福谷 浩司(慶応大)投手
2012/06/05|Category:個別寸評
福谷 浩司(慶応大)投手 182/85 右/右 (横須賀高出身)
「最後まで完全復活とは行かなかった・・・」
開幕前に肉離れを発症し、結局シーズン最後まで完全復活とは行かなかった 福谷 浩司 。球速表示こそ145~150キロ級の球速を記録しても、何処かボールが打者の手元まで伸びて来ないし、微妙なコントロールも定まらないことからも明らかだった。結局シーズン終わってみたら
10試合 0勝0敗 30回1/3 25安打 9四死球 22三振 防御率 2.08
と平凡な成績に。改めて、この春の 福谷 浩司 の投球を振り返ってみたい。
(投球内容)
ストレート 145~150キロ
福谷最大の良さは、球威と伸びを兼ね備えたボリューム感のあるストレート。しかしこの春は、調整不足の影響か、球速表示は出ても、打者の空振りを誘うような手元での伸びに欠けていた。このことは、30回1/3イニングで、22奪三振しか奪えていないことからもわかる。福谷の場合、元々細かいところで勝負するタイプではないので、このボールの勢いが充実していないと、ピッチングは物足りないものになってしまう。
変化球 ツーシーム・スライダー・カットボール・チェンジアップなど
今シーズンは、走らないボールを補う意味なのか?しきりにツーシームを使いバットの芯をずらそうというボールが目立ちました。同様にカットボールも使ってきており、フォーシームという純粋のストレートに物足りなさを感じます。
その他武器になるスライダーやチェンジアップのような沈む球も織り交ぜますが、変化球でそれほど三振が奪えない投手だけに、核となるストレートの走りこそが、この投手の生命線になります。
その他
牽制は、上手く「間」を外すのに使ったり、ランナーを刺しに行く牽制と使い分けてきます。またクィックも1.0秒前後で投げ込めることができ、昨年よりも確実に鋭くなりました。この辺は、数少ない成長を感じさせる部分。
元々フィールディングも素早く、特にベースカバーへの入りは一級品。投球以外のところまで追求しているあたりは、さすがに意識が高いと感じさせる。
(投球のまとめ)
今シーズンは、なかなか自分がイメージする球が思い通り行かなかったのだと思う。コースにボール散らせても、その球を踏み込まれて打たれるケースが多い。今までは、ボールの勢い・威力で抑え込んでいたのが、それではダメだということも強く実感したのではないのだろうか。
相手に嫌がられる投球、仕留められる変化球の必要性、実戦力に伴うフォームなど、今シーズンの苦い経験をいかに秋に活かすことができるのか注目したい。
(投球フォーム)
今度は、昨年までのフォームと比べて、どのように変わったのか注目してみたい。
<広がる可能性>
お尻がシッカリ落とせないのは昨年までと変わらないが、気になったのは足の故障のせいか?下半身の粘りに欠け、フォームがあっさりして淡泊になってしまっていた件。このため、変化球のキレもイマイチで、上手く活かすことが出来なかった。昨秋よりも、下半身の粘りの無さが投球に与えた影響は大きい。
<ボールの支配>
グラブは最後まで内に抱えられており、足の甲も膝小僧まで着いてしまうほど深く沈んでいる点は変わりません。「球持ち」も良いように見えるのですが、意外に指先の感覚がよくないアバウトなところは、昨年と変わっていませんでした。
<故障のリスク>
お尻が一塁側にシッカリ落とせない割に、カーブや縦の変化も投げていたが、今シーズンはこういった球が減ったように思える。そういった意味での、肘への負担は減っているのではないのだろうか。ただ腕は強く振る選手だし、腕の角度は無理な感じはしないものの角度はあるので、故障には充分に注意してもらいたい。ただこの部分も、ほとんど変わっていない。
<実戦的な術>
「着地」までの粘りが甘くなった分、この春は「開き」が早くなってしまっている。元々打者に正対しやすいフォームのために、比較的ボールが見やすいフォームだった。それが余計に、今シーズンは顕著になり、コースを突いた球でも、ボールが早く見極められ踏み込まれるケースも多くなった。
腕は身体に絡んでいるが、「体重移動」はもう一つで、いつもよりもグッとボールに乗せることが出来ていないことが残念だった。
(投球フォームのまとめ)
投球フォーム自体は、昨年から殆ど変わっていません。しかし足の故障の影響で「着地」までの粘り~身体の「開き」の速さにつながり、不調の原因を作った。しかしこの部分は、しっかり調整できれば十分に改善は可能であり、秋には心配はないだろう。
(最後に)
故障で思い通りのシーズンを過ごせなかったのは明らかだが、肩や肘という故障でもなく、秋には完全復活を期待したい。またこの投手は、気持ちが乗っている時は素晴らしい投球をするが、気持ちが入っていないとガクッとパフォーマンスを落とすムラが観られる。そういった部分も、悪いときに悪いなりに何処まで試合を作れるのか、そういった部分にも注目して秋は観てみたい。
これらの部分が改善できれば、ドラフトでも1位指名で競合するのは、間違いレベルの投手。期待してラストシーズンを待つことにしよう。それでも下級生までの投球を知っているものからすれば、充分に評価に値する投手だった。
蔵の評価:☆☆☆
(2012年 春季リーグ戦)
「最後まで完全復活とは行かなかった・・・」
開幕前に肉離れを発症し、結局シーズン最後まで完全復活とは行かなかった 福谷 浩司 。球速表示こそ145~150キロ級の球速を記録しても、何処かボールが打者の手元まで伸びて来ないし、微妙なコントロールも定まらないことからも明らかだった。結局シーズン終わってみたら
10試合 0勝0敗 30回1/3 25安打 9四死球 22三振 防御率 2.08
と平凡な成績に。改めて、この春の 福谷 浩司 の投球を振り返ってみたい。
(投球内容)
ストレート 145~150キロ
福谷最大の良さは、球威と伸びを兼ね備えたボリューム感のあるストレート。しかしこの春は、調整不足の影響か、球速表示は出ても、打者の空振りを誘うような手元での伸びに欠けていた。このことは、30回1/3イニングで、22奪三振しか奪えていないことからもわかる。福谷の場合、元々細かいところで勝負するタイプではないので、このボールの勢いが充実していないと、ピッチングは物足りないものになってしまう。
変化球 ツーシーム・スライダー・カットボール・チェンジアップなど
今シーズンは、走らないボールを補う意味なのか?しきりにツーシームを使いバットの芯をずらそうというボールが目立ちました。同様にカットボールも使ってきており、フォーシームという純粋のストレートに物足りなさを感じます。
その他武器になるスライダーやチェンジアップのような沈む球も織り交ぜますが、変化球でそれほど三振が奪えない投手だけに、核となるストレートの走りこそが、この投手の生命線になります。
その他
牽制は、上手く「間」を外すのに使ったり、ランナーを刺しに行く牽制と使い分けてきます。またクィックも1.0秒前後で投げ込めることができ、昨年よりも確実に鋭くなりました。この辺は、数少ない成長を感じさせる部分。
元々フィールディングも素早く、特にベースカバーへの入りは一級品。投球以外のところまで追求しているあたりは、さすがに意識が高いと感じさせる。
(投球のまとめ)
今シーズンは、なかなか自分がイメージする球が思い通り行かなかったのだと思う。コースにボール散らせても、その球を踏み込まれて打たれるケースが多い。今までは、ボールの勢い・威力で抑え込んでいたのが、それではダメだということも強く実感したのではないのだろうか。
相手に嫌がられる投球、仕留められる変化球の必要性、実戦力に伴うフォームなど、今シーズンの苦い経験をいかに秋に活かすことができるのか注目したい。
(投球フォーム)
今度は、昨年までのフォームと比べて、どのように変わったのか注目してみたい。
<広がる可能性>
お尻がシッカリ落とせないのは昨年までと変わらないが、気になったのは足の故障のせいか?下半身の粘りに欠け、フォームがあっさりして淡泊になってしまっていた件。このため、変化球のキレもイマイチで、上手く活かすことが出来なかった。昨秋よりも、下半身の粘りの無さが投球に与えた影響は大きい。
<ボールの支配>
グラブは最後まで内に抱えられており、足の甲も膝小僧まで着いてしまうほど深く沈んでいる点は変わりません。「球持ち」も良いように見えるのですが、意外に指先の感覚がよくないアバウトなところは、昨年と変わっていませんでした。
<故障のリスク>
お尻が一塁側にシッカリ落とせない割に、カーブや縦の変化も投げていたが、今シーズンはこういった球が減ったように思える。そういった意味での、肘への負担は減っているのではないのだろうか。ただ腕は強く振る選手だし、腕の角度は無理な感じはしないものの角度はあるので、故障には充分に注意してもらいたい。ただこの部分も、ほとんど変わっていない。
<実戦的な術>
「着地」までの粘りが甘くなった分、この春は「開き」が早くなってしまっている。元々打者に正対しやすいフォームのために、比較的ボールが見やすいフォームだった。それが余計に、今シーズンは顕著になり、コースを突いた球でも、ボールが早く見極められ踏み込まれるケースも多くなった。
腕は身体に絡んでいるが、「体重移動」はもう一つで、いつもよりもグッとボールに乗せることが出来ていないことが残念だった。
(投球フォームのまとめ)
投球フォーム自体は、昨年から殆ど変わっていません。しかし足の故障の影響で「着地」までの粘り~身体の「開き」の速さにつながり、不調の原因を作った。しかしこの部分は、しっかり調整できれば十分に改善は可能であり、秋には心配はないだろう。
(最後に)
故障で思い通りのシーズンを過ごせなかったのは明らかだが、肩や肘という故障でもなく、秋には完全復活を期待したい。またこの投手は、気持ちが乗っている時は素晴らしい投球をするが、気持ちが入っていないとガクッとパフォーマンスを落とすムラが観られる。そういった部分も、悪いときに悪いなりに何処まで試合を作れるのか、そういった部分にも注目して秋は観てみたい。
これらの部分が改善できれば、ドラフトでも1位指名で競合するのは、間違いレベルの投手。期待してラストシーズンを待つことにしよう。それでも下級生までの投球を知っているものからすれば、充分に評価に値する投手だった。
蔵の評価:☆☆☆
(2012年 春季リーグ戦)
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