山崎 福也(明治大・4年)投手
2014/05/25|Category:個別寸評
山崎 福也(明治大・4年)投手 186/88 左/左 (日大三出身)
「守りに入ったよね」
山崎 福也 の良さは、大胆な攻めにあった。しかし今シーズンの彼の投球を見ると、投球に勢いがなくなり、何処か守りに入っている印象をうける。元々細かいことができる選手ではないので、勢いがなくなると余計に物足りなさを実感する。そんな彼の今シーズンの成績は
9試合 3勝2j敗 53回2/3 39安打 10四死球 37奪三振 防御率 1.84(リーグ3位)
通算成績と比較すると、普段のシーズンよりも四死球は少なくコントロールは安定していたものの、奪三振率が低下しており、投球の大胆さが薄れていたことが、成績から伺うことができる。安定感という意味では、自己二度目の防御率1点台を記録し、四死球も少なかったものの、物足りなく感じたのはこのせいだろう。
(投球内容)
ストレート 常時140キロ前後~MAX140キロ台後半
シーズン開幕週の東大戦の時は、常時145キロ前後(MAX147キロ)と勢いのあるボールは投げていました。しかし慶大戦の模様などを見ると、球速は常時140キロ前後と物足りなさを感じます。この投手は、大胆に攻めのピッチングを行わないと、中々見栄えがしないのが気になります。
変化球 カーブ・スライダー・スクリュー
左腕らしい大きなカーブに、120キロ台のスライダー、130キロ前後のシュートのようなスクリュー(チェンジアップ系)の球と、持ち味は以前と変わりません。これらの球を、ストレートに交えて投球を組み立ててきます。
特に絶対的な変化球はなく、特にストライクゾーンの枠の中に曲がって来る球が中心。そのため、変化球で空振りを誘うという機会に乏しく、投球の多くが枠の中での勝負になってしまいます。この点は以前から指摘しているのですが、今シーズンも改善されていませんでした。
その他
牽制は左腕らしく鋭く、クィックは1.15~1.30秒前後とそれほど上手くないのを補います。フィールディングも、さほど上手くなく、野球センス・運動神経に優れているというよりは、肉体のポテンシャルが優先なタイプなのでしょう。彼は打撃も良い選手なのですが、野手として推せないのはそういったセンスに欠けるから。
(投球のまとめ)
下級生の時同様に、大胆に勢いで押せる時は見栄えがします。しかし勢いがなく制球重視とか守りに入ると、粘りのない淡白な投球フォーム、ボール球を活かせない配球などから、投球の底の浅さを露呈してしまいます。
そのため下級生の時のように、怖いもの知らずでガンガン投げていた時は良かったのですが、今シーズン2度見た試合では物足りなさは否めませんでした。この選手は元来、巨人などで活躍しメジャーでも活躍した 岡島 秀樹(現ソフトバンク)のような、リリーフで持ち味が出るタイプなのではないのでしょうか。ゲームメイクするセンスは、ピッチングから感じられません。
(投球フォーム)
今度は投球フォームの観点から、どの辺が物足りないのか考えてみましょう。
<広がる可能性> ☆☆☆
比較的高い位置で足はピンと伸ばされており、お尻は三塁側(左投手の場合は)に落とされており、体を捻り出すスペースは確保出来ています。そういった意味では、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種を投げるのに無理はありません。
しかし残念なのは、着地までの粘りがないところ。そのため体を捻り出す時間が確保できず、良い変化球が投げきれないもどかしさがあります。せっかくお尻が落とせる貴重なタイプだけに、もう少し着地までの時間が稼げるようになると、ピッチングの幅が広がりそう。
<ボールの支配> ☆☆☆☆
グラブは最後まで体の近くで抱えられており、両サイドの投げ分けは出来ています。足の甲の押し付けもなんとか出来ており、それほど高めに浮くことは多くありません。「球持ち」は平均的なのですが、上半身主導で大胆に上体を振るので、その分細かいコントロールはないのかもしれません。そこが持ち味でもあるので、難しいところではあるのですが。けして四死球で自滅するタイプではないのですが、枠の中での細かいコントロールはさほどではないということです。
<故障のリスク> ☆☆☆☆
お尻は落とせるフォームなので、カーブなどを投げても肘への負担は少ないはず。振り下ろす腕の角度はありますが、送り出しに無理は感じません。そういった意味では、肩への負担も感じません。ただし上半身主導の力投派なので、疲労が蓄積しやすいタイプ。そこから故障へつながる可能性はあり、油断はできません。
<実戦的な術> ☆☆☆
「着地」までの粘りの無さからくる、淡白さはフォームにあります。しかしその割に「開き」は抑えられており、球の出どころは隠されているという珍しいタイプ。
腕は強く振れ身体に絡んでくるので、速球と変化球の見極め困難。しかしボールに体重が上手く乗せられておらず、打者の手元まで生きた球が行かないのは気になります。そのため球速が鈍ると、途端に見栄えがしなくなると考えられます。
(フォームのまとめ)
投球の4大動作である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「体重移動」という下半身の使い方に課題を残します。
故障の可能性が高くないのと制球を司る動作は悪くないので、見た目ほど悪いフォームではありません。フォーム全体にも、もっと粘っこさが出てくると良いのですが。
(最後に)
実績を重ね責任ある立場になったことで、守りに入ってしまったのかなという気はします。彼の良さである、大胆さが損なわれていたことは残念でなりません。
それでもこの春の内容ならば、単独1位~外れ1位ぐらいでの指名が予想され、上位12名に入ってくるのではないのでしょうか。現状の内容だと、先発では勝ち切れないで伸び悩みそうですが、リリーフならば活路を見い出せそうな気は致します。そういった需要のある球団なら、1位指名をしても良いのではないのでしょうか。出来ればラストシーズンに、爆発的な活躍を期待してみたいですね。
蔵の評価:☆☆☆
(2014年 春季リーグ戦)
「守りに入ったよね」
山崎 福也 の良さは、大胆な攻めにあった。しかし今シーズンの彼の投球を見ると、投球に勢いがなくなり、何処か守りに入っている印象をうける。元々細かいことができる選手ではないので、勢いがなくなると余計に物足りなさを実感する。そんな彼の今シーズンの成績は
9試合 3勝2j敗 53回2/3 39安打 10四死球 37奪三振 防御率 1.84(リーグ3位)
通算成績と比較すると、普段のシーズンよりも四死球は少なくコントロールは安定していたものの、奪三振率が低下しており、投球の大胆さが薄れていたことが、成績から伺うことができる。安定感という意味では、自己二度目の防御率1点台を記録し、四死球も少なかったものの、物足りなく感じたのはこのせいだろう。
(投球内容)
ストレート 常時140キロ前後~MAX140キロ台後半
シーズン開幕週の東大戦の時は、常時145キロ前後(MAX147キロ)と勢いのあるボールは投げていました。しかし慶大戦の模様などを見ると、球速は常時140キロ前後と物足りなさを感じます。この投手は、大胆に攻めのピッチングを行わないと、中々見栄えがしないのが気になります。
変化球 カーブ・スライダー・スクリュー
左腕らしい大きなカーブに、120キロ台のスライダー、130キロ前後のシュートのようなスクリュー(チェンジアップ系)の球と、持ち味は以前と変わりません。これらの球を、ストレートに交えて投球を組み立ててきます。
特に絶対的な変化球はなく、特にストライクゾーンの枠の中に曲がって来る球が中心。そのため、変化球で空振りを誘うという機会に乏しく、投球の多くが枠の中での勝負になってしまいます。この点は以前から指摘しているのですが、今シーズンも改善されていませんでした。
その他
牽制は左腕らしく鋭く、クィックは1.15~1.30秒前後とそれほど上手くないのを補います。フィールディングも、さほど上手くなく、野球センス・運動神経に優れているというよりは、肉体のポテンシャルが優先なタイプなのでしょう。彼は打撃も良い選手なのですが、野手として推せないのはそういったセンスに欠けるから。
(投球のまとめ)
下級生の時同様に、大胆に勢いで押せる時は見栄えがします。しかし勢いがなく制球重視とか守りに入ると、粘りのない淡白な投球フォーム、ボール球を活かせない配球などから、投球の底の浅さを露呈してしまいます。
そのため下級生の時のように、怖いもの知らずでガンガン投げていた時は良かったのですが、今シーズン2度見た試合では物足りなさは否めませんでした。この選手は元来、巨人などで活躍しメジャーでも活躍した 岡島 秀樹(現ソフトバンク)のような、リリーフで持ち味が出るタイプなのではないのでしょうか。ゲームメイクするセンスは、ピッチングから感じられません。
(投球フォーム)
今度は投球フォームの観点から、どの辺が物足りないのか考えてみましょう。
<広がる可能性> ☆☆☆
比較的高い位置で足はピンと伸ばされており、お尻は三塁側(左投手の場合は)に落とされており、体を捻り出すスペースは確保出来ています。そういった意味では、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種を投げるのに無理はありません。
しかし残念なのは、着地までの粘りがないところ。そのため体を捻り出す時間が確保できず、良い変化球が投げきれないもどかしさがあります。せっかくお尻が落とせる貴重なタイプだけに、もう少し着地までの時間が稼げるようになると、ピッチングの幅が広がりそう。
<ボールの支配> ☆☆☆☆
グラブは最後まで体の近くで抱えられており、両サイドの投げ分けは出来ています。足の甲の押し付けもなんとか出来ており、それほど高めに浮くことは多くありません。「球持ち」は平均的なのですが、上半身主導で大胆に上体を振るので、その分細かいコントロールはないのかもしれません。そこが持ち味でもあるので、難しいところではあるのですが。けして四死球で自滅するタイプではないのですが、枠の中での細かいコントロールはさほどではないということです。
<故障のリスク> ☆☆☆☆
お尻は落とせるフォームなので、カーブなどを投げても肘への負担は少ないはず。振り下ろす腕の角度はありますが、送り出しに無理は感じません。そういった意味では、肩への負担も感じません。ただし上半身主導の力投派なので、疲労が蓄積しやすいタイプ。そこから故障へつながる可能性はあり、油断はできません。
<実戦的な術> ☆☆☆
「着地」までの粘りの無さからくる、淡白さはフォームにあります。しかしその割に「開き」は抑えられており、球の出どころは隠されているという珍しいタイプ。
腕は強く振れ身体に絡んでくるので、速球と変化球の見極め困難。しかしボールに体重が上手く乗せられておらず、打者の手元まで生きた球が行かないのは気になります。そのため球速が鈍ると、途端に見栄えがしなくなると考えられます。
(フォームのまとめ)
投球の4大動作である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「体重移動」という下半身の使い方に課題を残します。
故障の可能性が高くないのと制球を司る動作は悪くないので、見た目ほど悪いフォームではありません。フォーム全体にも、もっと粘っこさが出てくると良いのですが。
(最後に)
実績を重ね責任ある立場になったことで、守りに入ってしまったのかなという気はします。彼の良さである、大胆さが損なわれていたことは残念でなりません。
それでもこの春の内容ならば、単独1位~外れ1位ぐらいでの指名が予想され、上位12名に入ってくるのではないのでしょうか。現状の内容だと、先発では勝ち切れないで伸び悩みそうですが、リリーフならば活路を見い出せそうな気は致します。そういった需要のある球団なら、1位指名をしても良いのではないのでしょうか。出来ればラストシーズンに、爆発的な活躍を期待してみたいですね。
蔵の評価:☆☆☆
(2014年 春季リーグ戦)
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