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プロ野球ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人・蔵建て男が、日本中を駆け巡り本音でトーク!

梅津 晃大(仙台育英3年)投手

梅津 晃大(仙台育英3年)投手 190/82 右/右





             「腕の振りが素晴らしい」





残念ながら今日で敗れてしまった仙台育英の逸材・梅津 晃大 。仙台育英の選手ながら、その勇姿を一度見たことがない選手だったので、どんな選手なのか想像出来なかった。しかし、今日の宮城県予選で敗退。その投球を確認することなく、最後の夏を終えた。

そこで試合の映像は確認できなかったが、幾つかの動画を確認。一つは春先の練習試合の模様で、バックネット裏からの映像2イニングほど確認し、その投球内容がわかった。またもう一つは、この5月の春季大会で11奪三振を奪った仙台三戦の三振場面集。これによりおおよその特徴がわかった。もちろんサンプルとしては不足しているので、具体的な評価付けはしないが、おおよそ生で観ても同様の印象を持ったであろう参考資料は揃ったと判断する。

(投球内容)

とにかく素晴らしいのが、腕の振りの良さ。これは、今年の候補の中でも指折りではないのでしょうか。これを見ただけで、この選手はドラフトにかかるなぁと確信させるだけのものがあります。

ストレート 135~140キロぐらい

この選手のストレートは、現時点では驚くような勢い・キレや伸びはありません。球速もMAXで140キロぐらいですから、現時点ではドラフト候補としても下位の部類。しかしこの腕の振り、このフォーム・この体格を考えると、今後見違えるような球を投げても、なんら不思議はないでしょう。

そして素晴らしいのが、大型なのですがコントロールが安定しています。右打者外角にズバッと見逃しの三振を奪える球筋の良さがありますし、内角の厳しいところを突ける両サイドの投げ分けに優れます。しかしその一方で、ストレートの球筋が全体的に高いので、そこを痛打される危険性を感じます。現状バシバシ空振りを誘える球質ではないので、高めの球がそのまま危険球となりかねません。

変化球 カーブ・スライダー・カットボール、フォーク?

春先の練習試合の模様では、スライダー投手との印象を強く受けました。特にスライダーは、カウントを稼ぐスライダーと、右打者外角低めのボールゾーンに集めて空振りを誘える球との使い分け。たまに緩いカーブや、カウントを整えるのに少し球速を殺したカットボールらしきボールを投げています。

また春季大会の奪三振映像を見るかぎり、何やらチェンジアップだかフォーク系の縦の変化球を投げているように見えます。これは夏に向けて、あえてこういう球を意図的に解禁したのでは無いかと思われます。まだ精度が高いとまでは言えませんが、この選手は腕の振りが素晴らしいので、ボールになる変化球を投げれば打者は勢いとストレートとの見分けが難しく空振りを誘えます。将来的にも、三振を奪える本格派への可能性を感じます。

その他

3月の練習試合の模様を見ていて思ったのは、クィックが少し遅い。タイムにすると1.2秒前後~それ以上であり、極端ではないが少し鈍い。牽制も偽投はするものの、実際には送球しない。フィールディングの類はよくわかりませんでしたが、そういった投球以外の部分は、もう少し全体にレベルを引き上げないといけないでしょう。

(投球のまとめ)

現時点のボールの質・球速、投手としての完成度からすると、まだまだ素材型の域は脱していません。それでも変化球もいいですし、ストレートの両サイドのコントロールも安定。ある程度の許容範囲内のまとまりは、あるのではないかと評価します。

ストレートに凄みがまだない分、高い順位での指名は厳しいでしょうが、この素材ならば育ててみたい、そうスカウトならば思うのではないのでしょうか。現時点での能力はそれほど高くなくても、プロが放っておかない素材だと考えます。

(投球フォーム)

腕の振りが素晴らしく、大型の割に非常にバランスよく投げているように見えます。

<広がる可能性> ☆☆

地面に向けて足をピンと伸ばしているので、お尻は一塁側に落とせません。すなわち身体を捻り出すスペースが確保できていないので、将来的に見分けの難しいカーブを投げたり、フォークのようなストンと縦の変化で空振りを狙うには適しません。

また「着地」までの粘りがもう一つで、地面をあっさり捉えてしまうのも気になります。これは、身体を捻り出す時間が確保できていないので、将来的に好い変化球を身につけられるのかには疑問が残ります。それでも天性の腕の振りの良さを活かし、スライダーを振らせることは出来ているのですが・・・。

<ボールの支配> ☆☆☆

グラブを最後まで内に抱えられているので、両サイドの投げ分けは安定しやすい。実際の投球でも、両サイドの投げ分けには優れます。しかし足の甲での地面への押し付けが浅く、ボールが上吊りやすいように見えます。ボール全体が高く甘いのは、上体が浮きがちなのが原因なのでしょう。「球持ち」自体は並ですが、指先の感覚は悪くは見えません。もう少し下半身を使えて来ると、低めへの押し込みも可能になり、コントロールの好い本格派になれる可能性はあります。

<故障のリスク> ☆☆☆

お尻が一塁側に落とせない割に、カーブやフォークなどを結構投げるので、肘への負担は感じます。振り下ろす腕の送り出しには無理を感じないので、肩への負担は大きくはなさそう。それほど力投派ではないので消耗は少なそうですが、肘を中心に日頃からケアには努めたいものです。

<実戦的な術> ☆☆

「着地」までの粘りの無さからも、打者としてはタイミングが合わせやすいのでは? また体の「開き」も少し早く、ボールの出処が早く見えて来るのも気になります。コースを突いた球でも、いち早く球筋を見破られ踏み込まれる危険性を感じます。

それでも身体に絡む腕の振りは特筆もので、速球と変化球の見極めは困難。もう少しボールに体重が乗せられるようになると、打者の手元まで球威・勢いの落ちない、本物のストレートが投げられるようになるのではないのでしょうか。

(フォームのまとめ)

投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点からみれば、「球持ち」こそ並ですが「着地」「開き」「体重移動」と発展途上であり、けして実戦的とはいえません。

コントロールを司る動作も、ボールが上吊る欠点がありますし肘へ負担大きなフォームであることも否定できません。そう考えると、伸び悩む要素も多くリスクを秘めた素材であることがわかります。

(最後に)

素材的には、まだまだ伸びそう、凄い投手になれそうと思わせる奥行きを感じます。その一方で、「着地」の粘りの無さ、「開き」の速さ、「体重移動」を含めたストレートとの凄みという意味でも物足りなさは感じます。

体格、腕の振り、未完成度からして伸び代を感じても、上手く導かないと伸び悩む可能性は高いということは、頭の片隅に入れておくべきでしょう。すなわち育成力のない球団が、安易に伸び代がありそうだと言って、手を出してはいけない類だということがわかります。

現時点での総合力やリスクも伴う素材であることを考えると、極めて高い評価はできません。今回は評価づけはしないと言いましたが、あくまでも下位指名~育成枠あたり、その辺の評価で落ち着くのではないのでしょうか。そのためあまり入れ込んで、過大評価はしないほうが好いと思います。個人的には大変好みの素材ですし、指名リストに入れるにしても、 ぐらいまでかなぁというのが、冷静に考えた結論。あくまでも評価づけは、サンプル不足ということで、未確認 ということで今回はご了承ください。

(2014年 宮城大会)
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