2019年 大学選手権初日 東京ドーム
2019/06/10|Category:観戦記
第一試合 大阪工業大 VS 創価大
創価大の先発・杉山 晃基(盛岡大付出身4年)右腕は、立ち上がりシュート回転して収まりが悪かったものの、イニングの途中から指にかかったボールを投げはじめて最速149キロまで到達。力を入れた時のボールには、さすがと思わせる勢いと球威があった。2回以降は球速を落としてのピッチングにはなったが、縦に曲がりの大きなスライダーにフォークなどの各変化球でも空振りを奪えており、バランスの取れた投球はできていた。ドラフト上位かと言われると、やや荷が重い印象だが、3位前後ぐらいでの指名はあるのではないのだろうか。絶対的に動作のメリハリやキレに欠けるところがあり、ピリッとしないのは気になるのだが。
創価大の2番手・望月 大希(市立船橋出身4年)右腕は、真上から投げ下ろす130キロ台後半~MAX146キロの速球を投げ込んでくる。緩いカーブやフォークなどを織り交ぜる投球でで素材としての可能性を感じさせた。続く東北福祉大戦では先発し、8回2安打1失点と好投した。リリーフタイプと思いきや先発でも好投したのは驚きだったが、まだまだこれからの選手だけに社会人で力を付けたら面白い存在になりえるかもしれない。
4番の 山形 堅心(明徳義塾出身4年)一塁手も、第一打席に高めの球を逃さずヒットを記録。しかし一塁手というポジションと一塁まで到達タイムが4.7秒前後(左打者換算で4.45秒前後に相当)であり、守備・走力との総合力を考えると、大学からのプロ入りは厳しそう。
その他気になったのは、ホームランを記録した 下小牧 淳也(日大三出身4年)遊撃手。一塁までの塁間も、右打席から4.25秒前後(左打者換算で4.0秒前後に相当)と俊足だった。ショートとしてもスピード感があり、一歩目のスタートよく肩もまずまず強かった。また三番を打つ・荻原 哲(日南学園出身・3年)捕手は、しっかりしたキャッチングで、ワンバウンド処理などの反応も悪くない。送球も1.9秒前後だが、地肩はまずまず。打撃もパワフルで、ヘッドスピードも中々鋭いものがあった。
また大阪工業大では、ヒットと盗塁を記録した 山本 脩平(比叡山出身・3年)二塁手あたりが気になった。5リーグオールスターなどに出場しているようなので、再度注目したい好選手だった。
杉山 晃基(創価大4年)投手 183/88 右/左
望月 大希(創価大4年)投手 187/83 右/右
山形 堅心(創価大4年)一塁 180/88 右/右
下小牧淳也(創価大4年)遊撃 173/71 右/左
荻原 哲 (創価大3年)捕手 174/82 右/左
山本 脩平(大阪工大3年)二塁 180/77 右/右
第二試合 佛教大 VS 八戸学院大
八戸学院大の先発・大道 温貫(春日部共栄出身・3年)右腕は、惚れ惚れするようなフォームから投げ込む正統派。球速はコンスタントに140キロ台を記録し、MAXで145キロに到達。指先までしっかり力を伝えられるリリースで、ビシッとミットに突き刺さる。変化球も身体の近くでキュッと曲がるスライダーに、ブレーキの効いたチェンジアップやフォークなどもあり総合力が高い。球威・球速では前の試合で投げていた 杉山(創価大)の方があるが、フォームや投球のメリハリという意味では大道の方が優れている。来年の有力なドラフト候補であり、さらに全体の出力を高められれば、上位指名も視野入れられる素材ではないのだろうか。
一方の佛教大の先発・中山 怜央(奈良大付出身・4年)右腕は、130キロ台後半~140キロ台前半(MAX143キロ)ぐらいのストレートを投げ込むスリークォーター。身体の近くで小さく曲がるスライダーに、フォーク系の縦の変化球を織り交ぜてくる。ドラフト候補の匂いのしてくる選手ではないが、脱力して投げ込むタイプで見た目以上に打ち難い。社会人でも、活躍が期待される一人だ。
またこの試合では、八戸学院大の4番・武岡 大聖(生光学園出身・3年)左翼の、胸をすくような2本のホームランが印象的だった。実弟の龍世は八戸学院光星の遊撃手としてドラフト指名が有力視されている選手。兄はバリバリの強打者といった感じで、左翼で走力も塁間4.4秒ぐらいと左打者としては遅い部類の打撃に特化したタイプ。来年のドラフト候補かは別にしても、楽しみな強打者であることは間違いない。
その後決勝まで進んだ佛教大は、決勝戦のリリーフでドラフト候補の 福森 健(水口出身・4年)右腕が登場。昨秋は5勝をあげ最優秀投手賞を獲得したが、この春は僅か1試合の留まっていた。その決勝戦では、試合がワンサイドになりそうな4回に登板。ここで踏ん張り9回まで好投した。球速は145キロ前後の真っ直ぐには力があり、小さく曲がるスライダーと縦に沈むチェンジアップだかフォーク系の球を投げていた。球離れが悪くコントロールは悪かったが、返ってそれが的を絞り難くしていたこと。スライダーでカウントを整えることができるなど、明治打線を最後まで苦しめた。スペックの高い投手ではあるが、現状はプロとなると怖さのある選手で2年後まで様子を見られるのではないかと思う。しかし本人のプロ志向が高く、秋のリーグ戦でも安定した投球を取り戻せば一躍指名圏内へ入ってくるかもしれない。まずはこの大会で、復調ぶりをアピールすることはできた。
大道 温貴(八戸学院大3年)投手 178/78 右/右
武岡 大聖(八戸学院大3年)左翼 178/91 右/左
中山 怜央(佛教大4年)投手 185/84 右/右
福森 健 (佛教大4年)投手 189/95 右/右
第三試合 東日本国際大 VS 愛知工業大
両チーム共に、ドラフト候補といった感じの選手はいませんでした。愛知工業大では、最後に投げた 新村 将斗(桜丘出身・3年)右腕が、140キロ前後の球速ではあったものの、球速以上に勢いと球威を感じさせる球を投げていた。小さなスライダーでしっかりカウントを整え、落差のあるフォームを交えて来る好投手。
また一歩目の反応が鋭く、平本 敦己(愛工大名電出身・3年)遊撃手の動きの好い守備と、右方向に強い打球が光った 山本 航樹(東福岡出身・4年)三塁手の強打が気になった。
一方の東日本国際大でも、蒔田 高広(小高工出身・3年)右腕の力強いボールが目立った。球速は130キロ台中盤~140キロ台前半ぐらいだったが、高めのボールに力がああった。また、縦の変化球にも威力があり、こちらも一皮むけて来るようだと楽しみ。またチームの核弾頭の 磯邉 伶也(聖光学院出身3年)遊撃手も、軽快な守備に加え、右打席から4.15秒前後(左打者換算で3.9秒前後に相当)の俊足ぶりも目を惹いていた。
新村 将斗(愛工大3年)投手 177/77 右/右
平本 敦己(愛工大3年)遊撃 175/70 右/右
山本 航樹(愛工大4年)右翼 185/95 右/右
蒔田 高広(東日本国際大4年)投手 183/80 右/右
磯邉 伶也(東日本国際大3年)遊撃 178/76 右/右
第四試合 大商大 VS 日本文理大
日本文理大の先発・藤野 幹大(東福岡出身・3年)右腕は、191センチの体格を活かした腕の長いサイドハンド。球速こそ135~後半ぐらいだったものの、ボールのキレも良く打ち難い。スライダーに加えシンカーに落差があり、大商大打線から11三振を奪い苦しめた。このスペックでコンスタントに140キロ台を出せるぐらいになると、来年は候補として名前が上がってきそうだ。
大商大の先発は、大西 広樹(大商大高出身・4年)右腕。こちらは対照的に、176/80 とちょっとゴロンとした体型の投手。球速はコンスタントに140キロ台を記録し、最速で146キロまで記録。しかしボールが捕手のミットにスポッと収まる感じで、指のかかり悪くボールが来ている感じがしない。むしろスライダーやフォークなどの、縦への変化が多織り交ぜく的の絞りづらさが魅力だろうか? 大学からプロというよりも、社会人に進むタイプではないのだろうか? けして悪い投手ではないのだが、不思議とプロの匂いがして来ない。
また九州産業大戦で先発した・橋本 侑樹(大垣日大出身・4年)左腕は、球速はコンスタントに140キロ前後を投げ込むサウスポー。変化球は、スライダーでカウントを整え、チェンジアップで空振りを誘うスタイル。ピュッと見えないところからボールが出てくるので、九州産業大は最後まで捕まえきることができなかった。特に球威・球速は平凡で、コントロールも好いわけではないが、相手として気持ちの悪い存在だろう。果たしてこういった打ちづらさを評価して、指名する球団が出てくるのか注目される。こういう投手は球団の考え方次第だと思うが、左の中継ぎあたりでは面白い存在ではないのだろうか。
藤野 幹大(日本文理大3年)投手 191/77 右/右
大西 広樹(大商大4年)投手 176/80 右/右
橋本 侑樹(大商大4年)投手 183/72 左/左
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