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プロ野球ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人・蔵建て男が、日本中を駆け巡り本音でトーク!

2017年夏 甲子園総括(将来候補・投手編)

いわゆる2000年に産まれた世代を「プレミアム世代」と呼んでいるわけだが、来年のドラフト戦線における彼らへの期待は大きい。事前に今大会は下級生の活躍が目立つ大会になるのではないかと述べたが、私がチェックした選手も例年以上に彼らが多かった。今回の甲子園総括は、来年以降のドラフト候補になり得るだろう、下級生投手に注目してみたい。

(投手編)

今回の甲子園では、3年生投手に有力な候補が少ない大会だと位置づけていた。その代わり2年生に関しては、秋以降各地区をリードしてゆくであろう選手たちが多く出場している大会だった。そのため満遍なく各地区から一人は、有力な選手をあげることができる。

そんな中でも、北信越地区の充実が目立つ。その筆頭格が、直江 大輔(松商学園2年)右腕。正統派の好投手といった感じで、すでに140キロ台を記録するストレートだけでなく、変化球も織り交ぜた総合力に優れた好投手。ここから大学タイプに留まるのか? それとも総合力を引き上げ高卒プロまでの投手になれるかの未来像を描くのは難しい。しかし秋の北信越大会を、引っ張ってゆく存在の一人であるのは間違いないだろう。

その直江とは対照的なのが、鈴木 裕太(日本文理2年)右腕。こちらは粗っぽい投げ方ながら、140キロ台の中盤の重いストレートでグイグイ押してくるパワーピッチャー。緒戦の鳴門渦潮戦では、力みからボールが浮いてしまって制御できず早々降板することに。そういった不安定さは観られるものの、日本文理伝統の縦スラも織り交ぜ三振を奪えるボールの力を持っている。すでに球威・球速だけで言えば、今年の指名レベルの投手にも負けないものを持っている。

もう一人が、山田 龍聖(高岡商2年)左腕。すでにコンスタントに140キロ台を記録できるスピード能力に、ボールの球威も一級品の速球派サウスポー。フォームに癖はなく、素材では 森田 駿哉(富山商-法政大)左腕を上回るものがあると地元での評価も高い。鈴木同様に、ボールが高めに抜けて制御できず不安を残したが、来年のドラフト候補に入ってくるのは間違いない大器。

北信越は、この3人を中心に秋以降展開して行きそう。ただし直江には凄みを、鈴木や山田には制球力など実戦力に課題があり、どのように進化を遂げて行けるかの未来像は描き難い。

東北地区では、県大会で痛めた怪我の影響で登板できなかった 山口 航輝(明桜2年)右腕が大器。骨太の体格から、やや肘の下がったスリークオーター気味の腕の振りから140キロ台中盤の力強いストレートを投げ込んでくる。一見荒々しいそうな素材型に見えるのだが、マウンドでは冷静で意外にマウンドセンスや器用な面も持ち合わせている。また投手としてだけでなく、野手としての才能も期待されている投打にスケールの大きな存在。秋田で、これだけスケールが大きな選手が出てきたのは久々ではないのだろうか。

東海地区では、修行 恵大(2年)右腕、杉本 幸基(2年)右腕という、二人の速球派を抱える大垣日大が楽しみ。修行はスラッとした投手体型から、手足の長い投手体型を活かし140キロを超える速球と勝負どころではフォークを落とすことができる正統派。杉本の方は、下半身を上手く使いつつ上半身を鋭く振ることができる速球派。腕の振りが素晴らしいので、速球の勢いだけでなくスライダーやチェンジアップのキレも一級品という楽しみな二人。逸材が2枚が揃うチームだけに、秋の大会では一気に東海地区を制覇しても不思議ではない。

近畿地区では、平田 龍輝(智弁和歌山)右腕が甲子園で144キロを記録し楽しみな存在。183/81 と体格にも恵まれ、追い込むとフォークで仕留めて来るというパターン。また同じ近畿地区では、柿木 蓮(大阪桐蔭2年)右腕がおり、コンスタントに145キロ前後(MAX147キロ)の速球を投げ込み、年内中に150キロ越えも見込める存在。また夏の大会では登板はなかったが、選抜でも才能の片鱗を魅せた 横川 凱(大阪桐蔭2年)左腕も控えている。190/84 という破格の体格の左腕であり、そこからコンスタントに140キロ台のボールを投げ込んでくる大器。先の山田(高岡商)と共に、全国屈指の左腕としてその成長が注目されてゆくことだろう。

中国地区では、甲子園では147キロを記録した速球派の 森 悠祐(広陵2年)右腕のスピード能力は一級品。まだまだ速い球を投げているだけという感じではあるが、才能はプロ級の素材。四国では、市川 悠太(明徳義塾2年)右腕が、サイドに近いスリークォーターから140キロ台の力強い速球を内角にしっかりコントロールできるなど実戦派。秋の四国大会を勝ち抜いて行ける、確かな実戦力を持っている。また九州地区では、戸郷 翔征(聖心ウルスラ学園2年)右腕は、市川同様にサイドに近いスリークォーター。こちらは球威よりもキレのある真っ直ぐに特徴があり、体の近くでキュッと鋭く曲がるスライダーのキレにも目を見張るものがある。

最後に関東には、万波 中正(横浜2年)右腕と 及川 雅貴(横浜1年)左腕がいる。万波は入団以来規格外のパワーで注目されてきたが、対応力が課題。むしろ最近では、140キロ台中盤の重い球を投げ込む投手の素材としても注目されている。いずれにしても投打に粗さと可能性を秘めており、どっちの才能が秀でて来るのか注目したい。また 及川 の方は、まだ凄みこそ感じられないものの、すでに左腕から140キロ台を記録する楽しみな正統派。中学時代から名の知れた投手であり、横滑りのスライダーとのコンビネーションで試合をまとめるセンスも持ち合わせている。あと2年間で、どのぐらい凄みを増して来られるか。同じく一年生だと、宮城 大弥(興南1年)左腕の存在も目立つ。球速は135~後半ぐらいなものの球速以上の勢いを感じさせ、曲がりながら沈むスライダーとの投球が光る。こちらもマウンド捌きは抜群なだけに、あと2年でどのぐらいスケールアップできるか? このまま順調に伸びて行ければ、春・夏を連覇した時のエース 島袋 洋奨(中央大-ソフトバンク)級の左腕に成長しても不思議ではないだろう。

(最後に)

甲子園にこの夏出場した投手だけでも、これだけの選手の名前が上がる年は珍しい。不作が叫ばれた今年の3年生世代と比べると、来年度は相当期待ができる面子が投手には揃っているということ。「プレミアム世代」の投手達は、今から豊作を予感させる。

鈴木 裕太(日本文理)投手   182/84 右/右
山田 龍聖(高岡商)投手    182/78 左/左
山口 航輝(明桜)右翼     181/85 右/右
修行 恵大(大垣日大)投手   183/70 右/右
杉本 幸基(大垣日大)投手   181/76 右/右
平田 龍輝(智弁和歌山)投手  183/81 右/右
柿木 蓮 (大阪桐蔭)投手   181/83 右/右
横川 凱 (大阪桐蔭)投手   190/84 左/左
森  悠祐(広陵)投手     178/70 右/右
市川 悠太(明徳義塾)投手   183/70 右/右
戸郷 翔征(聖心ウルスラ)投手 184/70 右/右
万波 中正(横浜)右翼     190/89 右/右
及川 雅貴(横浜)投手     181/78 左/左
宮城 大弥(興南)投手     173/70 左/左

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