2021年夏 甲子園レポート12
2021/07/27|Category:テレビ・動画観戦
大会8日目・第一試合 弘前学院聖愛 VS 石見智翠館
石見智翠館の先発・山崎 琢磨(3年)右腕は、球速こそ130キロ台後半~140キロ前半と平凡。それでもボールには力があり、スライダーとのコンビネーションでピッチングを組み立ててくる。立ち上がりを中心に球筋が高く、そこを狙い打たれた形。しかし、追い込んでからのスプリットの落差は見事で、今後真っ直ぐの球速・キレを磨いて行ければ、こういった球も活きそうだ。体格にも恵まれ将来性を秘めている素材だと思うが、高卒プロとなるとパンチが弱い。プロ志望だとも聞くが、スカウト的にはワンクッション置いてからのプロ入りを判断したいと考えるのではないのだろうか? また懐の深いバッティングにも、将来性を感じさせる素材だった。
また野手では、1番の 関山 和(3年)二塁手の、バットコントロールに優れたバッティングは目を惹いた。一塁までの塁間は、左打席から4.1秒と平均的だったが、セカンドの動きも悪くなかった。また4番の 上 翔曳(2年)捕手も、パワフルなバッティングの持ち主。二塁までの送球が2.1秒前後と平凡だったが、走者の滑りこむところに、ドンピシャにしてアウトにしていた。 大型捕手だけに、フットワークや各動作のキレに物足りなさはあるが、来年に向けてさらなる成長を待ちたいところ。
一方の、弘前学院聖愛の先発 葛西 倖生(2年)右腕は、低め膝下に集められる制球力が魅力。球速はまだ135~140キロぐらいだが、球速以上に威力が感じられる。またスライダーやツーシームを低めに集めたピッチングで、ゴロを打たせるのが持ち味。派手さはないが確かな実戦力の持ち主で、新チームで対戦するのには攻略が難しい投手だろう。すでに140キロに到達するなど、今後も更に出力を高めて行ければ、大学など上のステージでの活躍も期待できる存在になってゆくのではないのだろうか。
山崎 琢磨(石見智翠館3年)投手 185/92 右/左
関山 和 (石見智翠館3年)二塁 174/72 右/左
上 翔曳 (石見智翠館2年)捕手 182/91 右/右
葛西 倖生(弘前学院聖愛2年)投手 171/75 右/右
浦和学院と智弁和歌山
大会最後の登場になった浦和学院と、緒戦不戦勝になった智弁和歌山の選手たちについて、最後は触れて行きます。今年の浦和学院は、吉田 瑞樹(3年)捕手のチームといった感じ。視野の広い選手で、常にグランドの状況に目がゆくタイプ。走者に対しても、再三鋭い送球で牽制していた。その割に、二塁送球のときのボールが弱かったのは打者との関係で投げ難かったのだろうか? いずれにしてもフットワーク・インサイドワークなどに優れ好捕手。あとは、左打者流れてゆく変化球のキャッチングなどを磨いて欲しい。また、打者としても4番を任され長打を連発。甘い球ならば外野オーバーできるパンチ力に、内角を上手くさばいていた。ドラフト戦線的には話題にはなっていなかったが、強豪大学などでも活躍して行けそうな選手で、二塁到達8秒台前半など、脚力も感じさせる選手だった。
吉田 瑞樹(浦和学院3年)捕手 177/82 右/右
智弁和歌山のエース・中西 聖輝(3年)右腕は、182/91 でややもっさりした体型。それでもテンポの好い投球を心がけ、ストライクゾーンにポンポンと投げ込んでくる。普段の球速は140キロ前後と驚くような球ではないが、要所では140キロ台中盤を投げ込めるスピード能力がある。スライダーやチェンジアップなどもあり、ストラクゾーンの枠の中では勝負して来るタイプ。できれば、ボールゾーンにも外れてゆく変化球を今後は修得してゆきたい。まとまりと馬力のある選手だが、個人的にはあまり高校からプロに入るという匂いは伝わって来ない。果たしてこういった選手が志望届を提出した場合、プロ側はどのような判断をするのだろうか?
野手では、一番の 宮坂 厚希(3年)中堅手の、対応力の高い打撃が目立つ。バットコントロールの巧みと鋭さを持った選手で、打撃能力はかなり高い。またセーフティバント気味ではあったが、一塁までの到達タイムが 3.85秒前後とかなりの俊足であることも証明。一学年上の 細川 凌平(日ハム)を彷彿させる三拍子揃った選手だが、こちらは有力大学などに進んでゆくタイプだろうか? 強烈なキャプテンシーも感じさせる選手で、選抜出場を逃した同校を、夏の優勝チームまで引き上げた。
また一年夏から4番を務めてきた 徳丸 天晴(3年)右翼手も、4番の重責を似ない続けた。センターから右方向に合わせるのが上手いのだが、逆にときには強引に引っ張って一発が打てるだぞという怖さを魅せて欲しいところ。持っている能力は素晴らしいのだが、どうも結果を求めていって、こちらが期待するレベルにまでは到達しないまま3年間を終えてしまった気がする。こちらは春から社会人入りの話を訊いており、社会人で殻を破って頂きたいものだ。
3人とも志望届を提出すれば、何かしらの形で指名されそうなぐらいの力はあるが、不思議と高校からプロといった匂いはして来ない選手たちだった。
中西 聖輝(智弁和歌山3年)投手 182/91 右/右
宮坂 厚希(智弁和歌山3年)中堅 178/76 右/左
徳丸 天晴(智弁和歌山3年)右翼 185/88 右/右
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