2015年 大学選手権3
大会初日・神宮球場第二試合 城西国際大 VS 西南学院大
プロ注目の 宇佐見 真吾(城西国際大)捕手は、平塚合宿の練習中に負傷し、春のシーズンをすべて棒に振った。しかしこの大学選手権には復帰し、この試合が復帰戦となった。投手にシッカリミット示し、的をつけやすくする。グラブを下げる癖もないので、低めの球の対応も悪くない。ボールの押し込みをシッカリできたキャッチングにも、好感が持てる。ただし腰をドカッと落とす構えであり、次の動作への移行・フットワークがやや重苦しく感じたのは気のせいだろうか?少なくても、それほど丁寧なプレースタイルという感じはしない。
リード面は、球種が多いとはいえない 米谷 真一(駿台学園出身・4年)の投手でも、相手の裏をかいて三振を結構奪うなど悪くなかった。スローイングも、ランナーの滑り込むところに、慌てることなく捕殺。昨秋見た時も、驚くようなタイムは出はなかったが、実戦で刺せるタイプなのかもしれない。まだ実戦勘が戻っていない部分もありそうだったが、打撃の内容も悪くなかった。イメージ的には、阿部 慎之助(巨人)に似た雰囲気のする打者。数少ない、大学からドラフトで指名される捕手ではないのだろうか。しかし上位指名候補とか、そういった凄みは感じられないのだが・・・。
西南学院大の先発・下津浦 啓太(筑前出身・3年)右腕は、オーソドックス上手投げ。序盤は、140キロを超える球を連発するなど、力を入れて投げればそのぐらいの能力はあるという。変化球は、カーブ・スライダー・スプリットなどを織り交ぜるなどし、スプリットを武器するコンビネーション。来年のドラフト候補かと言われると微妙だが、140キロ台を投げられる投手が西南学院大の3年生にいるということは、来年に向けて覚えておいて損はないだろう。
大会初日・神宮球場第三試合 大商大 VS 西日本工業大
この試合の注目は、この春最も評価をあげた男・岡田 明丈(大商大・4年)右腕のピッチングにあった。岡田はストレートの球筋が定まらず掴みどころのないピッチングだったが、スライダー・スプリット系の小さく沈む球、カーブなどを織り交ぜ、相手に的を絞らせない。球速は序盤戦はコンスタントに145キロ前後を出しており、勝負どころでは150キロをマーク。また左打者内角には、意識的にカットボールなどを駆使し厳しいところを突けるところには好感。ピンチでも動じなそうな面構えだったが、ベースに入っていないところに牽制してしまったり、バント処理の送球が危なっかしかったり緊張は尋常ではなかったのだろう。むしろ四回ぐらいから元来の落ち着きを取り戻し、140キロぐらいでも両コーナーを突くコントロール重視で投げる姿こそ彼の本来の姿だった気がする。
そういった意味ではむしろ真価が問われるのは、この試合よりも大会二度目の登板で、どのぐらいのパフォーマンスを見せてくれるのか注目したい。いずれにしてもこの試合で、1位指名候補として各球団に認識されたことは間違いないのではないのだろうか。
またもう一人の注目選手は、吉持 亮汰(大商大・4年)遊撃手。なんといってもこの選手の売りは、えげつないまでの走塁にある。出塁すれば、すかさず二盗・三盗と仕掛けて来る。特にトップスピードに乗るのが速い脚力は、まさに野球向き。プロでも、間違いなく足を売りにできるだろう。
物足りなかったバッティングも、バットを短く持ってはじき返す打撃に徹し、今春はリーグ首位打者を獲得。遊撃手としても無難なレベルに収まっており、地肩は結構強い。打席でも塁上でもフィールドにいるだけで、相手にプレッシャーをかけられる存在感は素晴らしい。プレー自体にインテリジェンスを感じないタイプだが、高い身体能力と自らの勘だけを頼りにプレーするタイプ。昔でいえば、大洋にいた 屋鋪 要 に近いタイプか。あまり組織的な野球には適さないかもしれないが、二塁手あたりならばアリかもしれない。菊池 涼介(広島)の守備のように、走塁で突出したタイプ。まぁある意味、プロらしい特徴を持った選手だと言えよう。この試合では、その持ち味を思う存分発揮。一気にプロ側の評価が、急浮上してもおかしくない存在感は示せた。プロのショートとしては厳しいが、二塁手あたりの候補として見るならば面白いかもしれない。彼も、ドラフト指名を決定的にした試合だったと言えよう。
西日本工業大の先発・中嶋 厚徳(小倉工業出身・4年)右腕は、135~140キロ強のストレートに、ひと通りの変化球を織り交ぜるオーソドックスタイプ。これといった特徴は感じなかったが、九州の社会人あたりでは野球を続けてゆく力はありそう。もうワンランク、ストレートの勢い・球速を増し、ストレートが自己主張できるようになるとバランスが取れている投手だけに、投球全体が引き上げられて面白くなるのではないのだろうか。
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