2021年夏 甲子園レポート2
2021/07/14|Category:テレビ・動画観戦
大会初日・第三試合 東明館 VS 日本航空
日本航空の先発 ヴァデルナ フェルガス(3年)左腕は、188/85 の大型左腕。ハーフらしいスペックの高さが魅力ではあるが、球速出ても135キロぐらいと、現状驚くほどの球威・球速はない。ただし、大型左腕にありがちな粗っぽさはなく、打たせてとる投球に徹する。大きな体ゆえに打者としては威圧感や打ちにくさはありそうで、カーブやスライダーとのコンビネーションで試合を作る。ただしまだ体が流れて、ボールにダイレクトに力が伝えきれていないなど発展途上。まずは、大学などで才能が本格化するのを待ったほうが得策ではないのだろうか。
またナイジェリア人ハーフの エドポロ ケイン(3年)中堅手は、バックホームで捕殺した強肩ぶりと、軽く払ったようなスイングでもライトフェンス直撃のパワーには見るべきものがあった。打撃の確実性には課題はあるが、落下点までの入りにも狂いがなく、身体能力だけに頼った守備ではないのは好感。高校からプロとなると、プレーの確実性の部分で不安は残すが、肉体のスペックはプロ級なだけに、今後の試合でも注視してゆきたい。
また1番・久次米 陸士(3年)遊撃手も、ダブルスチールでホームを陥れるなど走塁の上手さが目をひいた。遊撃手としても動きもよく、塁間4.4秒台(左打者換算で4.2秒に相当)と平凡だったものの、大学などでも野球を続けて行ける野球センスの持ち主だった。
東明館では、加藤 晴空(3年)捕手の野球センスが光った。小柄ながらフットワークが実に軽やかで、ボールまわしやリードなども巧みな好捕手。強肩の見せ場はなかったが、最終回投手としてマウンドにあがり138キロを記録するなど、その片鱗を魅せてくれた。第一打席には、先頭打者として球数を多く投げさせるなど、粘り強さも魅せた。高校からプロというよりも、大学に進んでゆくタイプなのではないかといった感じがした。
また4番の 井田 龍太朗(3年)遊撃手も、攻守に優れた好選手。さすが4番打者だけにスイングも鋭く、鍛えられた守備にも光るものがあった。こちらもプロといったほど圧倒的なスペックは感じられなかったものの、大学ならば欲しいと思った関係者も少なくなかったのではないのだろうか。
ヴァデルナ フェルガス(日本航空3年)投手 188/85 左/左
エドポロ ケイン(日本航空3年)中堅 186/80 右/右
久次米 陸士(日本航空3年)遊撃 175/73 右/左
加藤 晴空(東明館3年)捕手 174/77 右/左
出田龍太朗(東明館3年)遊撃 171/74 右/右
大会二日目・第一試合 智弁学園 VS 倉敷商
この試合の注目は、高校球界を代表する長距離砲・前川 右京(智弁学園3年)左翼手。県大会では一番に入り、出塁を重視する打撃で力みが消え打率.643厘のハイアベレージを残した。この大会では、三番打者に復帰。2安打を放ったが、当たりとしてはスッキリした内容ではなかった。それでも特大のファールをライトポール際に放ったり、打席での雰囲気はただ者ではないものを醸し出している。走力は、左打席から 4.15秒前後と遅くはない。しかし、プロに混ぜてしまうと平均以下ということで、守備・走力でアピールするものがないだけに、中位(3位~5位)ぐらいの評価に留まるのではと思っている。いずれにしても、今後の試合も含めて最後まで能力を見極めて行きたい。
新チーム以後、その前川以上に結果を残し続けて切るのが、4番を任されている 山下 陽輔(3年)三塁手。この試合でも、あわやホームランという左中間フェンス直撃の長打を放ったり、技ありのライト前ヒットを放つなど広角に打ち返すポイントゲッター。三塁守備も安定して好い選手なのだが、けして長距離砲という感じでもないだけに、プロに混ぜた時に埋もれてしまう危険性も。ただしこういった選手が、プロでどのぐらいやれるのか観てみたいという思いもある。前川ほどの評価は得られないかもしれないが、その実力は高校球界でもトップクラス。志望届を提出したら、各球団どんな評価を下すのか興味深い。
また智弁学園では、先発の 西村 王雅(3年)左腕は、重心の低いフォームで低めに安定して集まる球筋。またチェンジアップと速球の見分けが困難で、左投手ながら右打者相手の方が得意そう。球速は135キロぐらいだが、ボールにキレがある。大学などで、どのぐらいの実績をのこしてくれるのか楽しみではある。1年春から、チームの第二戦ぐらいを任されても不思議ではない実戦力がすでにある。
また今まであまり気にしたことがなかったのだが、一番の 岡島 光星(3年)遊撃手という選手が気になった。けして力感のあるスイングをする選手ではないのだが、ボールを捉えるセンスが独特で何か面白い打撃をする選手との印象。ショートとしても悪くなく、前川や山下の陰に隠れがち実はこの選手が本物だったということになるかもしれない。高校からプロといったタイプではないが、4年後ぐらいにはその立場が彼らと逆転しているかもしれない。
倉敷商は突出した選手はいないが、永野 司(3年)左腕は、下級生の頃から全国の舞台を経験してきた。球速は135キロ前後と平凡だが、左打者の外角に切れ込むスライダーが、低めに安定して決まるのは厄介。それだけに、これからも左打者に強いサウスポーとして、個性派として存在感を高められるかもしれない。マウンドセンスは好いので、上のレベルでストレートに磨きをつけられるかだろう。
前川 右京(智弁学園3年)左翼 177/90 左/左
山下 陽輔(智弁学園3年)三塁 175/86 右/右
西村 大雅(智弁学園3年)投手 171/77 左/左
岡島 光星(智弁学園3年)遊撃 175/68 右/左
永野 司(倉敷商3年)投手 173/64 左/左
- 関連記事
スポンサーサイト