2018年夏 甲子園3日目レポート・後編
2018/08/10|Category:テレビ・動画観戦
第三試合 前橋育英 VS 近大附属
近大附属の先発・大石 晨慈(3年)左腕は、中学時代からボーイズで知られた存在だったという。プロ注目との話しもあったが、球速は135キロ前後の速球とスライダーとのコンビネーションで、これは!というボールは特に見当たらない。コントロールもそれほど繊細なものがあるわけでもなく、適度にまとまった好投手との印象。また左投手にしてはチェンジアップ系のボールが見られないなど、投球の幅も狭い。少なくても高校からプロとか、そういった投手ではないのだろう。大学などで秘めたる才能をもう一度磨き直して、世代を代表する能力を魅せつけて欲しい。
前橋育英の先発・恩田 慧吾(3年)右腕も、球速は130キロ台中盤~140キロぐらいで平凡。スライダーとのコンビネーションで、適度にまとまった好投手との印象を受ける。こちらは安定したコントロール、マウンドセンスは感じさせるものの、もう少しストレートに強さが欲しい。こちらも、大学などで球威・球速を磨くことができればといった感じだろうか。
野手では、前橋育英の 小池 悠平(3年)捕手が光っていた。ちょっとドカッと腰を下ろし過ぎで、キャッチングの仕方もあまり好みではない。しかし低めの球には素早く下からミットが出るし、二塁までの塁間を1.8秒台後半で送球できるなど地肩もまずまず。何よりリードセンスが逸脱で、高校生捕手として全国でも指折りではないのだろうか。
打ってもチームの4番を担うように、試合でもセンター前に鋭く打ち返した。群馬大会でも打率.545厘・3本塁打を放つように打撃も一定レベルのものを持っている。攻守のバランスに優れており、今大会では数少ないドラフト候補としてマークできる捕手。実際指名となると微妙なところだと思うが、強豪相手にどんなリードを魅せてくれるのか、これからの試合も楽しみだ。
そのほか前橋育英の核弾頭・久保 昌大(3年)中堅手は、対応力がありながら鋭い打球を放つ好打者。走力も、一塁までの塁間を右打席から4.2秒(左打者換算で3.95秒)を切るような俊足でもある。その脚力の割に群馬大会では盗塁を魅せていないが、今後の試合では守備力含めてどのレベル選手なのか見極めてゆきたい。
近大附属では、1番を打つ 川瀬 剛志(3年)二塁手が、攻守に際立っていた。打者としても核弾頭して強烈な打球を放ち、二塁手としてはボールがミットに吸い寄せられるように好守を連発。大学などにいったら、どんな存在になるのかというワクワク感を抱く華のあるプレーヤーだった。
大石 晨慈(近大付3年)投手 178/86 左/左
川瀬 剛志(近大付3年)二塁 178/70 右/右
恩田 慧吾(前橋育英3年)投手 172/60 右/右
小池 悠平(前橋育英3年)捕手 176/74 右/右
久保 昌大(前橋育英3年)中堅 178/74 右/右
第四試合 益田東 VS 常葉菊川
常葉大菊川の先発・漢人 友也(3年)右腕は、スラッとした投手体型から130キロ台中盤~後半のボールを投げ込んでくる。球速としては並だったが、ボールの勢いはそれ以上に感じさせる質の良さがある。こういった投手は、将来それに見合った球速も身につけられるもの。そういった意味では、近い将来コンスタントに140キロ台を記録するような投手に育つのではないのだろうか。その一方でこの投手で買いたいのは、スライダーやフォークなど多彩な変化球の曲がりが好いこと。ストレートがよくなってくれば、比例して投球全体も大きくレベルアップするはず。本気で今後も野球に向き合って行けたら、社会人やプロへと可能性も広がってゆくというのも言い過ぎではないはず。
益田東では、中山 翔(3年)捕手が光った。重心を深く沈めてミットを構え、キャッチングでもグラブさばき実にうまい。170センチと身体は大きくないが、二塁までの塁間も捕ってから素早く1.9秒前後で到達する。スローイングは地肩はまずまずだが、精度がこれからの課題か。8番打者ではあったが、長打を含む複数安打を放っていた。大学などで野球を続けて行ける素材で、キラリと光る捕手センスをまた何処かで出会ってみたい。
益田東は、絶妙なプッシュバントなど好守でセンスの高さを見せつけた 首藤 舜己(3年)や、背筋をしっかり伸ばし鋭い打球を放つ4番・稲林 隼人(3年)三塁手のスイング。フライを追ってセンターの守備位置まで追いかけた 藤本 涼太(3年)二塁手など、各選手の個性が光る興味深いチームだった。
またこの試合でひときわ目立っていたのが、奈良間 大己(常葉大菊川3年)遊撃手。静岡予選では、打率.818厘と出場選手中最高打率をマークして注目されていたが、いきなりセンターバックスクリーンに叩き込んだりと、潔いスイングは見事。またショートとしても打球勘に優れ、想像以上にうまい。単に身体能力や天性の勘だけに頼ったプレーヤーではない感じで、172センチと小柄でもとてつもないポテンシャルを秘めているのではないかと思わせてくれる。一塁までの塁間は多少緩めてしまうところがあり平凡なタイムしかでていなかったが、静岡大会では9盗塁を記録するなど走力も一級品。さらに深いところからでも刺せる地肩もあり、間違いなく高校からプロに入るべき素材だろう。常葉菊川らしく枠に収まらない破天荒さはあるが、やることはしっかりできているところは、菊池涼介(広島)の中京学院大時代と似た匂いがしてくる。今後の試合を見てみないとわからないが、底がまだ見えないだけに、なんとか大会期間中に能力を見極めてみたい。
漢人 友也(常葉大菊川3年)投手 180/62 右/左
奈良間大己(常葉大菊川3年)遊撃 172/66 右/右
中山 翔 (益田東3年)捕手 170/74 右/右
首藤 舜己(益田東3年)遊撃 158/58 右/右
稲林 隼人(益田東3年)三塁 177/77 右/左
藤本 涼太(益田東3年)二塁 178/75 右/右
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