2019年夏 甲子園レポート12
2019/08/17|Category:テレビ・動画観戦
大会七日目・第一試合 宇部鴻城 VS 宇和島東
背番号8をつけた先発の 岡田 佑斗(宇部鴻城3年)右腕は、腕をしっかり縦に振り実に回転の好いボールを投げ込んでくる。球速は130~135キロ程度だったが、こういう土台が好い選手はある日突然ボールがビックリするぐらい速くなるときがあるので、将来的に投手を続けるのも好いのかもしれない。その一方で、一番打者としてライトスタンドに突き刺さったときのスイングも圧巻だった。とにかくヘッドスピードが速く、ビックリするような打球を放つ。卒業後も、投打の可能性を意識しながら追いかけてみたい。
宇和島東では2番手に投げた 和田 真虎(2年)右腕が、均整のとれた体格を実にダイナミックに体を使い楽しみな本格派。まだ球速は135~MAX141キロ程度だが、一冬超えたら見違えるように良くなるかもしれない。切れ味鋭いスライダーを低めに集め、カーブやフォークといった変化球も悪くない。ビシッとして来ると、ドラフト候補に浮上しても不思議ではないだろう。
この試合では登板がなかったが、エースナンバーをつける 池村 健太郎(宇部鴻城3年)左腕がヒットを連発するなど、野手としての才能もあるところを示してくれた。また宇和島東では、7番打者ながらレフトへの大きなフライの次の打席では、レフトスタンドに叩き込んでみせた 兵頭 仁(3年)三塁手の打撃が目立った。7番を打っていたが、元々は4番を担うなど長打力には光るものを持っている。ボールの迎え方がよく、三塁手としても広い守備範囲を誇る。また一番を任せられていた 阿部 颯稀(3年)捕手も打撃ではレフト前へのヒット一本に留まったものの、捕手としてのセンスを感じさせる選手で、試合でどんぴっしゃの1.95秒の送球は見事だった。大学などでも、野球を続けて欲しい。
岡田 佑斗(宇部鴻城3年)投手 178/78 右/左
池村健太郎(宇部鴻城3年)投手 181/83 左/左
和田 真虎(宇和島東3年)投手 180/81 右/右
兵頭 仁 (宇和島東3年)三塁 169/75 右/右
阿部 颯稀(宇和島東3年)捕手 171/60 右/右
大会七日目・第二試合 海星 VS 聖光学院
両チームとも、突出した選手がチームを引っ張ってゆくタイプのチームではないように感じました。そんななか海星では、2番を打つ 大串 祐貴(3年)一塁手がチーム1の強打者。ボールの呼び込み方がうまく、腕っぷしの強さを活かしライトスタンドに叩き込んで魅せた。けして守備・走塁でアピールするタイプではないが、ぶりぶりとバットを振って「2番最強説」を地でゆく。
聖光学院の方では、3番を打つ 荒牧 樹(3年)二塁手が、力を内に凝縮するような隙のない構えに高い集中力が感じられる。それほど無理しなくても、スコーンと角度よく打球が飛んでゆくタイプで、2打席連続でスタンドに叩き込んだ。気になるのは、解説の中村順司氏(元PL学園監督)が指摘するように、送球が抜けがちだったり、キャッチングでもミスしたセカンド守備の方。打撃に好いものがあるだけに、守備・走塁を上のレベルで高めたい。
また八戸学院光星戦でリリーフ登板した 江越 永輝(海星3年)右腕は、173/65 と小柄な力投派。非常に柔らかい腕の振りが特徴で、コンスタントに140キロ前後~MAX146キロの球速が光る。速球と見分けのつかない腕の振りから繰り出されるスライダーのキレが圧巻である一方、速球が球速ほど苦になく振り抜かれていたのは気になる材料。いずれにしても投げっぷりの好さが魅力で、大学などでいかにスキルアップできるかではないのだろうか。将来、どのようなに投手に育ってゆくのか楽しみなのは間違いない。
大串 祐貴(海星3年)一塁 175/78 右/左
江越 永輝(海星3年)投手 173/65 右/右
荒牧 樹(聖光学院3年)二塁 171/71 右/右
大会七日目・第三試合 八戸学院光星 VS 智弁学園
49校最後の登場となった智弁学園の先発は、小畠 一心(1年)右腕。185/82 の大型右腕で、135キロ級の角度のある球筋が武器。カーブ・スライダー・フォークなどを織り交ぜる変化球は悪くないが、まだストレートのバラツキが顕著で収まりが悪い。今後体がビシッとして球筋も安定して来ると、スケールアップして行けるかもしれない。現状は驚くほどではないが、最終学年にどのレベルに達するのか見守ってゆきたい。
坂下 翔馬(智弁学園3年)遊撃手は、165/67 と小柄ながら、奈良大会打率.682厘・5本塁打・13打点の強打者。また守っても抜群に広い守備範囲を誇り、アクロバティックな動きで魅了する。ただしこの試合では、それほどショートとしての見せ場はなく終わってしまった。打撃では甘い球を逃さない集中力、ミートセンスの片鱗は魅せてくれたが、やはり高校からプロといった感じの打球ではなかった。大学の4年間で、どのぐらいの存在になりえるのか能力を見極めてゆきたい。イメージ的には、東海大時代の 平野 恵一(オリックス-阪神)を彷彿とさせる。プレースタイルは、奇声を発し気持ちを全面に押し出すファイター。大学時代の、平野 の領域まで到達するのか興味深い。
そのほか1番打者ながらパンチ力の効いた打撃が魅力の 塚本 大夢(3年)三塁手や、一年生ながら4番を任されていた 前川 右京(1年)左翼手に、マウンド度胸に優れた 西村 王雅(1年)左腕など、タレントの多いチームだった。
緒戦では取り上げなかったが、実績・経験豊富な 近藤 遼一(八戸学院光星3年)一塁手が、2試合連続の本塁打を含む4安打を放つなど高校球界では上位の強打者であることを改めて実証。先発した 横山 海夏凪(3年)左腕は、正統派のサウスポー。まだ球速は135キロぐらいだが、強力なチェンジアップを武器にしている。大学などで球速が上がってくるようだと、ドラフト候補に浮上してきても不思議ではないフォームの良さがある。
小畠 一心(智弁学園1年)投手 185/82 右/右
坂下 翔馬(智弁学園3年)遊撃 165/67 右/左
塚本 大夢(智弁学園3年)中堅 170/80 右/右
前川 右京(智弁学園1年)左翼 175/77 左/左
西村 大雅(智弁学園1年)投手 171/65 左/左
近藤 遼一(八戸学院光星3年)一塁 175/90 右/右
横山海夏凪(八戸学院光星3年)投手 177/70 左/左
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