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プロ野球ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人・蔵建て男が、日本中を駆け巡り本音でトーク!

福富 裕(慶応大)遊撃手

福富 裕(慶応大)遊撃 177/70 右/右 (慶応義塾高出身)





          「正直気にしたことがなかった」





正直今まで、福富 裕 に注目したことはなかった。それもそのはずで、福富は過去3年間で27試合出場しているものの、通算打率.194厘。昨秋のリーグ戦でも、打率.156厘と際だつ数字を残していない。しかし今シーズンは、12試合 1本 3打点 ながら、5盗塁、打率.341厘ながら途中まで首位打者争いを演じ、安定した遊撃守備で初のベストナインにも選出された。そんな遅咲きの男を、今回は取り上げてみた。

(守備・走塁面)

福富の遊撃手としての特徴は、際だつようなスピード感やグラブ捌きの柔らかさ、フットワークの滑らかさ、スローイングまでの無駄のない動きとか、そういった特殊能力を持ったプレーではない。

派手さはないが、余裕を持ってボールを処理し、大きなミスをしない安定したプレーぶりにある。そのため、よほど注目してみてみない限り、目につくようなプレーはしていない。何処まで計算してプレーしているのかわからないが、結構とってからものんびりしていて、走者も間一髪アウトなんてことも少なくない。また地肩に関しても平均的で、けして華のあるショートとは言えないだろう。しかしこの選手は、抑えるべきポイントは、プレーのすべてにおいて抑えられている。

一塁までの塁間は、4.3秒前後。これを左打者に換算すると、4.05秒前後に相当し、驚くべきタイムではないが、プロに混ぜても中の上レベルはある。実際その脚力が示す通り、今シーズンは5つの盗塁をマーク。大体リーグ戦で、5個を超えるような盗塁数を決められる選手では、大学生として足を売りにできる能力があると観て良い。ただ一塁までの到達タイムも含めて考えると、プロで足を武器にするほどの絶対的な脚力はないように思える。

あくまでも、守備・走塁に関しては、中~中の上ぐらいの位置づけ、そうドラフト候補としては捉えて良いのではないのだろうか。

(打撃内容)

右に左にも打ち返すことができ、特にボールを払うようなスイングをする選手。

<構え> ☆☆☆

両足を揃えたスクエアスタンスで、前足のカカトを浮かして立っている。グリップの高さ自体は高く添えているのだが、バットを寝せて構える独特のスタイル。腰の据わりは深く、両目で前を見据える姿勢も悪くない、ただこの独特の構えは、全体のバランスとしてはどうだろうか?

<仕掛け> 早めの仕掛け

投手の重心が下がる途中で始動する「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージ打者が採用する仕掛けであり、彼の打撃がアベレージ色の強いものであることを示している。

<足の運び> ☆☆☆☆

足を早めに引き上げ、大きくまわし込む独特のスタイル。始動~着地までの「間」が取れており、速球だけでなく変化球にも瞬時に対応できる、幅広いタイミングの取り方。またベース側にインステップして踏み込んでくるスタイルで、外角の球を強く意識しています。またその足下が、インパクトの際にはブレません。そのため外の球や低めの球にも、身体の開きを我慢してボールに食らいつくことができます。

<リストワーク> ☆☆☆

打撃の準備である「トップ」を作るのは平均的で、バットの振り出しは並ぐらい。身体を横に切るようなスイング軌道になり、外の球を払うように振ります。そのため外の球をパッと拾うのは上手いのですが、強く叩くとか、鋭くはじき返すとか、そういった力感は感じません。ただ結構ボールを引っ張り込むのも好きで、上手く巻き込めた場合は、早慶戦の第一戦に魅せたような長打も期待できそうです。

<軸> ☆☆☆

足を大きく回し込む弊害として、目線が結構動いてしまいます。特にボールを自分から身体ごと追いかけてしまうところがあり、調子が悪くなると突っ込むタイプだと考えられます。身体の開きは我慢できていますが、好不調の波激しいタイプではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

タイミングの合わせ方、広角に打てる打球の方向などをみると、対応力の高さも頷けます。ただスイング自体は、ヘッドスピードに「強さ」や「鋭さ」に特徴はなく、プロ仕様のスイングとは言えません。

また独特のスイング軌道や頭の動きやすいフォームなどを観ていると、いつも良い時ばかりではなく波が激しそうな印象は受けます。

(最後に)

守備・走塁・打撃でも、抑えるポイントは抑えられている頭の良い選手なんだと思います。ただその分、これまで注目されてこなかったように、素材としての凄み・高い将来性はあまり感じられません。そういった意味では、ドラフト候補というよりは、社会人などで渋く長く活躍するタイプではないかと考えられます。ただ足場を何度も掘って自分の体勢を整えようとする姿に、この選手のこだわりを強く感じたシーズンでした。

(2012年 春季リーグ戦)
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