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プロ野球ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人・蔵建て男が、日本中を駆け巡り本音でトーク!

杉山 翔大(早稲田大)一塁

杉山 翔大(早稲田大)捕手 172/78 右/右 (東総工出身)





             「スラッガーなのか?」





東総工業時代は、天性の動作の切り返し・反応の早さに驚かされた 杉山 翔大。そして早稻田入学後は、捕手としてよりも、大学球界随一というぐらいの抜群のヘッドスピードに驚かされた。その打撃の才能が完全に開花したのが、昨秋のリーグ戦。打率.386厘という高打率で、リーグ3位・ベストナインにも選ばれた。しかしそこには、長打力というスパイスは、まだ注がれていない。しかし今シーズンの杉山は、4本打の長打力を示し、更に10打点の勝負強さ、そして早慶戦の内容次第では、三冠王すら視野に入れられる位置に来ている。そんな 杉山 翔大 の成長について考えてみた。

(守備・走塁面)

捕手として失格の烙印を押された杉山翔大だったが、昨秋のリーグ戦では三塁手としてベストナインを獲得。しかし今シーズンは、一塁手という守備的負担の少ないポジションで、打撃に専念することになった。彼の天性の反応良さ・動作の切り返しの早さから考えれば、一塁をやっているのがもったいない気がするが、現状早稻田では、彼が一塁を守るのがベストなのだろう。ただ恐らく三塁手としては、スローイングが安定しない部分があり、その辺の事情もあって一塁を守っているのではないのだろうか。プロを意識するのならば、絶対に三塁を続けた方がアピールになるのだから。

一塁までの塁間は、4.4秒ぐらいで走り抜けている。これを左打者に換算すれば、4.15秒に相当し、けして走力がない選手ではない。ただシーズンごとの盗塁は、1.2個程度であり、足でガンガンかきまわして来るプレースタイルではないし、そういった技術もないように思える。

現状は、守備・走力でのポテンシャルはあっても、実戦でアピールするだけのものは持ち合わせていない。あくまでも、打撃でどのぐらいアピールができるのかが、彼の場合重要になる。

(打撃フォーム)

そういった意味では今シーズン、三冠王を意識できる位置におり、打撃でのアピールという意味では申し分ない実績を残している。

<構え> ☆☆☆

スクエアスタンスで足を揃え、グリップの高さは平均的。腰を深く沈め、下半身にドッシリとしています。ただ両目で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては平均的。構えとしては、秋と殆ど変わっていないことがわかる。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

投手がリリースを迎えてから始動する「遅すぎる仕掛け」を採用しています。ただここまで遅い仕掛けでも結果を出せるのは、彼の動作が極めて小さいこと、そして日本人離れしたヘッドスピードを誇るからでしょう。彼でないと、なかなか成り立たないスイングだと言えるでしょう。この点も、秋と変わっていません。ここまで引きつけて叩けているのですから、身体は小さくてもスラッガータイプということになります。

<足の運び> ☆☆

前の足をつま先立ちして構え、ほんの少しだけ足を浮かして踏み込みます。少しアウトステップさせることで、腰の回転を促します。踏み込んだ足下も、インパクトの際に少しブレていました。今は、引っ張れる球はすべて引っ張って長打に結びつけようというスイングであり、形からすれば秋の方が良かったように思えます。それでも結果を残しているのですが、今はこのスタイルでいけるところまで行けば好いと思います。

始動~着地までの「間」はないので、狙い球を逃さない「鋭さ」が求められます。非常に点の打撃であり、打てるポイントは限られます。このような打撃スタイルで、高打率を残すことは極めて難しいはずなのですが、それをやってのけるのは、杉山の非凡なポテンシャルを感じます。

<リストワーク> ☆☆☆

秋より好くなったのは、上半身の使い方です。打撃の準備である「トップ」の形をあらかじめ作ることで、始動の遅さを補うことができています。昨秋までは、トップを作るのが遅れる傾向があり、これを見事改善致しました。腰が早く逃げて少し遠回りに軌道するスイング軌道は、それほど変わっていません。

それでも大きな弧を描きつつ、フォロースルーを活かし、振り終わったあとはグリップが高い位置にあります。こうすることにより、ボールを遠くに運ぶことができるようになりました。今シーズン、長打力を大きく伸ばした要因は、このスイング軌道とフォロースルーの使い方に改善が観られたからだと考えます。

<軸> ☆☆☆

上下動がほとんどないので、目線が動きません。ただ足下が盤石でなくなっており、身体の開きの抑えは秋の方が良いと思います。軸足の形も崩れ気味で、今は少し調子が下り坂なのかもしれません。

(最後に)

上半身の使い方に進歩が見られ、それが好い結果に結びついているのではないのだろうか。しかしその反面、下半身の使い方は、秋の方が良かったように思う。今の打撃は、右方向への打撃を捨て、ひたすらレフト方向へ巻き込んでやろうという長打狙いの打撃です。それでも結果を残しているところは、ある程度評価できます。

守備位置の問題や走力にアピール欠ける点は確かにあるのですが、彼の持っている動物的な反応良さと切り返しの速さは、まさにプロの素材。更に抜群のヘッドスピードに加え、ボールを遠くに飛ばせる技術も身に付け、プロ入りをグッと手元まで引きつけつつあるのではないのだろうか。こういった特殊能力を持った選手こそ、今のプロ野球界で必要な人材であり、彼のような選手を、これ以上アマでチマチマ育てていても意味はない。ぜひ卒業後の進路は、プロ一本に絞って欲しい。小さな大打者の誕生かもしれない

蔵の評価:☆☆

(2012年 春季リーグ戦)
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