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プロ野球ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人・蔵建て男が、日本中を駆け巡り本音でトーク!

松井 飛雄馬(三菱重工広島)遊撃手

松井 飛雄馬(20歳・三菱重工広島)遊撃 180/85 右/右





          「全然打てなくなっているけど・・・」 





島根の江の川高校から入社して、早くから頭角を現してきた 松井 飛雄馬。高卒3年目の今年、見事横浜ベイスターズに指名された。そんな社会人でも貴重な若手内野手について、今回は考えて行きたい。

(プレースタイル)

この選手の一番の売りは、堅実な遊撃守備にあります。けしてダイナミックプレーで魅了するような派手なプレーでアピールするタイプではありません。また今年の都市対抗でも9番を務めていたように、打撃でもまだまだ物足りないものを感じます。

(守備・走塁面)

高卒でキャリアは浅いのですが、冷静な状況判断が瞬時にできる選手。更に堅実で基本に忠実なプレーをする、玄人好みの遊撃手です。物凄く最初の一歩目が鋭いとか、柔らかいグラブ捌きをするとか、フットワークに特別なものは感じませんしかし無駄なアクションが少なく、その場の状況に適したプレーを選択できる機転の速さがあります。普段はそれほど勢いのある返球はしないのですが、必要とあらば深いところからでも、ダイレクトな返球で地肩の強さを魅せます。プロに入っても、今すぐプロのニ遊間に入って行ける、確かな守備力が彼の最大の魅力となります。

一塁までの塁間は、4.2~4.3秒台で右打者ながら走り抜けます。これを左打者に換算すると、4.0~3.9秒台に相当します。このタイムは、プロでも俊足レベルの脚力だと言えるでしょう。ただそれほど、その走力を活かすプレースタイルではないので、足は速くても盗塁でバシバシアピールすることはありません。昨年からもそうなのですが、今年も都市対抗予選の6試合で盗塁はありませんでした。

(打撃内容)

昨年の都市対抗では、ライトスタンドにホームランを放ちました。しかし今年の都市対抗では、3試合で一本もヒット打てないまま敗れました。それでも予選では、打率.455厘と打ちまくったので、調子自体も悪くかったのでしょう。実際試合を見ていても、全く打てる気がいたしませんでした。元来は、右に左へとはじき返す打撃を得意とします。

<構え> ☆☆☆

軽く前の足をベース側において、少しクロスに構えます。グリップの高さは高めに添え、腰の座りは中々好いものがあります。ただ全体のバランスや両目で前を見据える姿勢は平均的、そして何より少し力が入り過ぎて力みが感じられます。

<仕掛け> 遅めの仕掛け

投手の重心が下がりきって、前に移動する段階で始動する「遅めの仕掛け」を採用。これは、ボールをできるだけ手元まで引きつけて叩く、長距離打者かニ番打者タイプの打者が採用する仕掛けです。彼のプレースタイルからすると、生粋の二番タイプということになろうかと思います。

<足の運び> ☆☆☆

始動が遅い割に、軽く足をあげた後に回し込んできます。この動作が、余分の動作となり対応力を鈍らせている要因になっていると考えます。もう少し始動が遅い選手は、シンプルな動きをしなくてはなりません。むしろ昨年までは「平均的な仕掛け」を採用していたことからも、調子が悪く始動自体が遅くなっていた恐れがあります。もしそうだとするならば、幾分始動を早める意識を持ちたいですね。

この足を上げてから降ろすまでの「間」が取れなくなったことで、打てる球は限られてしまいました。ベース側に踏み込むので、外の球を強く意識したスタイル。また踏み込んだ足元は、インパクトの際にブレないで捌けます。そのため、右方向への打撃も得意とします。

<リストワーク> ☆☆☆

打撃の準備である「トップ」を、早く無理なく作れています。ただ非常にトップを深く取っているのですが、その時に少しグリップが奥に入り気味なのが気になります。これだとバットの出がスムーズではないですし、少し体から離れて振り出されています。ボールを捉えるまでにロスを感じますし(極端ではないにしろ)、バットの先端であるヘッドも少し下がり気味です。これでは、ボールもしっかりフェアゾーンに落ちません。それでもなんとか、最後までバットを振り抜いてはいるのですが・・・。

<軸> ☆☆☆

足の上げ下ろしは平均的で、目線のブレも大きくはありません。体の開きも我慢できていますし、軸足も崩れもす少なめです。それほど波が激しいタイプには見えませんでしたが、かなり今大会は内容が悪かったです。

(打撃のまとめ)

都市対抗では始動が遅れて、かなり状態も悪かったのでしょう。ただボールを捉えるセンス、素材としての柔らかさ・スイングの鋭さ・ボールを見極める目など、特に優れた資質は感じません。プロの打者としては、かなり打力が物足りないと言えます。

よく打撃は、プロの指導でどうにでもなると訊きますが、うんなことはありません。元々資質がある選手が、徐々にプロの球に対応できるように教えることはできても、そういったセンス・資質を持っていない選手が、対応できるということは稀です。もし本気でそう思っているとするならば、それは打者を見極めることを放棄したのと同じです。その時点で、スカウトとしての資質を疑います。そこを見極めてゆくのが、スカウティングなのですから。残念ながら私の見立てで言えば、この選手はその打撃の資質に欠けると評価します。

(最後に)

元々この選手は、スカウトが評価して指名した選手ではないようです。どういう経緯かはわかりませんが、白井二軍監督の推薦で獲得が決まったそうです。恐らく終盤戦、横浜は故障者続出で全くニ遊間を守れる内野手がいなくなってしまいました。その反省からも、今すぐニ遊間を任せられる素材を探していたのでしょう。そんな中で、白井監督が、目に留まった選手だったのではないのでしょうか?

確かに守備に関しては、一年目からプロでやって行ける資質があると評価します。ただ走力はありますが、まだそれを活かす術はないようです。打撃に関しては、かなり厳しいと言わざる得ません。数年経っても、プロの一軍で通用する打撃を身につけられるのかと言われると、私は無理ではないかと考えています。

私は、野手はまず打撃が一定のレベルを満たしていることをプロ入りの条件だと考えます。そう考えますと、この選手は完全に私の評価からハズレます。チーム事情には合致していますし、まだま若いという部分には期待が持てますが、少なくても今プロに入る「旬」の時期ではないと評価致します。

(2011年 都市対抗)
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