2022年夏 甲子園総括(下級生編)
2022/09/10|Category:ネタ
(下級生投手編)
優勝した仙台育英の、下級生投手達が目をひいた。中でも最もスカウトが注目したのが、仁田 陽翔(2年)左腕。最速147キロを記録するなどボールの勢いは仙台育英の中でも一番だった。スライダーとのコンビネーションで、まだコントロールにはバラチキが観られるものの、今後ドラフト候補としてマークされる存在だろう。
また主戦の 高橋 煌稀(2年)右腕は、140キロ前後の球速ながら、それ以上に打者の手元まで勢いが落ちない真っ直ぐを投げ込んでくる。変化球も、スライダー・チェンジアップ・フォーク・カーブなど一通りあり、マウンドさばき・制球力など総合力の高い好投手。体格にも恵まれ、来夏までに何処まで総合力を引き上げてくるのかで進路は変わってきそう。
そして、荒削りだがスペックが高そうな 湯田 統真(2年)右腕も、140キロ台中盤のボールには球威があり、沈む球が独特で楽しみな存在。さらにこのチームからは、新たな選手が新チームでは浮上してきそうな層の厚さを感じさせる。
ドラフト戦線の中心でという意味では、前田 悠伍(大阪桐蔭2年)左腕も健在ぶりをアピール。順調にゆけば、世代を引っ張って行ける存在であり、左腕であることも加味すれば上位指名の有力な候補だろう。ボールの勢い・変化球のキレ・マウンドさばきなど洗練されており、さらなる上積みを、今後の一年で印象づけられるかが鍵になる。
まだ粗さは残るがスペックが高そうなのが、高橋 史佳(日本文理2年)右腕。常時140キロ台~最速で146キロを記録するなど、力強い直球が光った。しかしボールのバラツキが顕著で、制球力が今後の課題か? またスライダーや縦の変化なども観られたが、こちらも明らかに曲がりが早いなど、まだまだ実戦的とは言い難い。それでも先輩の田中晴也投手ができなかった、力で相手を抑え込むといった投球ができるようになる可能性は秘めている。いずれにしても秋以降は、北信越では注目される存在になりそうだ。
その高橋と北信越でしのぎを削りそうなのが、武内 涼太(星稜2年)右腕。オーソドックスなフォームながら、常時140キロ前後~中盤の球速を記録。スライダーやチェンジアップを織り交ぜるが、甘い球を勢いづく名電の各打者達が逃してくれなかった。この経験を糧に来夏までに精進すれば、高校からのプロ入りも実現できそうな素材だった。
また前田と同様に、全国大会での経験も豊富という意味では、杉山 遙希(横浜2年)左腕。球速こそ135キロ前後ぐらいだが、ボールにキレがあり、打者としてはそれ以上に感じられる球質。スライダー・チェンジアップなどを織り交ぜ、安定感抜群でマウンドさばきも実に洗練されている。フォームもオーソドックスで、ボールにこれはという絶対的な球はないが、高い制球力と投球術が持ち味。来年のドラフト候補というよりは、有力大学などアマの王道を進んでゆきそうなタイプ。特にこの選手は、神奈川の決勝戦で強打の東海大相模打線のプレッシャーを耐え忍んだように、強い精神力が最大の売りではないのだろうか。
またリリーフタイプの印象は受けたが、森山 塁(明豊2年)右腕は、130キロ台中盤(MAX139キロ)の重い球に目を見張るものがあり、スライダーやフォークなどの精度が上がってくると面白い。来夏までには、140キロ台中盤にも到達しそうな、力感溢れる投球が今後は話題になって行きそうだ。
仁田 陽翔(仙台育英2年)投手 174/73 左/左
高橋 煌稀(仙台育英2年)投手 183/84 右/右
湯田 統真(仙台育英2年)投手 180/81 右/左
前田 悠伍(大阪桐蔭2年)投手 180/78 左/左
高橋 史佳(日本文理2年)投手 181/86 右/右
杉山 遙希(横浜高校2年)投手 180/82 左/左
森山 塁 (明豊高校2年)投手 175/74 右/右
(下級生野手編)
早くから全国区となっている 佐倉 侠史朗(九州国際大付2年)一塁手は、ガッチリした体格からパワフルな打撃が持ち味。打席でも雰囲気があり、粗さは残すものの捉えた時の破壊力は、先輩たちを凌ぐものがある。一塁までの塁間は左打席から4.45秒前後と、走力は期待できない。それでも最後まで全力で駆け抜けるなど、諦めない姿勢には好感が持てる。高校からのプロ入りを目指すとなると、他のポジションをこなせる融通性を示すか、打撃で圧倒することが求められる。
長田 悠也(作新学院2年)遊撃手は、腰の回転を活かした引っ張って巻き込む打撃を得意とし、スイングにもスケールの大きさを感じさせる。またショートしての動きもまずまずで、地肩の強さには目をひくものがあった。180センチ台の大型ショートでもあり、来年の有力なドラフト候補という位置づけになってゆくだろう。
1年生ながら甲子園を経験した 緒方 漣(横浜2年)遊撃手も、実に野球を良くわかっている。キビキビした動きのショート守備は、全国でもトップクラス。深いところからでも、送球が乱れずにダイレクト送球するなど小柄でも地肩の弱さは感じられない。打撃もツーベース放つなど、ミート力とパンチ力を秘めている。しいていえば、塁間4.6秒台(左打者換算で4.35秒強に相当)の脚力が、あまり無さそうだといったところだろうか。タイプ的にはプロというよりも、アマの王道を突き進んでゆくタイプかもしれないが。
同じショートでは、近江の5番・横田 悟(近江2年)遊撃手は送球に不安なところは残したものの、山田のあとを任されてヒットを連発するなど、打撃には光るものを持っている。
緒方や横田よりも、高校からプロの匂いがするのが、齊賀 壱成(星稜2年)遊撃手。キビキビした動きとキッチリはじき返す打撃は、選抜同様に光るものを持っている。また冷静な判断力が目をひいた 中澤 恒貴(八戸学院光星2年)遊撃手は、来年のドラフト候補として期待。ただし、足を怪我していたのかよくわからないが、4.6秒弱(左打者換算で4.35秒弱に相当)の脚力の無さは気になったのだがどうなのだろうか?
佐倉侠史朗(九州国際大付2年)一塁 181/104 右/左
長田 悠也(国学院栃木2年)遊撃 182/81 右/右
緒方 漣 (横浜高校2年)遊撃 169/69 右/右
横田 悟 (近江高校2年)遊撃 169/73 右/右
齊賀 壱成(星稜高校2年)遊撃 172/70 右/右
(最後に)
下級生に関しては、甲子園不出場の学校にも人材が多くおり、今回出場していた選手が、中心を成すといった感じはして来ない。それでも前田(大阪桐蔭)投手あたりは、世代を引っ張ってゆく中心的な存在になって行けるのではないのだろうか。
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