11 ピンポイント観戦
先日、六大学対抗戦の観戦を取りやめ向かった先は、関東学院大のグランド。そこには、北関東の大学が集まって形成されている 関甲新リーグに所属する 平成国際大がやってきていた。そして平成国際大には、今年の地方リーグを代表する左腕・佐野 泰雄(平成国際大4年)投手がいる。あまり期待して行ったわけではなかったが、丁度彼が先発の試合だった。
この日の佐野は常時135キロ前後・MAX86マイル(137.6キロ)と球速は地味だったが、好い時には常時140キロ台~中盤を記録する勢いのある速球が自慢。しかしこの日はむしろ、横滑りするスライダー・効果的なチェンジアップ、左腕らしい大きなカーブ、ストンと落ちるフォークのような球種など、どの球でも勝負できる変化球のキレが目だった。
ストレートは、アバウトながら両サイドに投げ分けられる。しかし全体的に、少し高いかなと言った印象。しかしこの選手の問題は、精神面の起伏の激しさにある。味方のエラーなどが出ると、完全に我を忘れて冷静さを欠いているのが、バックネット裏で見ていても手にとるようにわかる。そして、制球を乱し一人相撲に。
この日は、味方に足を引っ張られなかったせいか? それとも最終学年になって自覚が芽生えてきたのかは定かではないが、冷静にピッチングを進めていた。ボールひとつひとつは素晴らしいので、その辺が成長して来ると、リーグ戦での成績も変わって来るだろう。あとは、ストレートの勢いが元来のものに戻れば、ドラフト指名は濃厚と言えるだけのものがある。好調時の投球は、石田 健大(法政大)投手あたりと比べても遜色はない。地方リーグの選手ではあるが、一躍上位候補に浮上してきても、左腕だけに不思議はない。その片鱗は、感じられた試合ではないのだろうか。
そして今日は、六大学VS社会人対抗戦の最終日。この試合のお目当ては、今年の社会人で最も注目されている 小久保JAPANメンバー・高木 伴(23歳・NTT東日本)投手。スポニチ大会から期待されて先発起用されてきたが、ここまで中々期待に応えることができていない。そんなこともあってか? 今日は、最後の1イニングのみのリリーフ登板となった。
球速は常時140キロ台を刻み、MAX145キロのストレート。さすがにリリーフ限定となると、勢いのあるボールをバシバシ投げ込んでくる。変化球はスライダーの他に、ツーシームのような球速のある球が低めに沈む(チェンジアップなのか、フォークがシュート回転して流れているのかも)。この球とのコンビネーションで、3者連続三振と会心の内容。
ボールは全体的に上吊り気味でアバウトだったものの、ボールの勢いがあったのであまり気にならなかった。ちょっとどうかな?という内容の試合が続いていただけに、リリーフならばアリなのかなと思わせる出来。今後のチームでの位置づけはわからないが、試合をまとめるセンスや細かいことができるタイプではないので、リリーフの方が適正が高いのではないのだろうか。都市対抗に向けて、どんなピッチングを魅せるのか注目したい。改めて、ドラフト候補であることを再認識させられる試合となった。
一方この日は、神宮第二球場で帝京が試合をしていた。六大学社会人対抗戦の第二試合の観戦をとりやめ、第二球場に足を運ぶ。事前の情報では、帝京のバッテリーに人材がいると訊いた。帝京の捕手・小峯 聡志(2年)捕手は、旧チームの 石川 亮(ハム8位)捕手のような、頑強な大型捕手ではない。それほど体もガッチリしていないが、むしろフットワークなど動きの良さが自慢。打順は2番と地味だが、二塁ランナーへ投じた送球はシャープで、この点で見るべきものがあった。まだ新2年生ということで、今後注目して行きたい。また主戦の 清水 昇(3年)右腕も注目ということだったが、この試合を観る限り 130~135キロぐらいの平凡な投手で、打者としてもカーブに合わせられない脆さがあり、ドラフト候補云々というほどの選手には見えなかった。投げないときは、一塁で出場するという。
以上簡単ではあるが、ここ数日に観戦したドラフト候補のレポートをお送り致しました。と素直に終えたいところだが、一つ気になったことが。この六大学VS社会人対抗戦は、例年各チームの主力投手が最終調整のため登板して来る。しかし今年は、各チームのエースの登板が殆どなく、何やら六大学側の対応が冷たい。例年ここでチェックしておけば、リーグ戦にゆかなくても好いというぐらい充実したリレーを見せてくれるのだが、本当に主戦格の登板を避けるような様相を見せていた。一方この大会で見た社会人は今日のNTT東日本のみだが、全く学生相手に覇気のない内容。すでに公式戦も始まって仕上がっているはずの社会人に元気がない。この大会の存在意義をも揺るがしかねないと感じがしたのは、私だけだろうか? 一方でバックネット裏にスカウトが少なかったのは、ドラフト候補達がオープン戦での登板が予定されていたからだと云う・・・。
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