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プロ野球ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人・蔵建て男が、日本中を駆け巡り本音でトーク!

2022年夏 甲子園総括(捕手編)


今大会はは、事前に全国的に指名が有力な捕手が集まった大会として注目してきた。そんな中でも、上位候補と言えるのが、松尾 汐恩(3年)捕手。俺が決めてやるという姿勢から、センターから右方向に逆らわず打ち返すようになり、状況に応じた打席ができるようになり、野球がよくわかっているなと強く実感させられた。またそれでも、長打を狙っても良い場面では、しっかりホームランを連発するあたりに、大阪桐蔭の中でも野球脳は一枚抜けているように思える。昨秋あたりは、まだ荒っぽくて捕手はどうかな?というイメージもあったものだが、今年になりキャッチングに成長が感じられ、リードも考えてプレーができるようになってきた。強肩ぶりは全国でも指折りの存在だし、これだけ攻守にバランスのとれた捕手は、数年に一人現れるかどうかのレベルではないのだろうか? 1位でも捕手をという需要があるのならば、1位の12名に入ってきても不思議ではない。

その松尾に次ぐぐらいの位置づけになりそうなのが、聖光学院の4番・山浅 龍之介。選抜大会でも、大会屈指の強肩ぶりを披露していた。まだキャッチングや投手への返球に荒っぽさは気になるものの、キャッチング技術自体は悪くなく、送球に関しては一級品。打撃ではオーバー・フェンスを連発するタイプではないが、甘い球を逃さない「鋭さ」があり、攻守にプロ級の素材だと言える。ドラフトでも、中位級(3位~5位ぐらい)での指名があっても不思議ではない。

また、下級生のときには、松尾と双璧クラスの捕手ではないかと思えた 野田 海人(九州国際大付)。やや下級生の頃のイケイケぶりから考えると伸び悩んだ感はあったが、この夏はキャッチングに成長の跡が感じられた。選抜では肩だか肘だかの調子が悪かったのか? 精彩をかいていた送球も、だいぶ回復の兆しがみてきた。松尾(大阪桐蔭)とはかなり開いてしまったが、適度に打てて守れてという攻守のバランスからも下位~育成ぐらいに落ち着く可能性もでてきた。

選抜にも出場していたが改めて力があるなと実感させられたのが、鶴岡東の2番打者・土屋 奏人(3年)捕手の長打力が光った。この選手は、春は4番を打っており、「2番・最強打者説」を重視するために、この打順にいるのだろう。一打席目から大きなファールを打っていて気になっていたが、続く打席で左中間スタンド中段に叩き込むパワーはすごかった。さらに4打席目にもレフトスタンドに叩き込むなど、打球の角度・飛距離は素晴らしい。捕手としてもどっしりとして、ミットがブレずに捕球できフレーミングも意識できていた。それでいてワンバウンド処理への反応や、ランナー背負ってからは立って返球するなど、やることはしっかりできていたことにも好感が持てた。プロ志望ならば、この打力を買って指名する球団が出てきても不思議はないというか、ボールを飛ばせるということに関しては、今年の高校生捕手の中でも屈指のレベルがある気がする。

土屋と共にプロ志望届は未だ提出しないが、渡部 海(智弁和歌山)。地肩の強さに甘んじることなく、捕ってから素早い送球には目をひくものがあった。ミットを構えた時にも小さくかがめて、投手に的がつけやすいように構えることができ、キャッチングにもフレーミングなど工夫の跡だけでなく、しっかりブレずに止めることができている。打撃でも確実性とパンチ力を兼ね備えており、攻守のバランスのとれた捕手。プロ志望ならば、下位~育成あたりでならば指名してくる球団が出てくるかもしれない実力の持ち主だった。また、U-18では、古巣の三塁の守備でも動きの良さを魅せるなど、三塁の人材という見方もできなくはないのだろう。上のレベルで、どういった役割を果たすのか気になる材料。

またプロ志望届を提出しながら、指名がボーダーレベルかなと思えたのは、片野 優羽(市立船橋)。どっしりとして構えでミットがブレないキャッチングは良かった。タイムこそ1.9秒前後の送球だったが、地肩の強さを活かし見事な捕殺も魅せたくれた。少々投手への返球などプレーが荒っぽいところは気になるが、投げやすい形で構えられているのも良いところ。また打っても二安打を放ち、特に左中間スタンド中段に叩き込んだ当たりはお見事。下位~育成あたりまで視野にいれれば、高校からのプロ入りも現実味を帯びてくるのではないのだろうか。

同じく志望届を提出した 盛島 稜大(興南)も、注目の大型捕手。昨年に比べると、キャッチングなども良くなり、だいぶ捕手らしくなってきた。気になるのは、低めの球を上からかぶせたがることが多いキャッチング。ワンバウンド処理には無難に対応できていたが、足回りがけして機敏なタイプではない。また送球も、2.0秒前後かかっており、プロの捕手としては物足りない。パワフルな打撃が最大の売りだが、この日は上手く外角低めの球を拾ってのセンター前ヒット一本にとどまり、その打撃を印象づけるまでには至らなかった。スケールは感じられるものの、まだまだプレーの精度が低く、ある程度才能を伸ばすのには時間が必要そうだった。スイングの形などでは、リチャード(ソフトバンク)のような、豪快なスイングに可能性を感じさせるのだが、実際指名があるかは意見が別れるタイプだけに判断は難しい。

進学を前提に将来が楽しみだとみているのが、近藤 祐星(3年)。昨年から打力が光っていていた選手で、捕手としても全身を使ったジェスチャーを使い、投手と対話しながら組み立ててくる。ワンバウンド処理は機敏だったが、ボールをはじく場面も多く、キャッチング全般では課題が残った。また、盗塁阻止の際にはワンバウンド送球になってしまうなど、送球タイが1.9秒強だったがどうだろうか? 売りの打撃の方では、レフト前にヒットを連発するなど、打球の強烈さやパワフルさは健在。今後上のステージで、「打てる捕手」を続けるというよりも、強打を生かして他のポジションにコンバートされてしまうのではないかと危惧する部分はある。なんとか食らいついて「打てる捕手」として、存在感を示していって欲しい。

他には、選手宣誓をした 玉城 陽希(横浜)。ジェスチャーを交え、投手と対話しながら試合を組み立てて行けるタイプ。ボールさばきにもテンポがよく、投手がリズムに乗りやすい。高めを使ったインサイドワークで、ディフェンス面には光るものがあった。残念ながら打撃ではアピールできなかったが、強豪大学などでもすぐに入って行ける、レベルの高い選手ではないのだろうか。またチームをまとめる、強力なリーダーシップも光った。

川崎 広翔(日大三)も、春季大会で生で観ていてその地肩の強さに驚かされた。こちらは、体を小さくかがめて的を大きく魅せる構えができ、投手に細かく配慮が行き届くタイプ。ボールまわしなどにセンスが感じられ、捕手らしさもあり好感が持てるが、キャッチングに特別なものがないのと、地肩の割には送球の形が悪いのか?1.9秒前後と驚くほどのタイムは出ない。チームでも7番を担っているように、打撃は平凡なのでドラフト候補の匂いはしてこない。大学などでは、「守れる捕手」として存在感を高めて行って頂きたい。

松尾 汐恩(大阪桐蔭)捕手  178/76 右/右
山浅龍之介(聖光学院)捕手  175/82 右/左
野田 海人(九国大付)捕手  174/74 右/右
土屋 奏人(鶴岡東)捕手   177/74 右/右
渡部 海 (智弁和歌山)捕手 179/80 右/右
片野 優羽(市船橋)捕手   183/95 右/右
盛島 稜大(興南高)捕手   185/93 右/右
近藤 祐星(高岡商)捕手   179/82 右/右
玉城 陽希(横浜高)捕手   172/76 右/右
川崎 広翔(日大三)捕手   175/74 右/右

(最後に)

全体的には、選抜あるいは昨年など、すでに全国大会を経験してきた選手が多い。それでも、これだけ1つの大会で、いろいろ選手の名前が捕手で上がるのは珍しい年ではないのだろうか。彼らが今後、プロやアマチュアでどんな存在感を示して行ってくれるのか? 楽しみでならない。

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