奥浪 鏡 (オリックス6位)内野手
2013/09/29|Category:個別寸評
奥浪 鏡 (創志学園)内野 176/95 右/右
「高校球界屈指のスラッガー」
高校通算71本塁打を放ち、あの 安楽智大(済美)投手からも練習試合で2本塁打を放つなど、その強打はスカウトの間でも鳴り響いていた。残念ながら私は、夏の緒戦で創志学園が敗れてしまったため、今年の 奥浪 のプレーを確認できずに終わってしまっている。そこで昨年のプレーの模様と、今年知り得た情報から彼を考察してみたい。残念ながらドラフト対象年度にプレーを確認できなかったので、評価付けはしないことでご了承願いたい。
(守備・走塁面)
昨年は おかわり君 体型だったのが、だいぶスリムになったのに今年は驚きました。昨夏計測したときは、塁間5.00秒前後。もちろん最後まで全力で駆け抜けたわけではありませんでしたが、それにしても見た目どおり重苦しかった印象があります。
監督さんのお話を訊く限りは、走力はなくても走塁への判断力には優れた選手だということ。プロで足をアピールすることはないとは思いますが、状況に応じた走塁など足を引っ張らないプレーはできるのではないかと期待します。
彼が評価されたポイントは、この身体でも三塁手として合格点の守備力を誇っていたことでした。実際昨夏のプレーを見ていても、打球への反応、グラブ捌きなどはまずまずで、けして高校生として守備の下手な選手ではなかったということ。中学時代は捕手だったということで、ボールへの対応は確かに悪くありません。そういった意味では、キャッチングや打球への対応も、プロの打球になれれば解決できる問題かもしれません。
ただ見ていて気になったのは、スローイングの形がよろしくないこと。そして、地肩が強くないという欠点があります。このことはあまりみんな触れていないのですが、この一年で改善されたのでしょうか? ようは簡単なゴロは無難に捌きますが、ちょっとでも踏ん張りのいる体勢からの深い当たりや、微妙な一瞬の判断が求められる場面で、彼の地肩とスローイングの形で大丈夫なのか? という疑問は残っています。この辺は、最終学年に実際確認できなかったので、不安が残るったままです。
ただ幸いにして、DHなどもあるパ・リーグからの指名でした。そういったことを考えると、打撃でモノの違いを示せれば、一塁かDHとの選択はあるわけで、この両方のポジションとも外国人が占めているチームというのは、極めて少ないだろうと考えます。そう考えると、仮に三塁が無理でも右の大砲になりえればいいのかなと思います。
(打撃内容)
強引に引っ張って巻き込むというツボがあるタイプではなく、広角に大きな打球を飛ばせるタイプの強打者です。そういった意味では、生粋の長距離打者かというと、若干疑問の部分は残ります。その辺は、フォームを分析しながら考えてみましょう。ただし打撃フォームは、昨夏のものを参考にしているので、現在はかなり違うかもしれません。
<構え> ☆☆☆
前足を軽く引いて、グリップを高めに添えた強打者スタイル。背中が猫背なのが気になりなるのと、全体のバランスとしては並ぐらい。両目で前を見据える姿勢は悪くないものの、構えとしては可も不可もなしといった感じでしょうか。
<仕掛け> 早めの仕掛け
投手の重心が下るときに始動する、「早めの仕掛け」を採用。仕掛けの観点からすれば、いろいろな球に対応しうるアベレージヒッターの打ち方です。これが木製バット、それもプロの球を相手に、どういった特徴になるのか気になります。
<足の運び> ☆☆☆☆
始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも合わせやすい緩急に対応できる打ち方。ベース側にインステップして来るので、外の球を強く意識しています。踏み込んだ足元も、インパクトの際にブレないなど、外の球をセンターから右方向にはじき返せる打ち方です。
<リストワーク> ☆☆☆
早めにトップの形をつくるので、スピードボールに立ち遅れる心配はありません。この辺は、高校球界屈指のスピードボールを誇る、安楽投手に対応できた秘密かもしれません。
バットを振り出すときに、肘が下がってしまって遠回りに出てくるのが気になります。その分遠心力を活かして、バットのしなりを活かせるので、外角よりの球を飛ばすことに優れるのですが。それでもヘッドスピードが非常に速いので、それが気にならないスイングではあります。
またバットの先端であるヘッド自体は下がらないので、ドアスイングとかそういったことはありません。足元の開きも抑えられるので、体の開きをある程度のところで抑えられています。そして前を大きくとって、フォロースルーを上手く使えています。身体に力があるだけでなく、ボールを運ぶ術を持っていることが、高校通算70本塁打の実績にもつながっているのでしょう。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げ大きい割には、目線は上下に動きません。体の開きも我慢出来ていますし、軸足が少し前に傾くので体のツッコミに注意したいところ。軸足の内太ももの筋肉に強さを感じるので、ボールを遠くに運べる資質が高いと考えます。
(打撃のまとめ)
バットが内から出て来ないのと、インステップして踏み込むために、内角の捌きが窮屈になりそうなのがどうなのかな?という疑問は残ります。
ただそれ以外の部分は、極めて技術的にもシッカリしており、ことごとく注目される中、結果を残してきたというのは頷ける部分があります。それだけ、いろいろな投手に対応できるだけの技術があるということです。
あとは、始動の早さやツボというものがない対応力重視のスイングのため、本当に木製バットを握り、レベルの高いプロの投手の相手に長打を連発できるのかという疑問が残ります。ただスイング軌道がバットのしなりを活かせるスイングだということ、フォロースルーを上手く使えること、長距離打者に不可欠な内モモの筋肉が発達していることなどを考えると、引きつけてボールを捌けるようになれば、プロでも長打を売りにできる可能性はあると思います。
バリバリの強打者ではありますが、荒っぽさがないので、それなりにプロの球にも対応して行けるのではないのでしょうか。ただその対応を重視した時に、長打力も平行して発揮できるのか、ここが一つ大きなポイントではないのでしょうか。しかしドラフト6位でありながら、和製大砲の可能性を秘めた選手を獲得できたことは、個人的に意義あることだと思います。こういった大物打ちを軽視する傾向の強い日本球界だけに、本物の和製大砲が育つことを強く切望致します。
(2012年 岡山大会)
「高校球界屈指のスラッガー」
高校通算71本塁打を放ち、あの 安楽智大(済美)投手からも練習試合で2本塁打を放つなど、その強打はスカウトの間でも鳴り響いていた。残念ながら私は、夏の緒戦で創志学園が敗れてしまったため、今年の 奥浪 のプレーを確認できずに終わってしまっている。そこで昨年のプレーの模様と、今年知り得た情報から彼を考察してみたい。残念ながらドラフト対象年度にプレーを確認できなかったので、評価付けはしないことでご了承願いたい。
(守備・走塁面)
昨年は おかわり君 体型だったのが、だいぶスリムになったのに今年は驚きました。昨夏計測したときは、塁間5.00秒前後。もちろん最後まで全力で駆け抜けたわけではありませんでしたが、それにしても見た目どおり重苦しかった印象があります。
監督さんのお話を訊く限りは、走力はなくても走塁への判断力には優れた選手だということ。プロで足をアピールすることはないとは思いますが、状況に応じた走塁など足を引っ張らないプレーはできるのではないかと期待します。
彼が評価されたポイントは、この身体でも三塁手として合格点の守備力を誇っていたことでした。実際昨夏のプレーを見ていても、打球への反応、グラブ捌きなどはまずまずで、けして高校生として守備の下手な選手ではなかったということ。中学時代は捕手だったということで、ボールへの対応は確かに悪くありません。そういった意味では、キャッチングや打球への対応も、プロの打球になれれば解決できる問題かもしれません。
ただ見ていて気になったのは、スローイングの形がよろしくないこと。そして、地肩が強くないという欠点があります。このことはあまりみんな触れていないのですが、この一年で改善されたのでしょうか? ようは簡単なゴロは無難に捌きますが、ちょっとでも踏ん張りのいる体勢からの深い当たりや、微妙な一瞬の判断が求められる場面で、彼の地肩とスローイングの形で大丈夫なのか? という疑問は残っています。この辺は、最終学年に実際確認できなかったので、不安が残るったままです。
ただ幸いにして、DHなどもあるパ・リーグからの指名でした。そういったことを考えると、打撃でモノの違いを示せれば、一塁かDHとの選択はあるわけで、この両方のポジションとも外国人が占めているチームというのは、極めて少ないだろうと考えます。そう考えると、仮に三塁が無理でも右の大砲になりえればいいのかなと思います。
(打撃内容)
強引に引っ張って巻き込むというツボがあるタイプではなく、広角に大きな打球を飛ばせるタイプの強打者です。そういった意味では、生粋の長距離打者かというと、若干疑問の部分は残ります。その辺は、フォームを分析しながら考えてみましょう。ただし打撃フォームは、昨夏のものを参考にしているので、現在はかなり違うかもしれません。
<構え> ☆☆☆
前足を軽く引いて、グリップを高めに添えた強打者スタイル。背中が猫背なのが気になりなるのと、全体のバランスとしては並ぐらい。両目で前を見据える姿勢は悪くないものの、構えとしては可も不可もなしといった感じでしょうか。
<仕掛け> 早めの仕掛け
投手の重心が下るときに始動する、「早めの仕掛け」を採用。仕掛けの観点からすれば、いろいろな球に対応しうるアベレージヒッターの打ち方です。これが木製バット、それもプロの球を相手に、どういった特徴になるのか気になります。
<足の運び> ☆☆☆☆
始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも合わせやすい緩急に対応できる打ち方。ベース側にインステップして来るので、外の球を強く意識しています。踏み込んだ足元も、インパクトの際にブレないなど、外の球をセンターから右方向にはじき返せる打ち方です。
<リストワーク> ☆☆☆
早めにトップの形をつくるので、スピードボールに立ち遅れる心配はありません。この辺は、高校球界屈指のスピードボールを誇る、安楽投手に対応できた秘密かもしれません。
バットを振り出すときに、肘が下がってしまって遠回りに出てくるのが気になります。その分遠心力を活かして、バットのしなりを活かせるので、外角よりの球を飛ばすことに優れるのですが。それでもヘッドスピードが非常に速いので、それが気にならないスイングではあります。
またバットの先端であるヘッド自体は下がらないので、ドアスイングとかそういったことはありません。足元の開きも抑えられるので、体の開きをある程度のところで抑えられています。そして前を大きくとって、フォロースルーを上手く使えています。身体に力があるだけでなく、ボールを運ぶ術を持っていることが、高校通算70本塁打の実績にもつながっているのでしょう。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げ大きい割には、目線は上下に動きません。体の開きも我慢出来ていますし、軸足が少し前に傾くので体のツッコミに注意したいところ。軸足の内太ももの筋肉に強さを感じるので、ボールを遠くに運べる資質が高いと考えます。
(打撃のまとめ)
バットが内から出て来ないのと、インステップして踏み込むために、内角の捌きが窮屈になりそうなのがどうなのかな?という疑問は残ります。
ただそれ以外の部分は、極めて技術的にもシッカリしており、ことごとく注目される中、結果を残してきたというのは頷ける部分があります。それだけ、いろいろな投手に対応できるだけの技術があるということです。
あとは、始動の早さやツボというものがない対応力重視のスイングのため、本当に木製バットを握り、レベルの高いプロの投手の相手に長打を連発できるのかという疑問が残ります。ただスイング軌道がバットのしなりを活かせるスイングだということ、フォロースルーを上手く使えること、長距離打者に不可欠な内モモの筋肉が発達していることなどを考えると、引きつけてボールを捌けるようになれば、プロでも長打を売りにできる可能性はあると思います。
バリバリの強打者ではありますが、荒っぽさがないので、それなりにプロの球にも対応して行けるのではないのでしょうか。ただその対応を重視した時に、長打力も平行して発揮できるのか、ここが一つ大きなポイントではないのでしょうか。しかしドラフト6位でありながら、和製大砲の可能性を秘めた選手を獲得できたことは、個人的に意義あることだと思います。こういった大物打ちを軽視する傾向の強い日本球界だけに、本物の和製大砲が育つことを強く切望致します。
(2012年 岡山大会)
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