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松本 裕樹(盛岡大付・3年)投手 最終寸評
松本 裕樹(盛岡大付・3年)投手 183/80 右/左





             「甲子園では8分の出来」





甲子園緒戦の東海大相模戦では、常時135~MAX143キロぐらいの球で、岩手大会準決勝の盛岡三戦が10だとすれば、8分ぐらいの出来だった。しかし続く敦賀気比戦では、故障が完全に悪化。誤魔化し投げた相模戦とは違い、明らかに故障が悪化した投球だった。それでは普段の 松本 裕樹 はどうなのか、彼の投球を考えてみたい。

(投球内容)

大きくテイクバックをとり、深く重心を沈めて投げてきます。

ストレート 常時140キロ台~MAX148キロ

盛岡三高戦のあとに、肘に炎症が出たと言われいる。しかしその盛岡三高戦は、彼の高校生活の集大成だったというものも少なくない。その試合をみると、ほとんどの速球は140キロを超えてくる球速があり、要所では140キロ台中盤を記録して来る。しかし好調時でもそのぐらいの投手であり、ずば抜けて速い球を投げ込むわけではない。それでも本気で投げると、145~150キロ級のボールを投げ込める能力は秘めていて、この試合でもMAXでは148キロに到達。しかも2年夏の時点で、MAX147キロの球速も確認できていた。

ボールの質としては、驚くような伸びやキレがあるわけではないが、適度な勢いと下半身主導で粘っこいボールを投げ込んできて、ヒットは打たれても連打は喰らい難い。その球を両サイドにしっかり投げ分けるコントロールがあり、打者の内角を厳しく突くこともできる。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ

最大の武器は、外角低めに決まるスライダー。この球を振らせるのが、非常に上手い。その他に、ブレーキの効いたカーブ、他にチェンジアップがあるようだが、殆ど沈まずにシュートのような曲がりをする。この球を、右打者の内角に結構使って外のスライダーを活かす。この投手は、ストレートで圧倒するというよりも、速球を見せ球にして、変化球で勝負するといったコンビネーションを得意としている。だからこそストレートの走りが悪くても、それなりに試合をまとめることができるのだ。

その他

牽制自体かなり鋭く、ランナーにしっかり意識を傾けて投球ができる。フィールディングの動きも良いのだが、プレーが雑で送球を乱すことがあるのが気になるところ。クィックは1.25秒前後と昨年からあまり速くなく、一年経っても改善はされていなかった。

(投球のまとめ)

普段は8分ぐらいの力で投球しており、要所で9分ぐらいの力を入れてくる。本当に乗って来ると、150キロ近い球速のボールもなげられるが、そういった球を連発する圧倒的な馬力やスタミナは持っていない。

素晴らしいのは、両サイドにキッチリ投げ分けられるコントロール。特に内角を厳しく突きつつ、外角低めの絶妙なところにスライダーを決められる投球術が確立されている点。外角でも微妙にボールを出し入れができる技術が、この選手にはある。

「間」の取り方、力の抜き加減・入れ加減に至るまで意識でき、高校生としてはハイレベルだと言える。優勝候補筆頭だった東海大相模が、あっさり翻弄されたのも頷けるところだった。

(投球フォーム)

肘の炎症を起こしたように、故障を起こしやすいフォームなのかも含めて考えてみたい。

<広がる可能性> ☆☆☆☆

引き上げた足が地面に向けて伸ばすので、最終的にはそれなりに一塁側にお尻は落ちるのだが、昨年よりも一塁側に落ちるタイミングが遅くなった気がする。その分体の捻り出しが遅れており、カーブやシュート系の球を投げる時にスペースがまだ確保されておらず、肘への負担を増したのが故障の原因かもしれない。

昨年は淡白だった「着地」までの粘りはだいぶ改善され、体を捻り出す時間は確保された。そういった意味では、カーブ・フォーク・あるいはシュートを投げるには不安が残るものの、それ以外の球種ならば充分モノにできる可能性がある。スライダーのキレが実戦的なのは、この粘りが大きいのではないのだろうか。

<ボールの支配> ☆☆☆

グラブはシッカリ内に抱えられているわけではないのだが、両サイドの投げ分けは安定。足の甲では深くを地面を捉えており、ボールが比較的低めに集まるのは良いところ。「球持ち」も良く、指先の感覚には優れている方だと言える。岩手予選の42イニング6四死球と、イニングの1/4におさえているのは非常に優秀。

<故障のリスク> ☆☆☆

お尻の落としが遅れることで、カーブやシュート系のボールを投げる時に、肘への負担となっている可能性がある。しかし振り下ろす腕の角度には無理がなく、肩への負担は少ないはず。元来それほど力投派ではないので、フォームだけ見れば負担が大きいようには見えない。むしろ故障するとしたら、別の問題が考えられるのでは。

<実戦的な術> ☆☆☆

「着地」までの粘りがよくなり、体の「開き」も抑えられ、だいぶ合わせ難いフォームになってきた。

腕は強く振れ、体に巻き付くような粘りが観られる。そのため速球と変化球の見極めは、かなり困難だと言えるはず。しかし膝小僧に土が着いてしまうほど重心が沈み込んでいるので、重心が後ろに残ってしまい前に上手く体重が乗って来ない。「着地」の粘りは作れたものの、その分ボールの勢いが損なわれてしまう。

(フォームのまとめ)

投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点でいえば、「着地」「球持ち」などに優れ、「開き」は平均的。「体重移動」に、まだ課題が残る。

コントロールを司る動作はよく、故障のリスクも元来それほど高いフォームには言える。

(意識づけ)

この選手で一番心配なのは、下級生の頃から苦言を呈してきた取り組みにある。投球レベル・投球術・コントロールとハイレベルなものがあり、能力的には上位指名候補だと評価されるだけのものがある。下手に器用なところが、かえって成長を妨げている可能性さえ感じる。

また精神的な浮き沈みがマウンドでも手に取るようにわかるところは、一年生の頃から変わっていない。またけして負担の大きなフォームでもないのに故障してしまうのは、野球への取り組みが浅いからでは。甲子園でも肘の炎症のため、全くブルペンで投球することなくマウンドに上ったという。しかしこれは、準備運動無しに、いきなり全力で体を動かすような行為であり、こんなことをやっていれば体を痛めるのは当然。こういったこと一つとってもそうなのだから、本当に大人の世界・ましてプロの世界で、今の考え方や取り組みでやって行けるのか? そういった疑問はどうしても拭えない。

(最後に)

確か盛岡三戦のような投球を魅せられれば、ドラフト1位候補と騒がれるのも頷ける。しかし下級生の頃から見てきた人間からすれば、根本的な部分は3年間で変わることが出来なかった、そういった印象は否めない。

150キロ近い球が投げられるわりに、コントロール・投球術もハイレベル。今後も更にレベルアップを望めれば、将来の主戦投手へと期待したくなる気持ちはわからなくはない。しかし彼の取り組み・意識が今のままでは、必ずプロレベルでは壁にぶち当たると考える。

その時にその壁を乗り越えて行く、突き破って行ける、そういったものがこの選手にあるのか?と言われると、私には甚だ疑問が残る。仮にポテンシャルの高さを活かして活躍したとしても、その期間が長く持続するとは思えない。逆にこういった選手が今後どのような成績を残してゆくのか、あるいは人間的に成長して行くのかには興味がある。しかし現時点では、スカウトたちが評価するような、高い評価は私には出来なかった。

蔵の評価:☆☆

(2014年夏 甲子園) 
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