2020年 甲子園交流大会3
2020/03/11|Category:テレビ・動画観戦
甲子園二日目・第三試合 明豊 VS 県岐阜商
明豊の先発・若杉 晟汰(3年)左腕は、昨夏ベスト4の実績を誇る好投手。球速こそ135~後半ぐらいではあるが、キレのある球質で空振りが誘える。変化球も低めに切れ込むスライダーやチェンジアップを織り交ぜ、完成度の高いマウンドさばきを見せる。ドラフト候補といった匂いはしてこないが、大学や社会人など、レベルの高いところで野球を続けて行けるセンスの持ち主ではないのだろうか。
また3番を打つ・布施 心海(3年)中堅手も、下級生から活躍してきた強打者。173/68 と身体は大きくはないが、腕っぷしの強いスイングで、対応力も悪くない。中堅手としても安定しており、この試合でもホームで捕殺し地肩も基準レベル。一塁までの塁間は、4.5秒強(左打者換算で4.25秒強に相当)と、走力・肩はドラフト候補としては平均的。いずれにしても名門大学などで、野球を続けてゆきそうな力量の持ち主だった。
一方の県岐阜商では、3番の 佐々木 泰(3年)三塁手の大きな弧を描くスイングが抜けていた。センター前に抜けるタイムリー性のヒットに、左中間スタンドに叩き込んだパワーも見事。三塁手としては、キャッチングが危なっかしいものの、横の動きは広く肩は悪くなかった。高い順位での指名となると厳しいかもしれないが、ドラフトで指名があっても不思議ではない将来楽しみな大型内野手。
また4番の 高木 翔斗(2年)捕手も、パワフルな打撃が目を惹く。捕手としてはやや重苦しいフットワークではあったものの、塁間1.9秒強のスローイングで肩も基準以上。打撃はタイミングのとり方に不安は残るが、強肩・強打の捕手として新チーム以後も注目される存在になるのではないのだろうか。
若杉 晟汰(明豊3年)投手 173/70 左/右
布施 心海(明豊3年)中堅 173/68 右/右
佐々木 泰(県岐阜商3年)三塁 180/78 右/右
高木 翔斗(県岐阜商2年)捕手 185/85 右/右
大会3日目・第一試合 智弁学園 VS 中京大中京
大会NO.1の呼び声高かった 高橋 宏斗(中京大中京3年)右腕は、愛知大会を制したばかりでの登板。その疲れからか? 立ち上がりからやや肘が下がり気味で、微妙な制球力に最後まで苦しんだ。それでも常時140キロ台後半~150キロ台前半を安定して刻み、ここぞの場面では地力の違いを魅せつけた。打者の外角一杯に決めるストレートだけでなく、時には内角を厳しく突く。曲がりの大きなスライダーに加え、小さなカットボール・フォーク・チェンジアップなども駆使し、球種も一通り持っている。多少ボールが暴れるきらいがあるのと、単調になってボールが揃う時はあるものの、世代屈指の存在であることを全国でも実証した。昨夏の 奥川 恭伸(星稜-ヤクルト)ほどまでは行かないまでも、プロ志望を宣言すれば、ドラフトで1位で競合することが予想される。
野手では、プロ志望届提出が濃厚だと伝わる・中山 礼都(中京大中京3年)遊撃手。確実性に課題があるものの、爆発力のある打撃が魅力。塁間4.0秒前後の脚力に、深いところから乱れない肩などのスペックはまさにプロ級。粗さは感じさせるが、昨年の 武岡 龍世(八戸学院光星-ヤクルト)に似たタイプで、現時点での力よりもポテンシャルの高さを評価したい。将来的にもショートとは行かないまでも、強打の二遊間候補として指名は充分意識できる素材ではないのだろうか。性格的にも、アマでちまちまというよりは、プロでこそ活きそうなタイプだ。
印出 太一(3年)捕手は、ややフットワークに重苦しさはあるものの、リードも考えられた好捕手。全国指折りの打線において、捕手ながら4番を任される打力は確か。この試合では見られなかったが、1.9秒前後送球で地肩も悪くない。昨秋に比べると、上から掴みにゆこうとか身体だけで捕りにゆこうというのは薄れた印象はある。イメージ的には、郡司 裕也(慶大-中日)のような「打てて考えられる捕手」といった感じで、今後も大学などでも活躍して行けるタイプではないかと。
現時点では、中山以上に総合力が高そうなのが 西村 友哉(3年)中堅手。広角に打ち返す対応力の高い打撃に、パンチ力も秘めている。中堅手としても動きに無駄はなく、走攻守のバランスが取れている。高校からプロといった強烈なインパクトはないが、強豪・名門大学などでも、充分にやって行ける力量の持ち主ではないのだろうか。4年後までに、何処まで総合力を膨らませて行けるのか見守って行きたい。
一方の智弁学園では、西村 王雅(2年)左腕の好投が光った。大舞台、それも中京大中京の強力打線相手でも、全く動じずに自分の投球を貫いた精神力は半端ではない。左サイドハンドから、横の角度を広く使った投球が光る。球速こそ135キロぐらいでも、独特の角度とキレのあるボールで中京打線を最後まで苦しめた。スライダーのキレだけでなく、チェンジアップ系もしっかり操ることができ完成度は高い。来年のドラフト候補とかそういったタイプではないと思うが、大学や社会人あたりでキッチリ成績を残して行ける実戦力があり、将来は即戦力を見込まれてもプロ入りといった領域まで行けるかもしれない。
また来年のドラフト候補に入ってきそうなのは、前川 右京(2年)右翼手。177/90 の堂々とした体格の持ち主で、打席でも大物感がある。高橋宏レベルの投手相手でも、充分に対応できていた印象。その証に、追い込まれてからでも外角低めのチェンジアップにも上手く対応しヒットを放つことができていた。イメージ的には、筒香嘉智(横浜-DeNA)に似ており、抜群の長打力に対応力も備え、その領域まで到達できるのか来年は垂涎の的になりそうだ。
またスピード感溢れる守備で、細かいステップも際立つ 三田 智也(3年)遊撃手の動きは、県大会から目立っていた。この試合では、打撃で充分アピールできなかったように、レベルの高い投手への対応が課題になる。センス型の選手だけに、高校からプロというよりは大学などで実績を残す中で注目される存在ではないのだろうか。4年間で、さらなる打力のアップに取り組んで欲しい。
高橋 宏斗(中京大中京3年)投手 182/82 右/右
印出 太一(中京大中京3年)捕手 182/83 右/右
中山 礼都(中京大中京3年)遊撃 179/80 右/左
西村 友哉(中京大中京3年)中堅 173/80 右/右
西村 王雅(智弁学園2年)投手 171/67 左/左
三田 智也(智弁学園3年)遊撃 170/68 右/右
前川 右京(智弁学園2年)右翼 177/90 左/左
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