島内 宏明(明治大)左翼
2011/11/05|Category:個別寸評
島内 宏明(明治大)左翼 180/75 左/左 (星稜出身)
「明治枠?」
楽天に6位指名された 島内 宏明 。明大出身の星野仙一監督の明治枠かと揶揄されそうな指名ではあったが、けして指名されてもおかしくない実力の持ち主だった。六大学を代表する好打者であった 島内 宏明 を、今回は考察してみたい。
(守備・走塁面)
一塁までの塁間は、4.05~4.2秒弱ぐらい。左打者のプロの基準が4.2秒だと考えると、それより少し早い、中の上レベルの脚力だと考えられる。スポーツ新聞の彼の紹介のところには、50メートル5秒8と紹介されているが、これほどあてにならない数字もない。六大学での通算35試合で、僅か3盗塁しか走っていない。このことからも、プロの世界で足を売りにして行くことは考えづらい。
チームでも左翼手を守っているように、地肩は強くない。守備範囲も平均的だが、打球への反応は悪くない方だ。プロでも中堅・右翼となると物足りないが、左翼手ならばソツなくこなすだけの能力はあるといえよう。
守備・走力に関しては平均的で、プロで売りにするほどではない。その割りに長打を売りにするタイプではないので、よほど高い打率や出塁率を残さないと、なかなか評価はされないだろう。
(打撃内容)
4年間の通算本塁打は2本と、長打力溢れるタイプでもない。それでも打球は強烈で、体に強さが感じられる。対応力は高いが、柔らかくいろいろな球に対応すると言うよりは、自分の打てる球を絞って、その球を逃さないタイプの強打者だ。
(打撃フォーム)
<構え> ☆☆☆☆
前の足のカカトを浮かし、スクエアスタンスで構えます。グリップは高めに添え、腰の座り具合・両目で前を見据える姿勢などもよく、全体にバランスの取れた構えだと言えます。
<仕掛け> 遅すぎる仕掛け
投手の足が引き上げるあたりで、ベース側につま先立ちします。本格的に始動するのは、投手がリリースを迎えるあたり。これでは、始動が遅すぎて、極めて打てる球は限られます。通常ここまで遅い仕掛けだと、プロレベルのスピード・キレには差し込まれそうですが、六大学の投手たち相手にも、こタイミングで実績を残してきたので、壁にぶつかるまでは今の仕掛けでも好い気が致します。
<足の運び> ☆☆☆
足を小さくステップして、真っ直ぐ踏み出します。足を上げてから降ろすまでの「間」がないので、打てるタイミングは限られます。そのため狙い球を絞って、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。ただ彼は、そういった打撃を得意としています。
真っ直ぐ踏み出すということは、内角でも外角の球でも捌きたいという、彼の意志が感じられます。また踏み込んだ足元もブレないので、外角の球にも突っ込まずにキッチリ叩くことができます。ただ基本は、ライト方向に引っ張る打球が目立ちます。
<リストワーク> ☆☆☆
打撃の準備である「トップ」を作るのは早いので、始動の遅さを補い速い球に対応できるのでしょう。ただバットを振り出すときに、肘が下がって腰が早く逃げます。そのためボールを捉えるまでに、少しロスを感じます。それでもヘッドスピードは鋭いですし、それほど悲観する必要はありません。スイングの弧もシッカリ取れていますし、フォロースルーまで振りきれています。またフォロースルーの段階で、グリップが高い位置まで引き上げられているので、ボールを遠くに運ぶことができます。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げが小さいので、頭の動きは小さく目線はブレません。体の開きも我慢できていますし、軸足にも強さを感じます。体軸も安定して、綺麗な回転で振ることができています。振り終わった時の形は、どことなく福留孝介選手を彷彿とさせます。
(打撃のまとめ)
技術的には、始動が遅すぎるのと、バットの振り出し・腰の逃げの早さが気になります。ただ難しい球を捉えられるような柔軟性は感じませんが、甘い球を逃さない「鋭さ」「集中力」などボールを絞り込む能力には長けています。
こと打撃に関しては、スイングも強いですし、全くプロでも対応できないとは思えません。問題は、自分の色をいかに出して行けるのかではないのでしょうか。
(今後は)
守備・走力が平均的な、アベレージヒッターの左打者。通常のスカウティングならば、育成枠はあってもドラフト本会議で指名されるほどの選手だと思いません。また守備・走力が並の割に長打力もないので、今後どのように自分の特徴を見出して行けるのかは、正直疑問です。意識も高い選手ですし、六大学での実績も確かです。しかし何か特徴を見出さないと、ファームまでの選手で終わってしまいそうです。ここからは、自分が生き残るために何をすべきか、その隙間を見つけ出すセンスと、自分の資質を広げて行く努力が求められます。ただ現時点では、やはり総合力で指名リストを残そうとまでは思いませんでした。果たして、どんな生き様を魅せてくくれるのか、個人的には大変興味深いものがある選手です。
(2011年 秋季リーグ戦)
「明治枠?」
楽天に6位指名された 島内 宏明 。明大出身の星野仙一監督の明治枠かと揶揄されそうな指名ではあったが、けして指名されてもおかしくない実力の持ち主だった。六大学を代表する好打者であった 島内 宏明 を、今回は考察してみたい。
(守備・走塁面)
一塁までの塁間は、4.05~4.2秒弱ぐらい。左打者のプロの基準が4.2秒だと考えると、それより少し早い、中の上レベルの脚力だと考えられる。スポーツ新聞の彼の紹介のところには、50メートル5秒8と紹介されているが、これほどあてにならない数字もない。六大学での通算35試合で、僅か3盗塁しか走っていない。このことからも、プロの世界で足を売りにして行くことは考えづらい。
チームでも左翼手を守っているように、地肩は強くない。守備範囲も平均的だが、打球への反応は悪くない方だ。プロでも中堅・右翼となると物足りないが、左翼手ならばソツなくこなすだけの能力はあるといえよう。
守備・走力に関しては平均的で、プロで売りにするほどではない。その割りに長打を売りにするタイプではないので、よほど高い打率や出塁率を残さないと、なかなか評価はされないだろう。
(打撃内容)
4年間の通算本塁打は2本と、長打力溢れるタイプでもない。それでも打球は強烈で、体に強さが感じられる。対応力は高いが、柔らかくいろいろな球に対応すると言うよりは、自分の打てる球を絞って、その球を逃さないタイプの強打者だ。
(打撃フォーム)
<構え> ☆☆☆☆
前の足のカカトを浮かし、スクエアスタンスで構えます。グリップは高めに添え、腰の座り具合・両目で前を見据える姿勢などもよく、全体にバランスの取れた構えだと言えます。
<仕掛け> 遅すぎる仕掛け
投手の足が引き上げるあたりで、ベース側につま先立ちします。本格的に始動するのは、投手がリリースを迎えるあたり。これでは、始動が遅すぎて、極めて打てる球は限られます。通常ここまで遅い仕掛けだと、プロレベルのスピード・キレには差し込まれそうですが、六大学の投手たち相手にも、こタイミングで実績を残してきたので、壁にぶつかるまでは今の仕掛けでも好い気が致します。
<足の運び> ☆☆☆
足を小さくステップして、真っ直ぐ踏み出します。足を上げてから降ろすまでの「間」がないので、打てるタイミングは限られます。そのため狙い球を絞って、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。ただ彼は、そういった打撃を得意としています。
真っ直ぐ踏み出すということは、内角でも外角の球でも捌きたいという、彼の意志が感じられます。また踏み込んだ足元もブレないので、外角の球にも突っ込まずにキッチリ叩くことができます。ただ基本は、ライト方向に引っ張る打球が目立ちます。
<リストワーク> ☆☆☆
打撃の準備である「トップ」を作るのは早いので、始動の遅さを補い速い球に対応できるのでしょう。ただバットを振り出すときに、肘が下がって腰が早く逃げます。そのためボールを捉えるまでに、少しロスを感じます。それでもヘッドスピードは鋭いですし、それほど悲観する必要はありません。スイングの弧もシッカリ取れていますし、フォロースルーまで振りきれています。またフォロースルーの段階で、グリップが高い位置まで引き上げられているので、ボールを遠くに運ぶことができます。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げが小さいので、頭の動きは小さく目線はブレません。体の開きも我慢できていますし、軸足にも強さを感じます。体軸も安定して、綺麗な回転で振ることができています。振り終わった時の形は、どことなく福留孝介選手を彷彿とさせます。
(打撃のまとめ)
技術的には、始動が遅すぎるのと、バットの振り出し・腰の逃げの早さが気になります。ただ難しい球を捉えられるような柔軟性は感じませんが、甘い球を逃さない「鋭さ」「集中力」などボールを絞り込む能力には長けています。
こと打撃に関しては、スイングも強いですし、全くプロでも対応できないとは思えません。問題は、自分の色をいかに出して行けるのかではないのでしょうか。
(今後は)
守備・走力が平均的な、アベレージヒッターの左打者。通常のスカウティングならば、育成枠はあってもドラフト本会議で指名されるほどの選手だと思いません。また守備・走力が並の割に長打力もないので、今後どのように自分の特徴を見出して行けるのかは、正直疑問です。意識も高い選手ですし、六大学での実績も確かです。しかし何か特徴を見出さないと、ファームまでの選手で終わってしまいそうです。ここからは、自分が生き残るために何をすべきか、その隙間を見つけ出すセンスと、自分の資質を広げて行く努力が求められます。ただ現時点では、やはり総合力で指名リストを残そうとまでは思いませんでした。果たして、どんな生き様を魅せてくくれるのか、個人的には大変興味深いものがある選手です。
(2011年 秋季リーグ戦)
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