2017年 高校生候補を考える(野手編)
2017/10/26|Category:ネタ
主だったドラフト候補をご紹介する企画も、今回が最終回。なんと言っても今年は、高校生野手が極めて充実した年だと言えるでしょう。しかし有力どころの多くが、大学や社会人に進むことを表明しており、一部のトップクラスの選手を除けば、10年に1度の当たり年の恩恵をドラフトとしては実感できなくなってしまいました。そんななか今回も、ポジション別に有力選手をご紹介してゆきます。
(捕手編)
元々今年は、高校生捕手の当たり年と言われ、質・量とも充実した年になるはずでした。しかし志望届けを出した選手は、有力候補の極僅かという状況で、大学球界とともに捕手が不足してしまうという事態に陥っています。
そんな中、甲子園で大会記録となる6本塁打を放った 中村 奨成(広陵)が早々プロ入りを表明。その打力だけでなく、抜群の身体能力、ギラギラした貪欲さを持った選手。また捕ってから投げるまでの素早さ、地肩の強さも、全国屈指のものがあります。高校生捕手としては、20年に1人級との呼び声もあり確かに超大物であることは間違いないでしょう。ただしあまり細かい気遣いや配慮のできるタイプではないので、ディフェンス面で信頼される存在になるのかには不安が残る部分もあります。純粋に、肩と打撃という部分にクローズアップすれば、谷繁元信(前中日監督)以上の大物かもしれません。
また 村上 宗隆(九州学院)捕手も、上位指名が噂される存在。特に打撃に関しての評価は高く、打てる捕手への期待も高まります。ただしプロの捕手としてはどうか?という疑問もあり、プロ入り後は他のポジションににコンバートされてしまうのではないかという不安も残ります。捕手としての人材と見れるかは、意見が別れそう。
この2人を除くと、その下の層がごっそり抜けてしまっていて、指名されそうな捕手が何処までいるかわかりません。そのなかで名前が上がっているのが、木須デソウザフェリペ(御殿場西)捕手などは、高い身体能力が評価され、下位指名~育成あたりの指名がありそうな状況。あとは、稲富 宏樹(三田松聖)の名前が上がるぐらい。こちらはスローイングなどディフェンスの評価が高く、課題の打撃に明るい兆しが出てきたことで評価が上がってきました。
中村 奨成(広陵高校) 182/77 右/右
村上 宗隆(九州学院) 185/83 右/左
木須デソウザフェリペ(御殿場西) 175/69 右/右
稲富 宏樹(三田松聖) 177/83 右/左
(内野手編)
内野手は、言わずと知れた今ドラフトの目玉・清宮幸太郎(早実)一塁手。柔らかさと長打力を兼ね備えた打撃で、高校通算本塁打記録を塗り替えた。何より素晴らしいのが、プレッシャーのかかる場面でも平常心で自分の能力を発揮できるマインド。ネックは、故障の影響で一塁ぐらいしか守備位置の目処がたたないところだろうか。いずれにしても松井秀喜以来の素材であり、ドラフトでも5球団前後の競合は避けられないだろう。
その清宮を追う存在として 安田 尚憲(履正社)三塁手に注目が集まる。清宮のような柔軟性はないものの、肉体の強さや打席での威圧感では清宮以上のものがある。高校からプロで飯を食うんだという明確なものも伝わって来る選手で、プロ入り後時間はかかってもいずれは出てくる選手という期待が高まる。まだまだ未熟ではあるものの、三塁の守備などもこなし清宮にはない起用の幅があるところが最大の違いか。こちらも、1位指名が確実だと言える存在で、高校生の先輩である T-岡田 級の選手にはなるのではないのだろうか。
ニ遊間候補は、有力どころが捕手同様に進学。そういった意味では、打撃技術に優れたものを持っている 比嘉 賢伸(盛岡大付)や三拍子揃ったセンスが魅力の 西巻 賢ニ(仙台育英)などの東北地区の2人の遊撃手も指名の可能性が広がる。
また広角に打ち返す強打が光る 園部 佳太(いわき光洋)遊撃手や、今すぐにでも走力は一軍で通用すると言われる 高松 渡(滝川第二)内野手の圧倒的な走力も評価が高い。また穴っぽいところだが、綱島 龍生(糸魚川白嶺)遊撃手も、高い身体能力を秘めた大型内野手として将来性を期待されているという。
清宮幸太郎(早稲田実)一塁 184/97 右/左
安田 尚憲(履正社高)三塁 188/92 右/左
比嘉 賢伸(盛岡大付)遊撃 180/82 右/左
西巻 賢ニ(仙台育英)遊撃 167/60 右/右
園部 佳太(いわき光洋)遊撃 177/78 右/右
高松 渡 (滝川第二)遊撃 176/63 右/左
綱島 龍生(糸魚川白嶺)遊撃 178/72 右/左
(外野編)
外野手の注目は、増田 珠(横浜)中堅手。神奈川大会では、大田泰示(巨人-日ハム)の持つ県大会最多本塁打に並ぶ活躍を魅せるなど、常に神奈川県内を引っ張ってきた強打者。夏の甲子園では緒戦敗退で充分アピールできず、U18では死球の影響で調子が上がらないなど巡り合わせが悪かった。それでもガッツ溢れるプレーヤーで、広角に打てる打撃超高校級。ドラフトでも、3位以内の指名が期待される。
またこの増田と双璧なのが、西川 愛也(埼玉・花咲徳栄)左翼手。バットを振れる強さとコンタクト能力の非凡さを兼ね備える打撃は、プロの評価も極めて高い。故障の影響でスローイングがままならないのは気になるが、ドラフトでも中位指名では消えるであろう逸材。
また甲子園で活躍した 西浦 颯大(明徳義塾)右翼手は、プロではだぶつきやすい左の好打者。しかし強肩・俊足の高い身体能力に加え、野球への意識も高く、このタイプでも本会議中での指名される可能性が高い。
その他では、U18の日本代表メンバーであり三拍子揃ったプレーが魅力の 伊藤 康祐(中京大中京)や柔らかい打撃が魅力の 難波 侑平(創志学園)、非凡なリストワークをしている 高木 渉(真颯館)などが指名されるのか注目したい。また巨人のテストに合格しているという 新井 颯太(関根学年)は、190センチ台の巨体ながら俊足・強肩の身体能力を持ち育成枠あたりで名前が呼ばれそう。
増田 珠 (横浜高校) 180/75 右/右
西川 愛也(花咲徳栄) 180/84 右/左
西浦 颯大(明徳義塾) 178/70 右/左
伊藤 康祐(中京大中京) 173/72 右/右
難波 侑平(創志学園) 178/75 右/左
高木 渉 (真颯館高校) 181/75 右/左
新井 颯太(関根学園) 190/88 右/右
(最後に)
捕手・内野手・外野手ともに、それぞれのトップ選手こそ志望届けを提出したものの、そのあと追うレベルの選手が相次いで進学・就職を決めてしまっており抜けてしまった印象。そのため上位候補と下位指名候補の間の、中位指名候補が寂しい陣容となってしまった。それでも10年に1度級の充実の片鱗は、このメンバーでも伺うことができる。かつて高校生野手が1位指名に3名・4名同時になったことはあるが、今年のようにスラッガー・長打力を売りにするタイプが揃って1位候補となったパターンは今回が初めてではないのだろうか。果たしてその成り行きがどうなるのか? 数時間に迫った会議を楽しみに待ちたい。
(捕手編)
元々今年は、高校生捕手の当たり年と言われ、質・量とも充実した年になるはずでした。しかし志望届けを出した選手は、有力候補の極僅かという状況で、大学球界とともに捕手が不足してしまうという事態に陥っています。
そんな中、甲子園で大会記録となる6本塁打を放った 中村 奨成(広陵)が早々プロ入りを表明。その打力だけでなく、抜群の身体能力、ギラギラした貪欲さを持った選手。また捕ってから投げるまでの素早さ、地肩の強さも、全国屈指のものがあります。高校生捕手としては、20年に1人級との呼び声もあり確かに超大物であることは間違いないでしょう。ただしあまり細かい気遣いや配慮のできるタイプではないので、ディフェンス面で信頼される存在になるのかには不安が残る部分もあります。純粋に、肩と打撃という部分にクローズアップすれば、谷繁元信(前中日監督)以上の大物かもしれません。
また 村上 宗隆(九州学院)捕手も、上位指名が噂される存在。特に打撃に関しての評価は高く、打てる捕手への期待も高まります。ただしプロの捕手としてはどうか?という疑問もあり、プロ入り後は他のポジションににコンバートされてしまうのではないかという不安も残ります。捕手としての人材と見れるかは、意見が別れそう。
この2人を除くと、その下の層がごっそり抜けてしまっていて、指名されそうな捕手が何処までいるかわかりません。そのなかで名前が上がっているのが、木須デソウザフェリペ(御殿場西)捕手などは、高い身体能力が評価され、下位指名~育成あたりの指名がありそうな状況。あとは、稲富 宏樹(三田松聖)の名前が上がるぐらい。こちらはスローイングなどディフェンスの評価が高く、課題の打撃に明るい兆しが出てきたことで評価が上がってきました。
中村 奨成(広陵高校) 182/77 右/右
村上 宗隆(九州学院) 185/83 右/左
木須デソウザフェリペ(御殿場西) 175/69 右/右
稲富 宏樹(三田松聖) 177/83 右/左
(内野手編)
内野手は、言わずと知れた今ドラフトの目玉・清宮幸太郎(早実)一塁手。柔らかさと長打力を兼ね備えた打撃で、高校通算本塁打記録を塗り替えた。何より素晴らしいのが、プレッシャーのかかる場面でも平常心で自分の能力を発揮できるマインド。ネックは、故障の影響で一塁ぐらいしか守備位置の目処がたたないところだろうか。いずれにしても松井秀喜以来の素材であり、ドラフトでも5球団前後の競合は避けられないだろう。
その清宮を追う存在として 安田 尚憲(履正社)三塁手に注目が集まる。清宮のような柔軟性はないものの、肉体の強さや打席での威圧感では清宮以上のものがある。高校からプロで飯を食うんだという明確なものも伝わって来る選手で、プロ入り後時間はかかってもいずれは出てくる選手という期待が高まる。まだまだ未熟ではあるものの、三塁の守備などもこなし清宮にはない起用の幅があるところが最大の違いか。こちらも、1位指名が確実だと言える存在で、高校生の先輩である T-岡田 級の選手にはなるのではないのだろうか。
ニ遊間候補は、有力どころが捕手同様に進学。そういった意味では、打撃技術に優れたものを持っている 比嘉 賢伸(盛岡大付)や三拍子揃ったセンスが魅力の 西巻 賢ニ(仙台育英)などの東北地区の2人の遊撃手も指名の可能性が広がる。
また広角に打ち返す強打が光る 園部 佳太(いわき光洋)遊撃手や、今すぐにでも走力は一軍で通用すると言われる 高松 渡(滝川第二)内野手の圧倒的な走力も評価が高い。また穴っぽいところだが、綱島 龍生(糸魚川白嶺)遊撃手も、高い身体能力を秘めた大型内野手として将来性を期待されているという。
清宮幸太郎(早稲田実)一塁 184/97 右/左
安田 尚憲(履正社高)三塁 188/92 右/左
比嘉 賢伸(盛岡大付)遊撃 180/82 右/左
西巻 賢ニ(仙台育英)遊撃 167/60 右/右
園部 佳太(いわき光洋)遊撃 177/78 右/右
高松 渡 (滝川第二)遊撃 176/63 右/左
綱島 龍生(糸魚川白嶺)遊撃 178/72 右/左
(外野編)
外野手の注目は、増田 珠(横浜)中堅手。神奈川大会では、大田泰示(巨人-日ハム)の持つ県大会最多本塁打に並ぶ活躍を魅せるなど、常に神奈川県内を引っ張ってきた強打者。夏の甲子園では緒戦敗退で充分アピールできず、U18では死球の影響で調子が上がらないなど巡り合わせが悪かった。それでもガッツ溢れるプレーヤーで、広角に打てる打撃超高校級。ドラフトでも、3位以内の指名が期待される。
またこの増田と双璧なのが、西川 愛也(埼玉・花咲徳栄)左翼手。バットを振れる強さとコンタクト能力の非凡さを兼ね備える打撃は、プロの評価も極めて高い。故障の影響でスローイングがままならないのは気になるが、ドラフトでも中位指名では消えるであろう逸材。
また甲子園で活躍した 西浦 颯大(明徳義塾)右翼手は、プロではだぶつきやすい左の好打者。しかし強肩・俊足の高い身体能力に加え、野球への意識も高く、このタイプでも本会議中での指名される可能性が高い。
その他では、U18の日本代表メンバーであり三拍子揃ったプレーが魅力の 伊藤 康祐(中京大中京)や柔らかい打撃が魅力の 難波 侑平(創志学園)、非凡なリストワークをしている 高木 渉(真颯館)などが指名されるのか注目したい。また巨人のテストに合格しているという 新井 颯太(関根学年)は、190センチ台の巨体ながら俊足・強肩の身体能力を持ち育成枠あたりで名前が呼ばれそう。
増田 珠 (横浜高校) 180/75 右/右
西川 愛也(花咲徳栄) 180/84 右/左
西浦 颯大(明徳義塾) 178/70 右/左
伊藤 康祐(中京大中京) 173/72 右/右
難波 侑平(創志学園) 178/75 右/左
高木 渉 (真颯館高校) 181/75 右/左
新井 颯太(関根学園) 190/88 右/右
(最後に)
捕手・内野手・外野手ともに、それぞれのトップ選手こそ志望届けを提出したものの、そのあと追うレベルの選手が相次いで進学・就職を決めてしまっており抜けてしまった印象。そのため上位候補と下位指名候補の間の、中位指名候補が寂しい陣容となってしまった。それでも10年に1度級の充実の片鱗は、このメンバーでも伺うことができる。かつて高校生野手が1位指名に3名・4名同時になったことはあるが、今年のようにスラッガー・長打力を売りにするタイプが揃って1位候補となったパターンは今回が初めてではないのだろうか。果たしてその成り行きがどうなるのか? 数時間に迫った会議を楽しみに待ちたい。
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