伊東 亮大(25歳・日本製紙石巻) 最終寸評
2014/10/09|Category:個別寸評
伊東 亮大(25歳・日本製紙石巻)DH 194/92 左/左 (桐光学園-武蔵大出身)
「ちょっと厳しいかな」
日本人離れした手足の長さと体格を活かし、抜群の長打力を秘めている 伊東 亮大 。特に春先のスポニチ大会では3本のホームランを放ち、その存在感を示した。弟は、元広島の 伊藤 昂平 。地元楽天が、指名するとの新聞報道もあり、にわかに注目度が増している。
(守備・走塁面)
一塁までの塁間は4.2秒前後と基準レベル。二塁までは8秒を切るような脚力の持ち主ですから、けして足は遅くありません。盗塁をするような走塁技術はありませんが、動けない選手ではありません。
外野にも挑戦するとの記事もあったものの、いぜん守備はDH専門で守らず。大学時代は、1番・一塁手として出場するも、けして動きの良い選手ではありませんでした。桐光学園時代は、投手もやっていた選手ということで、地肩自体は弱くないと思うのですが、打球勘などが悪いのでしょうか? 現状の守備力はわからず、一塁ならばプロでも我慢できるレベルなのかも定かではありません。ちなみに武蔵大学時代には、一塁手でベストナインを獲得しています。
(打撃内容)
踏み込んだ足元が早く地面から離れるタイプで、打球の多くはセンターからライト方向に集中する引っ張り専門のスイング。今年の都市対抗では、JR東日本東北の補強選手として出場するも、三振2つを含む、無安打で終わりました。特に注目された春先のスポニチ大会では、5試合で8本のヒットを放ち3本塁打・打率.381厘・5本のヒットが長打という破壊力で、私自身も、ホームランを目の当たりにしています。
<構え> ☆☆☆
両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えた強打者スタイル。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスもそれなりで、けして悪い構えではありません。
<仕掛け> 早めの仕掛け
春先にレポートした時は「平均的な仕掛け」でしたが、都市対抗では投手の重心が下がる時に動き出す「早めの仕掛け」になり始動が早まっていました。意図してそうしていたのかはわかりませんが、より対応力を重視していたということでしょうか。
<足の運び> ☆☆☆
始動~着地までの「間」は充分あるので、速球でも変化球でも幅広く対応できる打ち方。ただしこの選手の場合、変化によって踏み込むタイミングを変えているというよりも、大きく足を引き上げて強く踏み込むことに重点が置かれているので、それほど対応力が高いわけではないと考えます。
ベース側に大きく踏み込むインステップを採用しており、長い手足を活かして少々の外角よりの球ならば充分巻き込むことが可能。ただし踏み込んだ足元がブレてしまったり、早く地面から離れるので、外角の厳しい球や低めの球に対しては、開きが早く踏ん張り切れません。あくまでも、引っ張り込めるボールじゃないと、自分のスイングができない脆さがあります。それでいて都市対抗では、高めの球を三振していました。
<リストワーク> ☆☆☆
早めに打撃の準備である「トップ」の形をつくってボールを持つことができるので、速い球に立ち遅れる心配はありません。しかし体の開きが早く、バットを振り出す時に体から離れて出来ています。捌けるのは引っ張れる球に限るのは、このような理由からでしょう。 ただしスイング自体は非常に力強く、まともに捉えた打球は、ピンポン球のように飛んでゆきます。この打球の強さ・飛距離は、日本人では稀な打者だと言えます。
<軸> ☆☆
足の上げ下げは大きいですが、それほど目線は上下に動いていません。しかし体の開きが我慢できないのと、軸足が前に崩れて突っこんでしまうなど、ポイントまでボールを呼び込めない時の脆さを感じます。
(打撃のまとめ)
緩急への対応というよりも、捌けるコースが限られているので、そこに来ないと打てません。その割に、結構なんでもボールを追って振ってしまう見極めの悪さがあるので、どうしても脆くなってしまいます。
日本人離れした強いスイング・飛距離は魅力ですが、社会人出身でも、即戦力として活躍するのは厳しいのではないかと。欠点を克服できる融通性があれば良いのですが、現状は穴を攻められて苦しむことが予想されます。
(最後に)
自慢の打撃も穴が多く、守備位置も限られることを考えると、かなり厳しいと言わざるえません。我慢して起用し続けてくれる環境か、あるいは自ら欠点を改善して行ける器用さがあるかで決まってきます。
よほど余裕のある球団か、我慢して育てるという気構えがある環境じゃないと、短期間で球界を去る可能性も否定できません。しかしもう社会人で得るものは少ないでしょうから、プロという目標があるのならば、プロに入るべきだと考えます。こういう選手が大成してゆくようだと、日本球界の打撃もこの先非常に期待が持てるのですが。果たして今後どうなってゆくのか、興味を持って見守って行きたい。残念ながら、個人的には指名リストに名前を残すことは出来ませんでした。
(2014年 都市対抗)
「ちょっと厳しいかな」
日本人離れした手足の長さと体格を活かし、抜群の長打力を秘めている 伊東 亮大 。特に春先のスポニチ大会では3本のホームランを放ち、その存在感を示した。弟は、元広島の 伊藤 昂平 。地元楽天が、指名するとの新聞報道もあり、にわかに注目度が増している。
(守備・走塁面)
一塁までの塁間は4.2秒前後と基準レベル。二塁までは8秒を切るような脚力の持ち主ですから、けして足は遅くありません。盗塁をするような走塁技術はありませんが、動けない選手ではありません。
外野にも挑戦するとの記事もあったものの、いぜん守備はDH専門で守らず。大学時代は、1番・一塁手として出場するも、けして動きの良い選手ではありませんでした。桐光学園時代は、投手もやっていた選手ということで、地肩自体は弱くないと思うのですが、打球勘などが悪いのでしょうか? 現状の守備力はわからず、一塁ならばプロでも我慢できるレベルなのかも定かではありません。ちなみに武蔵大学時代には、一塁手でベストナインを獲得しています。
(打撃内容)
踏み込んだ足元が早く地面から離れるタイプで、打球の多くはセンターからライト方向に集中する引っ張り専門のスイング。今年の都市対抗では、JR東日本東北の補強選手として出場するも、三振2つを含む、無安打で終わりました。特に注目された春先のスポニチ大会では、5試合で8本のヒットを放ち3本塁打・打率.381厘・5本のヒットが長打という破壊力で、私自身も、ホームランを目の当たりにしています。
<構え> ☆☆☆
両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えた強打者スタイル。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスもそれなりで、けして悪い構えではありません。
<仕掛け> 早めの仕掛け
春先にレポートした時は「平均的な仕掛け」でしたが、都市対抗では投手の重心が下がる時に動き出す「早めの仕掛け」になり始動が早まっていました。意図してそうしていたのかはわかりませんが、より対応力を重視していたということでしょうか。
<足の運び> ☆☆☆
始動~着地までの「間」は充分あるので、速球でも変化球でも幅広く対応できる打ち方。ただしこの選手の場合、変化によって踏み込むタイミングを変えているというよりも、大きく足を引き上げて強く踏み込むことに重点が置かれているので、それほど対応力が高いわけではないと考えます。
ベース側に大きく踏み込むインステップを採用しており、長い手足を活かして少々の外角よりの球ならば充分巻き込むことが可能。ただし踏み込んだ足元がブレてしまったり、早く地面から離れるので、外角の厳しい球や低めの球に対しては、開きが早く踏ん張り切れません。あくまでも、引っ張り込めるボールじゃないと、自分のスイングができない脆さがあります。それでいて都市対抗では、高めの球を三振していました。
<リストワーク> ☆☆☆
早めに打撃の準備である「トップ」の形をつくってボールを持つことができるので、速い球に立ち遅れる心配はありません。しかし体の開きが早く、バットを振り出す時に体から離れて出来ています。捌けるのは引っ張れる球に限るのは、このような理由からでしょう。 ただしスイング自体は非常に力強く、まともに捉えた打球は、ピンポン球のように飛んでゆきます。この打球の強さ・飛距離は、日本人では稀な打者だと言えます。
<軸> ☆☆
足の上げ下げは大きいですが、それほど目線は上下に動いていません。しかし体の開きが我慢できないのと、軸足が前に崩れて突っこんでしまうなど、ポイントまでボールを呼び込めない時の脆さを感じます。
(打撃のまとめ)
緩急への対応というよりも、捌けるコースが限られているので、そこに来ないと打てません。その割に、結構なんでもボールを追って振ってしまう見極めの悪さがあるので、どうしても脆くなってしまいます。
日本人離れした強いスイング・飛距離は魅力ですが、社会人出身でも、即戦力として活躍するのは厳しいのではないかと。欠点を克服できる融通性があれば良いのですが、現状は穴を攻められて苦しむことが予想されます。
(最後に)
自慢の打撃も穴が多く、守備位置も限られることを考えると、かなり厳しいと言わざるえません。我慢して起用し続けてくれる環境か、あるいは自ら欠点を改善して行ける器用さがあるかで決まってきます。
よほど余裕のある球団か、我慢して育てるという気構えがある環境じゃないと、短期間で球界を去る可能性も否定できません。しかしもう社会人で得るものは少ないでしょうから、プロという目標があるのならば、プロに入るべきだと考えます。こういう選手が大成してゆくようだと、日本球界の打撃もこの先非常に期待が持てるのですが。果たして今後どうなってゆくのか、興味を持って見守って行きたい。残念ながら、個人的には指名リストに名前を残すことは出来ませんでした。
(2014年 都市対抗)
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