稼ぎ、体を捻り出すだけの時間を確保したい。
優れた点は、肩への負担の少ないフォーム。そして両サイド中心に、速球派にしてはコントロールが悪くない点ではないのだろうか。足の甲の押し付けや「球持ち」による指先の感覚に甘さが残るが、これらは充分に改善できる部分。
(最後に)
質の良いストレートを投げるという意味では、非常に優れた資質を持っている。現状、下半身の使い方に課題を持っておりながら、これだけのボールを投げられるのだから、更に凄みのある球を身につけられる可能性は高い。
ただ実戦的なフォームや、投球の幅を広げて行けるのかという疑問は残り、伸び悩む要素も少なくない。あくまでも、素材型のまま終わってしまう危険性は否めない。そういった意味では高い評価はできないが、その素材を買って、下位指名~育成枠あたりで、指名する球団は現れるのではないのだろうか。こういったポテンシャルの高い投手は、アマではなくプロの育成に賭けるべきではないのだろうか。
蔵の評価:☆
(2013年 大学選手権)
「あんまり変わってなかったが・・・」
昨年の大学選手権では、MAX151キロを記録。打者の手元まで勢いが落ちないストレートは本物で、その成長が楽しみな速球派だった。あれから一年、どのぐらい変わっているのか期待せずにはいられなかった。
(投球内容)
ワインドアップで振りかぶり、足を勢いよく高い位置まで引き上げます。昨年は、フォーム全体がゆったりしながら、ボールはグッと来るギャップみたいのがありました。しかしそういった、フォームのギャップが薄れてしまって、打者としては合わせやすくなった気がします。
ストレート 常時140キロ~MAX144キロ
球速表示が厳しい東京ドームだけに、そのスピードは表示は悲観しなくて良いでしょう。実際そのボールを見てても、コンスタントに3,4キロは速く感じれます。特に低めや両サイドに、グッと打者に迫って来るストレートは迫力満点。ただ創価大戦では、高めに浮いたストレートを、狙い打たれました。
変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップか?
投球の殆どは、スライダーとのコンビネーション。たまに緩いカーブやチェンジアップだかフォークのような沈む球もあるように思います。しかし投球の大部分は、打者の近くで鋭く曲がるスライダーとで組み立てられています。
その他
牽制はそれなりに鋭く、走者の足を牽制だけの効果はあります。クィックは、1.15秒前後で、昨年よりも若干早くなっていると思います。またフィールディングなども悪くない選手で、投球以外のプレーにも破綻はありません。
また走者を背負ってからも、間合いを充分取ったりと工夫が見られ、そういったピッチングの視野は狭くありません。特別投球術に優れているようには思えませんが、適度にコースに散らせながら打ち損じを誘います。
(投球のまとめ)
昨年から目に見えて成長部分は感じられませんが、低めでしっかり伸びるストレートには、素材としての可能性を感じます。これだけの球速・勢いがありながら圧倒的な投球ができないのは、単調なコンビネーションで的を絞られやすいからではないのでしょうか。また、投球フォームに原因があるかもしれません。
(投球フォーム)
ではこの単調な投球を、将来的に改善できそうなのか、フォームを分析して考えてみたいと思います。
<広がる可能性> ☆☆
足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側に落とせません。そのため見分けのつきにくいカーブを投げたり、フォークのような縦に鋭く落ちるような球種の修得は厳しそう。
また「着地」までの粘りはもうひとつで、体を捻り出す時間も確保出来ていません。そういった意味では、打者の空振りを誘うような変化球の修得は厳しく、カットボール・ツーシーム・スピリットなど球速豊な小さな変化を中心に、投球の幅を広げるべきではないのでしょうか。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定。ただ足の甲の押し付けがずっと着けているいられるというよりは、最後に着く感じなので時々ボールが甘く浮くことも少なくありません。全体的に低めに行くことが多いものの、指先の感覚に優れていないので、コントロールミスも結構あるように見える。その球を、大学選手権では狙い打たれました。
<故障のリスク> ☆☆☆
お尻は落とせないが、カーブやフォークなど肘に負担のかかるボールは多く投げないので気にすることはなさそう。腕の角度にも無理がないので、肩への負担も少ないタイプだと考えられる。
<実戦的な術> ☆☆
「着地」までの粘りがないので、打者として合わせやすい。また「開き」も少し早く、球筋がいち早く読まれてしまう。すなわちコースにある程度投げても、打ち返される可能性が高いのだ。
腕の振りも思ったほど体に絡んで来ないように、上体や腕をそれほど鋭くは振れていない。ボールへの体重の乗せも発展途上であり、ボールの伸びは素晴らしくても、ウエートの乗った球威溢れる球かと言われると疑問が残る。
(フォームのまとめ)
投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」はともかく、他の部分では課題を残す。すなわち、けして実戦的なフォームとは言えない。そのため、例え今のまま150キロの球を投げ込んでも、その恩恵は少ないと考えられる。
課題である投球の幅を広げられるのかという問題も、フォームのメカニズム的には今のままでは厳しいだろう。「着地」までの時間を稼ぎ、体を捻り出すだけの時間を確保したい。
優れた点は、肩への負担の少ないフォーム。そして両サイド中心に、速球派にしてはコントロールが悪くない点ではないのだろうか。足の甲の押し付けや「球持ち」による指先の感覚に甘さが残るが、これらは充分に改善できる部分。
(最後に)
質の良いストレートを投げるという意味では、非常に優れた資質を持っている。現状、下半身の使い方に課題を持っておりながら、これだけのボールを投げられるのだから、更に凄みのある球を身につけられる可能性は高い。
ただ実戦的なフォームや、投球の幅を広げて行けるのかという疑問は残り、伸び悩む要素も少なくない。あくまでも、素材型のまま終わってしまう危険性は否めない。そういった意味では高い評価はできないが、その素材を買って、下位指名~育成枠あたりで、指名する球団は現れるのではないのだろうか。こういったポテンシャルの高い投手は、アマではなくプロの育成に賭けるべきではないのだろうか。
蔵の評価:☆
(2013年 大学選手権)
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