倉本 寿彦(23歳・日本新薬)遊撃手
2014/09/11|Category:個別寸評
倉本 寿彦(23歳・日本新薬)遊撃 180/82 右/左 (横浜-創価大出身)
「大学・社会人NO.1内野手」
今年も大学・社会人球界には、プロでもニ遊間を担えそうな選手は枯渇している。そんななか救世主となりそうなのが、この 倉本 寿彦 。創価大時代のレポートを読むと、いつも三拍子中の上レベルでバランスが取れているが、何かプロで売りにできる特徴が欲しいとコメントしてきた。しかし今年に入り、打撃が急成長し異彩を放っている。
(守備・走塁面)
一塁までの塁間は、左打席から4.1秒前後。これはプロの基準である4.2秒を満たす数字ではあるが、プロで足を売りにできるほどの絶対的なスピードではない。実際に試合を見ていると、盗塁を積極的に仕掛けるタイプではない。
遊撃手としては、ボールを丁寧に扱おうという姿勢が感じられる。特にフットワーク・キャッチングなどに派手さはないが、スローイング含めて安定。都市対抗予選の5試合で、失策は1個。プロでレギュラーの遊撃手となれるかは微妙なレベルだが、ニ遊間を担って行ける素材ではあるだろう。地肩は、それほど強い返球は見られないものの、難しい体勢からでも送球が乱れないのは、地肩が強いからだろう。ドラフト候補としても、地肩も基準レベルは満たしている。
現状は、走力は並。守備は、ドラフト候補としては中の上レベルと考えてよさそう。
(打撃内容)
左打者には珍しく、クロスに構える。どことなく構えた時の雰囲気は、小笠原 道大(現中日)内野手を彷彿とさせる。ここに来て伸びてきたのは、対応力というよりは長打力。オーバーフェンス連発というわけではないが、二塁打など野手の頭を越えるような長打が増えてきた。
都市対抗初戦の富士重工戦では攻守に大活躍だったが、結局三試合のあベレージは.231厘。更に、予選でも3割だったことを考えると、対応力はそれほど変わっていない。
<構え> ☆☆☆
両足を揃えて構えていますが、両肩を結ぶラインは少しクローズ気味に。グリップの高さは平均的で、あらかじめ捕手方向に引かれています。腰の据わり・全体のバランスという意味ではもうひとつですが、両目で前を見据える姿勢は並ぐらい。クローズドスタンス独特の、少し癖のある形になっています。
<仕掛け> 早めの仕掛け
投手の重心が下がる途中で動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージヒッターが採用する仕掛け。しかし実際には、パンチ力もあり中距離タイプの打者に見えます。
<足の運び> ☆☆☆☆
始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも幅広く対応しやすい打ち方。しかし実際は、いろいろな球に対応するために足を高く早めに引き上げているというよりも、強く踏み込むためだと考えられます。そのため始動が早い割には、それほど対応力は高くありません。特に緩いカーブ系の球に脆く、この点は気になりました。
真っ直ぐ踏み出してくる選手で、内角でも外角でも幅広く対応。都市対抗の富士重工戦でも、外角の球でも内角の球でもヒットを打っていました。特に踏み込んだ足元がブレず、腕がよく伸びるところの打球は伸びます。
<リストワーク> ☆☆☆☆
あらかじめグリップを捕手方向に引いているので、打撃の準備である「トップ」の形は早く作れます。そのため速い球に立ち遅れる心配はありませんが、リストワークにあまり柔軟性は感じません。
バットの振り出しにも癖はないのですが、けしてインサイド・アウトの最短距離で振りぬくというスイングではなく、バットのしなりを活かした大きなスイングが特徴。そのため打球は、レフト方向へも大きく伸びてゆきます。それでも内角よりも球は、しっかり引っ張ることができ、どの方向にも強い打球が飛ばせます。上手く合わせるというよりは、強く叩くスイング。
<軸> ☆☆☆☆
足を大きく上げ下ろししますが、目線はそれほど上下に動きません。体の開きも我慢出来ていますし、軸足も力強く根を張って打てています。打球が伸びるのも、この軸足の内モモの筋肉が強いからでしょう。
(打撃のまとめ)
ボールを捉える柔軟性や打撃の感性には、あまり特別なものは感じません。しかしボールを強く、遠くにという能力には非凡なものを感じます。けして長距離打者ではないのですが、野手の間や頭を越えて行くような、破壊力のある打撃は期待できそう。あとは、プロでどのぐらいの打率を残せるのかが、一つポイントではないのでしょうか。
それでも上半身の使い方、下半身の使い方などに悪い癖はなく、技術的にもある程度プロの一軍を意識できるだけの技術は備わってゆきます。あとは、何処までプロで何かを掴み、それを広げて行けるかではないのでしょうか。それでも大学時代には何か特徴に欠けていたところを、ここまで打撃で存在感を示せるまでには、それなりの努力を重ねてきたはず。その点では、プロでも資質を伸ばせる可能性は充分あると感じます。彼は天才肌ではなく、努力で作り上げてきたタイプです。
(最後に)
プロに混ぜてしまうと、守備・走力・対応力という意味では平凡です。それでも丁寧なプレーで、安定した守備を。努力して積み重ねてきたスイングで、破壊力を磨いてきました。そういった積み重ねてきた選手なので、きっとプロでも自分の生き残る術を、見出して行けるのではないかという期待は抱けます。
プロでも環境に慣れれば、2割7分・15本級ぐらいで、ニ遊間を担えるぐらいの選手までには、育つかもしれませんね。ただし都市対抗初戦の富士重工戦の内容は、攻守に出来すぎだった気がします。あれをアベレージの力だと考えてしまうと、ちょっとプロ入り後はあれ?ということになってしまうかと。プロでその存在感を示すのは、数年後になるのではないのでしょうか。プロでは一年目よりも、数年後にその才能が爆発すると考えています。
蔵の評価:☆☆
(2014年 都市対抗)
「大学・社会人NO.1内野手」
今年も大学・社会人球界には、プロでもニ遊間を担えそうな選手は枯渇している。そんななか救世主となりそうなのが、この 倉本 寿彦 。創価大時代のレポートを読むと、いつも三拍子中の上レベルでバランスが取れているが、何かプロで売りにできる特徴が欲しいとコメントしてきた。しかし今年に入り、打撃が急成長し異彩を放っている。
(守備・走塁面)
一塁までの塁間は、左打席から4.1秒前後。これはプロの基準である4.2秒を満たす数字ではあるが、プロで足を売りにできるほどの絶対的なスピードではない。実際に試合を見ていると、盗塁を積極的に仕掛けるタイプではない。
遊撃手としては、ボールを丁寧に扱おうという姿勢が感じられる。特にフットワーク・キャッチングなどに派手さはないが、スローイング含めて安定。都市対抗予選の5試合で、失策は1個。プロでレギュラーの遊撃手となれるかは微妙なレベルだが、ニ遊間を担って行ける素材ではあるだろう。地肩は、それほど強い返球は見られないものの、難しい体勢からでも送球が乱れないのは、地肩が強いからだろう。ドラフト候補としても、地肩も基準レベルは満たしている。
現状は、走力は並。守備は、ドラフト候補としては中の上レベルと考えてよさそう。
(打撃内容)
左打者には珍しく、クロスに構える。どことなく構えた時の雰囲気は、小笠原 道大(現中日)内野手を彷彿とさせる。ここに来て伸びてきたのは、対応力というよりは長打力。オーバーフェンス連発というわけではないが、二塁打など野手の頭を越えるような長打が増えてきた。
都市対抗初戦の富士重工戦では攻守に大活躍だったが、結局三試合のあベレージは.231厘。更に、予選でも3割だったことを考えると、対応力はそれほど変わっていない。
<構え> ☆☆☆
両足を揃えて構えていますが、両肩を結ぶラインは少しクローズ気味に。グリップの高さは平均的で、あらかじめ捕手方向に引かれています。腰の据わり・全体のバランスという意味ではもうひとつですが、両目で前を見据える姿勢は並ぐらい。クローズドスタンス独特の、少し癖のある形になっています。
<仕掛け> 早めの仕掛け
投手の重心が下がる途中で動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージヒッターが採用する仕掛け。しかし実際には、パンチ力もあり中距離タイプの打者に見えます。
<足の運び> ☆☆☆☆
始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも幅広く対応しやすい打ち方。しかし実際は、いろいろな球に対応するために足を高く早めに引き上げているというよりも、強く踏み込むためだと考えられます。そのため始動が早い割には、それほど対応力は高くありません。特に緩いカーブ系の球に脆く、この点は気になりました。
真っ直ぐ踏み出してくる選手で、内角でも外角でも幅広く対応。都市対抗の富士重工戦でも、外角の球でも内角の球でもヒットを打っていました。特に踏み込んだ足元がブレず、腕がよく伸びるところの打球は伸びます。
<リストワーク> ☆☆☆☆
あらかじめグリップを捕手方向に引いているので、打撃の準備である「トップ」の形は早く作れます。そのため速い球に立ち遅れる心配はありませんが、リストワークにあまり柔軟性は感じません。
バットの振り出しにも癖はないのですが、けしてインサイド・アウトの最短距離で振りぬくというスイングではなく、バットのしなりを活かした大きなスイングが特徴。そのため打球は、レフト方向へも大きく伸びてゆきます。それでも内角よりも球は、しっかり引っ張ることができ、どの方向にも強い打球が飛ばせます。上手く合わせるというよりは、強く叩くスイング。
<軸> ☆☆☆☆
足を大きく上げ下ろししますが、目線はそれほど上下に動きません。体の開きも我慢出来ていますし、軸足も力強く根を張って打てています。打球が伸びるのも、この軸足の内モモの筋肉が強いからでしょう。
(打撃のまとめ)
ボールを捉える柔軟性や打撃の感性には、あまり特別なものは感じません。しかしボールを強く、遠くにという能力には非凡なものを感じます。けして長距離打者ではないのですが、野手の間や頭を越えて行くような、破壊力のある打撃は期待できそう。あとは、プロでどのぐらいの打率を残せるのかが、一つポイントではないのでしょうか。
それでも上半身の使い方、下半身の使い方などに悪い癖はなく、技術的にもある程度プロの一軍を意識できるだけの技術は備わってゆきます。あとは、何処までプロで何かを掴み、それを広げて行けるかではないのでしょうか。それでも大学時代には何か特徴に欠けていたところを、ここまで打撃で存在感を示せるまでには、それなりの努力を重ねてきたはず。その点では、プロでも資質を伸ばせる可能性は充分あると感じます。彼は天才肌ではなく、努力で作り上げてきたタイプです。
(最後に)
プロに混ぜてしまうと、守備・走力・対応力という意味では平凡です。それでも丁寧なプレーで、安定した守備を。努力して積み重ねてきたスイングで、破壊力を磨いてきました。そういった積み重ねてきた選手なので、きっとプロでも自分の生き残る術を、見出して行けるのではないかという期待は抱けます。
プロでも環境に慣れれば、2割7分・15本級ぐらいで、ニ遊間を担えるぐらいの選手までには、育つかもしれませんね。ただし都市対抗初戦の富士重工戦の内容は、攻守に出来すぎだった気がします。あれをアベレージの力だと考えてしまうと、ちょっとプロ入り後はあれ?ということになってしまうかと。プロでその存在感を示すのは、数年後になるのではないのでしょうか。プロでは一年目よりも、数年後にその才能が爆発すると考えています。
蔵の評価:☆☆
(2014年 都市対抗)
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