2018年夏 甲子園7日目レポート・前編
2018/08/16|Category:テレビ・動画観戦
第一試合 鳥取城北 VS 龍谷大平安
龍谷大平安の先発・小寺 智也(3年)右腕は、非常にオーソドックスなフォームから投げ込む正統派。球速は、常時140キロ前後~MAXで147キロまで記録した。何より素晴らしいのが、ストレートのコマンドの高さ。両サイドに、ビタビタと決めてくる。また曲がりながら沈むスライダーにも威力があり、この球を振らせるのもうまい。高校からプロといったスケール型ではないが、関西の大学などに進んだら、4年間で何十勝もしてリーグ記録に迫ろうかなんて大投手になれる資質を秘めている。しいて気になる点をあげれば、クレバーの投球の割に感情が表情に現れる点だろうか。いずれにしても総合力を引き上げて、4年後には即戦力候補という評価を得てプロ入りを実現させて欲しい。
鳥取城北の先発・難波 海斗(3年)は135キロぐらいの球速なものの、スライダーやフォークを低めに集め粘り強く強打の龍谷大平安打線相手に投げ続けた。特に8回ぐらいから球速が上がり、コンスタントに140キロ台を記録し、MAX143キロまで到達した。この夏はじめて公式戦を経験したという投手ながら、試合の中で成長を実感させられる内容だった。この経験を糧に、今後何処まで資質を伸ばして行けるのか気になるところ。
鳥取城北は、非常に基本に忠実な野球をする好チーム。特にヒットこそ出なかったが、2番打者の 河野 律樹(2年)遊撃手の守備力が光った。踏ん張りの効く上に、スローイングが乱れないなど安定感ピカイチ。来夏までに、打力の成長も楽しみに待ちたい好選手。
龍谷大平安は、全国制覇をも意識できる大型チーム。中でも 3番の 松本 渉(3年)中堅手は、三拍子ハイセンスに揃った天才肌。京都大会打率.750厘のボールさばきに、一塁までの塁間を左打席から3.75秒前後で走り抜ける脚力はプロでもトップクラス。中堅守備もうまく、168/64 という体格でなければ間違いなくドラフト候補に上がってくる存在。こういったタイプは、大学などで文句なしの成績を残し、周りを黙らせてドラフト候補にのし上がってきて欲しい。
ドラフト的に注目なのは、4番の 松田 憲之朗(3年)遊撃手の方。高校通算58本塁打の長打力を持ちながら、ショートを守る有望株。ショートしては球際に強くけして下手ではないが、上のレベルだと少々スピード感に欠ける印象。むしろ、うまいサードで勝負する方が将来的に得策ではないかという気はする。打者としては腕っぷしの強さを活かしたパワフルな打撃が売りなのだが、気になるのはボール球を振ってしまう「眼」の悪さにある。このへんが、指名への分かれ目になってくるのではないのだろうか。今後の試合も含めて、見極めてゆきたい。
また素材はドラフト上位級と言われながら、県大会でも登板がなかった 島田 直哉(3年)右腕の投球が甲子園であるのかが今後の関心事となる。
小寺 智也(龍谷大平安3年)投手 181/81 右/右
松本 渉 (龍谷大平安3年)中堅 168/64 右/左
松田憲之朗(龍谷大平安3年)遊撃 182/84 右/右
島田 直哉(龍谷大平安3年)投手 185/78 右/右
難波 海斗(鳥取城北3年)投手 170/67 右/右
河野 律樹(鳥取城北2年)遊撃 164/59 右/右
第二試合 八戸学院光星 VS 明石商
八戸学院光星の2番手・福山 優希(3年)右腕は、178/77 と中背で角度は感じられないが130キロ台後半~140キロ台前半の速球を投げ込んでくる。変化球はスライダーとのコンビネーションで、比較的低めに集められるところが好いところ。イニングを重ねてゆくと慣れやすい投球を、大学などで改善できれば面白い。潜在能力的には、140キロ台中盤以上の球を連発できる馬力を秘めていそうだ。
明石商の先発・福谷 航太(3年)右腕は、183/72 のスラッとした投手体型に高い将来性を感じさせる本格派。まだ発展途上といった感じで、球速は130キロ台中盤が多いものの最速では140キロ台を越えてくる。身体の近くで小さく曲がるスライダーと、小さく沈むスプリットが武器。ストレートの球威にはまだ物足りないものがあるが、変化球に良さがあるので可能性を感じさせる。身体ができたときに一体どんな球を投げられるようになっているのか、大化けの予感を抱かせてくれた。
八戸学院光星は、野手にタレントが揃う。一番の 近藤 俊太(3年)二塁手は、振りの強さはチームナンバー1。それでいて左方向にもしっかり打ち返せる、技術も兼ね備えた好打者。一塁までの塁間も、左打席から4.1秒ぐらいと中の上レベルで、踏ん張りが効かないセカンド守備が今後の課題か。3番の 長南 佳洋(3年)中堅手は、打撃では精細を欠いていた。しかし左打席から、3.75秒前後で到達する快速ぶりはプロでもトップクラスの脚力。また右に左へと2本塁打を放った 東 健太郎(3年)左翼手は、大舞台でも臆することなく潔いスイングをする。強力打線の中でも、4番を任せられる片鱗を魅せてくれた。守備が左翼なのと、走力があまり速くないのが残念なところ。いずれにしても高校からプロといったことはないだろうが、大学でもそれぞれ進んだ先で存在感を示せそうな能力の持ち主だった。
明石商では、二人のスーパー1年生が目立っていた。リリーフで登場した 中森 俊介(1年)右腕は、181/78 と堂々とした体型の持ち主。球速も最速145キロするなど、一年生とは思えない力強いボールを披露。鋭いスライダーのキレも併せ持ち、2年後にはドラフト上位指名をも視野に入れられる大器だった。突然制球が乱れたりと、まだまだ精神面の不安定さが今後の課題だろうか?
またチームの核弾頭を務める 来田 涼斗(1年)左翼手も逸材。中学時代は大阪桐蔭などからも勧誘された経歴の持ち主で、その所作には大物感漂う。まさに 柳田悠岐(ソフトバンク)を彷彿とさせるようなフルスイングがモットーで、それでいて当て勘・ボールを見極める眼などにも確かなものがある。一塁までの塁間4.1秒ぐらいだったが、もっと速いタイムも出せそう。左翼手としての動きも悪くなく、新チーム以後はセンターなどを任されるのではないのだろうか? 最後レフト前へのゴロをはじいてしまい、それが勝ち越し点に繋がってしまった。この苦い経験が、今後の野球への取り組みに生かされて欲しい。2年後は何処までの選手に育っているかは想像できないが、相当の大器なのは間違いない。数多くの打者が「柳田二世」と評されてきた、彼こそ本物ではないかとはじめて思わせてくれる選手だった。
福山 優希(八戸学院光星3年)投手 178/77 右/右
近藤 俊太(八戸学院光星3年)二塁 177/75 右/左
長南 佳洋(八戸学院光星3年)中堅 174/71 右/左
東 健太郎(八戸学院光星3年)左翼 180/80 右/左
福谷 航太(明石商3年)投手 183/72 右/左
中森 俊介(明石商1年)投手 181/78 右/左
来田 涼斗(明石商1年)左翼 177/74 右/左
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