2021年 スポニチ大会二日目レポート
2021/03/09|Category:観戦記
今大会で最も生で確認してみたいと思っていたのが、この鈴木 大貴(24歳・TDK)右腕でした。ワインドアップから、振りかぶった腕を二回ダンダンと後ろに反動をつけて投げる変速ですが、腕の振りとしてはサイドハンドようなスリークォーターです。都市対抗の時には、常時150キロ前後~中盤ぐらい出していたのですが、この日は私が確認した中では神宮のガンで149キロ。
しかしビシッとしたボールの質は素晴らしく、コントロール・テンポなども良く、今大会出場した選手の中では一番総合力は高く感じました。変化球は、横滑りする大きなスライダーとのコンビネーションで、あまり効果的とは言えないものの、シンカー系の球もあります。
課題は、ランナーを出すと変則のフォームが普通になるので、相手としては合わされやすくなること。また、球速がかなり落ちる傾向が観られます。また持ち球が基本スライダーと単調なので、そのへんも幅を広げてゆかないといった気がします。中背の 廣畑 敦也(24歳・倉敷OS)右腕よりも体格に恵まれている分、スケールは感じさせる素材です。いずれにしても、ドラフトの有力な指名候補には上がってくるのではないのでしょうか。イメージ的には、コントロールやテンポを良くした 三上 朋也(DeNA)とかそういったタイプかと。
一方のHODAの先発は、高卒3年目を迎える 米倉 貫太(21歳・埼玉栄出身)右腕。こちらは、184/86 の惚れ惚れするような体格とフォームから投げ込む正統派です。埼玉栄時代から、ドラフト界隈では名の知られた選手で、球速はコンスタントに140台~中盤を出せます。カーブような軌道をたどるスライダーに、チェンジアップ・フォークなどを織り交ぜるオーソドックスなスタイル。まだ、おっかなビックリ投げている感じで、持ち得る能力を充分出せているかは微妙です。これからシーズンが進むにつれ自信を深めて殻を破って行けるのか? 信頼を失って大事な試合を任されるまでにはならないのか? 現時点では、どっちに転ぶかはわかりません。素材の良さは誰もが認めるところですが、まだ投げているだけといった感じで、投球に深みも大胆さもないので、これからどういった色を出せるかではないのでしょうか。独立リーグの選手とかならば、この素材でそのまま育成枠でとかは充分ありうると思います。しかし、社会人チーム所属の選手だけに、そういったことができないことがプロを目指す上でどう出るかは微妙ではないのでしょうか。現状は候補には入れて良いと思いますが、どっちに転ぶかはまだわかりません。
東京ガスの試合では、終盤にルーキーの 益田 武尚(23歳・北九州市立大出身)右腕が登場。リリーフだということもあり、140キロ台中盤の威力のある球に加え、カットボールやフォーク系の沈む球で空振りも奪えており、リリーフならば見栄えのする球を投げ込んできます。昨年見た時は、何かしらの形で指名されるレベルにあるのではないかと思っていましたが、有力社会人チームに内定し、この中背の体格も考えると、プロ側が無理してまで獲得に動かなかったのも納得できる部分はあります。これから、チームでも積極的に起用されてゆく存在だと思うので、来年までに文句なしの領域にまで到達してプロ入りを実現して欲しい選手です。
鈴木 大貴(24歳・TDK)投手 182/84 右/右
米倉 貫太(21歳・HONDA)投手 184/86 右/右
益田 武尚(23歳・東京ガス)投手 175/86 右/右
- 関連記事
スポンサーサイト