土生 翔平(早稲田大)右翼
2011/10/09|Category:観戦記
土生 翔平(早稲田大)右翼 178/76 右/左 (広陵高出身)
「春より、良くなっている!」
プロ入り向けて大事なシーズンだった春のリーグ戦において、打率.188厘と信じられないような低打率に泣いた、かつての首位打者。復活をきした今シーズン、土生 翔平 は、いかなるシーズンを送っているのか考えてみた。
(今シーズンの土生)
春のシーズンは、13試合で 0本 0打点 打率.188厘に終わった土生だが、この秋はどうなのだろうか?
ここまでの7試合で、1本 7打点 1盗塁 打率.231厘 。打率こそ低いものの7打点を稼いでおり、良いところでヒットを打っている印象を受ける。完全復調とは言えないが、春よりは数段良い形で打席に立てている。
(守備・走塁面)
最終学年になってから、左翼だった守備が右翼に変わった。元々それほど守備に光るものがなかったが、年々ソツのないプレーができるようになってきました。地肩も際だつほどではありませんが、基準以上のものがあります。特にプロでも売りにするほでなくても、右翼や左翼のポジションが期待できます。
一塁までの塁間を、3.9秒台~3.8秒台ぐらいで走り抜けるなど、以前よりも走塁への意識が高まりました。これは、プロでも俊足として足を売りにできるレベルにあり、元々ベースランニングの上手さや盗塁センスは悪くありませんでした。最終学年に向けて、打ち出してからの最初の一歩目を速く切れるようになり、一塁までの到達タイムを大幅に縮めてきたように思えます。ただそのことに気を取られ過ぎて、打撃に影響しているのではないかと逆に心配にはなります。こと走ることに関しては、先輩の 松本 啓二朗(横浜)よりも、上ではないかと思います。
(打撃内容)
春は、何か形にこだわり過ぎていて、自分のスイングができていなかったように思えます。しかし今は、スイングに迷いがなくなり、随分と今のフォームが板についてきました。
<構え> ☆☆☆☆
スクエアスタンスで両足を揃え、グリップの高さは平均的に添えるオーソドックスな構え。腰の据わり具合、両目で前を見据える姿勢や全体のバランスもよく、自分のリズムも刻めて春よりも力みが薄れているように思えます。
<仕掛け> 遅めの仕掛け
春は、中距離打者が採用する「平均的な仕掛け」を採用しておりましたが、この秋は「遅めの仕掛け」を採用。ボールを手元まで引きつけてから、叩くスタイルに変えてきました。
通常この仕掛けは、生粋の長距離打者か状況に合わせて様々な打撃が求められる二番打者に多く観られる仕掛けであり、彼の場合後者に属するタイプだと考えられます。よりフォアザチームの意識が、ラストシーズンで観られているのではないのでしょうか。その辺は、チーム1の6四死球からも伺われます。
<下半身> ☆☆☆
始動が遅い分、足を上げてから降ろすまでの「間」が短くなります。そのため打てる球は限られているので、あらかじめ狙い球を絞って、その球を逃さず叩く「鋭さ」が求められます。彼の場合、ストレートに追い込まれるまでは、狙いを定めているのではないかと考えられます。
軽くステップさせた足を、真っ直ぐ踏み出します。真っ直ぐ踏み出すということは、内角の球でも外角の球でも捌きたいという彼の意志が感じられます。踏み込んだ足下も、インパクトの際にブレないなど、打ち損じの少ない良い形でスイングできています。実際試合をみていると、広角に幅広い方向に、打球を飛ばすことができています。
<上半身> ☆☆☆☆
打撃の準備である「トップ」を、早めに作ることができています。これにより始動が遅くても、速い球に立ち後れません。以前はもっとグリップの引きが極端で、リストワークが硬くなっていたのが、だいぶ自然体に戻りました。
バットは、上からミートポイントまで綺麗に振り抜けています。ヘッドスピード凄みはありませんが、元々難しい球でも当てられてしまう、リストワークの柔らかさがあり、その辺は非凡なものを感じます。とにかくこの選手の良さは柔らかさですから、力んで硬くならないよう心がけて欲しいですね。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げは小さいので、目線のブレが非常に小さいように思えます。それだけ、的確にボールを捉えることができるはずです。身体の開きも我慢できていますので、左中間に打球がしっかり伸びますね。軸足にも粘りがあり、低めの球にも上手く対応できます。あとは柔らかい選手にありがちな、自分からボールに向かって行って、身体が突っ込まないことに注意したいところです。
(打撃のまとめ)
春よりも、だいぶ自然体でスイングできるようになってきました。ただ「仕掛け」のタイミングを遅くしたのが、何処まで板についているのかはわかりません。また天性のアベレージ~中距離タイプの彼が、こう狙い球を絞り、引きつけて叩く打撃が合うのかは疑問です。しかし春からの不調を抜けるために、いろいろなことを試みている点は、高く評価したいと思います。
(最後に)
守備に関しては平均的ですが、走塁に関してはプロでも通用しそうです。自慢の打撃は、春からの不調からは脱しつつあります。しかし、まだまだ完全脱出とは言えない状況。下位指名でもいいから、プロに入りたいというこだわりをもってすれば、指名してくる球団はあるかもしれません。ただ通常、早稲田のキャプテンまで務め、リーグ戦での実績のある選手を、なかなか下位で指名されるというケースはありません。そう考えると、まずは社会人で実績を残してからと判断されるのが、通常の例であるように思えます。私も秋も文句なしの成績を残せなかったことを考えると、その方が良いのではないかと考えます。社会人での立て直し、更なる成長を期待してやみません。
(2011年 秋季リーグ戦)
「春より、良くなっている!」
プロ入り向けて大事なシーズンだった春のリーグ戦において、打率.188厘と信じられないような低打率に泣いた、かつての首位打者。復活をきした今シーズン、土生 翔平 は、いかなるシーズンを送っているのか考えてみた。
(今シーズンの土生)
春のシーズンは、13試合で 0本 0打点 打率.188厘に終わった土生だが、この秋はどうなのだろうか?
ここまでの7試合で、1本 7打点 1盗塁 打率.231厘 。打率こそ低いものの7打点を稼いでおり、良いところでヒットを打っている印象を受ける。完全復調とは言えないが、春よりは数段良い形で打席に立てている。
(守備・走塁面)
最終学年になってから、左翼だった守備が右翼に変わった。元々それほど守備に光るものがなかったが、年々ソツのないプレーができるようになってきました。地肩も際だつほどではありませんが、基準以上のものがあります。特にプロでも売りにするほでなくても、右翼や左翼のポジションが期待できます。
一塁までの塁間を、3.9秒台~3.8秒台ぐらいで走り抜けるなど、以前よりも走塁への意識が高まりました。これは、プロでも俊足として足を売りにできるレベルにあり、元々ベースランニングの上手さや盗塁センスは悪くありませんでした。最終学年に向けて、打ち出してからの最初の一歩目を速く切れるようになり、一塁までの到達タイムを大幅に縮めてきたように思えます。ただそのことに気を取られ過ぎて、打撃に影響しているのではないかと逆に心配にはなります。こと走ることに関しては、先輩の 松本 啓二朗(横浜)よりも、上ではないかと思います。
(打撃内容)
春は、何か形にこだわり過ぎていて、自分のスイングができていなかったように思えます。しかし今は、スイングに迷いがなくなり、随分と今のフォームが板についてきました。
<構え> ☆☆☆☆
スクエアスタンスで両足を揃え、グリップの高さは平均的に添えるオーソドックスな構え。腰の据わり具合、両目で前を見据える姿勢や全体のバランスもよく、自分のリズムも刻めて春よりも力みが薄れているように思えます。
<仕掛け> 遅めの仕掛け
春は、中距離打者が採用する「平均的な仕掛け」を採用しておりましたが、この秋は「遅めの仕掛け」を採用。ボールを手元まで引きつけてから、叩くスタイルに変えてきました。
通常この仕掛けは、生粋の長距離打者か状況に合わせて様々な打撃が求められる二番打者に多く観られる仕掛けであり、彼の場合後者に属するタイプだと考えられます。よりフォアザチームの意識が、ラストシーズンで観られているのではないのでしょうか。その辺は、チーム1の6四死球からも伺われます。
<下半身> ☆☆☆
始動が遅い分、足を上げてから降ろすまでの「間」が短くなります。そのため打てる球は限られているので、あらかじめ狙い球を絞って、その球を逃さず叩く「鋭さ」が求められます。彼の場合、ストレートに追い込まれるまでは、狙いを定めているのではないかと考えられます。
軽くステップさせた足を、真っ直ぐ踏み出します。真っ直ぐ踏み出すということは、内角の球でも外角の球でも捌きたいという彼の意志が感じられます。踏み込んだ足下も、インパクトの際にブレないなど、打ち損じの少ない良い形でスイングできています。実際試合をみていると、広角に幅広い方向に、打球を飛ばすことができています。
<上半身> ☆☆☆☆
打撃の準備である「トップ」を、早めに作ることができています。これにより始動が遅くても、速い球に立ち後れません。以前はもっとグリップの引きが極端で、リストワークが硬くなっていたのが、だいぶ自然体に戻りました。
バットは、上からミートポイントまで綺麗に振り抜けています。ヘッドスピード凄みはありませんが、元々難しい球でも当てられてしまう、リストワークの柔らかさがあり、その辺は非凡なものを感じます。とにかくこの選手の良さは柔らかさですから、力んで硬くならないよう心がけて欲しいですね。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げは小さいので、目線のブレが非常に小さいように思えます。それだけ、的確にボールを捉えることができるはずです。身体の開きも我慢できていますので、左中間に打球がしっかり伸びますね。軸足にも粘りがあり、低めの球にも上手く対応できます。あとは柔らかい選手にありがちな、自分からボールに向かって行って、身体が突っ込まないことに注意したいところです。
(打撃のまとめ)
春よりも、だいぶ自然体でスイングできるようになってきました。ただ「仕掛け」のタイミングを遅くしたのが、何処まで板についているのかはわかりません。また天性のアベレージ~中距離タイプの彼が、こう狙い球を絞り、引きつけて叩く打撃が合うのかは疑問です。しかし春からの不調を抜けるために、いろいろなことを試みている点は、高く評価したいと思います。
(最後に)
守備に関しては平均的ですが、走塁に関してはプロでも通用しそうです。自慢の打撃は、春からの不調からは脱しつつあります。しかし、まだまだ完全脱出とは言えない状況。下位指名でもいいから、プロに入りたいというこだわりをもってすれば、指名してくる球団はあるかもしれません。ただ通常、早稲田のキャプテンまで務め、リーグ戦での実績のある選手を、なかなか下位で指名されるというケースはありません。そう考えると、まずは社会人で実績を残してからと判断されるのが、通常の例であるように思えます。私も秋も文句なしの成績を残せなかったことを考えると、その方が良いのではないかと考えます。社会人での立て直し、更なる成長を期待してやみません。
(2011年 秋季リーグ戦)
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