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プロ野球ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人・蔵建て男が、日本中を駆け巡り本音でトーク!

2017年 大学選手権総括(投手編)

大学野球一番の祭典である 全日本大学選手権 の模様を一通り観終えたので、遅れ馳せながら総括でも。今回も、ドラフト目線で大会を振り返って行きます。今回は、その投手編です。

(指名上位を確定的にした面子)

全国大会未経験だった 近藤 弘樹(安佐北出身・4年)右腕は、評判どうりの投球を魅せてくれた。ストレートはコンスタントに145キロ前後を刻み、最速では150キロを越えてきた。この選手は、ストレートのコマンドが安定しており、時々高めには浮くが両サイドに投げ分けられる。変化球は、スライダー・カーブ・チェンジアップだか沈む球があり、一通りの球がある。昨年よりも全体的にパワーアップしており、ある程度ストレートで押せるまでになっていた。ただしどの変化球でもカウントは整えられるものの、追い込んでから仕留められる変化球がないところが気になる。リーグ戦ではイニングを遥かに凌ぐ奪三振を奪えているが、プロの打者を想定するとどうだろうか? また投球に嫌らしさや攻めの厳しさはそれほど感じないので、そのへんがプロの打者の踏み込みを許さないかという心配にはなる。いずれにしても2位ぐらいまでには指名される選手ではないのだろうか。

昨秋の時点から上位指名候補と位置づけられていた九州産業大の先発は、草場 亮太(伊万里商出身・4年)右腕。コンスタントに140キロ台を刻み、MAXで150キロまで到達。カーブ・スライダー・フォークなどを織り交ぜてくる。普段の投球は好いのだが、勝負どころになるとボールが浮いたり、変化球が甘くなる詰めの甘さはこの試合でも見られた。特にこの選手は立ち上がりは好いのだが、イニングが進むにつれ相手に馴れられて失点してしまうというパターンをこの試合も繰り返している。まだまだ伸び代を秘めた素材であり、プロ入り後グッとよくなる余力を残している。発展途上で即戦力としては不安は残るが、ハズレ1位~2位ぐらいまでには指名されそうな力はある。

近藤 弘樹(岡山商科大)投手 190/85 右/右
草場 亮太(九州産業大)投手 183/75 右/右

(志望届けを提出すれば指名確実な選手)

日本文理大の先発・ケムナブラッド誠(日南出身・4年)右腕も、素材の良さを改めて印象づけた。小さめのテイクバックから、ズバーンとミットに突き刺さる速球は、草場や近藤弘樹(岡山商科大)をも凌ぐものがあります。ボールが見え始めてから到達まで非常に早く、打者としてはタイミングを図るのが難しい。球質・フォームもあいまって、世代屈指のストレートの質・勢いを誇ります。フォームの感じは、薮田 和樹(亜大-広島2位)を彷彿す。ただし草場ほどボールが制御できてなく、平均してボールが上吊りやすい。また変化球もたまにスライダーを投げる程度で、投球のほとんどは速球といった未完の大器。その辺をどうみるかで、評価は別れる選手ではないのでしょうか。

上武大の宮川 哲(東海大山形出身・4年)右腕は、コンスタントに145キロ前後の速球を真上から投げ下ろしてくる。変化球はスライダー中心だが、このスライダーの球速が違って3種類ぐらいある印象。他にも縦に割れるカーブのような球やフォークのようなボールも持っている。ストレートが暴れて収まりが悪いものの、変化球の曲がりが独特で精度も高い。そのため打者としては、的が絞り難い荒れ球投手といった感じなのだろう。不思議とこれだけの球を投げながらも、あまりドラフト候補の匂いがして来ないのは何故なのだろうか? 掴みどころのないタイプで、あまり高い評価はできないが、実戦にゆくと期待以上の投球をしてくれるタイプ。ちなみにこの春は、3勝0敗 防御率 0.65 で最優秀防御率を記録。ドラフト順位はイメージし難いのだが、中位以降での指名があるのではないかと考える。

た岐阜経済大の先発・與座 海人(沖縄尚学出身・4年)右腕は、正統派のサブマリン。125キロ~130キロ台前半ぐらいの真っ直ぐに、カーブ・スライダー・シンカーなどを織り交ぜて来る。いつもいうようにアンダーハンドの球速の目安は、プラス15キロぐらいすると、上手の球速の投手と比較できる。そういった意味では、この選手は、おおよそ140キロ~140キロ台中盤ぐらいの球速で投げ込んで来るように感じるはず。ただしあくまでもこれは一つの目安であるので、実際は120キロ台の球であるので甘く入れば長打を浴びてしまうことは否定できない。それでも 高橋 礼(専修大)に比べると、ボールがしっかり手元で切れ浮き上がって来る感じの球もある。ただしこの手のタイプにしては、シンカーを滅多に使って来なく、あくまでもコーナーワークで勝負するので空振りが誘える球はない。またサイド・アンダー系の打ち難さを作るしなるような腕の振りでもない。それでもこの試合では、9回を投げて内野安打の1本・10奪三振・無失点とほぼ完璧なピッチングを魅せていた。プロでもほとんどいない実力派サブマリンでもあり、プロ側からみれば非常に興味深い素材。順位にこだわらなければ、本会議中に指名される可能性は高いとみる。

また社会人入りが濃厚とされるが、志望届けを提出すれば指名確実なレベルにある 濱口 雄大(高知農出身・4年)右腕は、代わりっぱなから質の良い140キロ台後半(MAX149キロ)を連発。変化球は、カットボール・スライダー・チェンジアップなどで、しっかりカウントを整えることもできていた。ストレートこそバラついていたものの、前評判ほどの制球難でもなく、2イニングを無四球で乗り越えた。できすぎだったのかもしれないが、この日の内容ならば3位以内の指名があっても不思議ではない。社会人入りが濃厚とも言われている選手だが、今大会の投球でプロ側の評価が代わり、進路にも変化が出てくるのか注目される。

ケムナブラッド誠(日本文理)投手 192/91 右/右
宮川 哲 (上武大)投手     178/78 右/右
與座 海人(岐阜経済大)投手   173/74 右/右
濱口 雄大(岐阜経済大)投手   177/80 右/左

(今後のアピール次第では面白い存在)

農大北海道の宮本 誉士樹(鎮西出身・4年)右腕は、昨年も大学選手権で140キロ台の速球を投げ込んでいた大型のサイドハンド。腕のしなりを活かすタイプではなく、腕が曲がらないままブンと振ってくる。何より個性的なのが、投球のほとんどが130キロ台中盤~140キロ台前半のストレートで構成されているということ。クロスへの球筋は比較的素直なフォームシーム気味なのだが、逆クロスへの球筋はナチュラルシュートするクセ球。そのため右打者の内角に鋭く食い込んでくるシュートボールになり、左打者は強烈に外に逃げてゆく。たまにシンカー系の沈む球がある程度で、カーブ・スライダー系などは見当たらない。かなり個性的な投手で、この球筋を面白いとプロが見るかどうか? 186センチの大型投手でもあり、本人がプロ志望が強いのであれば、育成あたりで指名する球団が出てきても不思議ではない。

帝京大の 菊地 丈留(帝京出身・4年)左腕は、全身を使って来るパワーピッチャー。球速こそ130キロ台後半だが、ボールの勢い・球威は140キロ台中盤を連発しているような迫力がある。変化球は、カーブ・スライダーと投球に深みは感じられないものの、気迫のこもった投球は見るべきものがあった。全く知らない投手だったが、4年生でこれほどの左腕が帝京にるたとは思わなかった。普段の内容がよくわからないが、社会人などで野球を続けたら2年後のプロ入りがあっても不思議ではない。この春のリーグ戦では、防御率2位の安定感。秋のアピール次第では、大学からのプロ入りもあるかもしれない。

宮本誉士樹(東農大北海道)投手 186/79 右/右
菊地 丈留(帝京大)投手    175/80 左/左

(社会人経由で2年後を目指せる素材)

東洋大の飯田 晴海(常総学院出身・4年)右腕については、リーグ戦終盤に詳しくレポートしたばかり。非常にオーソドックスなフォームから、130キロ台後半~140キロ台中盤の速球は手元までビシッと来る。リーグ戦で見た時よりもボールは来ていた印象で、内角への厳しい攻めや牽制の上手さも改めて印象づけられた。ただし中背の投手ゆえの平面的な球筋と、それほど苦にならないキレイなフォームであり、よほど繊細なコントロールや強烈なフィニッシュボールがないと、大学からプロ入りは厳しいのではないのだろうか? スカウトからも注目されているが、社会人経由の選手だとみている。

小久保 気(四国学院大4年)右腕は、非常にオーソドックスなフォーム。球速は130キロ台中盤~140キロ台前半ぐらい。勝負どころでは、140キロ台中盤まで出して来る。しかし178センチと中背の体格のせいもあるが、それほどボール自体に凄みや伸びみたいなものは感じられない。また普段の球筋も真ん中~高めが多いなど、コマンドも繊細というほどでもない。カーブと追い込むと縦に大きく落ちるフォークがあり、この球には結構な落差がある。もう少しストレートの質・コマンドを磨いて、社会人で2年間ぐらいしてからの方がプロ入りは良いのではないのだろうか? 大学の先輩でありプロ入りした 高野 圭佑(JR西日本-ロッテ7位)の方が、ボール自体のインパクトはあったように思えるので。

岡山商科大の方では、豪腕・蔵本 治孝(神戸国際大附出身・4年)右腕は先発するも、僅か2回1/3でK.Oされた。何処かフワッとしていて下半身に力が入り切らないフォームは、元ソフトバンクの 若田部 健一 に似た印象を受ける。球速も最速で147キロを記録したものの、おおよそ130キロ台後半~140キロ台前半が多い。その球も高めに抜けることが多く、スライダーやチェンジアップぐらいで、この球もまだまだ使えるレベルではない。体重の乗り切らない今のフォームで140キロ台後半を叩き出せるスピード能力は確かなので、社会人などで良い指導者・環境に恵まれれば大化けするかもしれない。しかし現時点では、プロ云々ではまだないだろう。

九州産業大の本田 勝也(海星出身・)右腕は、両コーナーを突く制球力と追い込んでから縦に鋭く落ちる縦スラで空振りを誘える好投手。投げても140キロ台~MAX145キロを記録し、7回を投げて、5安打・5奪三振・無四球・自責点1と好投した。今春のリーグ戦では、7試合に登板して、3勝0敗 防御率 1.38でリーグ2位。3位の草場が2.79だったことを考えると、安定感では本田がこの春は上回ってことがわかる。肩を痛めていたせいなのか?テイクバックに癖があり、ボールにもそれほどドラフト候補の自己主張するような球は見られない。社会人などで更なるパワーを遂げるようだと、総合力の高い投手だけに楽しみだ。

飯田 晴海(東洋大)投手   175/77 右/右
小久保 気(四国学院大)投手 178/78 右/左
蔵本 治孝(岡山商大)投手  185/95 右/右
本田 勝也(九州産業大)投手 180/86 右/左

(最後に)

大学選手権を終えたことで、おおよそ2017年度の大学のドラフト戦線は見えてきた。大会不出場組での上位候補となると、馬場 皐輔(仙台大)右腕、齊藤 大将(明治大)左腕、高橋 遥人(亜細亜大)左腕、鍬原 拓也(中央大)右腕、東 克樹(立命館大)左腕あたりが有力どころとしてあげられる。更に秋に向け、評価が急浮上して来る選手が出てくるのか期待したい。投手に関しては、まずまずの面子が揃っていたのではないのだろうか。

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