高木 勇人(25歳・三菱重工名古屋)投手
2014/08/26|Category:個別寸評
高木 勇人(25歳・三菱重工名古屋)投手 178/80 右/右 (海星出身)
「今年こそ指名されるか?」
三重海星時代からプロ注目の投手だったものの、社会人7年目の今年まで指名されることなくここまできた。すでに2年前に残した寸評でも、いつ指名されてもおかしくないだけのところまで来ていると書いたが、あれから2年経っても指名されずにいる。万年ドラフト候補でありながら、例年微妙に進化を続けている。 摂津 正(JR東日本東北-ソフトバンク)投手もそういう投手だったことを考えると、この選手の可能性も捨てきれない。
(投球内容)
それほど上背はありませんが、骨太の体格から堂々と投げ下ろして来る迫力を感じます。
ストレート 常時145キロ前後~MAX148キロ
都市対抗では緒戦の大阪ガス戦で逆転を許しましたが、堂々としたマウンド捌きが光りました。上背の割にボールには角度を感じさせ、ストライクゾーンにポンポンと投げ込んできます。都市対抗予選では、20回1/3イニングで四死球3個と極めて少なく、四死球で自滅するような不安定さはありません。特に力を入れれば、いつでも145キロ強のボール投げ込むなど、ストレートの威力・その馬力はプロ級だと言えるでしょう。
変化球 スライダー など
2年前のレポートを読むと、スライダー以外に、カーブ・チェンジアップ・フォーク・ツーシーム・カットボールと実に多彩な変化球を投げるも、何か絶対的な武器がないと記されていました。しかしこの試合ではリリーフというのもあったのでしょうが、殆ど横滑りするスライダーとのコンビネーションに終始。たまに低めに落ちる球もあり、これはフォークではなく縦スラを投げているのではないかと考えます。現状は、この二種類のスライダーが殆どで、他の変化球はよくわかりませんでした。
その他
今年の都市対抗では、間を外すための軽い牽制のみ。元来鋭い牽制が投げられる選手で、その辺は問題無さそう。フィールディングの動きも、少しドタドタしたところはありますが下手ではないでしょう。更に課題だったクィックも年々上手くなっており、今や1.1秒台前半と上手い部類へと技量を年々高めています。
(投球のまとめ)
常時145キロ前後投げられる馬力は評価できますし、スライダーもかなり特徴が出てきました。課題は四球で自滅するようなコントロールではないのですが、勝負どころで甘い球が入ってくるところと、カウントを取るスライダーが高めで曲がって来るのが気になりました。
この辺の詰めの甘さは残るものの、年々技量をあげている意識の高さを考えると、今年はプロ入りへのGO!サインを出す球団がいよいよ出てくるのではないかと期待されます。
(投球フォーム)
ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。足を勢いよく高く引き上げて来るリリーフタイプで、軸足一本で立った時に、綺麗なYの字で立てるのが特徴的。
<広がる可能性> ☆☆☆☆
足を引き上げた時に、高い位置でピンと伸ばせるので、お尻は一塁側に落とせます。そのため、体を捻り出すスペースが確保でき、カーブで緩急を効かせたり、フォークのような縦に大きく落ちる球種を投げても無理がありません。
引き上げた足を幾分二塁側に送るなど工夫すれば、もう少し「着地」までの粘りが作れそう。現状「着地」のタイミングは平均的で、それほど体を捻り出す時間が確保出来ていません。そのため多彩な球種を投げることは出来ますが、絶対的なキレ・曲がりを身につけられないのはこのせいでしょう。それでもスライダーに関しては、以前よりもだいぶ特徴が出てきました。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けはまずまず。ただし足の甲での地面への押し付けが浮いてしまっており、力を入れたボールが上吊る危険性があります。「球持ち」は平均的で、指先の感覚も並ぐらいでしょうか。枠の中に集めることには苦労しませんが、枠の中で上手くコントロールする技術には課題を残します。
<故障のリスク> ☆☆☆☆
お尻を落とせるフォームなので、カーブやフォークといった球種を投げても肘への負担は少ないはず。腕の角度にも無理は感じないので、肩を痛める危険性は少ないのでは? そういった意味では、タフな活躍が期待できるフォームですし、身体に馬力を感じます。
<実戦的な術> ☆☆☆
「着地」までの粘りは平均的ですが、少し体の「開き」が早いように見えます。この辺が、コースを突いた球でも打ち返されたりする、一つの要因であるように考えます。
また振り下ろした腕が身体に思ったほど絡んで来ないなど、速球と変化球の見極めもつきやすいはず。ボールへの体重の乗せ具合は悪くないので、打者の手元までボールの勢いは落ちません。
(フォームのまとめ)
投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」に関しては課題を感じませんし(足の甲は地面を捉えて欲しいが)、「球持ち」「着地」も平均的ではあるように評価します。
しかし「開き」は若干早く、打者としては球威・球速ほど苦にならない可能性が。故障のリスクは感じませんが、足の甲の押し付けができず、ボールが上吊るのを改善したいところ。
(最後に)
ゲームメイクできるというよりは、リリーフで力を発揮するタイプ。まだプロでバリバリ一年目から活躍できるかと言われる微妙な部分があり、もう少しフォームに粘りが全体的に欲しいところ。
それでも年々レベルアップしていますし、ボール自体はプロ級。詰めの甘さは気になりますが、プロ入り後の更なる進化も期待して、今年は指名リストに入れてみたいと思います。果たして指名して来る球団が出てくるのか、密かに期待して見守りたいと思います。上手くハマれば、プロでも貴重なリリーフとして重宝されるのではないのでしょうか。
蔵の評価:☆
(2014年 都市対抗)
「今年こそ指名されるか?」
三重海星時代からプロ注目の投手だったものの、社会人7年目の今年まで指名されることなくここまできた。すでに2年前に残した寸評でも、いつ指名されてもおかしくないだけのところまで来ていると書いたが、あれから2年経っても指名されずにいる。万年ドラフト候補でありながら、例年微妙に進化を続けている。 摂津 正(JR東日本東北-ソフトバンク)投手もそういう投手だったことを考えると、この選手の可能性も捨てきれない。
(投球内容)
それほど上背はありませんが、骨太の体格から堂々と投げ下ろして来る迫力を感じます。
ストレート 常時145キロ前後~MAX148キロ
都市対抗では緒戦の大阪ガス戦で逆転を許しましたが、堂々としたマウンド捌きが光りました。上背の割にボールには角度を感じさせ、ストライクゾーンにポンポンと投げ込んできます。都市対抗予選では、20回1/3イニングで四死球3個と極めて少なく、四死球で自滅するような不安定さはありません。特に力を入れれば、いつでも145キロ強のボール投げ込むなど、ストレートの威力・その馬力はプロ級だと言えるでしょう。
変化球 スライダー など
2年前のレポートを読むと、スライダー以外に、カーブ・チェンジアップ・フォーク・ツーシーム・カットボールと実に多彩な変化球を投げるも、何か絶対的な武器がないと記されていました。しかしこの試合ではリリーフというのもあったのでしょうが、殆ど横滑りするスライダーとのコンビネーションに終始。たまに低めに落ちる球もあり、これはフォークではなく縦スラを投げているのではないかと考えます。現状は、この二種類のスライダーが殆どで、他の変化球はよくわかりませんでした。
その他
今年の都市対抗では、間を外すための軽い牽制のみ。元来鋭い牽制が投げられる選手で、その辺は問題無さそう。フィールディングの動きも、少しドタドタしたところはありますが下手ではないでしょう。更に課題だったクィックも年々上手くなっており、今や1.1秒台前半と上手い部類へと技量を年々高めています。
(投球のまとめ)
常時145キロ前後投げられる馬力は評価できますし、スライダーもかなり特徴が出てきました。課題は四球で自滅するようなコントロールではないのですが、勝負どころで甘い球が入ってくるところと、カウントを取るスライダーが高めで曲がって来るのが気になりました。
この辺の詰めの甘さは残るものの、年々技量をあげている意識の高さを考えると、今年はプロ入りへのGO!サインを出す球団がいよいよ出てくるのではないかと期待されます。
(投球フォーム)
ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。足を勢いよく高く引き上げて来るリリーフタイプで、軸足一本で立った時に、綺麗なYの字で立てるのが特徴的。
<広がる可能性> ☆☆☆☆
足を引き上げた時に、高い位置でピンと伸ばせるので、お尻は一塁側に落とせます。そのため、体を捻り出すスペースが確保でき、カーブで緩急を効かせたり、フォークのような縦に大きく落ちる球種を投げても無理がありません。
引き上げた足を幾分二塁側に送るなど工夫すれば、もう少し「着地」までの粘りが作れそう。現状「着地」のタイミングは平均的で、それほど体を捻り出す時間が確保出来ていません。そのため多彩な球種を投げることは出来ますが、絶対的なキレ・曲がりを身につけられないのはこのせいでしょう。それでもスライダーに関しては、以前よりもだいぶ特徴が出てきました。
<ボールの支配> ☆☆☆
グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けはまずまず。ただし足の甲での地面への押し付けが浮いてしまっており、力を入れたボールが上吊る危険性があります。「球持ち」は平均的で、指先の感覚も並ぐらいでしょうか。枠の中に集めることには苦労しませんが、枠の中で上手くコントロールする技術には課題を残します。
<故障のリスク> ☆☆☆☆
お尻を落とせるフォームなので、カーブやフォークといった球種を投げても肘への負担は少ないはず。腕の角度にも無理は感じないので、肩を痛める危険性は少ないのでは? そういった意味では、タフな活躍が期待できるフォームですし、身体に馬力を感じます。
<実戦的な術> ☆☆☆
「着地」までの粘りは平均的ですが、少し体の「開き」が早いように見えます。この辺が、コースを突いた球でも打ち返されたりする、一つの要因であるように考えます。
また振り下ろした腕が身体に思ったほど絡んで来ないなど、速球と変化球の見極めもつきやすいはず。ボールへの体重の乗せ具合は悪くないので、打者の手元までボールの勢いは落ちません。
(フォームのまとめ)
投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」に関しては課題を感じませんし(足の甲は地面を捉えて欲しいが)、「球持ち」「着地」も平均的ではあるように評価します。
しかし「開き」は若干早く、打者としては球威・球速ほど苦にならない可能性が。故障のリスクは感じませんが、足の甲の押し付けができず、ボールが上吊るのを改善したいところ。
(最後に)
ゲームメイクできるというよりは、リリーフで力を発揮するタイプ。まだプロでバリバリ一年目から活躍できるかと言われる微妙な部分があり、もう少しフォームに粘りが全体的に欲しいところ。
それでも年々レベルアップしていますし、ボール自体はプロ級。詰めの甘さは気になりますが、プロ入り後の更なる進化も期待して、今年は指名リストに入れてみたいと思います。果たして指名して来る球団が出てくるのか、密かに期待して見守りたいと思います。上手くハマれば、プロでも貴重なリリーフとして重宝されるのではないのでしょうか。
蔵の評価:☆
(2014年 都市対抗)
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