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プロ野球ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人・蔵建て男が、日本中を駆け巡り本音でトーク!

2022年夏 甲子園レポート4


大会2日目・第四試合 鳴門 VS 近江

鳴門の先発・冨田 遼弥(3年)左腕は、両サイドに投げ分けるコントロール・攻めの厳しさが持ち味の実戦派。左腕の球速表示が出にくい甲子園だけに、球速も最速で137キロ止まりとやや物足りなかった。特に選抜では139キロを記録しただけに、春~夏への上積みが感じられなかったのは残念。曲がりながら沈むスライダーとのコンビネーションで、他にチェンジアップ系のボールも織り交ぜてくる。追い込むまでの制球力が良かったが、勝負どころで力を入れると制球が甘くなり、そこを近江打線につけこまれた。選抜では、あの大阪桐蔭をもっとも苦しめた投手だったが、初戦ということもあり、そこまでの内容とはゆかなかった。それでもプロ志望届けを提出すれば、5位前後の指名があっても不思議では無さそうな実力の持ち主。ただし、春先から大学進学が噂されており、そこでのスケールアップを目指すことになるかもしれない。今後の成長次第では、4年後の上位候補への期待も膨らむ。

野手としての才能を高く買われてきた 山田 陽翔(近江3年)右腕は、最終学年になり投手としての色彩が強くなってきた。コンスタントに145キロ前後~148キロを記録した真っ直ぐには、勢いだけでなく球威も感じさせる。その真っ直ぐを中心に、カウントを稼ぐ横のスライダーと、右打者に対しては縦スラで空振りを誘う。また、左打者には、140キロ前後で軽く沈むツーシームも巧みに使い分けて来る。投手としてはスケールよりも実戦力が目立つが、同じ軌道・腕の振りから変化させることで、見極めを難しくできるのが持ち味だろうか。凄みは感じられないが、制球力・マウンドさばきも安定しており、高卒でも2年目ぐらいには一軍のマウンドに上がってきそうな完成度を誇っている。

最終学年になり、あまりボールを呼び込むまでの感性が感じられなくなったのは残念だが、一打席目に高めに甘く入った球を逃さず叩くあたりに、打者としての隙がなさを感じさせる。フィールディングの動きも良く、もし野手ならば外野手よりも、二塁なり三塁あたりで鍛えてみたいと思わせるものを持っている。ちなみに強肩だけでなく、脚力も4.2秒台(左打者換算で3.9秒台)の脚力を持ち、高い身体能力を秘めている。いずれにしてもドラフトでは、3位前後での指名は期待できるのではないのだろうか。

その山田の真っ直ぐに力負けせず、ライトオーバーの長打を放った 前田 一輝(3年)中堅手のパワーには目を見張るものがあった。190センチの大型外野手で、選抜から素材の良さは目を惹くものがあった。しかし、二打席目以降は山田の徹底マークにあい、快音を飛ばすまでには至らないなどの粗さも残す。ただし、単なるロマン型ではなく、投手としてもマウンドに上がれば144キロを記録。元々投手だけに、冨田がいなければエースという存在になっていただろう。 イメージ的には、海老根優大(大阪桐蔭)中堅手の方が対応力が高いが、前田の方が長打力では上回るのではないかと。守備力は海老根に及ばないものの、強肩ぶりは両者甲乙つけがたい。現時点での総合力で海老根の方が上回っているものの、スケールではそれ以上として、順位的には4位前後ぐらはあっても不思議ではないプロ好みのロマン型だ。

また近江では、1番を打つ 津田 基(3年)二塁手の足の速さが目立った。津田はそれほどガンガン走ってくるイメージはないのだけれども、ショート内野安打のときの一塁到達タイムが3.8秒台こそこそとプロでも上位クラスの脚力を誇る。二塁手としても後逸をしていたが、元来は好守巧打で、柔らかいハンドリングを活かした打撃にも光るものを持っている。大学タイプではあると思うが、卒業後も注視して行きたい一人だ。

その他では、近江の5番・横田 悟(2年)遊撃手は送球に不安なところは残したものの、山田のあとを任されてヒットを連発するなど、打撃には光るものを持っている。また、鳴門の3番打者・三浦 鉄昇(3年)遊撃手は、4打席全て三振と打撃では完全に抑え込まれてしまったが、全く乱れない送球には目をみはるものがあった。打撃での成長次第では、アマチュア球界の名手という位置づけになって行けるかもしれない。

冨田 遼弥(鳴門3年)投手 178/83 左/左
前田 一輝(鳴門3年)中堅 190/92 右/右
三浦 鉄昇(鳴門3年)遊撃 166/72 右/右

山田 陽翔(近江3年)投手 175/78 右/右
津田 基 (近江3年)二塁 179/74 右/左
横田 悟 (近江2年)遊撃 169/73 右/右

大会3日目・第一試合 海星 VS 日本文理

大会屈指の投手との注目度が高かった 田中 晴也(日本文理3年)右腕は、立ち上がりあっさりツーアウトまでとったかとおもいきや、三連打で2失点をきした。この投手、立ち上がりに速い球を投げようとして力んで甘く入ったり、球質が低下して失点するケースが目立つ。この日は大丈夫かと思いきや、あれよあれよと失点しまった。それでも初回に148キロを記録し、ボールの走り自体も悪くなかった。しかしこの投手の持ち味は、むしろ力が抜けて140キロ前後の球速で右打者の内角を厳しく突く投球こそ真骨頂。カウントを稼ぐスライダーと、日本文理伝統の強烈な縦スラで空振りを誘う。力が抜け出すと想像以上に実戦的な投球ができる投手との印象だが、ドラフト上位候補にしては強豪校相手に、真っすぐの力で押しきれない物足りなさは春から気になっていた。むしろ、球威・球速で圧倒するよりも、厳しい攻めや変化球を織り交ぜた、西 勇輝(現阪神)のような感じで大成するかもしれない。また、評判の打撃に関しては、ヒットこそ最後に放ったものの、個人的には生でも観たときも、野手で勝負といった感じはしなかった。いずれにしてもドラフト順位としては、ハズレ1位~2位の間には消えるのではないかとはみているが。将来の、ローテーション候補を探している球団が、高く評価することになりそうだ。

一方の海星の先発・宮原 明弥(3年)右腕は、常時140キロ前後~最速で144キロの真っ直ぐを、比較的低めに集められるのが持ち味。真っすぐの勢いで押すほどのものはないものの、コーナーや低めに集めて見逃しを誘う。また、体の近くでキュッと曲がるスライダーのブレーキが鋭く、その他にもチェンジアップ系の沈む球なども折りませて来る。なかなかの好投手ではあるが、高校からプロというよりも、大学なり社会人などワンクッション置いて全体のスケールアップを図ってからでもプロ入りは遅くはないのではないのだろうか。ある程度の形はできているだけに、全体の出力が上がってくれば自然と結果も伴ってくるだろう。実戦派の投手として、3~4年後に再びドラフト戦線で名前を聞くことになるかもしれない。

日本文理では、2番手で登板した 高橋 史佳(2年)右腕が、常時140キロ台~最速で146キロを記録するなど力強い直球が光った。しかしボールのバラツキが顕著で、制球力が今後の課題か? またスライダーや縦の変化なども観られたが、こちらも明らかに変化が早いなど、まだまだ実戦的とは言えない。ただし、先輩の田中晴也投手ができなかった、力で相手を抑え込むといった投球ができるようになる可能性は秘めている。いずれにしても、秋以降北信越では注目される存在になりそうだ。

昨夏の甲子園で、左中間スタンドに叩き込んだ 玉木 聖大(3年)右翼手も、足を痛めながらも3安打と存在感を示した。昨夏の内容から、今年度はドラフト候補に浮上してくるのでは期待されたが、この一年は少し伸び悩んだ感がある。特に、最終打席にはあわやバックスクリーン弾になるかと思われたセンターオーバーの長打を放って能力の片鱗を魅せてくれた。強打者でありながら脆さがない選手で、その才能をぜひ次のステージで花開かせて欲しい。

田中 晴也(日本文理3年)投手 186/92 右/左
高橋 史佳(日本文理2年)投手 181/86 右/右
玉木 聖大(日本文理3年)右翼 187/100 右/右

宮原 明弥(海星3年)投手 182/90 右/右

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